生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

地下で3億年!生き、条件が揃えば蘇生!する微生物。
代謝を行わない微生物も存在する。

最近の地下微生物の発見から考えると、生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

「BIGLOBEニュース」
リンク
より引用

「死をもあざむく?地球の内側で見つかった微生物の不死へのアプローチ」

 地球の深部炭素に関する国際的なサイエンスネットワーク団体、ディープ・カーボン・オブザバトリー(Deep
Carbon
Observatory:DCO)が驚きの事実を発表した。

 地球の地下で生きる微生物の質量は150~230億炭素トンで、全人類を合わせた炭素質量のじつに245~385倍あるというのだ。
 地下の奥深くで生命が存在できるはずがないと考えられていたのが、そう遠くない昔のことであるのを考えれば、まったく驚きである。
 だが、その発表を詳しく見てみると、さらに驚愕の事実が述べられていた。
 地下生命の年齢である。

●科学者の培養実験。細菌は蘇生する。
 1920年代末、チャールズ・リプマンという科学者が、岩の中に細菌が、しかも生きたまま存在するのではと疑い始めた。
 彼は、密封した瓶の中に入れられた乾燥した土に潜んでいた細菌が、40年後に蘇生した事実について考察していた。もし、細菌が40年間も生きられるのだとすれば、はたしてどこかに限界はあるのだろうか?
と。
 沼から採取した岩のような石炭は、その実験にぴったりに思われた。彼は石炭を砕き、そのカスから何かが成長するかどうか観察してみた。そして、思ったとおりだった。
 石炭の粉末を滅菌水に混ぜて2、3週間放置しておくと、細菌のようなものが現れ始めたのだ。粉末を細菌が大好きな「ペプトン」たっぷりの溶液に入れた場合は、たったの5時間であった。

 興味深いことに、この蘇生には、液体に数日間浸かるという水分補給期間が必須であることも判明した。石炭の粉末が湿っていたとしても、そのままペトリ皿のエサ入り寒天培地に入れても、何も育たなかった。

 むろん、リプマンはサンプルが汚染されないよう細心の注意を払って実験を行なった。徹底的な洗浄・殺菌作業には、数時間あるいは数日におよぶ洗浄、浸漬、加熱、加圧が含まれる。
 だが、これで判明したのは、160度でサンプルを数時間熱したとしても、石炭の内側にいる細菌を殺せないということだった。
 それどころか、かえって細菌に力を与えるのだ。加熱時間が長くなるほどに(なんと最大50時間行われた)、その成長は促されたのである。


●過酷な環境に耐えるためのアンヒドロビオシス
 リプマンは、石炭から手に入れた細菌が、人間の腸内細菌のそれと同じ意味で生きているとは信じなかった。
 むしろ、石炭を形成する過程で、カラカラに乾燥し、仮死状態になっていたと信じた。
 「石炭の中の微生物は実際に生存者である。石炭はもともとは泥炭のような性質で、おそらくは微生物がきわめて豊富だったろう。だが、そこから石炭が形成されたときに、その中に囚われの身となったのだ。」

 「私の意見では、石炭の塊のそこかしこに、一時的な胞子か、それに類する耐久性を備えた休止状態の細菌が散らばっており、時と環境の試練を生き延び、その生命としての特徴や栄養型に変化する力、あるいは状況が繁栄するにふさわしいものになったときに増殖する力を維持したのだろう。」(Journal
of
Bacteriology)

 こうした干からびた状態を現在では「アンヒドロビオシス(anhydrobiosis)」という。これはクリプトビオシス
の一つで、凄まじい生命力で知られるクマムシのような動物が、極度の乾燥状態や、宇宙の真空や放射線の集中砲火に打ち勝つため活動を停止する無代謝状態のことだ。


●3億歳の微生物
 リプマンが使った石炭は、ウェールズとペンシルベニアで採取されたもので、中には540メートルの地下から採掘されたものもあった。
 ペンシルベニアの石炭は、ペンシルベニア紀という地質学上の時代の名称の由来ともなっている。そして、それは少なくとも3億年も前の時代のものだ。
 リプマンの実験が行われたのは1931年のことだ。おそらく同僚は彼がおかしくなってしまったと考えたことだろう。
 しかし2019年の我々の目から見れば、リプマンが別におかしくもなんともなかった線の方が濃厚だ。

 世界最高齢の個体は、節くれだったブリストル・コーン・パインやクローンで形成されたアスペンの森林ではなく、地下の岩の中に囚われたちっぽけな微生物なのかもしれない。それが、成長もせず、子孫も残さず、ただ死神をごまかしているだけに過ぎないのだとしても。


●地下細菌の寿命の長さを示唆する最近の研究
 ここ10年で、堆積物や岩、あるいは地中深くの隙間や亀裂の中で生きているこうした細菌が、予想外に長生きであることを示す研究は増えている。
 たとえば、2000年代初頭、帯水層や堆積物の微生物が呼吸をする速度は、地上にいる微生物のそれよりもずっと遅いことが明らかにされた。
 そのバイオマス回転率(細胞の分子が置き換わるためにかかる時間)を計測すると、数百から数千年の長さであった。

~中略~

●地下の囚人になる代償としての不死
このあたりで話をまとめよう。地球の地殻には、不活発な古代の細菌がうじゃうじゃいる。それは省エネモードにあるが、ギアはいつでも入れられる状態にある。
 永遠に思える時間を暗闇の中に閉じ込められ、静寂の中、かろうじて食べ、かろうじて呼吸し、かろうじて動く。それでも死んでいない、生きているのだ。
 もしチャールズ・リプマンが正しかったのなら、恐竜が登場するより5000万年も前に生まれた地球内部の細菌細胞は、明日にでも再び分裂を再開するかもしれない。なんと驚愕の事実であろうか。

 だが、こうした魔法のような力を発現させるために、細菌は地下牢獄に囚われていなければならない。その代償として、事実上の不死が与えられているのである。

 

 

 

田村正道

2020年1月23日 (木)

