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2012年10月30日 (火)

関係性の崩壊

lgEは本来大型の寄生虫の感染に対抗する免疫的手段で、寄生虫を消化管から洗い流す役割りを担っていた。人間の免疫系を発達させた原因は,おそらく周囲にいる多くの微生物との日常的な戦いの結果だろう。しかし、免疫と微生物との戦いは,細菌やウイルスの侵入を,あるボーダーラインで抑え、微妙な共存関係を作り出すというもので、微生物の侵入を完全に拒否するものではなかった。

細菌との微妙な共存関係が急速に崩れていった。共存の拒否。それがアレルギー反応なのかもしれない。呼吸が止まって死ぬこともあるのに、それでも吸い込む事を拒否する喘息。体に必要な栄養源もすべて拒否し、まるで消化器そのものを洗い流してしまいそうな食物アレルギー、その異常なまでの拒否は何を意味しているのであろうか。

抗生物質の大量乱用だけに原因があるとは思わない。しかし,さまざまな細菌の微妙なバランス、生き物どうしの絶妙な関係性を、人間が壊したことは事実である。この地球には知られているものだけでも130万種を越す動物と30万種越す植物、そして細菌、ウイルスなどの多様な微生物が、微妙な共存関係のもとで生きている事を忘れると、とんでもない事になる。秩序の崩壊は、地球の生態系を滅ぼす前に、人間そのものを滅ぼす可能性のほうがはるかに高いのである。重要なのは、細菌やウイルスを拒否することではなく、共に生きていく方法を考えることである。…


>これまでの科学技術は生物離れをする事が開発の重要な動機であったといえます。自動車、飛行機、合成繊維…身近なものは皆,生物のもつ制約を乗り超えようとしたのが科学技術です。<

この生物離れをめざした人間の傲慢さに起因する事はほぼ間違いないように思います。自然の摂理に謀反を行なった結果、現在私は大変なアレルギーの苦しさの中に悶えています。

仙元清嗣

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