生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

地下で3億年!生き、条件が揃えば蘇生!する微生物。
代謝を行わない微生物も存在する。

最近の地下微生物の発見から考えると、生物と物質の違いは、生物かどうかではなく、生物として活動できる「条件」にあるのではないか?

「BIGLOBEニュース」
リンク
より引用

「死をもあざむく?地球の内側で見つかった微生物の不死へのアプローチ」

 地球の深部炭素に関する国際的なサイエンスネットワーク団体、ディープ・カーボン・オブザバトリー(Deep
Carbon
Observatory:DCO)が驚きの事実を発表した。

 地球の地下で生きる微生物の質量は150~230億炭素トンで、全人類を合わせた炭素質量のじつに245~385倍あるというのだ。
 地下の奥深くで生命が存在できるはずがないと考えられていたのが、そう遠くない昔のことであるのを考えれば、まったく驚きである。
 だが、その発表を詳しく見てみると、さらに驚愕の事実が述べられていた。
 地下生命の年齢である。

●科学者の培養実験。細菌は蘇生する。
 1920年代末、チャールズ・リプマンという科学者が、岩の中に細菌が、しかも生きたまま存在するのではと疑い始めた。
 彼は、密封した瓶の中に入れられた乾燥した土に潜んでいた細菌が、40年後に蘇生した事実について考察していた。もし、細菌が40年間も生きられるのだとすれば、はたしてどこかに限界はあるのだろうか?
と。
 沼から採取した岩のような石炭は、その実験にぴったりに思われた。彼は石炭を砕き、そのカスから何かが成長するかどうか観察してみた。そして、思ったとおりだった。
 石炭の粉末を滅菌水に混ぜて2、3週間放置しておくと、細菌のようなものが現れ始めたのだ。粉末を細菌が大好きな「ペプトン」たっぷりの溶液に入れた場合は、たったの5時間であった。

 興味深いことに、この蘇生には、液体に数日間浸かるという水分補給期間が必須であることも判明した。石炭の粉末が湿っていたとしても、そのままペトリ皿のエサ入り寒天培地に入れても、何も育たなかった。

 むろん、リプマンはサンプルが汚染されないよう細心の注意を払って実験を行なった。徹底的な洗浄・殺菌作業には、数時間あるいは数日におよぶ洗浄、浸漬、加熱、加圧が含まれる。
 だが、これで判明したのは、160度でサンプルを数時間熱したとしても、石炭の内側にいる細菌を殺せないということだった。
 それどころか、かえって細菌に力を与えるのだ。加熱時間が長くなるほどに(なんと最大50時間行われた)、その成長は促されたのである。


●過酷な環境に耐えるためのアンヒドロビオシス
 リプマンは、石炭から手に入れた細菌が、人間の腸内細菌のそれと同じ意味で生きているとは信じなかった。
 むしろ、石炭を形成する過程で、カラカラに乾燥し、仮死状態になっていたと信じた。
 「石炭の中の微生物は実際に生存者である。石炭はもともとは泥炭のような性質で、おそらくは微生物がきわめて豊富だったろう。だが、そこから石炭が形成されたときに、その中に囚われの身となったのだ。」

 「私の意見では、石炭の塊のそこかしこに、一時的な胞子か、それに類する耐久性を備えた休止状態の細菌が散らばっており、時と環境の試練を生き延び、その生命としての特徴や栄養型に変化する力、あるいは状況が繁栄するにふさわしいものになったときに増殖する力を維持したのだろう。」(Journal
of
Bacteriology)

 こうした干からびた状態を現在では「アンヒドロビオシス(anhydrobiosis)」という。これはクリプトビオシス
の一つで、凄まじい生命力で知られるクマムシのような動物が、極度の乾燥状態や、宇宙の真空や放射線の集中砲火に打ち勝つため活動を停止する無代謝状態のことだ。


●3億歳の微生物
 リプマンが使った石炭は、ウェールズとペンシルベニアで採取されたもので、中には540メートルの地下から採掘されたものもあった。
 ペンシルベニアの石炭は、ペンシルベニア紀という地質学上の時代の名称の由来ともなっている。そして、それは少なくとも3億年も前の時代のものだ。
 リプマンの実験が行われたのは1931年のことだ。おそらく同僚は彼がおかしくなってしまったと考えたことだろう。
 しかし2019年の我々の目から見れば、リプマンが別におかしくもなんともなかった線の方が濃厚だ。

 世界最高齢の個体は、節くれだったブリストル・コーン・パインやクローンで形成されたアスペンの森林ではなく、地下の岩の中に囚われたちっぽけな微生物なのかもしれない。それが、成長もせず、子孫も残さず、ただ死神をごまかしているだけに過ぎないのだとしても。


●地下細菌の寿命の長さを示唆する最近の研究
 ここ10年で、堆積物や岩、あるいは地中深くの隙間や亀裂の中で生きているこうした細菌が、予想外に長生きであることを示す研究は増えている。
 たとえば、2000年代初頭、帯水層や堆積物の微生物が呼吸をする速度は、地上にいる微生物のそれよりもずっと遅いことが明らかにされた。
 そのバイオマス回転率(細胞の分子が置き換わるためにかかる時間)を計測すると、数百から数千年の長さであった。

~中略~

●地下の囚人になる代償としての不死
このあたりで話をまとめよう。地球の地殻には、不活発な古代の細菌がうじゃうじゃいる。それは省エネモードにあるが、ギアはいつでも入れられる状態にある。
 永遠に思える時間を暗闇の中に閉じ込められ、静寂の中、かろうじて食べ、かろうじて呼吸し、かろうじて動く。それでも死んでいない、生きているのだ。
 もしチャールズ・リプマンが正しかったのなら、恐竜が登場するより5000万年も前に生まれた地球内部の細菌細胞は、明日にでも再び分裂を再開するかもしれない。なんと驚愕の事実であろうか。

 だが、こうした魔法のような力を発現させるために、細菌は地下牢獄に囚われていなければならない。その代償として、事実上の不死が与えられているのである。

 

 

 

田村正道

2021年3月25日 (木)

