生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

地下で3億年!生き、条件が揃えば蘇生!する微生物。
代謝を行わない微生物も存在する。

最近の地下微生物の発見から考えると、生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

「BIGLOBEニュース」
リンク
より引用

「死をもあざむく?地球の内側で見つかった微生物の不死へのアプローチ」

 地球の深部炭素に関する国際的なサイエンスネットワーク団体、ディープ・カーボン・オブザバトリー(Deep
Carbon
Observatory:DCO)が驚きの事実を発表した。

 地球の地下で生きる微生物の質量は150~230億炭素トンで、全人類を合わせた炭素質量のじつに245~385倍あるというのだ。
 地下の奥深くで生命が存在できるはずがないと考えられていたのが、そう遠くない昔のことであるのを考えれば、まったく驚きである。
 だが、その発表を詳しく見てみると、さらに驚愕の事実が述べられていた。
 地下生命の年齢である。

●科学者の培養実験。細菌は蘇生する。
 1920年代末、チャールズ・リプマンという科学者が、岩の中に細菌が、しかも生きたまま存在するのではと疑い始めた。
 彼は、密封した瓶の中に入れられた乾燥した土に潜んでいた細菌が、40年後に蘇生した事実について考察していた。もし、細菌が40年間も生きられるのだとすれば、はたしてどこかに限界はあるのだろうか?
と。
 沼から採取した岩のような石炭は、その実験にぴったりに思われた。彼は石炭を砕き、そのカスから何かが成長するかどうか観察してみた。そして、思ったとおりだった。
 石炭の粉末を滅菌水に混ぜて2、3週間放置しておくと、細菌のようなものが現れ始めたのだ。粉末を細菌が大好きな「ペプトン」たっぷりの溶液に入れた場合は、たったの5時間であった。

 興味深いことに、この蘇生には、液体に数日間浸かるという水分補給期間が必須であることも判明した。石炭の粉末が湿っていたとしても、そのままペトリ皿のエサ入り寒天培地に入れても、何も育たなかった。

 むろん、リプマンはサンプルが汚染されないよう細心の注意を払って実験を行なった。徹底的な洗浄・殺菌作業には、数時間あるいは数日におよぶ洗浄、浸漬、加熱、加圧が含まれる。
 だが、これで判明したのは、160度でサンプルを数時間熱したとしても、石炭の内側にいる細菌を殺せないということだった。
 それどころか、かえって細菌に力を与えるのだ。加熱時間が長くなるほどに(なんと最大50時間行われた)、その成長は促されたのである。


●過酷な環境に耐えるためのアンヒドロビオシス
 リプマンは、石炭から手に入れた細菌が、人間の腸内細菌のそれと同じ意味で生きているとは信じなかった。
 むしろ、石炭を形成する過程で、カラカラに乾燥し、仮死状態になっていたと信じた。
 「石炭の中の微生物は実際に生存者である。石炭はもともとは泥炭のような性質で、おそらくは微生物がきわめて豊富だったろう。だが、そこから石炭が形成されたときに、その中に囚われの身となったのだ。」

 「私の意見では、石炭の塊のそこかしこに、一時的な胞子か、それに類する耐久性を備えた休止状態の細菌が散らばっており、時と環境の試練を生き延び、その生命としての特徴や栄養型に変化する力、あるいは状況が繁栄するにふさわしいものになったときに増殖する力を維持したのだろう。」(Journal
of
Bacteriology)

 こうした干からびた状態を現在では「アンヒドロビオシス(anhydrobiosis)」という。これはクリプトビオシス
の一つで、凄まじい生命力で知られるクマムシのような動物が、極度の乾燥状態や、宇宙の真空や放射線の集中砲火に打ち勝つため活動を停止する無代謝状態のことだ。


●3億歳の微生物
 リプマンが使った石炭は、ウェールズとペンシルベニアで採取されたもので、中には540メートルの地下から採掘されたものもあった。
 ペンシルベニアの石炭は、ペンシルベニア紀という地質学上の時代の名称の由来ともなっている。そして、それは少なくとも3億年も前の時代のものだ。
 リプマンの実験が行われたのは1931年のことだ。おそらく同僚は彼がおかしくなってしまったと考えたことだろう。
 しかし2019年の我々の目から見れば、リプマンが別におかしくもなんともなかった線の方が濃厚だ。

 世界最高齢の個体は、節くれだったブリストル・コーン・パインやクローンで形成されたアスペンの森林ではなく、地下の岩の中に囚われたちっぽけな微生物なのかもしれない。それが、成長もせず、子孫も残さず、ただ死神をごまかしているだけに過ぎないのだとしても。


●地下細菌の寿命の長さを示唆する最近の研究
 ここ10年で、堆積物や岩、あるいは地中深くの隙間や亀裂の中で生きているこうした細菌が、予想外に長生きであることを示す研究は増えている。
 たとえば、2000年代初頭、帯水層や堆積物の微生物が呼吸をする速度は、地上にいる微生物のそれよりもずっと遅いことが明らかにされた。
 そのバイオマス回転率(細胞の分子が置き換わるためにかかる時間)を計測すると、数百から数千年の長さであった。

~中略~

●地下の囚人になる代償としての不死
このあたりで話をまとめよう。地球の地殻には、不活発な古代の細菌がうじゃうじゃいる。それは省エネモードにあるが、ギアはいつでも入れられる状態にある。
 永遠に思える時間を暗闇の中に閉じ込められ、静寂の中、かろうじて食べ、かろうじて呼吸し、かろうじて動く。それでも死んでいない、生きているのだ。
 もしチャールズ・リプマンが正しかったのなら、恐竜が登場するより5000万年も前に生まれた地球内部の細菌細胞は、明日にでも再び分裂を再開するかもしれない。なんと驚愕の事実であろうか。