太古の南極に羽毛恐竜がいた、初めての証拠を発見

NATIONAL GEOGRAPHIC より太古の南極に羽毛恐竜がいた、初の証拠を発見 羽毛は体を温めるために進化した可能性もリンクを紹介します

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(前略)

 見つかったのは、白亜紀初期に当たる1億1800万年前の、非常に保存状態のよい羽毛の化石が10個。発掘地はオーストラリア南部だ。当時のオーストラリアは今よりもかなり南にあり、今の南極大陸とともに南極大陸塊を形成していた。現在の南極より暖かかったとはいえ、この羽毛をもつ恐竜たちは、極夜が続く何カ月もの冬に耐えていたはずだ(ちなみに白亜紀の後期は、南米の竜脚類が歩いて南極やオーストラリアに向かえるほど暖かい環境だった)。

「これまで、極地で羽毛の化石は見つかっていませんでした」と論文の共著者で、スウェーデンにあるウプサラ大学の古生物学者ベンジャミン・キアー氏は語る。「今回の発見は、羽毛恐竜や初期の鳥類が太古の極地に生息していたことを初めて示すものです」

 これまでも、極地から恐竜の時代の鳥の細かい骨が見つかることはあったが、羽毛の化石が出土したのは初めてだ。南米ペルーで見つかったペンギンの絶滅種の化石には羽毛が閉じ込められていたが、それは大陸がかなり北に移動していた3600万年前ごろのものだ。

 恐竜たちは進化の過程で、さまざまな羽毛を発達させた。たとえば求愛のための羽毛や、飛ぶための羽毛だ。今回、かつての南極付近で見つかった羽毛は、そこに新たなヒントを与えてくれる。当時の南極では、小型肉食恐竜が厳しい冬を生き延びられるよう、羽毛が発達したかもしれないということだ。

「白亜紀の恐竜や初期の鳥は、羽毛をもつことによって高緯度地域でも温かく暮らすことができたのでしょう。そう考えれば、納得がいきます」とライアン・マッケラー氏は話す。同氏はカナダ、ロイヤル・サスカチュワン博物館のキュレーターで、羽毛の化石に詳しい。

羽毛の持ち主は?
 論文で取り上げられる羽毛はすべて、オーストラリア南東部、メルボルンの南東約150キロのところにあるクーンワラという場所で見つかった。1960年代に道路を作るために丘陵地を切り開いたところ、化石を多く含む地層が現れた。その後60年にわたり、魚や植物の化石が数多く見つかっただけでなく、保存状態のよい羽毛の化石も出土している。

 現在のところ、恐竜や鳥の骨とつながった羽毛は見つかっていない。そのため、生え換わりや羽づくろいの際に抜け落ち、風に飛ばされて古代の湖に落ちて底に沈み、泥の中で保存されたものと考えられている。

 37年以上にわたってクーンワラの発掘を率いてきたメルボルン博物館のトム・リッチ氏とモナーシュ大学のパトリシア・ビッカーズ=リッチ氏は、今回の論文のために、国際チームと協力して出土した化石の分析を行った。その結果、10個の羽毛の化石はそれぞれ異なるものであることが判明した。たとえば、保温用の綿毛を含むもの、飛ばない恐竜のものと思われる原始的な羽、現在の鳥がもつような飛行用の複雑な羽などだ。

 キアー氏によると、ほとんどの羽毛は長さ2~3センチ以下で、エナンティオルニス類(絶滅した原始的な鳥類で、白亜紀初期にはさまざまな種類がいた)のものと思われる。中にはとても小さなものもあり、生まれたばかりの個体の羽毛かもしれない。

 ただし、一つを除き、飛ぶために使えるものではないという。そのため、論文の筆頭著者で、スロバキアにあるパボル・ヨセフ・シャファーリク大学の古生物学者であるマーティン・クンドラット氏によると、いくつかの羽毛は地上で生活する肉食恐竜のものであった可能性が高いという。

 マッケラー氏は、「この原始的な羽は、中国の白亜紀初期の化石やカナダの白亜紀の琥珀から見つかった羽毛恐竜の原始的な羽と完全に一致します」と言う。

 大きさから考えれば、羽毛の持ち主はおそらくドロマエオサウルス科(ヴェロキラプトルやデイノニクスを含む足の速い肉食恐竜)などの小型恐竜だろう。オーストラリア南部では、細長い口吻をもつウネンラギアと呼ばれるドロマエオサウルスの仲間の化石が見つかっている。これは南米でよく見つかる恐竜で、魚を食べていた可能性がある。だとすれば、これに似た羽毛恐竜が白亜紀に湖のほとりで食べものを探していたとしても、つじつまが合う。

 メルボルンにあるスウィンバーン大学の古生物学者スティーブン・ポロパット氏は、「湖にはたくさんの魚の化石があるので、食べものには困らなかったはずです」と言う。

季節によって体色が変わっていた?
羽毛の化石からは、メラノソームと呼ばれるメラニン色素を貯蔵する細胞小器官も見つかっている。そこから、黒や灰色や茶色、または濃い色の縞模様をした恐竜だったことが考えられる。

 ポロパット氏は、極地で暮らす動物を考えれば意外なことだと言う。白い雪が積もる環境では、黒っぽい体色はカムフラージュにはならないからだ。現在、寒冷地に生息するライチョウのように、季節ごとに色を変えていた可能性も考えられるという。

「しかし、白亜紀の南極はそこまで寒くなく、単に白っぽくなる必要がなかっただけかもしれません」

 この謎を解くには、さらに多くの化石が必要になる。リッチ氏は、中国東北部で見つかった非常に保存状態のよい羽毛恐竜の化石のように、やがてクーンワラからも恐竜や鳥の完全な化石が出土するのではないかと期待を寄せる。

「実際にここオーストラリアで羽毛恐竜の骨格が見つかれば、すばらしいことだと思います」とポロパット氏は言う。「私たちが知るかぎり、その可能性が高いのはクーンワラなのです」