地球の「退屈な10億年」は間違い。18億~8億年前、この時代がほかの時代と大きく違っていた

以下引用
リンク
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 もしもあなたが10億年前の地球を探検できたとしたら、目を引くものがないことに驚いただろう。樹木や昆虫をはじめ、空を見上げても鳥もいない。生きものは、どろりとした原始の海のスープに浮かぶ単純な微生物だけだった。

 このほど2月12日付けで学術誌「サイエンス」に発表された新しい研究により、当時の地球になかった可能性のあるものが、もう1つ加わった。高くそびえる山々だ。

 今日の地球の表面を覆うプレートは常に移動し、そのスローモーションのダンスは表面の地形を作り出している。大陸どうしが衝突すると地殻は厚くなり、ヒマラヤのような山脈が隆起し、空に向かって成長していく。

 しかし、地下深くで形成された鉱物の一種ジルコンに刻まれた手がかりは、当時のプレートが今日のように常に動いていたわけではなかったことを示唆している。18億~8億年前にかけての「退屈な10億年」と呼ばれる時代に、大陸の地殻はどんどん薄くなっていったようだ。

 薄くなった地殻は、「退屈な10億年」に生命の進化が停滞した原因かもしれないとも論文は指摘する。山々の成長が止まったことで岩石の侵食ペースがゆっくりになり、海の生きものたちへの栄養素の供給が減ったと考えられるからだ。

「当時の海は飢餓状態でした」と、今回の論文の筆頭著者で、中国、北京大学の地球化学者のミン・タン氏は言う。しかし、大陸が再び厚くなりはじめると、すぐにまた大量の栄養素が海に流れ込むようになり、より大きく、より複雑な生物への進化を促したようだ。

「この論文は答えよりも疑問を多くもたらしています」と、プレートテクトニクスを専門とするカナダ、クイーンズ大学の地球化学者クリストファー・スペンサー氏は言う。とはいえ全体的には、今の世界がどのようにして誕生したのかをよりよく理解するための「足場」になるかもしれないと評価する。


(省略)

□超大陸が「地球の毛布」に

 地殻が薄くなった詳しい過程はまだよくわからないが、タン氏らは、プレート運動の減速が一因ではないかと見ている。連続的な隆起がなければ、山々の頂上は風と水による侵食を受けて、徐々に平らになっていくだろう。

 さらに、プレート運動が減速したのは、ほとんどの大陸が集まって1つの超大陸を形成していた「退屈な10億年」の間に、地球表面付近の熱の分布が変化した結果ではないかという。

 今から約21億年前に、超大陸ヌーナの形成が始まった。その後の小さな再編成を経て、12億年前に超大陸ロディニアが形成され、5億年近く存続した。この超大陸は長期にわたって地球を1枚の毛布のように広く覆い、地中の熱をその下に閉じ込めた。

 超大陸の下に熱がため込まれた一方で、海洋地殻の下の温度は下がり、海洋プレートの速度が下がったのではないかとタン氏は言う。


□熱が地殻をもろくした可能性も

 クイーンズ大学のスペンサー氏によると、プレート運動の減速は地質学的な記録と完全に一致しているわけではない。プレートがたいして動いていないとする時期にもまだマグマ活動はあり、現在の北米の40%近くがこの時代に形成されている。

南カリフォルニアとカナダ北東部のラブラドル半島の間に線を引くと、そこから南東にある陸地はすべて18億年前から10億年前にかけて形成されたとスペンサー氏は言う。プレート運動がまったくなかったら、そんな変化が起こるはずがない。

プレート運動の減速という問題とは別に、超大陸の毛布というアイデアからはもう1つの可能性が出てくる。毛布の下に過剰な熱が蓄積すると、その上にある岩石も高温になって高い山々を支えられなくなり、地表は平らになっていくというものだ。

「グーイーバターケーキのようなものです」とカーウッド氏は言う。米ミズーリ州セントルイス名物のグーイーバターケーキはバターと砂糖をたっぷり使った濃厚なケーキで、「グーイー(gooey)」とは「べたべたした」という意味だ。このケーキは冷たいうちは形を保っているが、温まるにつれてドロドロになる。

「それがこの論文の核心だと私は思います」とスペンサー氏は言う。おそらく地殻が薄くなったのは、山々を作る地殻変動が停滞したからではなく、その作用の仕方が変わったせいという見立てだ。

米ペンシルベニア州立大学の変成岩地質学者のアンドリュー・スマイ氏は、薄くなった地殻と過剰な熱という組み合わせは、超大陸ロディニアを形成した大陸の衝突によって生まれた珍しい岩石を説明できると言う。これらの岩石は、地下の深さの割りに高い温度で形成されたように見えるが、薄くて高温の地殻なら説明がつく。

タン氏は、断続的なプレート運動と薄い地殻の両方の要素について論文で議論しているが、はるかな昔の地球の姿については、わからないことがまだまだたくさんあると言う。氏のチームの研究は、「退屈な10億年」にさらに多くの謎をつけ加え、同時に一部の科学者がこれまでに提案してきたことを裏づけるものだ。おそらく、「退屈な10億年」は、それほど退屈な時代ではなかったのかもしれない。

「退屈だったとは思いません。決して静かな時代ではありませんでしたから」とカーウッド氏は言う。氏自身はこの時代を地球の「中年期」と呼んでいるが、なんと呼ぶかは関係ないと言う。重要なのは、この時代がほかの時代と大きく違っていたということだ。

 

 

 

穴瀬博一

2021年3月22日 (月)

敗者の生命史 38億年

稲垣栄洋・著『敗者の生命史 38億年』から引用します。

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●弱肉強食が生物界の掟だが、強者がたびたび全滅したワケ
地球に生命が生まれてから、最初に訪れた危機は、海洋全蒸発とスノー
ボール・アース(全球凍結)であった。これは、地球規模の大異変である。
地球に生命が生まれたころ、直径数百キロメートルという小惑星が地球に衝突した。そのエネルギーで、すべての海の水が蒸発し、地表は気温4000度の灼熱と化した。そして、地球に繁栄していた生命は滅んでしまったのである。
このような海洋全蒸発は、一度ではなく、何度か起こったかも知れないと考えられている。このときに生命をつないだのが、地中奥深くに追いやられていた原始的な生命であったと考えられている。