 だが、こうした魔法のような力を発現させるために、細菌は地下牢獄に囚われていなければならない。その代償として、事実上の不死が与えられているのである。

 

 

 

田村正道

2020年12月27日 (日)

原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに


原核生物でありながら、大型で柔軟な細胞を持ち、他の微小な生物を丸ごと細胞内に取り込んで消化する、真核生物の食作用に似た機能を持つバクテリア(細菌)を発見された。原核生物から真核生物への進化を探る上で、極めて重要な発見と注目されている。

以下、「原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見 ~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに~」リンクより
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筑波大学生命環境系の石田健一郎教授、同研究員の白鳥峻志博士(現:海洋研究開発機構)、鈴木重勝博士(現:国立環境研究所)らの研究グループは、原核生物でありながら細胞が大きく柔軟で、真核生物に特有の機能であるファゴサイトーシス(食作用)に似た捕食を行う真正細菌を発見しました。

我々ヒトを含む動物や植物、菌類が含まれる真核生物は、原核生物である真正細菌や古細菌と比べて大型で柔軟な細胞を有し、細胞内部の構造も非常に複雑です。真核生物特有の機能の一つとして、大型の粒子や生物を自らの細胞で包み込むファゴサイトーシスが知られています。アメーバなどの単細胞生物では餌の取り込みに、ヒトでは免疫系の一つとして白血球が病原体を排除する際などに用いられており、真核生物の最も重要な性質の一つです。

研究グループは、単細胞性の真核生物と同程度の大きさで、アメーバのように柔軟に変形しながら移動する奇妙な真正細菌‘Candidatus
Uab
amorphum’(以下ウアブ)をパラオ共和国から発見しました。詳細な顕微鏡観察を行ったところ、ウアブは自らの柔軟で大型の細胞を用いて、ファゴサイトーシスのように他の真正細菌や微小な真核生物を包み込んで捕食することが明らかになりました。その一方で、真核生物の特徴を多く示すにもかかわらず、ウアブのゲノムからは真核生物由来の遺伝子はほとんど見つかりませんでした。

これらの結果は、ウアブが真核生物とは独立して真核生物のような特徴を進化させたことを示唆しています。原核生物の常識を覆す全く新しい生物であり、原核生物の複雑性の進化や生態的役割に関する研究を大きく進展させる重要な発見です。ウアブがこれらの特徴をどのようにして獲得したかを解明することで、ファゴサイトーシスの進化はもちろん、真核生物がどのように誕生したのか、という生命の進化史における最も大きな謎を解き明かすためのヒントが得られる可能性があります。

 

 


斎藤幸雄

2020年12月24日 (木)

生態系モデルに激震! 生物はウイルスを食べているという有力な証拠が発見(米研究)



リンクより

自然界は食うか食われるかの弱肉強食の世界だ。食物連鎖のモデルによれば、生命は生産者、消費者、分解者のいずれかの役割を担っており、食いつ食われつの関係にある。ではウイルスはどうだろうか?
ウイルスは生物とは区別されているが、細菌とよく似た構造を持つ仲間も存在する。そんな彼らは食物連鎖の世界と無縁でいることができるのだろうか?

大気や海洋にはウイルス性バイオマスが漂っており、そこには生物にとっても有用な栄養が詰まっている。ならば、それをエサとして食べている生き物がいないことの方が不思議ではないか。生物がウイルスを食い、それをエネルギーや栄養素に変えていることを示すはっきりとした証拠はこれまで発見されていなかったが、このほどついにその有力な証拠が見つかったそうだ。

 
◆なぜか少ない食べられた細菌のDNA

アメリカ・ビゲロウ海洋科学研究所をはじめとするグループは、北アメリカ東海岸にあるメイン湾と地中海で1700ほどのプランクトン細胞を採取し、そこに含まれているDNAの構成を分析した。当然ながらDNAで一番多かったのはプランクトン自身のものだ。また地中海で採取したサンプルについては、そのプランクトンが食べたと思われる細菌のDNAが、およそ半分を占めていた。

だがメイン湾のサンプルについては、その割合が19%とかなり少なかったのである――。かわりに多かったのがウイルスのDNAだ。メイン湾で採取したプランクトンのDNA配列を解析したデータには、50種以上のウイルスの遺伝子の断片が含まれていた。

◆細菌に感染するウイルス

そうしたウイルスのDNA配列のほとんどは、「バクテリオファージ」という細菌に感染して増殖するウイルスのものだった。海の原生生物にとって細菌は一般的なエサだ。もし食べた細菌がウイルスに侵されていたのだとすれば、その体内からウイルスのDNAが見つかったとしてもなんら不思議はない。

しかしメイン湾で採取された「コアノゾア門」と「ピコゾア門」の仲間は少々話が違った。多くの場合、その体内から細菌性DNAが見つからなかったのだ。となると、バクテリオファージに感染した細菌を食べたことで、そのDNAが取り込まれたと説明することはできない。

さらに重要なのは、コアノゾアとピコゾアというまったく門が異なる原生生物から、ほぼ同じウイルスの配列が見つかっていることだ。このこともやはり、ウイルスの侵入経路が感染した細菌である可能性を低くする。

◆ウイルスは栄養満点のサプリメント

こうしたことは、あくまで状況証拠でしかないが、指や口の周りにお菓子のカスをつけた人を見つけたようなものだ。2種の生物がウイルスを食べていた可能性は限りなく高いと思ってかまわないだろう。