 

 

久里亜

ジュラ紀前期に哺乳類が中国で発見されている

「リスのようなジュラ紀の最初期哺乳類」より引用
リンク

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リスのような哺乳類が恐竜の頭上の木々を走り回っていたことを示唆する化石が中国で発掘された。哺乳類はこれまで考えられていたより早い時期に急速に進化した可能性が浮上している。ハラミヤと呼ばれるこの哺乳類は約1億6000年前、ジュラ紀の中国に生息していた。すらりとした優雅な体は樹上生活に適していたとみられ、現代のサルのような枝をつかむことができる手足と枝に巻き付けることができる長い尾を持つ。

研究に参加するアメリカ自然史博物館の古生物学者ジン・メン(Jin
Meng)氏は、「トガリネズミのような食虫動物が恐竜の影におびえて暮らしていたという中生代の哺乳類のイメージを見直す必要がある」と話す。

これまで謎の哺乳類ハラミヤは歯とあごの一部から推測するしかなかった。ところが2013年、メン氏らの研究チームが完全な骨格を発掘したと報告した。ハラミヤは現存する哺乳類とは似ても似つかないが、すでに絶滅した多丘歯目と近縁関係にある。多丘歯目は複雑な歯尖の構造を特徴とする。

メン氏らは10日付で「Nature」誌に発表した論文の中で、3つの新種の6つの骨格について報告している。恐竜が地上を支配していた中生代、哺乳類はどのように進化したか。これまでの概念を覆す発見となった。

オクラホマ州立大学の古生物学者アン・ウェイル(Anne
Weil)氏によれば、初期の哺乳類はさまざまな体格を持ち、そこからさらに分岐しながら進化した可能性が浮上しているという。「現代の小さな齧歯(げっし)動物たちを見れば、ネズミとリスは違う動物だとわかる」。ハラミヤのような哺乳類の存在は中生代も現代と同じだったことを示唆している。

新たに発掘されたハラミヤの骨格が覆そうとしているのは、古代の哺乳類の暮らしぶりに関するイメージだけではない。長らく謎の生き物とされてきたハラミヤの骨格を比較した結果、最初期の哺乳類はこれまで考えられていたより早い時期に登場した可能性が出てきた。

これまで本当の意味での哺乳類はジュラ紀に登場したと考えられてきた。ハラミヤは限りなく哺乳類に近いが、厳密には哺乳類でないとみなされていた。

ところが、メン氏らが完全な骨格を調べた結果、ハラミヤはやはり哺乳類だとわかった。メン氏によれば、最も古い骨格の年代を考えると、哺乳類は“少なくとも三畳紀の後期”、つまり2億2000万~2億100万年前に起源を持つという。

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西本圭

地球に衝突した隕石の中から糖が発見され、生命誕生の素材は宇宙からもたらされた

地球に衝突した数十億年前の隕石の中から糖が発見された。発見したのは、NASAや東北大学をはじめとする研究グループだ。

この発見は、地球に生命が誕生するための素材は隕石がもたらしたという説を裏付ける証拠になるという。

生命の起源は常に謎だらけであり、未知課題。

隕石の衝突と生物の誕生全く矛盾していそうだが、そこには関係があった!?

以下リンク

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■地球の生命の起源は宇宙にあった!?
 ときおり地球に落ちてくる隕石の多くは、地球近傍天体という太陽を公転している小惑星に由来している。じつは生命に不可欠な元素は、そのような小惑星の中で生じた化学反応によって作られたという仮説がある。

 隕石の中からその仮説を裏付ける糖を発見したのは、NASAや東北大学をはじめとする研究グループだ。

 『PNAS』(11月18日付)に掲載された研究では、1969年にオーストラリアに落下した数十億年前の隕石をはじめとする3つの隕石から、塩酸と水を使った糖の抽出が試みられている。

 その結果、「アラビノース」や「キシロース」といった生命の誕生には不可欠である糖が発見されたという。

■”リボ”核酸はDNAが登場する前にすでに存在していた可能性
中でも重要なのは「リボース」だ。リボースは人体の中でとてつもなく重要な働きを担っている。RNA(”リボ”核酸)を構成する糖であって、DNAに書き込まれたメッセージを伝えることで、人体が必要とするタンパク質を作る手助けをしているのだ。

 またリボースの発見は、RNAがDNAが登場する以前に進化していたことをも示唆しており、生命が形作られるメカニズムに関する青写真をいっそう明確になものにしてくれている。

 DNAはかねてより「生命の鋳型」とみなされてきたが、意外なことにRNAはそれ以上に有能で、他の分子の助けがなくても自己を複製することができる。

 こうしたRNAの機能や、これまでDNAに含まれる糖が隕石から見つかっていないという事実は、RNAはDNAが登場する前にすでに存在しており、生命の働きを制御していたという仮説を裏付けている。

■ますます高まる私たちの故郷が宇宙であるという可能性
 東北大学の古川善博氏によると、隕石が糖を地球にもたらしたという仮説を裏付ける初めての直接的な証拠であるという。

 地球の外にあった糖が隕石に乗って地上に落下し、それがRNAの形成を助け、やがては生命の誕生につながったのかもしれない。

 もちろん、問題の隕石が地球の生物によって汚染されていたという可能性も考えられる。しかし、検査の結果は、その可能性がかなり低く、糖はおそらく宇宙に由来するものであろうことを示しているそうだ。

 なお、今年の1月には、ふたつの隕石からアミノ酸、炭化水素、微量の水といったやはり生命に不可欠な素材が発見されている。私たち生命の故郷は地上ではなく、宇宙であるという可能性がますます高まっているのだ。

 

 

直永亮明 

2020年1月22日 (水)