こうして命をつないだ生命に訪れた次の危機が、地球の表面全体が凍結してしまうような大氷河期である。この時期には、地球の気温がマイナス50度にまで下がった、全球凍結によって、地球上の生命の多くは滅びてしまった。しかし、このとき生命のリレーをつないだのが、深海や地中深くに追いやられていた生命だったのである。

●地球の異変で生き残ったのは、僻地に追いやられた生命
こうして地球に異変が起こり、生命の絶滅の危機が訪れるたびに、命をつないだのは、繁栄していた生命ではなく、僻地に追いやられていた生命だったのである。
そして、危機の後には、必ず好機が訪れる。
スノーボール・アースを乗り越えるたびに、それを乗り越えた生物は、繁栄を遂げ、進化を遂げた。真核生物が生まれたり、多細胞生物が生まれたりと、革新的な進化が起こったのは、スノーボール・アースの後である。

そして、古生代カンブリア紀にはカンブリア爆発と呼ばれる生物種の爆発的な増加が起こるのである。カンブリア爆発によって、さまざまな生物が生まれると、そこには強い生き物や弱い生き物が現れた。強い生き物は、弱い生き物をバリバリと食べていった。強い防御力を持つものは、固い殻や鋭いトゲで身を守った。

●逃げ回ることしかできなかった弱い生物がしたこと
その一方で、身を守る術もなく、逃げ回ることしかできなかった弱い生物がある。その弱い生き物は、体の中に脊索と呼ばれる筋を発達させて、天敵から逃れるために早く泳ぐ方法を身につけた。これが魚類の祖先となるのである。

やがて、脊索を発達させた魚類の中にも、強い種類が現れる。すると弱い魚たちは、汽水域に追いやられていった。そしてより弱い者は川へと追いやられ、さらに弱い者は、川上流へと追いやられていく。こうして止むにやまれず小さな川や水たまりに追いやられたものが、やがて両生類の祖先となるのである。

巨大な恐竜が闊歩していた時代、人類の祖先はネズミのような小さな哺乳類であった。私たちの祖先は、恐竜の目を逃れるために、夜になって恐竜が寝静まると、餌を探しに動き回る夜行性の生活をしていたのである。常に恐竜の捕食の脅威にさらされていた小さな哺乳類は、聴覚や嗅覚などの感覚器官と、それを司る脳を発達させて、敏速な運動能力を手に入れた。

●敵に追いやられながら、私たちの祖先は生き延びた
大地の敵を逃れて、樹上に逃れた哺乳類は、やがてサルへと進化を遂げた。そして、豊かな森が乾燥化し、草原となっていく中で、森を奪われたサルは、天敵から身を守るために、二足歩行をするようになり、身を守るために道具や火を手にするようになった。
人類の中でネアンデルタール人に能力で劣ったホモ・サピエンスは、集団を作り、技術と知恵を共有した。

生物の歴史を振り返れば、生き延びてきたのは、弱きものたちであった。そして、常に新しい時代を作ってきたのは、時代の敗者であった。そして、敗者たちが逆境を乗り越え、雌伏の時を耐え抜いて、大逆転劇を演じ続けてきたのである。
まさに、「捲土重来(けんどちょうらい)」である。
逃げ回りながら、追いやられながら、私たちの祖先は生き延びた。そして、どんなに細くとも命をつないできた。私たちはそんなたくましい敗者たちの子孫なのである

 

 

柏木悠斗

2021年3月19日 (金)

地球の生命体の起源は火星にある説。そう考えるべき科学的根拠?

NASAのこれまでの探査機でもっとも生命探査に特化したパーサヴィアランスが、まもなく火星に到着しようとしている。

 予定通り2月18日に着陸したらすぐさま干上がった川底に穴を掘り、「火星には生命がいるのか?(いたのか?)」に答えるべく調査を開始する。

 すぐに結論が出ることはないだろう。だがその成り行きは、一部の研究者にとっては絶対に目を離すことができないものだ。

 というのも彼らの仮説によると、地球の生命は火星に起源があるというのだ。しかもその説には科学的根拠があるという。

●生命の最終共通祖先「LUCA」

 ここ数十年、これまでに知られてきた全生物が連なる巨大な系統樹が着々と作成されてきた。

 化石から推測すると、ヒトと類人猿の共通祖先は1300万年前に存在した。6500万年もさかのぼれば、ヒトはクジラやコウモリともつながる。

 また遺伝子の分析からは、「LUCA」と呼ばれる地球に存在するあらゆる生命の最終共通祖先が、およそ40億年前に海底の熱水噴出孔で生きていたらしいことが分かっている。

 しかし系統樹の根元へ向かうほどに、生命の起源を探る手がかりは乏しくなる。LUCAの競争相手が化石になっていたとしても、そうした最初期の痕跡を残す岩石は、プレートの動きによって壊れてしまっているだろう。

 はっきりと分かっているのは、地球がおよそ45億年前に形成され、それから5億年が経過した頃にはLUCAがいたということだ。それがどのように進化し、その祖先がどこからきたのかといったことについては諸説あり、統一された見解はない。

●初期の火星は地球よりも生命に優しかった

 米ジョージア工科大学の惑星学者クリストファー・カー氏らの考えでは、LUCAの祖先は小惑星に乗って火星からやってきた微生物だという。

 カー氏が『arXiv』(2月4日投稿)で発表した論文では、そう考えるべき科学的理由が述べられている。

 それよると、基本的にこの宇宙のどこでも有機分子が降り注いでいるのだという。しかしどのような化学反応によってそうした有機分子が細胞に不可欠な構成単位に変化するのか、一切分かっていない。

 有望なものの1つは、浅い水たまりのような環境だ。そこでは紫外線、蒸発と降雨、火山や小惑星衝突の熱などによって、うまい具合に材料が調理される可能性がある。

 しかし初期の地球は水にどっぷりと浸かっていた。35億年前の地球は、ほんの数パーセントを除けば、深い水におおわれていたと推定されているのだ。

 一方、初期の火星もまた水が豊富だったが、水にひたる程度で、生命が誕生するにはずっと都合が良かっただろうと考えられるという。

●火星の環境はLUCAの誕生に最適だった

 もう1つの手がかりは、アミノ酸(細胞がタンパク質を作るために使う部品)のレパートリーだ。

 我々も含め、LUCAの子孫はみな同じおよそ20個のアミノ酸からタンパク質を作っている。ただし新しいタンパク質の多くは、そうしたレパートリーの半分もあればおそらくは十分だと考えられている。

 このことについて、ある研究によれば、不可欠なアミノ酸が少ないほど、生物は酸化に対応しやすい可能性があるという。

 しかし地球が誕生してから最初の20億年は酸素がなかった。となると、LUCAのアミノ酸が酸化に対処しやすい構成だったのはどうしたわけだろうか?