研究グループの生物情報学者ジュリア・ブラウン氏によると、ウイルスはリンと窒素が豊富で、炭素を豊富に含むエサの補助食品として有益かもしれないという。

またピコゾアについて言えば、この発見によって、ほんの数マイクロメートルしかないこの小さな生物が何を食べているのかという謎の解明にもつながるかもしれないそうだ。

◆生態系モデルに修正が必要になる可能性

バクテリオファージを食べている生物がいるという発見は、生態系における栄養の流れに関する従来のモデルを大きく変化させる可能性もあるようだ。細菌と原生動物の体内にある栄養は、より大きな生物に食われることで食物連鎖の上部へ向かって流れるものだと考えられている。

こうした食物連鎖にはウイルスも関与している。ウイルスに感染した海洋の微生物は、ほかの生物に食われる前に破壊されてしまい、それが持っていた有機物質を海底へと散らす。その一部は海底に積もり、一部は微生物によって食われ栄養になる。これを「ウイルス短路」といい、生態系におけるウイルスの役割だとされている。

しかし、そのウイルスもまた食われることがあるのだという新発見は、こうした生態系モデルにいくらかの修正を迫ることになるだろう。

この研究は『Frontiers
in Microbiology』(9月24日付)に掲載された。

 

 

2020年11月27日 (金)

生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる(1/2)



yahooニュース リンク より、以下転載
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生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる

―――2007年、鉱物学者のロバート・ヘイゼン氏のもとに、一本の電話が入った。相手は、科学の研究や教育に助成するニューヨークのスローン財団。研究助成先を探しており、「生命の誕生を研究してほしい」という。

それに対してヘイゼン氏は「生物学以外の物理や化学、地政学を総合しながら地球上の炭素を調べないかぎり、生命誕生の謎に迫るのは無理でしょう」と答えた。つまり、「炭素」は、生命や地球誕生の根源になっているというのだ。各専門家たちと分野を超えて、生命の新発見に挑み続けるヘイゼン氏にインタビューした(取材・構成
大野和基:国際ジャーナリスト)。

※本稿は月刊誌『Voice』2020年7月号、ロバートヘイゼン氏の「炭素が奏でる宇宙交響曲」より一部抜粋・編集したものです。

■世界の99.9%は炭素でできている
――(大野)今年四月に上梓された“Symphony
in
C”(邦訳『交響曲第6番「炭素物語」―地球と生命の進化を導く元素』化学同人刊)には、鉱物学とはかけ離れた「交響曲」という言葉が入っている、非常に興味深いタイトルですね。

【ヘイゼン】炭素について何かを執筆するとき、テキスト風に性質を紹介することはできます。しかし、それだと面白みがなく、もともと炭素に関心がない人は興味を抱きません。

そこで、炭素という物質にストーリー性をもたせようと試みました。私は長年プロの演奏家として交響楽団でトランペットを演奏していたのですが、炭素はまさに「交響曲」を掌る原子だと気づいたのです。

周期表にあるすべての元素のなかで、炭素は土、火、水、空気にとって必須の元素ですが、交響曲の構成を使うことで、それぞれのセクションで異なる面をみることができます。

第二楽章は「air(空気)」、つまりアリオーソ(抒情的な曲)で、ゆっくりとした楽章です。第三楽章は「fire(火)」で、スケルツォ(急速で快活な曲)になり、コン・フォーコ(情熱をもって)です。最終楽章は、生命の起源に必須の「水」です。

――生命は炭素から誕生したと考えられていますね。

【ヘイゼン】はい。もし生命を理解したければ、炭素を理解しなければなりません。それは、炭素が生命の起源、進化、分布、宇宙での生命の中核をなしているためです。酸素、鉄、ケイ素をはじめとしたその他の元素はあまりにも特異で適用範囲が狭いのに対し、炭素はすべてに適応します。

この部屋を見渡すと、炭素を含んでいないものを指摘するほうがはるかに簡単でしょう。99.9%のものは、炭素を含んでいます。このように、炭素はわれわれの生活の基本的な元素なのです。

――生命起源の研究はどれほど進んでいるのですか。

【ヘイゼン】緩やかではありますが、進捗しています。生命起源の研究に人生を捧げる研究者は世界中に何百人もおり、今年八月にもエクアドルで国際会議が開かれる予定です。とはいっても、まだ謎は多い。

現在、私にとってもっとも深い問いは、「惑星は自動的に生命をつくるのか」というものです。すなわち、惑星は火山をつくるように生命をつくるのか。あるいは、地球生物は数少ない生命体として稀有な現象によって生み出されたものなのか、という問題です。

現時点では、生命は地球以外のあらゆるところで生まれていると予想しています。そのため、生命は必然的に生じるものであり、研究によってその必然的な化学プロセスを発見することができると思うのです。

――生命は進化と絶滅を繰り返します。絶滅するものとそうではない生き物の差はありますか。

【ヘイゼン】微生物が一度ある環境で生存する方法をみつけると、20億年は生き延びるでしょう。安定感のある生物の存在を除去するには、太陽が蒸発してなくなるとか、地球に隕石がぶつかるといった激変が起きないかぎり難しい。

かりに人類が「微生物を抹消したい」と望み、地球上にあるすべての核兵器を使っても、微生物は生き続けます。それほど地球圏の一部として根深く定着しているのです。

――人類は遠い将来、絶滅するのでしょうか。

【ヘイゼン】多細胞の種はどの種も絶滅に直面してきました。1億年前に存在して現在も変化していない多細胞の種の名前を挙げることはできません。「絶滅」というと、「そこで終わり」と考えますが、同じ遺伝子やたんぱく質が、有機体の一部となって生存し続ける方法もあり得ます。

