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2012年10月25日 (木)

漸進的な進化

失礼しました、吉国さん。
細胞分化や有性生殖の前に、外的圧力と適応戦略ですね。

>確かに個体間の変異(差)によって、自然淘汰されていくというダーウィンの進化論は、よく考えると少し変ですね。個体とは子供を残せる段階というように、個体を再定義して、あくまでも個体だという見方もおかしいように思います。集団性とは、個体にかかる自然の圧力が一様ではないということを意味します。あるいは、個体にかかるという圧力という発想そのものがおかしいのでしょうか。集団(あるいは種や群)単位としての外圧適応ということでしょうか。

『種の起源』によれば、
「同種の個体どうしはたがいに、あらゆる点でもっとも伯仲して競争することになるので、闘争は一般にそれらのあいだでもっとも厳しいものになろう。闘争は同種の変種間でもそれとほとんど同等にきびしく、同属の種間ではそれに次いだきびしさになるであろう。しかし闘争は、自然の階段できわめて遠く離れたもののあいだでも、しばしばひじょうにきびしいであろう。ある生物がどの齢あるいはどの季節においてでも、競争相手となるものに対してごく軽微な利点をもつなら、あるいはいかに軽度であっても周囲の物理的条件によりよく適応しているなら、それは天秤をかたむかせてその生物を優勢にするであろう。」
ということになります。

しかし、カンブリア紀の多様な生物の出現を考えるとき、果たして個体間の闘争と自然淘汰(自然選択)という概念が正しいのだろうかという疑問が生じます。漸進的な変化の積み重ねで、大爆発を説明できるでしょうか。少なくとも、個体間の闘争が最も激しいといえるでしょうか。

自然選択と考えた場合、自然環境の激変は選択条件が厳しくなることを意味しており、種は減っても多様化することにはなりません。その減少期をくぐりぬけた後の安定な環境における拡散適応だとすれば、可能性が開かれれば多様化する仕組みが内在していなければなりません。また、食物連鎖上で種間の関係に変化が生じた場合には、新たな生態系が構築できなければ、捕食上有利であっても生存できません。

発生の過程が、進化にとって重要であることは異論がないと思います。発生の機構が形態形成の枠組み決定し、形態変化を制約しているとすれば、大進化はこの発生機構の変化を伴うはずです。逆に、個体の変異と自然選択とは、従来の発生機構の枠内での変化しか対象にしていないようにも思えます。

個体間の闘争と自然選択による漸進的な進化というのは、あるていど安定な生態系がすでに存在する中で、食物連鎖や物質循環が大きく損なわれない範囲での変化を指しているに過ぎないのではないでしょうか。

石野潤

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