 そこで系統樹の根元は火星にまで続いていると考えるとつじつまが合ってくる。火星では、地球より早い段階で酸化する環境が作られていたからだ。

 もし本当に火星でLUCAの祖先が誕生していたとしたら、それは両惑星間を行き交ういくつもの小惑星に乗って地球にやってくることができる。

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井垣義稀

2021年3月 1日 (月)

海底に潜むその奇怪な巨大生物は、2,000万年も前から魚を襲っていた:研究結果

海底に潜むその奇怪な巨大生物は、2,000万年も前から魚を襲っていた:研究結果
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より転載。

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海底に潜んで驚異的なスピードで巣穴から飛び出し、トラバサミのような口で獲物に噛みついて食べてしまう奇怪な生物・オニイソメ。その祖先が2,000万年も前から魚を襲っていたらしき証拠を、このほど研究者たちが発見した。

個人的には奇怪な生物に関してそこそこ詳しいが、それでも躊躇なく断言しよう。オニイソメはダントツに奇怪な生物だ。

全長3mにも成長する巨大な蠕虫(ぜんちゅう)で、海底に巣穴を掘り、水中にトラバサミのような口だけを突き出す。そして魚が近づくと、驚異的なスピードで巣穴から飛び出して獲物に噛みつき、荒っぽく巣穴に引きずり込んで生きたまま食べてしまうのだ。

そんなオニイソメの祖先が2,000万年も前から魚を襲っていたらしき証拠を、このほど研究者たちが発見した。学術誌『Scientific
Reports』に1月21日付で掲載された論文によると、台湾で見つかった何百もの蠕虫の巣穴の化石には、格闘の証拠が残されていたという。

ちなみに研究チームは、蠕虫そのものの化石を発見したわけではない。蠕虫のような骨のない生物(脊椎がないことから無脊椎動物と呼ばれている)が化石化することは極めてまれだ。代わりに研究チームは、かつて海底だった砂岩の中に、地層に残された古代動物の活動の痕跡である「生痕化石」を発見したのである。

「蠕虫のような無脊椎動物が脊椎動物を捕食していたことを示す生痕化石が発見されたのは、今回が初めてだと思います」と、論文の共著者で国立台湾大学の堆積学者であるルドヴィグ・レーベマークは説明する。「堆積層から通常発見できるものは、動物が堆積物の中を移動した証拠なのです」

オニイソメの巣穴と確信できた理由
化石化した巣穴の長さは約6.5フィート(約2m)。海底にあった開口部から比較的まっすぐ下へと伸び、途中で約45度に傾斜し、全体ではL字型またはブーメラン形をしている。レーベマークの研究チームは、トンネルの上端付近が「ろうと状に崩壊」し、巣穴の内部に堆積層ができていることに気づいた。

研究チームは、これは獲物がもがいた証拠だと主張している。数千万年前に蠕虫が暴れる魚を巣穴に引きずり込んだとき、堆積物が飛散し、やがて隙間を埋めて化石として記録に残されたというわけだ。

巣穴の断面はどことなく羽根に似た形をしている。羽軸をなすのはメインの巣穴で、その両側の堆積層にはろうと状の部分から分岐した痕跡が羽弁のような形で残されている。これはオニイソメの捕食行動に特有の痕跡だと、研究チームは主張する。「オニイソメは獲物を消化すると、再び表面に現れます。ろうと状に崩れた巣穴の中央部に再びトンネルを構築し、これにより管の周囲に羽根のような構造が形成されるのです」と、レーベマークは説明する。

謎に包まれた形態
発見された生痕化石は、古代の上位捕食者と被食者の間の闘争を示す証拠だと、研究チームは主張している。これにより、オニイソメとその祖先がどれだけ長らく魚を捕食してきたかに関して、研究者たちは体化石からだけでは決してわからない手がかりを得た。

たとえオニイソメ類の軟組織がすぐに腐敗せず化石化したとしても、その体化石から得られるのはおそらく形態に関する情報だけで、行動については何もわからないだろう。「太古の被食者と捕食者の間の相互作用に関する知見が得られれば、古生態系への理解が深まります」と、レーベマークは言う。

しかし、形態がわからないことはやはり問題だと指摘するのは、カリフォルニア科学アカデミーで無脊椎動物学のシニアキュレーターを務めるテレンス・ゴスライナーである。ゴスライナーは今回の研究にはかかわっていない。

オニイソメは多毛類として知られる環形動物門多毛綱に属している。このグループには草食のものもいれば、今回の発見で推測されているような大型捕食者もいる。したがって、巣穴にできた羽根状の堆積は、居住者が魚を捕獲していた印ではなく、単に頭を突き出してほかのものを食べていた印かもしれない。

「わたしの意見を言うなら、蠕虫が巣穴に引っ込むたびに、彼らが発見したのと同じような羽根状の堆積層と崩壊構造が残ると思います」と、ゴスライナーは指摘する。「彼らの主張はまったくその通りかもしれませんが、それ以外の説明はいくらでも考えられます」