「生命の起源」ついに明らかに? その想像以上にシンプルなメカニズム

原始の地球で最初の細胞が誕生した仕組みを明らかにする、新発見がもたらされた。1924年以来、長らく忘れ去られていた進化史上の仮説に再び、注目が集まっている。



以下「WIRED.JP」(
リンク)より引用します。



■ ■ ■




生命の起源については1924年、ロシアの生化学者アレクサンドル・オパーリンの発表した説が広く支持されている。原始の地球で、大気中の成分から合成された非生物的な有機物がいくつも集まり、海中で「液滴」と呼ばれる形態になる。膜はないものの、袋状の構造をもつ液滴がその後、生命を得て細胞になったというものだ。




しかし、液滴が細胞に至るまで、どのような成長・分裂・増殖の過程を経たのかは、これまで誰も説明できなかった。「膜なくして進化なし」とオパーリンの理論に異議を唱える研究者もいる。化学物質を集めて生命を育むには、脂肪酸の膜が必要不可欠で、膜のない液滴から細胞は発生しないという。




こうした議論に新たな風を吹き込む発見が2016年12月、物理学の国際学術誌『ネイチャー・フィジクス』で発表された。独ドレスデンのマックス・プランク複雑系物理学研究所と同分子細胞生物学・遺伝学研究所のデヴィッド・ツヴィカーと共同研究者による論文がそれだ。液滴が細胞の大きさまで成長したあと、まるで細胞のように分裂する傾向があったという。




膜のない液滴が自発的に分裂するなら、「(オパーリンの言った通り)非生物的な有機物の濃縮されたスープから、生命が自然に発生した可能性は高まります」と論文の共著者で生物物理学者のフランク・ユーリヒャーは言う。




細胞のようにふるまい“分裂”する液滴




実験では、細胞の分裂などにかかわり、液滴と似たふるまいをする細胞小器官「中心体」をモデルとした模型をつかった。内部に含まれるタンパク質は、エネルギー源があると逆反応を起こした。水溶性のものは不溶性に、不溶性のものは水溶性となった。液滴は直径数十~数百ミクロンに成長したところで、分子の流出入が釣り合い、成長が止まった。ユーリヒャーは、「原始の地球では、太陽光が液滴を成長させる原動力になったはずです」と言う。




「分裂」と非常によく似た現象も見られた。液滴の大きさは安定しているものの、形状が不安定で、不溶性タンパク質の分子が過剰に流入すると、その方向へとわずかに膨らんだ。膨張した部分の表面積が広がる一方、表面積が小さいままの中央部はくびれ、最終的には2つの液滴に分かれた。




単純な分裂する液滴が、アメーバからシマウマまでさまざまな動物に進化した可能性はあるのだろうか? 今回の新発見に通じている物理学者や生物学者は「あり得る」と話す。




研究チームは次の段階として、今後数カ月で中心体などのタンパク質と物理的に似た合成ポリマーで液滴をつくり、どのように成長・分裂するか観察しようとしている。さらにその後は、中心体そのものの液滴の分裂を観察するなどし、ツヴィカーらが論文で発表したメカニズムがつかわれるかどうかを確認する。これらの実験は、マックス・プランク分子細胞生物学・遺伝学研究所で生物学研究所の所長を務めるドーラ・タンらの協力を得て進められる予定だ。




反対論者も納得する新たな仮説




カリフォルニア大学サンタクルーズ校の生化学者デヴィッド・ディーマーは、「膜なくして進化なし」説を長らく擁護してきた。今回、新たに発見された液滴分裂のメカニズムについても、「興味深いが、現在の細胞分裂で見られる多段階で複雑な過程とはかけ離れており、生命の起源との関連はまだ分からない」と話す。




他の研究者たちはこう反論する。タンによると、母核となる液滴がいったん分裂を始めると、すぐに遺伝情報を伝達する能力を得て、タンパク質を合成する情報を持つDNAやRNAを娘核のために等しく配分できたという。これらの遺伝情報伝達物質が液滴の分裂速度を高めるタンパク質を合成するようになれば、原子細胞は自然状態にある物質が無秩序に広がってゆく「エントロピー増大の法則」と太陽光によって、だんだん複雑化していくだろう。




ユーリヒャーらの研究チームは、「原子細胞はこの複雑化の過程で膜を獲得した可能性がある」と主張する。液滴は、自身と周囲の液体との境界面にとどまろうとする脂質の外皮を自然と集めるからだ。さらに、遺伝子が何らかの方法でこうした膜を一種の防御として組み込み始めたかもしれないとも言う。この仮説について、ディーマーは「そういうことなら同意できます」と言い、原子細胞の定義を「膜を持った最初の液滴」とすべきだと主張した。




想像以上のシンプルさを研究者たちが称賛




生命の起源にまつわるストーリーは、今後の実験結果によって変わりうる。しかし、生命の起源を研究する学者たちは、今回の新発見のシンプルさを称賛している。




生命の発生する物理メカニズムを研究するオランダ・ライデン大学の理論生物物理学者ルカ・ギオミは、これまで考えられてきた原子細胞分裂のメカニズムよりずっと単純だからこそ、「非常に期待できる方向だ」と話す。オックスフォード大学の理論物理学教授ラミン・ゴルスタニアンも、「生命形成の一般的な現象学は、人々が思っているよりはるかに簡単だと示唆している」と述べた。




液滴の分裂メカニズムは実際のところ、生命の発生にどれほど関連性があるのか。生化学的な液滴の中から、水溶性と不溶性のタンパク質が見つかって、新発見の正しさが証明されるだろうか。いずれにしても、近い将来、非生物から生命が誕生した現実的な道筋がはっきり見えてくるに違いない。

 

末廣大地  

動物?非動物?6億900万年前の多細胞生物「Caveasphaera」は生命の鍵を握るヒントとなるか?

動物は単細胞生物の祖先から進化し、3、40種ほどの解剖学的デザインへと多様化した。はたしていつ、そしてどのようにして単細胞の微生物から複雑な多細胞生物へと変化したのか、これは今もなお激しく議論が交わされているテーマだ。



 これまで、この問いの答えを探るには、現生の生物とその近縁種を調べるしか術がなかったが、ある微小な化石の中からそのヒントになりそうな大発見があったそうだ。




 中国南部、貴州省の岩山で発見された6億900万年前の多細胞生物「Caveasphaera」の化石は、動物か非動物か判別できない。非動物から動物へと変遷しつつある初期の動物か、その近縁種の胚である可能性もあるという。




非動物から動物へと変遷しつつある生物?