たとえば、(猿人の)アウストラロピテクスは絶滅しましたが、ある意味でわれわれは、99%同じ遺伝子をもっています。つまり、存続はしているのです。ほとんどの古代の有機体は、遺伝子が組み換わったかたちではありますが、時間の経過とともに伝播されてきたのです。

もし人類が1億年生き延びたとしたら、彼らにとってわれわれは非常に奇妙に映るでしょう。おそらく、あと千年もすれば遺伝子組み換え技術のツールで、何でも修復できるようになっています。

癌もなくなっているし、コロナウイルスもなくなっているでしょうね。そして、遺伝子操作によって、良かれ悪しかれ多くのことをコントロールできるようになる。その結果、未来の人類はわれわれと同じ人類ではなくなっていると思います。

続く

 


山上勝義

2020年11月21日 (土)

生物は「ガン」に対抗するためにセックスを行うようになったのかもしれない



人間を含めた多くの生物は、セックスなどで異なる個体間の遺伝子を組み合わせ、両親と異なる遺伝子を持つ個体を生み出す「有性生殖」を行います。そんな有性生殖が多くの生物で行われるようになったのは「ガン」に対抗するためかもしれないという仮説が発表されました。

地球上の全ての生物が有性生殖を行うわけではなく、無性生殖によって繁殖する生物も多くいます。中には有性生殖から無性生殖へと臨機応変に切り替える動物も存在し、必ずしも有性生殖でないと生物が繁栄できないわけではありません。

無性生殖の確かな利点として、配偶者を探すためのコストが抑えられるというものがあり、有性生殖の場合は配偶者を見つけないと子孫を残せません。この点でいえば有性生殖は無性生殖よりも非効率的ですが、多くの生物が有性生殖を選択している以上、そこには確かなメリットがあると研究者らは考えています。

有性生殖のメリットとして最もポピュラーな理論が、無関係な配偶者の遺伝子を組み込むことで、有害な突然変異が子孫に受け継がれるのを防ぐというものです。無性生殖の場合は生存に有害な突然変異が遺伝子に発生した場合、それが子孫へとそのまま受け継がれてしまうため、有害な突然変異に対して抵抗することが難しくなってしまいます。また、「有性生殖によってもたらされる遺伝的多様性が病気などへの抵抗力を増す」「生存に有益な突然変異を生み出す可能性を高める」などの説も唱えられています。

フランス・モンペリエ大学の研究チームは、有性生殖によってもたらされる新たなメリットについての仮説を発表しました。研究チームは、有性生殖によって繁殖することで「伝染性のガン細胞」を減少させることができるため、多細胞生物において有性生殖が広まったと主張しています。

本来であれば、多細胞生物の細胞はいずれも生物の生存のために働きますが、突然変異のガン細胞は生物にとって有害な働きをして死へと導きます。人間では遺伝の影響でガンになりやすい人もいるものの、人から人へとガンが伝染することはありませんが、犬やタスマニアデビルの中には伝染性のガンが存在しているとのこと。

無性生殖では生物の遺伝子が変化しないため、伝染性のガンが広まりやすいというデメリットがあると研究チームは指摘。有性生殖を行うことで伝染性のガンが種の免疫システムに適応することが困難になるそうで、「伝染性のガンを防ぐ効率的な方法が、他の個体とは違うユニークな子孫を残すことです」と研究チームは述べています。

今回の仮説を実証することは困難ですが、研究チームはこの説が理にかなっていると確信しています。「ガンの危険性と有性生殖を行うためのコストを考慮しても、有性生殖を選択することはリスクが少なく、より有益な子孫生産方法です」と、研究チームは主張しました。

リンクより引用

2020年11月20日 (金)

原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに

原核生物でありながら、大型で柔軟な細胞を持ち、他の微小な生物を丸ごと細胞内に取り込んで消化する、真核生物の食作用に似た機能を持つバクテリア(細菌)を発見された。原核生物から真核生物への進化を探る上で、極めて重要な発見と注目されている。

以下、「原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見 ~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに~」リンクより
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筑波大学生命環境系の石田健一郎教授、同研究員の白鳥峻志博士(現:海洋研究開発機構)、鈴木重勝博士(現:国立環境研究所)らの研究グループは、原核生物でありながら細胞が大きく柔軟で、真核生物に特有の機能であるファゴサイトーシス(食作用)に似た捕食を行う真正細菌を発見しました。

我々ヒトを含む動物や植物、菌類が含まれる真核生物は、原核生物である真正細菌や古細菌と比べて大型で柔軟な細胞を有し、細胞内部の構造も非常に複雑です。真核生物特有の機能の一つとして、大型の粒子や生物を自らの細胞で包み込むファゴサイトーシスが知られています。アメーバなどの単細胞生物では餌の取り込みに、ヒトでは免疫系の一つとして白血球が病原体を排除する際などに用いられており、真核生物の最も重要な性質の一つです。

研究グループは、単細胞性の真核生物と同程度の大きさで、アメーバのように柔軟に変形しながら移動する奇妙な真正細菌‘Candidatus Uab amorphum’(以下ウアブ)をパラオ共和国から発見しました。詳細な顕微鏡観察を行ったところ、ウアブは自らの柔軟で大型の細胞を用いて、ファゴサイトーシスのように他の真正細菌や微小な真核生物を包み込んで捕食することが明らかになりました。その一方で、真核生物の特徴を多く示すにもかかわらず、ウアブのゲノムからは真核生物由来の遺伝子はほとんど見つかりませんでした。

これらの結果は、ウアブが真核生物とは独立して真核生物のような特徴を進化させたことを示唆しています。原核生物の常識を覆す全く新しい生物であり、原核生物の複雑性の進化や生態的役割に関する研究を大きく進展させる重要な発見です。ウアブがこれらの特徴をどのようにして獲得したかを解明することで、ファゴサイトーシスの進化はもちろん、真核生物がどのように誕生したのか、という生命の進化史における最も大きな謎を解き明かすためのヒントが得られる可能性があります。
 