考察しがいのある発見
実際のところ現代のオニイソメでさえ、いまだに謎だらけの生物だ。

「オニイソメの巣穴がどんなものか、巣穴がL字型であるかどうか実際に調べた人はこれまでひとりもいません」と、ゴスライナーは言う。「ですから、本当に興味深い古生物学的発見だと思います。でもわたしにとっては、この発見は答えと同じくらい多くの疑問を生み出すものなのです」

ただし、レーベマークは、巣穴の開口部から羽根状の構造が下へ向かってかなり長く続いていることから、平和な草食よりは激しい闘争を示唆するものだと指摘する。

さらに、当時の環境も手がかりになる。「ほかの蠕虫が同様の巣穴をつくる可能性はあります。しかし、わたしたちが論文で発表した巣穴が見つかった場所は浅海の古環境で、こうした場所では植物質は小さな断片として流入するので、草食性蠕虫という説は否定されると思います」と、レーベマークは言う。

ともあれ、考察しがいのある発見であるのことは間違いないだろう。

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古越拓哉

「DNAとRNAは“同時”に地球に出現した」最新研究が興味深い! 生命の起源とカギを握る「DAP」、地球外の要素は?

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 タマゴが先か、ニワトリが先か――。これはなにもニワトリだけの問題ではなく、地球上のすべての生物の問題でもある。つまり地球上に最初に生命をもたらしたのは、DNAなのかRNAなのかという問いだ。

■DNAが先か、RNAが先か?

 生命の条件として何はともあれ最初にくるのは“自己複製性”である。つまり自分の“複製”である子孫を残す能力がなければ生命とは呼べないのだ。

 自分の肉体を再生し、複製するために必要な情報がたくわえられているのがDNAである。そしてこのDNAの情報を一時的にコピーして必要な場所に届け、再生と複製を手伝っているのがRNAだ。

 つまりDNAとRNAは両方とも、すべての生物学的生命の遺伝的構成を決定し、DNAは遺伝子の青写真として機能し、RNAは青写真のリーダーまたはデコーダーとして機能しているのだ。ではいったいこのDNAとRNAの出現に順番があったのだろうか。


 これについては長い間、RNAが最初に地球上で発達し、その後DNAが進化したと考えられていたのだが、最近の研究ではDNAとRNAは同時に出現し、両者によって地球上における生命の繁栄の礎になった可能性が指摘されている。つまりどちらが先かという問題ではなく、DNAもRNAも同時に出現したのである。

 米カリフォルニア州サンディエゴにある非営利の生物医療研究所「スクリプス研究所(Scripps
Research)」の研究チームが2020年12月にドイツ化学会誌「Angewandte
Chemie」で発表した研究では、DNAとRNAの両方が地球上での初期の生命が生まれた時期に同じ種類の化学反応から一緒に発達し、最初の自己複製分子がこれらの両方の核酸の混合物であった可能性があるという考えを補強するものになっている。

 この最新の研究では、地球上の最初の生命を紡いだ可能性のある単純な化合物ジアミドホスフェート(diamidophosphate、DAP)が、デオキシヌクレオシド(deoxynucleoside)と呼ばれるDNAの構成ブロックを基本的なDNA鎖に編み込む方法を説明している。つまりまだDNAとRNAがない状態でも簡易的なDNA構造を作ることができたというのである。

「この発見は、最初の生命体が地球上でどのように発生したかについての詳細な化学モデルの開発に向けた重要なステップです」と研究チームのラマナラヤナン・クリシュナムルティ氏は語る。


■生命の起源についての洞察は化学や生物学に大きな貢献をする

 これまでの生物学では“RNAワールド仮説”が支配的であった。RNAワールド仮説は、はるか昔の原始的な生命が生まれた時期において、まずRNAが自己複製系の“主役”であり、その後進化の過程で遺伝情報保持の役割はDNAへと、酵素活性の役割はタンパク質へと推移してきたとする説である。つまり「RNAが先」であるとする説だ。

 しかし今回の研究でRNAワールド仮説が大きく揺さぶられることになった。RNAが最初に地球上で生命を生み出したという考えの大きな問題の1つは、RNAが単独で自己複製プロセスを通過できたのかという問題だ。今回の研究で行われた実験では、RNA単独よりも簡単に分離できる「キメラ」分子鎖を作成するためにDNAの助力があった可能生が示唆されるものになった。つまりRNAが“主役”であった時代にもDNAは存在し、重要な役割を担っていたというのだ。

 研究チームによって実施された一連のラボ実験では、地球での生命の始まりの前に起こったかもしれないことをシミュレートし、DAPがどのように簡易的なDNAを形成できたかが示されている。

「驚いたことにDAPをデオキシヌクレオシドに反応させると、実際のDNAのようにAとT、またはGとCなどの異なるDNA情報が混在している場合に、より効果的に働くことがわかりました」と研究チームのエディ・ヒメネス氏は語る。

 とはいえ地球上の生命誕生は数十億年も前の話ではある。RNAが地球上で最初の生命体をもたらすのに、DNAが役に立ったのはどうか、現状では確かめる術はないのだが、これらのプロセスについての我々の理解が深まってきていることは確かだ。


 この研究は、生命の起源とどのように関連しているかという点でも役立つだけではなく、こうしたRNAとDNAの関係についての洞察は、現代の化学や生物学の発展に大きな貢献を果たす可能性があるという。

「この研究は、原始的な化学がどのようにして最初のRNAとDNAを形成したのか、そしてリボヌクレオシドとデオキシヌクレオシドの構成ブロックの混合物を使って、どのようなキメラ分子が形成されるか、そしてそれらが自己複製して進化できるかどうかを調べることができるようになりました」(クリシュナムルティ氏)

 こうした生命の起源に迫る研究の進展には期待するばかりだが、はたしてそこに“地球外”の要素があるのかどうかについても気になるところだ。
 
吉 四六

2021年2月24日 (水)

脊椎動物の半規管の進化 -脊椎動物の共通祖先の内耳は、思いのほか複雑だった

リンク一部転載

(開拓研究本部倉谷形態進化研究室主任研究員)、兵庫医科大学の菅原文昭講師、東京大学大気海洋研究所の高木亙助教らの共同研究グループ※は、顎
(あご) を持たない脊椎動物であるヌタウナギ[1] とヤツメウナギ[2] の内耳の発生を解析し、単一の半規管[3]
から段階的に複雑に進化したと考えられてきた三つの半規管 ( 三半規管[3] )
の構成要素の大部分が、すでに5億年以上前の共通祖先において獲得されていたことを明らかにしました。