 中国南部、貴州省にある6億900万年前の岩石から「Caveasphaera」と呼ばれる化石が発見され、最初に記述されたのは2000年のことだ。


 


 個々の化石は直径0.5ミリの砂粒のような代物であるが、これを超強力なX線顕微鏡で調べたところ、なんと数百あるいは数千の細胞で構成された化石であることが判明したのである。




 はたしてこの生物が動物であるのかどうか、はっきりしたことは不明だ。しかし、『Current Biology』(11月27日付)に掲載された研究は、初期の動物か、その近縁種の胚であると主張している。




7億5000万年前、あらゆる動物の共通祖先がいた


 テントウムシからクジラまで、今日の動物はいずれも同じ過程を経て発達する。まず受精卵から始まって、分裂を繰り返して球状の細胞の塊となる。すると胚内部の細胞が動き、やがていくつもの組織で構成された多細胞の体へと成長する。こうした動物は、もっとも近い非動物の近縁種、すなわち主に水の中で暮らす単細胞の原生動物とは深いレベルで異なっている。




 原生動物は、魚に病気を引き起こすもの、水の中で自由生活を送るものなどさまざまだが、いずれも体を発達させることはない。




 これまで古生物学者は、動物がいかにしてかくも多様な体を進化させてきたのか探ろうとしてきた。




 その結果明らかになったのは、多くの現生の動物の系統は、5億4200万年前のカンブリア紀の化石にさかのぼれるということだ。




このカンブリア爆発と呼ばれる時期よりさらに前の時代となると、研究はいっそう難しいものとなる。




 それでも5億8000万年前の奇妙な葉状体やディスクが発見されており、中には現生の動物種につながりそうなものもあった。




 だが動物のDNAは、動物界の根っこはさらに昔へとさかのぼれるだろうことを示唆している。




 突然変異はおおむね安定した割合で起こる。これを計算に入れたうえで異なる動物の系統の突然変異を比較すると、動物の共通の祖先が生きていた時代を推測することができる。




 そうした研究によると、あらゆる現生動物の共通祖先はおよそ7億5000万年前に生きていたという。カンブリア紀よりもずっと前の時代だ。




 動物かもしれない6億900万年前のCaveasphaeraが専門家を沸かせているのはそうしたわけだ。




Caveasphaeraが握る進化の鍵


 中国、南京地質古生物研究所の研究グループによると、Caveasphaeraの化石を発達段階の順に分類してみたところ、現生の動物と同じように発達していることが明らかになったという。




 詳しい分析からは、この胚が原腸の発達段階に似たプロセスを経ており、人間をはじめとする動物の胚に近い発達をしていることがわかった。ただし、Caveasphaeraの胚がもっと複雑な生物に発達したという証拠はないそうだ。




 はたしてCaveasphaeraが動物なのか、それとも違うのか、いまだに議論の決着はついていないが、今回の研究グループははっきりと異なる組織層と器官を発達させることが可能だったのではと推測している。




リンクより引用

 

 

井上智貴  

2020年1月19日 (日)

4本足のクジラが陸と海の両方で暮らしていた。

今を生きるクジラは海の中で暮らしているが、その祖先は4本足を持つ哺乳類だったという。

約5000万年前を生きたクジラは、今よりも小型で、その足を使いながら陸と海の両方で暮らしていたようだ。

これまでインドやパキスタンで4本足のクジラの祖先の化石は発見されていたが、南米ペルーでも、同様の化石が発見された。

世界規模で4本足のクジラは生息していたようである。

哺乳類樹上ではなく海にいった哺乳類はどういう進化を遂げたのか
気になる記事を紹介。
以下リンク

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□クジラの祖先は5000万年前のウシ目から分岐

滑らかな巨体を持つクジラには、陸はおろか浅い川だって生きられないようなイメージがあるが、彼らの祖先は、5000万年前に陸上で暮らすウシ目の動物から分岐した哺乳類である。

当時、クジラの祖先は小型のシカのような姿で、蹄のある4つ足があった。

インドで発見された化石は、クジラになる直前の動物が出産や食事は陸上で行なったが、危険がせまると水に身を隠しただろうことを示している。

彼らはかなりの時間を浅瀬ですごし、水草や無脊椎動物を食べ、やがて小魚や両生類も口にするようになった。

クジラ最古の化石は5300万年前のもので、インド北部のヒマラヤと今日のパキスタンに当たる地域で発見された。

その化石からは、カワウソやビーバーのように陸の上を歩く能力を保ちつつも、水辺での生活から徐々に水の深いところへ移っていった様子が窺える。

クジラの祖先とされているインドハイアスの復元イメージ

□陸で暮らす力がありながら海を渡ったクジラの祖先

新たにペルーで発見されたペレゴセタス・パシフィカス(Peregocetus
pacificus)は、まだ陸で暮らす力をそなえていてが、およそ4200万年前に世界の反対側へ壮大な旅に出た。

始新世中期(およそ4800万~3800万年前)、アフリカと南アメリカは現在の半分程度しか離れていなかったが、それでも完全に海の生活に適応していたわけではない3メートルに満たない動物としては、驚きの水泳能力である。

ペレゴセタス・パシフィカスの後ろ足の長さは前足とそれほど変わらず、爪先には小さな蹄があった。このことは、水から上がってもきちんと自分を支えて、歩き回れたことを示している。