2020年11月17日 (火)

ハテナという生物:植物になるということ





動物と植物はどこで別れたのでしょうか。自然界に存在する通称ハテナという単細胞生物は、葉緑体を持つ生き物ですが、分裂する際に葉緑体を持つ個体と持たない個体に分裂します。葉緑体を持たない個体は藻類を取り込んで葉緑体を新たに獲得し、そしてまた葉緑体を持たない個体と持つ個体に分裂します。
このプロセスから見るに植物は、動物が葉緑体を摂取し身体に宿すプロセスのなかで次第に細胞内部で葉緑体を自己生産できるようになり、それによって進化したのかもしれません。

以下引用ー
 2005年10月、通称ハテナと名付けた生物に関する短い論文が新聞やテレビでとりあげられました。ハテナはカタブレファリス類に属する単細胞の鞭毛虫で、細胞内に藻類の共生体をもっていますが、不思議な細胞分裂をします。観察の結果を総合すると、ハテナの生活環は次のように考えられます。細胞が分裂するたびに、娘細胞の一つは共生体を受け継いで植物としての生活を維持しますが、他の娘細胞は共生していた藻類を受け継ぐことがないために、無色の鞭毛虫に戻ります。無色の鞭毛虫は捕食装置を新たに形成して再び共生体の藻類を取り込み、光合成を行う栄養細胞に戻ります。これは半分は藻類、半分は捕食性原生生物として生活している状態で、植物が誕生する過程で通過した進化段階について可能性の一つを示していると考えています。植物ははじめから植物として存在していたのではなく、植物になるという進化を経て誕生します。このことは一般にあまり理解されていないようです。ここでは、ハテナを参考に、「植物化」ともよぶべき細胞進化について考えてみたいと思います。

生物の世界は動物と植物からなるというのが、最もふつうで直感的な理解でしょう。これは正しいでしょうか。動物と植物は何が違うのかたずねると、多くの方は子供からお年寄りまで、動物は動く、植物は動かない、動物は食べる、植物は食べないで光合成をすると答えます。私たちヒトを含む後生動物は海綿に始まり、昆虫などの節足動物の系統とヒトにつながる脊椎動物の系統を含む単一のまとまりです。これに対して、酸素を発生する光合成を行う生物を植物と考えると、植物は真核生物界の複数の系統(共通の祖先を持つ生物の集まり)に分散して存在しています。

木や草などの緑色植物とコンブやワカメなどの褐藻類、ミドリムシはそれぞれ系統樹の別の枝に位置しています。つまり、桜とコンブとミドリムシはいずれも光合成をして生きていますが、生きものとしては全く異なる生物群に属しているということです。これは、それぞれの系統で別々に植物が進化したことを意味しています。つまり、光合成をする異なる生物を寄せ集めたものが植物として理解されているということになります。これは何を意味しているのでしょうか。

 光合成は、光のエネルギーを使って二酸化炭素からブドウ糖などの有機物を作り出す反応で、細胞中の葉緑体によって行われています。いろいろな植物の光合成を調べると、すべてが光エネルギーを用いて水を分解し、結果として酸素を発生する酸素発生型光合成であることがわかります。この光合成は大腸菌などの細菌のなかまであるシアノバクテリア(ラン藻)の光合成と同じで、そのしくみを担うタンパク質の研究、あるいは葉緑体の遺伝子を用いた研究から、すべての植物の葉緑体の起源はシアノバクテリアであることがわかっています。つまり、葉緑体からみると植物は一つのまとまりで、共通の祖先から進化したものということになります。植物というまとまりを私たちが直感的に感じているのは、多くの人が考えているように、植物は光合成という共通のはたらきをもっているからなのです。これは、植物が異なる生物の寄せ集めという事実と明らかに矛盾しています。生物としてみると植物は異なる生物の寄せ集め、葉緑体からみると植物は一つのまとまり、という一見矛盾した二つの事実のなかに植物進化の秘密が隠されています。

引用元に続く…

引用元:リンク

 


 
半島

   

2020年10月27日 (火)

生物が「オスとメスとに分かれた」究極の理由



多様性を求めたからこそ人間は絶滅から逃れたリンク

生物学者・五箇公一氏による『これからの時代を生き抜くための生物学入門』より一部抜粋・再構成してお届けする。

■原初の生物は「性別がなかった」
地球の歴史を振り返ってみると、生物の原初は無性生殖の方が優勢だったと考えられます。しかし、地球環境の変化が起こるたびに、適応できなかった無性生殖生物は滅び、一方で手間のかかる有性生殖生物の中から適応できる個体が生き残る、という淘汰が繰り返されてきた。

もともと性ができた究極要因は、遺伝子を交換=シャッフルして、多様性を高めることだったのです。
生物が編み出した戦略が、個体同士でお互いに持っている遺伝子を交換して新しい遺伝子セットを生み出すという「有性生殖」だったのです。

■生物の誕生はまさに「奇跡の連続」
今から45億5000万年前、誕生して間もない地球に火星と同じ大きさの星が衝突するという一大事変が起こりました。この衝突によって地球の一部がえぐり取られて、宇宙空間で固まって地球の周りを回る衛星ができました。月の誕生です。ぶつかった衝撃で灼熱のマグマの塊となった地球と月は徐々に冷やされていき、地球上では水蒸気が雨となって降り注ぎ、今から43億年前の間に海が誕生しました。その間も地球には無数の隕石が落下を続け、生命の原材料となるアミノ酸などの有機物が隕石とともに海中に持ち込まれたと考えられています。