 本研究成果は、ヒトの聴覚・平衡感覚を担う内耳の進化について理解を深めるとともに、感覚器の発生生物学研究にも貢献すると期待できます。

 今回、共同研究グループは、ヒトと5億年以上前に分岐した、顎を持たない脊椎動物であるヌタウナギとヤツメウナギにおける内耳の形成過程を詳細に観察し、前半規管と後半規管の位置を決める遺伝子の発現が、両動物でよく似たパターンを示すことを見いだしました。さらに、両動物胚には三つ目の半規管である水平半規管がまだないものの、そのセンサーとなる感覚上皮[4]に相当する構造がすでに存在することを確認しました。これにより、脊椎動物の共通祖先が、前後二つの半規管を形成する発生プログラムをすでに持っており、さらに既存の感覚上皮を転用して三つ目の水平半規管とその検出器を獲得し、3次元方向の回転に対応した三半規管へと進化したことが明らかになりました。

背景
 動物は、光、音、化学物質など身の回りの情報を得るために、目、耳、鼻といった感覚器を進化させてきました。これらの中で耳
(内耳)
は、ヒトでは聴覚器としても働きますが、脊椎動物の進化の歴史においては、重力や頭部の回転運動を感知する平衡感覚器として出現しました。ヒトやカエル、サメなど顎
(あご) を持つ脊椎動物 (顎口類) の内耳には、平衡感覚を担う三半規管があります。三半規管はその名のとおり、三つの半円状の管 (半規管)
が互いに直交し、それぞれに検出器である感覚上皮が一つずつ付属し、三次元方向の回転を感知しています。これに対し、顎を持たない脊椎動物であるヌタウナギは一つの半規管、ヤツメウナギは二つの半規管しか持たず、古典的には半規管の数が1→2→3と段階的に進化したと解釈されてきました
(図1左)。しかし近年、ヌタウナギとヤツメウナギが「円口類」(顎を持たない現生の脊椎動物)
という一つのグループに属し、どちらかがより「古い」とはいえないことが分かり
(図1右)、それとともに三半規管の進化過程は再び謎に包まれることになりました。

古典的には、左側の系統樹で示すように、ヌタウナギは他の脊椎動物よりも「古い」グループであり、半規管の数は1→2→3
(赤)
と進化したと考えられてきた。ところが、遺伝子配列の比較により、ヌタウナギとヤツメウナギは「円口類」という一つのグループであることがわかった。つまり、右側の系統樹で示すように、単純な構造に見えるヌタウナギの一つの半規管は、必ずしも「祖先的だ」とはいえない。

※研究手法と成果は省略

今後の期待
 今回の研究により、内耳はこれまで考えられてきたよりも複雑な進化の歴史を辿って現在の形が成立したことが分かりました。すなわち、ヒトがもつような複雑な三半規管の形態を作り出す材料の起源は、円口類と顎口類の分岐以前の段階である5億年以上前にまで遡ることになります。しかしながら、一見単純な構造に見える円口類の内耳とヒトが持つ複雑な内耳には、どのような発生プログラムの違いがあり、おのおのがいかに進化したかについては未解決の問題です。

 内耳の構造は化石として残りやすく、古脊椎動物学において、化石魚類の同定や進化過程を推定する上での鍵となる形質として着目されます。脊椎動物の進化の初期に現れた化石魚類の内耳を本研究で得られた理解に基づいて研究することで、これまで未分類であった化石動物の研究に貢献すると期待できます。

 

 
キムナリ

2020年12月27日 (日)

原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに


原核生物でありながら、大型で柔軟な細胞を持ち、他の微小な生物を丸ごと細胞内に取り込んで消化する、真核生物の食作用に似た機能を持つバクテリア(細菌)を発見された。原核生物から真核生物への進化を探る上で、極めて重要な発見と注目されている。

以下、「原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見 ~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに~」リンクより
 ===================================================

筑波大学生命環境系の石田健一郎教授、同研究員の白鳥峻志博士(現:海洋研究開発機構)、鈴木重勝博士(現:国立環境研究所)らの研究グループは、原核生物でありながら細胞が大きく柔軟で、真核生物に特有の機能であるファゴサイトーシス(食作用)に似た捕食を行う真正細菌を発見しました。

我々ヒトを含む動物や植物、菌類が含まれる真核生物は、原核生物である真正細菌や古細菌と比べて大型で柔軟な細胞を有し、細胞内部の構造も非常に複雑です。真核生物特有の機能の一つとして、大型の粒子や生物を自らの細胞で包み込むファゴサイトーシスが知られています。アメーバなどの単細胞生物では餌の取り込みに、ヒトでは免疫系の一つとして白血球が病原体を排除する際などに用いられており、真核生物の最も重要な性質の一つです。

研究グループは、単細胞性の真核生物と同程度の大きさで、アメーバのように柔軟に変形しながら移動する奇妙な真正細菌‘Candidatus
Uab
amorphum’(以下ウアブ)をパラオ共和国から発見しました。詳細な顕微鏡観察を行ったところ、ウアブは自らの柔軟で大型の細胞を用いて、ファゴサイトーシスのように他の真正細菌や微小な真核生物を包み込んで捕食することが明らかになりました。その一方で、真核生物の特徴を多く示すにもかかわらず、ウアブのゲノムからは真核生物由来の遺伝子はほとんど見つかりませんでした。

これらの結果は、ウアブが真核生物とは独立して真核生物のような特徴を進化させたことを示唆しています。原核生物の常識を覆す全く新しい生物であり、原核生物の複雑性の進化や生態的役割に関する研究を大きく進展させる重要な発見です。ウアブがこれらの特徴をどのようにして獲得したかを解明することで、ファゴサイトーシスの進化はもちろん、真核生物がどのように誕生したのか、という生命の進化史における最も大きな謎を解き明かすためのヒントが得られる可能性があります。

 

 


斎藤幸雄

2020年12月24日 (木)

生態系モデルに激震! 生物はウイルスを食べているという有力な証拠が発見(米研究)



リンクより

自然界は食うか食われるかの弱肉強食の世界だ。食物連鎖のモデルによれば、生命は生産者、消費者、分解者のいずれかの役割を担っており、食いつ食われつの関係にある。ではウイルスはどうだろうか?
ウイルスは生物とは区別されているが、細菌とよく似た構造を持つ仲間も存在する。そんな彼らは食物連鎖の世界と無縁でいることができるのだろうか?