□水かきと現在のビーバーのような尻尾

同時に、骨格に見られるほかの特徴は、水の中にもうまく適応していたことを示唆している。

たとえば、後ろ足の足骨には靭帯と腱がくっついていた突起部があるが、これは水かきがあった痕跡だ。

またビーバーのような尾骨は、泳ぐときに便利な補助として使われていた証拠である。ただし、今日のクジラのような尾ビレだったかどうかまでは不明だ。

鋭く、ハサミのような歯からは、ペレゴセタス・パシフィカスが肉食動物だったことが窺える。現在のクジラの多くと同じく、大きな硬骨魚を食べていた可能性が高い。

しかしペレゴセタス・パシフィカスの歯は、複雑な歯尖の犬歯、小臼歯、大臼歯を持つ現代の肉食動物にも似ている。


□長い時間をかけて海の生活に適応していった

長い時間をかけて骨盤骨が脊椎から離れ、泳ぎやすくなった一方、浮力をえられる水中で過ごす時間が長くなったことで、進化のリソースは体重を支えられるだけの強靭な足を作ることには割かれなくなっていった。

やがてクジラの前足はヒレに変形し、後ろ足は退化して消えた。

現在のクジラは、まだ陸で暮らしていた遠い祖先からわかれて随分経つ。その名残りを、いくつかの種の骨盤についている骨の痕跡として見ることができる。

以上

 

 

 

 

直永亮明

トカゲはヒトより進化している

実は、陸上で生活するという点でいえば、トカゲはヒトよりも進化しているのです。(リンク

・・・・・以下引用・・・・・
私たちの祖先は海にすんでいた。何億年も前の私たちの祖先は、魚だったのだ。その魚の一部が陸上に進出して、私たちに進化した。
もちろん陸上に進出するためには、体のいろいろな部分を変化させなくてはならなかった。系統樹Aは、脊椎動物から6種(魚類のコイ、両生類のカエル、爬虫類のトカゲ、鳥類のニワトリ、哺乳類のイヌとヒト)を選んで、それらの進化の道筋を示した系統樹である。

【系統樹A】                
コイ カエル トカゲ ニワトリ イヌ ヒト 
 ↑  ↑   ↑__↑     ↑__↑   
 ↑  ↑ 尿酸 ■________↑    
 ↑  ↑_______■ 羊卵膜   
 ↑______■ 尿素         
 ↑                  

【系統樹B】
コイ カエル イヌ ヒト トカゲ ニワトリ
 ↑  ↑   ↑__↑  ↑__↑
 ↑  ↑    ↑_____■尿酸
 ↑  ↑_______■ 羊卵膜
 ↑______■ 尿素
 ↑


陸上生活に適応する進化的変化はたくさん起きたが、その中の3つを黒い四角で示してある。

脊椎動物の体はたくさんのタンパク質でできている。そして古くなったタンパク質は分解されて体の外に捨てられる。タンパク質が分解されると、どうしてもできてしまうのがアンモニアである。アンモニアは有害な物質なので、体の外に捨てなければならない。でも、昔はとくに困らなかった。私たちの祖先は魚類であり、海や川にすんでいたからだ。体の周りに大量の水があるので、アンモニアを捨てるために水がいくらでも使えたからである。

しかし、陸に上がった両生類には、そういうことができない。陸上には水が少ないので、なかなかアンモニアを捨てられない。でも、アンモニアは有毒なので、あまり体の中に溜めておけない。

そこで、とりあえずアンモニアを尿素に作り変えるように進化した。これが系統樹の中の一番下の黒い四角である。尿素も無毒ではないが、アンモニアよりは毒性が低いので、ある程度なら体の中に溜めておくことができるのだ。

それでも両生類は、水辺からあまり離れて生活することができない。その理由の一つは、卵が柔らかくて、すぐに乾燥してしまうからだ。だから、ほとんどのカエルは卵を水中に産む。水辺を離れて生活するためには、つまり、さらに陸上生活に適応するためには、卵が乾燥しない工夫をしなければならない。

ところで上記の系統樹Aと系統樹Bは、同じ系統関係を表している。しかし、見た目の印象はだいぶ違う。よく目にするのはAのような系統樹だ。これだと、ヒトは進化の最後に現れた種で、一番優れた生物であるかのような印象を受ける。

その工夫を進化させた卵が羊膜卵である。羊膜卵とは、簡単にいうと、羊膜で作った袋の中に水を入れ、その中に胚(発生初期の子ども)を入れた卵である。袋の中の水に、子どもをボチャンと入れておけば、乾燥しないからだ。さらに卵の外側に殻を作って、乾燥しにくくしている。この羊膜卵を進化させた動物は羊膜類と呼ばれ、水辺から離れて生活することができるようになった。

この初期の羊膜類から、爬虫類や哺乳類が進化した(間違えやすいが、爬虫類から哺乳類が進化したわけではない)。そしてさらに、爬虫類の一部から鳥類が進化したのである。

爬虫類や鳥類にいたる系統では、さらに陸上生活に適した特徴が進化した。尿素を、尿酸に作り変えるような進化が起きたのである。尿酸も尿素のように毒性が低い。でも尿酸には、その他にもいいことがある。尿酸は水に溶けにくいので、捨てるときにほとんど水を使わなくていいのだ。

陸上にすんでいる動物にとって水を手に入れるのは大変なことである。だから、水はなるべく捨てたくない。それなのに、私たちは結構たくさんの尿を出して、水をたくさん捨てている。もったいない話である。一方、ニワトリやトカゲは、尿をあまり出さない。

ニワトリやトカゲが、イヌみたいに大量の尿を出している姿を見た人はいないはずだ。それは、尿素を尿酸に変える能力を進化させたからである。
つまり、哺乳類は両生類よりも陸上生活に適応しているが、爬虫類と鳥類は哺乳類よりもさらに陸上生活に適応しているのである。

・・・・・引用終わり・・・・・

 

 

 

孫悟空

2020年1月16日 (木)

知られざる糖鎖とは?進化の鍵を握るのか

誰もが摂取するであろう糖。その糖の構造によって糖鎖があるそうです。
現在研究者の間柄では、あまり価値がないとされているそうですが、今後新たな発見が出てきそうです。
(リンク
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糖は、生命が生きていくうえで欠かせない物質だ。「単に甘いだけではない糖をひもとけば、生命の進化の過程が見えてくる」と語る宮西伸光准教授の研究は、「糖鎖」が生命にどのような関わりを持つのか、ということだ。生命の神秘に挑む学生たちとともに、糖鎖が語りかけてくるメッセージを受け止めながら、生命の進化の謎に挑んでいる。




