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2012年11月20日 (火)

HLA分子

免疫の話、突然変異の話、面白く読ませていただいています。

免疫学者の多田富雄の『生命の意味論』の中に、関連する面白い記述がありましたので、紹介させていただきます。

臓器や皮膚を移植した時の拒絶反応に関係しているといわれるのが、主要組織適合抗原ですが、略語でMHCと呼ばれています。このうち、例えばネズミではH-2、サルではRLA、人間ではHLAという略称です。

実は、人間の60 兆全ての細胞膜の上に、いわゆる「自己」の指標としてのHLAタンパクがつきだしいています。6種類のクラスⅠ抗原と6種類のクラスⅡ抗原から構成され、それぞれが多様な構造を持っているため、全てが同じという組み合わせは、他人では極めて希です。

人間の体を構成している様々なタンパク質は、個体によって違うわけではないのに、HLA分子だけは、例外的に著しい多型を持っています(親子でも兄弟でも組み合わせは勿論異なります)。移植の際の拒絶反応は、このHLAの違いを免疫のT細胞が認識することによって起こります。

この分子の構造を決めている遺伝子も特定されているのですが、本によると、HLAの多型は、この遺伝子の変異の蓄積により起こったと考えられているそうです。

>人類発生の頃に、すでにHLAの多型が存在していたらしいのである。

>ドイツの遺伝学者J・クライン博士の研究によると、(中略)、人間で見られるHLAの多型性に相当するものが、他の動物にも見られる。(中略)ということは、まだ人類というものが生まれる前から別の動物にすでに存在していた多型性を、人類発生と同時に受け継いだということになる。

中略

>言いかえれば多種多様のHLA遺伝子を引き継ぐほどの多数の個体が、突然人類に進化したことになる。


これをみると、「一個体が突然変異を起こし、その遺伝子が小集団の中で頻度を上げていった。それにより新しい形質が種に定着し、進化する」とする進化論の定説での説明は困難で、HLAの研究からは、交配可能なかなり多数の祖先が、一度にこの地球上に姿を現したということになります。

今西進化論を彷彿とさせる話ですよね

蘆原健吾 

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