大気や海洋にはウイルス性バイオマスが漂っており、そこには生物にとっても有用な栄養が詰まっている。ならば、それをエサとして食べている生き物がいないことの方が不思議ではないか。生物がウイルスを食い、それをエネルギーや栄養素に変えていることを示すはっきりとした証拠はこれまで発見されていなかったが、このほどついにその有力な証拠が見つかったそうだ。

 
◆なぜか少ない食べられた細菌のDNA

アメリカ・ビゲロウ海洋科学研究所をはじめとするグループは、北アメリカ東海岸にあるメイン湾と地中海で1700ほどのプランクトン細胞を採取し、そこに含まれているDNAの構成を分析した。当然ながらDNAで一番多かったのはプランクトン自身のものだ。また地中海で採取したサンプルについては、そのプランクトンが食べたと思われる細菌のDNAが、およそ半分を占めていた。

だがメイン湾のサンプルについては、その割合が19%とかなり少なかったのである――。かわりに多かったのがウイルスのDNAだ。メイン湾で採取したプランクトンのDNA配列を解析したデータには、50種以上のウイルスの遺伝子の断片が含まれていた。

◆細菌に感染するウイルス

そうしたウイルスのDNA配列のほとんどは、「バクテリオファージ」という細菌に感染して増殖するウイルスのものだった。海の原生生物にとって細菌は一般的なエサだ。もし食べた細菌がウイルスに侵されていたのだとすれば、その体内からウイルスのDNAが見つかったとしてもなんら不思議はない。

しかしメイン湾で採取された「コアノゾア門」と「ピコゾア門」の仲間は少々話が違った。多くの場合、その体内から細菌性DNAが見つからなかったのだ。となると、バクテリオファージに感染した細菌を食べたことで、そのDNAが取り込まれたと説明することはできない。

さらに重要なのは、コアノゾアとピコゾアというまったく門が異なる原生生物から、ほぼ同じウイルスの配列が見つかっていることだ。このこともやはり、ウイルスの侵入経路が感染した細菌である可能性を低くする。

◆ウイルスは栄養満点のサプリメント

こうしたことは、あくまで状況証拠でしかないが、指や口の周りにお菓子のカスをつけた人を見つけたようなものだ。2種の生物がウイルスを食べていた可能性は限りなく高いと思ってかまわないだろう。

研究グループの生物情報学者ジュリア・ブラウン氏によると、ウイルスはリンと窒素が豊富で、炭素を豊富に含むエサの補助食品として有益かもしれないという。

またピコゾアについて言えば、この発見によって、ほんの数マイクロメートルしかないこの小さな生物が何を食べているのかという謎の解明にもつながるかもしれないそうだ。

◆生態系モデルに修正が必要になる可能性

バクテリオファージを食べている生物がいるという発見は、生態系における栄養の流れに関する従来のモデルを大きく変化させる可能性もあるようだ。細菌と原生動物の体内にある栄養は、より大きな生物に食われることで食物連鎖の上部へ向かって流れるものだと考えられている。

こうした食物連鎖にはウイルスも関与している。ウイルスに感染した海洋の微生物は、ほかの生物に食われる前に破壊されてしまい、それが持っていた有機物質を海底へと散らす。その一部は海底に積もり、一部は微生物によって食われ栄養になる。これを「ウイルス短路」といい、生態系におけるウイルスの役割だとされている。

しかし、そのウイルスもまた食われることがあるのだという新発見は、こうした生態系モデルにいくらかの修正を迫ることになるだろう。

この研究は『Frontiers
in Microbiology』(9月24日付)に掲載された。

 

 

2020年11月27日 (金)

生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる(1/2)



yahooニュース リンク より、以下転載
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生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる

―――2007年、鉱物学者のロバート・ヘイゼン氏のもとに、一本の電話が入った。相手は、科学の研究や教育に助成するニューヨークのスローン財団。研究助成先を探しており、「生命の誕生を研究してほしい」という。

それに対してヘイゼン氏は「生物学以外の物理や化学、地政学を総合しながら地球上の炭素を調べないかぎり、生命誕生の謎に迫るのは無理でしょう」と答えた。つまり、「炭素」は、生命や地球誕生の根源になっているというのだ。各専門家たちと分野を超えて、生命の新発見に挑み続けるヘイゼン氏にインタビューした(取材・構成
大野和基:国際ジャーナリスト)。

※本稿は月刊誌『Voice』2020年7月号、ロバートヘイゼン氏の「炭素が奏でる宇宙交響曲」より一部抜粋・編集したものです。

■世界の99.9%は炭素でできている
――(大野)今年四月に上梓された“Symphony
in
C”(邦訳『交響曲第6番「炭素物語」―地球と生命の進化を導く元素』化学同人刊)には、鉱物学とはかけ離れた「交響曲」という言葉が入っている、非常に興味深いタイトルですね。

【ヘイゼン】炭素について何かを執筆するとき、テキスト風に性質を紹介することはできます。しかし、それだと面白みがなく、もともと炭素に関心がない人は興味を抱きません。

そこで、炭素という物質にストーリー性をもたせようと試みました。私は長年プロの演奏家として交響楽団でトランペットを演奏していたのですが、炭素はまさに「交響曲」を掌る原子だと気づいたのです。

周期表にあるすべての元素のなかで、炭素は土、火、水、空気にとって必須の元素ですが、交響曲の構成を使うことで、それぞれのセクションで異なる面をみることができます。

第二楽章は「air(空気)」、つまりアリオーソ(抒情的な曲)で、ゆっくりとした楽章です。第三楽章は「fire(火)」で、スケルツォ(急速で快活な曲)になり、コン・フォーコ(情熱をもって)です。最終楽章は、生命の起源に必須の「水」です。