生体内で重要な役割を果たす糖鎖

「糖」と聞くと、みなさんは「甘いお菓子」や「エネルギー源」としてのイメージが強いかもしれません。しかし、私たちが研究しているのは、糖質がいくつも連なった「糖鎖」と呼ばれるものです。糖鎖が生命とどのような関わりをもつのかを解明していくことにあります。

糖質は大きく3つに大別されます。1つ目はエネルギー源としての糖。人間や動物はでんぷんを消化してエネルギー源としますが、このでんぷんにも糖が含まれているのです。2つ目はセルロースのような身体の支持体としての多糖類です。糖は単体では単糖類と呼ばれ、2つつながると乳糖などに代表されるような二糖類になり、さらに糖がいくつもつながると多糖類となります。そして3つ目は、細胞どうしの情報を伝達する物質としての糖鎖。インフルエンザウィルスは、細胞の表面の糖鎖の違いを見極めて感染してきます。本来、鳥インフルエンザはヒトに感染しませんが、それはヒトと鳥の糖鎖が違うからなのです。

私が研究している「糖鎖」は、DNAやタンパク質に並ぶ「第3の生命の鎖」として、生体内できわめて重要な役割を果たしています。最近では鳥とヒトの両方に感染する新しいウィルスが出現し、それらが爆発的な感染力を獲得するのではないかと不安視されています。つまり、ウィルスが標的とする糖鎖を解析することは、新しい薬の開発にもつながるのです。


進化のカギは糖鎖が握っている

「糖鎖」が語りかけてくる熱いメッセージを解読したくて、私はこの分野の研究に飛び込みました。目標としているのは、生命進化の謎を解き明かすこと。生命の進化と糖鎖は、実に深い関わりがあるのです。

私の研究室では「糖の本質に関する研究」を行っています。しかしながらそれは、私たちが生命の神秘を知りたくて、その探求の糸口が、たまたま「糖」というものであっただけだろう、と思う人がいるかもしれません。ですが、それはちがいます。私たちは、これまでの先駆者である多くの糖質関連研究者たちが得た膨大な「糖」に関する知見から、そこにはきっと生命誕生の瞬間や、一様ではない生命進化の場面の一つ一つが「糖進化」という言葉に置き換えられるかどうかはわかりませんが、そこには生命の神秘を知るに最も相応しい理解が、実に繊細かつ精密に、如実に存在していると信じてやまないのです。

太古地球において、「糖」と呼ぶにふさわしい形態のものは、おそらく、さまざまな状態で存在していたと考えることができます。そのような糖が、ある時、生命体(と呼ぶに相応しい形態のもの)によって取り込まれ(食され)、それらをより使いやすい状態に変換させたり、結合させたりして利用されるようになった。この、生命体(と呼ぶにふさわしい形態のもの)が外界から物質(エネルギー)を取り込んだ行為、つまり、その瞬間こそが「食」であり、食は生命の本質であると言えます。

そしてこれは、私たちの食環境科学科のテーマにも通じます。生物が最初にエネルギー源として取り入れたと考えられる物質こそが、糖なのではないでしょうか。その糖が生命の進化の過程のさまざまな場面において重要な役割を果たすようになったと考えると、それは当然なのかもしれません。そして、糖鎖を解析すれば、生命の進化の過程を垣間見ることができるかもしれません。



糖(の研究)は甘くない!?

「知の好奇心の大切さや、新しくモノゴトの理を理解する面白みを、学生たちに伝えたい」という想いで私は学生たちと一緒に研究しています。よく「糖は甘いものもあれば、甘くないものもある。けれど、糖の研究は常に甘くない!」と話していますが、糖とは生命のあらゆる場面で活躍する、不可欠な物質です。そのため、糖を研究することは、社会への貢献にもつながります。たとえば新しい薬の開発や機能性食品の開発などに研究を活かすことができるのです。

高校までの勉強は、先生から習うことばかりだったかもしれません。それは、高校までの授業が「学習」というものだったからです。しかし、大学での学びは違います。自分が研究したいと思うテーマについて積極的に取り組み、突き進んでいくモチベーションと能力を養うところ、「学習」ではなく「学問」を行うところこそが「大学」なのです。新しいこと、誰もやっていないことに取り組むのは、誰でも怖いと思うかもしれません。でも、そこで恐れずに、興味を持った分野に積極的に挑戦し、研究に没頭してほしいと思います。私の研究室では、「こんなことを研究していたら、おかしいかもしれない」なんて感じる必要はありません。自分の発想や気づきを大切に一緒に突き進んでいきましょう。夢を持って頑張れば、必ず何かが見えてきますから。

 

コキマール

水深4000メートル 最北の熱水噴出孔はまるで異星

深海と宇宙はどんな関係があるのだろうか。

水深4000メートル 最北の熱水噴出孔はまるで異星
リンク

以下引用
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北極海のガッケル海嶺沿いにある「オーロラ熱水噴出孔フィールド」は、知られている限り地球上で最も北にある熱水噴出孔フィールドだ。海氷に覆われた海の底にあり、深さはおよそ4000メートル。地球にありながら最も異星に近い生態系があると考えられている。このほどそこで本格的な探査が行われ、噴出口や生態系の様子が初めてカメラに収録された。

どこまでも続く氷原や、ところどころに突き出た氷塊はまるで陸地のようだが、グリーンランドの北の海に陸地はない。それを示すように、ノルウェーの砕氷調査船「クロンプリンス・ハーコン号」が、北極海の海氷を砕きながらゆっくりと進んでいた。