当時、月は今よりずっと地球の近くを周回していて、その引力によって、海は激しく波打ちました。この波動の中で、海中に溶け込んでいる分子同士が結合して、遺伝子=DNAの基となる「核酸」といわれる物質が生成されました。そして高い波によって常に波打ち際に漂い続ける無数の「泡」の中で、この核酸という物質が取り込まれて濃縮し、核酸同士が鎖状につながり、DNAが偶然に合成されました。このDNAこそが自身のコピーを作る能力を持つ物質であり、生命の「核」となったのです。

最初の生命は膜の中でDNAのコピーを作るだけの単純なユニットでしたが、やがてDNAの情報からタンパク質が合成されるシステムが完成し、タンパク質から細胞というDNAの入れ物が作られ、単細胞生物が誕生しました。このとき細胞同士の増殖競争が始まりました。よりたくさんのコピーを残したものが勝ち、という「生物の基本原理」の登場です。正確にはDNAが誕生したときからDNA同士の増殖競争は始まっていました。ですが、単細胞生物が誕生したことにより遺伝子同士の競争が、生物同士の競争に置き換わったわけです。

■「男と女の体」に違いが生まれた理由
生物が複雑化・高度化するにつれ、成長に時間がかかるようになります。配偶子が接合して細胞分裂を始めて個体に成長するまでの過程を胚発育といいますが、この胚発育には栄養素が必要となります。栄養を外界から吸収したのでは、環境に左右されて途中で成長が失敗するリスクが高くなります。そこで胚が個体になるまでの栄養を蓄えた配偶子として卵が進化します。

一方、卵は栄養を蓄えた分、個体は大きくなり、生産量を稼ぐことが難しくなります。つまり1回に生産できる数に限りが生じます。数が減れば配偶子同士が出会う確率は低くなってしまいます。そこで限られた卵子に対して、サイズを小さくすることで、大量に生産可能な配偶子が進化します。これが精子の進化です。さらにこの小さな配偶子には、大きくて動きにくい卵子との遭遇確率を上げるための運動性も備わるようになりました。

こうして配偶子に卵と精子という二型が生まれ、それぞれを生産するのに特化した個体としてメスとオスが生まれました。生物が進化して複雑になるにつれ、メスとオスの間の形態的・機能的な差異はどんどん大きくなっていきました。これを性的二型といいます。

高等動物では、機能的な制約で、メスとオスの分化がどんどん進みました。人間でいえば、女性が子どもを生む。男性が狩猟をする。そのようにそれぞれの役割が特殊化すればするほど、女性と男性の体格差は大きくなっていったのです。

 


 
匿名希望

代々木忠(AV監督、映画監督、映画プロデューサー)の追求~夏の疲れに~


リンク

 このブログも夏休みをいただいていたが、今年は本当に暑かった。まもなく9月になろうとしているけれど、ここに来て、夏の疲れがドッと出ている人も多いのではないだろうか。


 疲れといえば、「累積疲労」という病名があるのを最近知った。ひょっとしたら当てはまる人もいるかもしれないので、読売新聞(2015年8月9日付と16日付)に掲載された記事の一部を紹介しよう。


 〈厚生労働省の調査によると、働く人の7割以上がふだんの仕事で疲れているという。疲労は、痛み、発熱と並んで、体から発せられる重大な警告。体の限界に近付いているサインだが、見逃されることが少なくない〉


 〈「人間は意外とタフなので、疲れが続いても、すぐに倒れたり、病気にはならない。疲労は時間がたてば消える、と誤解している人が多い。借金に例えると、何年かにわたってたまった疲労は、蓄積した借金となって、“自己破産”することになる。体の健全経営のため、疲労は早めに解消して、ためないようにしなければなりません」。「累積疲労」という言葉を生み出した東京都渋谷区の「エビス心療内科」院長、堀史朗さんはこう説明する〉


 〈疲労がたまってくると、血管の9割を占める毛細血管と、リンパ管がつまりやすくなる。また、体の細胞を修復する成長ホルモンの分泌が減って、死んだままの細胞がたまっていく。こうして、体のだるさを感じるようになる。さらに、胃腸が弱り、栄養素が消化・吸収できなくなる。特に、ビタミンや微量の重要な栄養素が吸収できず、消化や運動などの生命活動の中心でもある酵素の活性も落ちる。ますます、毛細血管がつまりやすくなる。こうした中で、脳の毛細血管がしだいにつまっていくと、理性をつかさどる大脳の前頭前野の働きがゆっくりと衰え、神経回路網もだんだん荒廃していく〉


 〈「つまった末梢(まっしょう)の細い血管が体内、特に脳に増えていくのが、累積疲労の要因だったのです」と堀さん。治療は、患者の毛細血管をひろげたり、修復したりして、末梢循環を改善することを重視している〉


 どうだろうか。疲れというと生きるうえでのつきものというか、ほどよい疲れは人生の充足感にすらつながっていそうに思えるが、タカをくくって放っておくとシャレにならないというわけである。


 ちなみに、ちょっとしたことでイライラしたり、怒りがうまく抑えられないというのも、「累積疲労」の初期症状。進行すれば、うつやパニック障害といった心の病も引き起こすし、ひいては過労死に至ることもあるという。


 僕自身ふり返ってみても、うつになる前は休む間もなく仕事に追われて、睡眠不足が続いていたから、体は累積債務で自己破産に至ったんだなぁと思う。


 平日、仕事などで寝不足が溜まっている人は、週末なるべく長い時間寝ることを堀先生はすすめている。睡眠とはたんに体を休めるだけではなく、細胞を修復し、疲れをとる成長ホルモンが分泌される大切な時間でもあるからだ。