――生命は炭素から誕生したと考えられていますね。

【ヘイゼン】はい。もし生命を理解したければ、炭素を理解しなければなりません。それは、炭素が生命の起源、進化、分布、宇宙での生命の中核をなしているためです。酸素、鉄、ケイ素をはじめとしたその他の元素はあまりにも特異で適用範囲が狭いのに対し、炭素はすべてに適応します。

この部屋を見渡すと、炭素を含んでいないものを指摘するほうがはるかに簡単でしょう。99.9%のものは、炭素を含んでいます。このように、炭素はわれわれの生活の基本的な元素なのです。

――生命起源の研究はどれほど進んでいるのですか。

【ヘイゼン】緩やかではありますが、進捗しています。生命起源の研究に人生を捧げる研究者は世界中に何百人もおり、今年八月にもエクアドルで国際会議が開かれる予定です。とはいっても、まだ謎は多い。

現在、私にとってもっとも深い問いは、「惑星は自動的に生命をつくるのか」というものです。すなわち、惑星は火山をつくるように生命をつくるのか。あるいは、地球生物は数少ない生命体として稀有な現象によって生み出されたものなのか、という問題です。

現時点では、生命は地球以外のあらゆるところで生まれていると予想しています。そのため、生命は必然的に生じるものであり、研究によってその必然的な化学プロセスを発見することができると思うのです。

――生命は進化と絶滅を繰り返します。絶滅するものとそうではない生き物の差はありますか。

【ヘイゼン】微生物が一度ある環境で生存する方法をみつけると、20億年は生き延びるでしょう。安定感のある生物の存在を除去するには、太陽が蒸発してなくなるとか、地球に隕石がぶつかるといった激変が起きないかぎり難しい。

かりに人類が「微生物を抹消したい」と望み、地球上にあるすべての核兵器を使っても、微生物は生き続けます。それほど地球圏の一部として根深く定着しているのです。

――人類は遠い将来、絶滅するのでしょうか。

【ヘイゼン】多細胞の種はどの種も絶滅に直面してきました。1億年前に存在して現在も変化していない多細胞の種の名前を挙げることはできません。「絶滅」というと、「そこで終わり」と考えますが、同じ遺伝子やたんぱく質が、有機体の一部となって生存し続ける方法もあり得ます。

たとえば、(猿人の)アウストラロピテクスは絶滅しましたが、ある意味でわれわれは、99%同じ遺伝子をもっています。つまり、存続はしているのです。ほとんどの古代の有機体は、遺伝子が組み換わったかたちではありますが、時間の経過とともに伝播されてきたのです。

もし人類が1億年生き延びたとしたら、彼らにとってわれわれは非常に奇妙に映るでしょう。おそらく、あと千年もすれば遺伝子組み換え技術のツールで、何でも修復できるようになっています。

癌もなくなっているし、コロナウイルスもなくなっているでしょうね。そして、遺伝子操作によって、良かれ悪しかれ多くのことをコントロールできるようになる。その結果、未来の人類はわれわれと同じ人類ではなくなっていると思います。

続く

 


山上勝義

2020年11月21日 (土)

生物は「ガン」に対抗するためにセックスを行うようになったのかもしれない



人間を含めた多くの生物は、セックスなどで異なる個体間の遺伝子を組み合わせ、両親と異なる遺伝子を持つ個体を生み出す「有性生殖」を行います。そんな有性生殖が多くの生物で行われるようになったのは「ガン」に対抗するためかもしれないという仮説が発表されました。

地球上の全ての生物が有性生殖を行うわけではなく、無性生殖によって繁殖する生物も多くいます。中には有性生殖から無性生殖へと臨機応変に切り替える動物も存在し、必ずしも有性生殖でないと生物が繁栄できないわけではありません。

無性生殖の確かな利点として、配偶者を探すためのコストが抑えられるというものがあり、有性生殖の場合は配偶者を見つけないと子孫を残せません。この点でいえば有性生殖は無性生殖よりも非効率的ですが、多くの生物が有性生殖を選択している以上、そこには確かなメリットがあると研究者らは考えています。

有性生殖のメリットとして最もポピュラーな理論が、無関係な配偶者の遺伝子を組み込むことで、有害な突然変異が子孫に受け継がれるのを防ぐというものです。無性生殖の場合は生存に有害な突然変異が遺伝子に発生した場合、それが子孫へとそのまま受け継がれてしまうため、有害な突然変異に対して抵抗することが難しくなってしまいます。また、「有性生殖によってもたらされる遺伝的多様性が病気などへの抵抗力を増す」「生存に有益な突然変異を生み出す可能性を高める」などの説も唱えられています。

フランス・モンペリエ大学の研究チームは、有性生殖によってもたらされる新たなメリットについての仮説を発表しました。研究チームは、有性生殖によって繁殖することで「伝染性のガン細胞」を減少させることができるため、多細胞生物において有性生殖が広まったと主張しています。

本来であれば、多細胞生物の細胞はいずれも生物の生存のために働きますが、突然変異のガン細胞は生物にとって有害な働きをして死へと導きます。人間では遺伝の影響でガンになりやすい人もいるものの、人から人へとガンが伝染することはありませんが、犬やタスマニアデビルの中には伝染性のガンが存在しているとのこと。

無性生殖では生物の遺伝子が変化しないため、伝染性のガンが広まりやすいというデメリットがあると研究チームは指摘。有性生殖を行うことで伝染性のガンが種の免疫システムに適応することが困難になるそうで、「伝染性のガンを防ぐ効率的な方法が、他の個体とは違うユニークな子孫を残すことです」と研究チームは述べています。

今回の仮説を実証することは困難ですが、研究チームはこの説が理にかなっていると確信しています。「ガンの危険性と有性生殖を行うためのコストを考慮しても、有性生殖を選択することはリスクが少なく、より有益な子孫生産方法です」と、研究チームは主張しました。

リンクより引用

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