ノルウェー領スバールバル諸島にある町ロングイェールビーンを出港してからここへ到着するまで、予定よりも長い時間がかかってしまった。ところが、米ウッズホール海洋研究所のクリス・ジャーマン氏はせっかくの絶景に見とれることもなく、海底から送られてくるライブカメラ映像を一心に見つめていた。

ジャーマン氏らが画面に映るのを待っているのは、海底に開いた裂け目から漆黒の深海へ噴き出す超高温の水煙だ。深海探査は、宇宙探査と同様に高い危険を伴う。深海の底は、どんなに頑丈な探査ロボットにとっても過酷な環境だ。今回のミッションでも、潜水艇を危うく失いかけるなど、いくつかのハプニングに見舞われた。

だが、紫色の夕空が見られたこの日、船につながれ、何時間も海底の泥の上を移動していた高解像度カメラが、ついに海底にぽっかりと口を開けた裂け目の真上を通過した。船の各所に設置されたテレビ画面いっぱいに、直径1.5メートル近い噴出孔からたけり狂ったように噴き出る黒煙が映し出された。

(中略)

オーロラ熱水噴出孔の生態系は

奇妙なことに、少なくとも今回の調査で撮影された写真を見る限り、オーロラ熱水噴出孔の生態系は異常なほど閑散としている。チューブワームの集団も貝も姿が見えない。微生物マットですら、一部をカメラがとらえたものの、やけに薄く見える。その代わり、ここは小さな巻き貝や端脚類(エビのような外見を持ち、生物の死骸を食べる)のすみかとなっているようだ。
「他の海の噴出孔には、おびただしい量の生き物が群がっています。それらとは比べ物になりません」と、ラミレズ・ロードラ氏は言う。「でも、まだ数枚の写真しかありません。どれも良く撮れていますが、ここはまだ詳しい調査が行われていないのです」


ポルトガル、アヴェイロ大学の生態学者アナ・ヒラリオ氏もまた、他の深海に多く見られるチューブワームがここにはまったくいないことに驚いたという。ヒラリオ氏とノルウェー、ベルゲン大学の分類学者ハンス・トレ・ラップ氏は、北極海の海底に生き物があまりいないのは、この海域が誕生してからまだ6000万年しか経っていないためではないかとみている。この数字は地質学的には若いとされ、深海生物はまだここへ到達して極限環境に適応していないと考えられる。

この海域で唯一繁栄しているように見えるのは、2種のガラス海綿と呼ばれる海綿類だけだ。繊細なガラスのような骨格を持つことから、そう名付けられた。直径1メートルに達することもあり、寿命は推定数百年ともいわれる。かろうじて生きているといわれることもある。体の中で有機物は5%以下、残りは砂やガラスと同じシリカ(二酸化ケイ素)でできているためだろう。幸い、NUIは修理後再び海底へ潜り、噴出孔近くのガラス海綿をいくつか採取してきた。

地球外生命を探す研究者にとっても、今回の観察結果は興味深いものだった。地球以外の星の海には太陽の光がほとんど届かず、唯一の安定的なエネルギーは、星の内側から湧き上がってきているはずなのだ。
ケビン・ハンド氏は、そのような異星の氷に包まれた海にもし生命がいるとすれば、その存在を示す痕跡をどうやって探すかという研究をNASAで行っている。今回の探査では、オーロラ・フィールドの海面に浮かぶ氷を調査した。氷の中に、生命を支える噴出孔の痕跡が閉じ込められているかもしれない。それが、他の星で生命を探す際の手がかりにもなるかもしれないのだ。
「氷の下にある海をのぞくための窓として、表面の氷を調べます。他の星の海での探査で分かることと、関係しているはずです」

 

光大

2020年1月13日 (月)

新口動物の原点=サッコリタス

もともと原口を持った旧口動物がいたが、私たち脊椎動物に連なるのはこの原口とは別の新口を獲得した動物らしい。しかも原口を持ったまま新口を獲得したのではなく、原口とは別に新たに袋状の口を作ったところから新口動物は始まっているようだ。

新口動物の元祖とされる「サッコリタス」は筒状というよりは袋状といった方がよい形状から始まったようだ。

リンク

>「新口動物」と呼ばれる広義の生物分類の一つに属するサッコリタスは、これまでに発掘された化石標本の中では最古のもの。研究チームは、脊椎動物(背骨を持つ動物)、棘皮(きょくひ)動物(ヒトデやウニ)やその他の動物分類群を含む新口動物はすべて、この共通祖先から派生したと考えられるとの結論を下している。

>この袋のような生物の最も顕著な特徴は、体の残りの部分に比べて大きな口だ。口の周囲には、隆起した突起物が同心円状に並んでいる。この口から、食べかすや微生物を吸い込んで摂食していた可能性が高いという。

>一方で、興味深いことに肛門に相当するものを何も発見できなかったことから、研究チームはサッコリタスは口と同じ穴から排せつしていたと結論付けている。

>また、体の表面には、円錐状の構造体が8個あった。ここから飲み込んだ水を排出していた可能性があり、「鰓孔(さいこう、えらあな)の前駆体」と考えられるとモリス教授はAFPに説明した。

原口動物が筒状の原口を使って摂食と排泄を同時にしていたのに対して、サッコタスは、もっと大きな口を作り直すところから始まったようだ。肛門はないが、エラの前駆体を持っていたということなので、このエラをうまく使って、摂食と排泄のスピードを上げていったのではないだろうか?

その後も、脊椎動物は、腸を母体にしながら、エラを発達させたり、肺を作ったり、自在に進化を重ねていっている。

そう考えると腸は非常に万能で柔軟な器官である。おそらく内部化された外部空間であるがゆえに、腸内細菌との共生がかなり古くからあり、それ故に、腸は変異を起こしやすい場でもあったのではないだろうか?腸が生み出す半分閉じられた外部空間という性格が、ウィルスや細菌との共進化の源泉となり、後の生物進化を多様ならしめたのではないだろうか。

 

山澤貴志

«最古級の肉食恐竜を発見、完全に近い姿、ブラジル―2億3000万年前の超大陸パンゲアに生きた捕食者―

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