 先の「累積疲労」へのメカニズムを読むと、血流とリンパの流れが滞ることが事の起こりのようだ。ちなみに僕が10年通っている股関節矯正の先生も、血流とリンパの流れが健康の根幹だという。


 もちろん睡眠がいちばん重要だと思うけれど、夏の疲れを感じている人には、残暑が和らいできたら、なるべく自然に接してほしいと思う。システマティックな社会からひととき解放されて、自然のリズムに自分を合わせれば、おのずと気分も安らいでくる。気分が安らげば、気血の流れもよくなる。


 そして、深い呼吸をぜひ試みていただきたい。ふだん頭を使っていると、気が上がってしまって呼吸が浅くなったり、ときには止めていることさえあるが、深い呼吸は毛細血管を広げて、より多くの酸素を取り込む。呼吸を続けると体が温まってきて、指先までポカポカしてくるのが実感できるはずである。それは詰まった末梢の血管にまで血が巡りはじめた証でもある。末梢循環が改善されれば、脳の働きも活性化され、溜まった疲労も解消されるに違いない。



(2015年8月28日掲載)



 ここ何カ月か、僕は尿路結石を患っていた。このままだと癒着する恐れがあるということで、先月、尿道から内視鏡を入れ、石を取り除く手術を受けた。


 手術した日の夜は痛みに悩まされた。加えて、オチンチンには管が入っており、脚には血栓予防のポンプがついていて、腕には点滴の針が刺さったままだ。おまけに誤嚥を防ぐため、ベッドの背は半分起き上がっている。結局、僕は一睡もできなかった。


 そして次の日の夜も、寝るには寝たものの、熟睡というには程遠い状態で退院の朝を迎えた。退院手続きを済ませ、帰宅すると女房が僕を見てこう言った。「あら、元気そうじゃない!」。病院を出るとき、じつは僕も体が軽いと感じていたのだ。


 こんなに寝不足なのになぜだろう。半年間の自粛中、休んでいるというのに、体のダルさは日ごと増していった。そのダルさが消えている。入院の前と後とでは、今のほうが体調がいい。


 5年前、この「夏の疲れに」という話をアップしたとき、読んでくれた方から「半日断食もいいですよ」というコメントをいただいた。今回の入院では、手術の前から食べていないので、計4回食事を抜いたことになる。その断食効果が表われたのだろうか。


 もうひとつは、寝られないし、痛いしで、入院中、僕は呼吸に逃げるしかなかった。6つ吸って8つ吐く丹田呼吸を一昼夜続けた。人生でこれだけ丹田呼吸をやったのは初めてじゃないかというくらいに。


 効果があったのは、断食か? はたまた呼吸法か? おそらく両方とも効いたに違いない。

 


木戸康平 ( 23 大阪府 会社員 )

哺乳類の進化~乳誕生の秘密



生物にとって最も重要なのは、子孫を確実に残し種を存続させること。恐竜の絶滅後、哺乳類が繁栄できたのは、「乳(母乳)」という子育てシステムの獲得にあった。そして、その実現には、恐竜が絶滅するはるか昔から続く、進化の塗り重ねがあった。

以下、「生命大躍進 こうして母の愛が生まれた」リンクより抜粋。(一部、引用者により修正)
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■乳誕生の秘密
…母乳はどうやって生まれたのでしょうか?

汗のように吹き出すハリモグラの母乳は、卵がかえる前から湧き出しています。赤ちゃんの栄養とは別の役割があるようです。ハリモグラの母乳を分析すると、興味深い2つの物質が見つかりました。

「αラクトアルブミン」
これは母乳ならではの甘い栄養分を作るたんぱく質です。

「リゾチーム」
これは殺菌力を持つたんぱく質です。ハリモグラはリゾチームを含む液体で卵を濡らし、雑菌の繁殖を防いでいると考えられます。

驚くのは全く働きの異なる2つのたんぱく質ですが、構造はよく似ています。

オフテダル博士は、母乳の起源は殺菌物質のリゾチームを含んだ汗のような液体で、それが変化して母乳のもとαラクトアルブミンを含む栄養豊富な液体に変わったと考えています。

■汗が母乳に進化した?
約3億年前、獣弓類と呼ばれる哺乳類の祖先(※引用者にて原文の「哺乳類」を修正)こそ生物界の王者でした。

しかし、王者といえども子育ては容易ではありません。当時の祖先たちは薄く柔らかい膜に覆われた卵を産んでいました。卵に雑菌が入り込むと中の赤ちゃんが死んでしまいます。

そこで母親たちは、殺菌物質リゾチームを含む汗のような液体で卵を濡らし、雑菌の繁殖を防いでいました。私たちの祖先の子を守ろうとする営みの第一歩です。

そんな祖先たちの体内で、思いがけない変化が起こり始めました。DNAでは、長い時間の中で時折変化が起こります。ある時、偶然その変化がリゾチームを作る遺伝子の一部に起こりました。その結果、遺伝子から作られるたんぱく質の形もわずかに変わりました。

こうして生まれたのが、αラクトアルブミンです。偶然起きたこの出来事で、卵の殺菌が目的だった母親の汗に甘い栄養分が含まれるようになったのです。これを卵からかえった赤ちゃんが舐めたことで子育てに革命が起きました。子供が甘い汗を頼りに育つようになり、母乳の誕生という大躍進が起きたのです。

母乳によって母と子はより分かちがたく結びつき、それが母の愛情へと繋がっていったのです。

■母の愛を試練が襲う
約2億5000万年前、母乳による子育てへと踏み出した祖先たちは大繁栄し様々な姿、形のものへと種類を増やしていました。しかし、噴火活動が100万年も続き、地球上の生物種の96%が絶滅したと考えられています。

私たち哺乳類の祖先はどうなったのでしょうか?

■祖先の子育て大革命
2011年、中国で大絶滅を生き延びた私たちの祖先の貴重な化石ジュラマイアが発見されました。体長はわずか10cm。

しかし、ジュラマイアは卵を産むのではなくお腹の中で赤ちゃんを育てる体の作りになっていました。赤ちゃんをお腹で育てるための胎盤を持っていたのです。

■おなかで子を育てる
胎盤は、赤ちゃんのへその緒の先にある特別な臓器です。これによって、赤ちゃんは母親の子宮に密着し、栄養や酸素を母親から受け取れるように。

もともと私たちの祖先は受精卵を殻で覆い外へ産み落としていました。それが卵です。ところが、あるとき不思議な変化が起きはじめました。受精卵の中にある赤ちゃんの尿を溜める袋が発達し母親の体の一部に密着したのです。これが胎盤となり子供は母親の胎内に留まって育つように。卵を産み落としていた我が子をお腹に身ごもるという新しい子育ての始まりでした。

この大躍進は、体の小さな祖先が生き延びる上で重要な意味を持っていたと言います。

■わが子を守る母の苦闘
大噴火による大量絶滅の後、地球は恐竜たちが支配する世界へと変貌を遂げていました。
 
恐竜時代の始まりには、まだ卵を産んでいた私たちの祖先は、敵に襲われると親は逃げられても卵は置き去りにしなければならないこともあったでしょう。

そこへ現れたのが胎盤を持つ私たちの祖先ジュラマイアです。ジュラマイアは昆虫などを餌に森で暮らしていました。胎盤の登場によって子供が無事に育つ確率は卵の時代に比べて飛躍的に高まりました。
なぜ私たちの祖先は突如、胎盤を手に入れることができたのでしょうか?

■突如出現!胎盤のナゾ
実は最近、ある遺伝子が重要な役割を果たしていたことが分かってきました。それはPEG10遺伝子。PEG10遺伝子は、1億6000万年以上前に突如現れ、その後の哺乳類に受け継がれたことが分かりました。

PEG10遺伝子は、様々な病気を引き起こすレトロウイルスとよく似ていることが分かりました。レトロウイルスが祖先のDNAに入り込み、胎盤を生み出すPEG10遺伝子になったと考えられるのです。

実は胎盤には、ウイルスから貰ったとも考えられる不思議な能力が備わっています。それは、母親の免疫を抑えるという能力です。
 
親子であっても時に血液型すら違う別人です。そんな赤ちゃんが体内にいれば、母親の免疫によって異物とみなされ攻撃されるはずです。それを胎盤が母親の免疫を抑えることで防いでいるのです。

 レトロウイルスも相手に感染するために免疫からの攻撃を抑える能力を持っています。この力がレトロウイルスをDNAに取り込んだ祖先にも伝わり、我が子を身ごもるという大躍進を可能にしたのです。

 その後の進化で胎盤の能力は強化され、子を身ごもる期間は長くなっていきました。赤ちゃんは安全な母親の胎内でより大きく成長してから生まれてくるように。

 


斎藤幸雄 HP ( 56 愛知 建築設計 )

2020年8月20日 (木)

生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる(2/2)



yahooニュース リンク より、以下転載 続き
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■進化の在り方が変わる
――近年、地球にそっくりな惑星がいくつも発見されていますが、人間が住める惑星はみつかっていますか。

【ヘイゼン】いわゆるハビタブルゾーン(生存可能圏)のなかに複数の惑星が発見されています。ハビタブルゾーンにある惑星は、太陽熱放射によって温度を維持し、液体の存在が確認できます。

それらの惑星は、地球から20~30光年ほど離れた場所にあり、現在は渡航できませんが、新しい推進システムを開発すれば、大きな宇宙船に多くの人びとを載せて、数世代にかけての移住が可能になるでしょう。まるでSFの世界ですね。

――米国の生物学者であるリン・マーギュリスは、ヒトのもつDNAに、周りと協力し助け合うことがプログラムされていると唱えていますね。

【ヘイゼン】彼女は、生命体が共生関係を形成することで、生き延び、進化していることに気づきました。人間は「人類、動物、昆虫、植物」と生物をカテゴリーに分類しようとしますが、実際、木は「木」それだけで成り立っているのではありません。土や空気、水を必要とします。つまり、どの生命体をとっても、エコシステム全体から分離して生きることはできません。

彼女の発想は私に深く影響を与えました。私の研究は、地球圏がいかにして共生進化をしてきたかを検証することです。鉱物は生命の起源につながっていますが、生命は新しい鉱物の起源につながる。生物学と地理学は切り離せない関係にあるのです。一つの面しかみないでいると、全容の理解はできません。彼女はこの発想を明確にしました。

――単細胞生物は25億年も安定して生存していたにもかかわらず、多細胞生物になり、動物や人間へと進化しました。仮に、人間が進化の最終形であった場合、身体的な進化をし終えたために、身体の外に目を向けて、技術の発展に手をつけたのでしょうか。

【ヘイゼン】それは非常に注目すべき点です。(適者生存を唱えた)ダーウィンの進化論よりも、はるかに進化を加速させる方法は、遺伝子をデザインすることです。すでに癌治療において遺伝子治療が行なわれていますが、人はより長く生存できるように「進化の方法」を変えています。

これは、惑星の「進化の方法」を変える手段でもあるのです。本質的にみると、この事実は、自然進化よりも、インテリジェント・デザイン(「知性ある何か」によって生命や宇宙が設計されたという説)が支配的になった証であり、見えざる神ではなく、人間の手によって生命がデザインされているのです。
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