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2012年12月 5日 (水)

免疫系に見られる認識、階層と構造について

私は過去、T細胞の認識について以下のように述べました。

>T細胞は、直接的には「非自己」なる異物を発見し、それと反応することはできない。「非自己」には見向きもしない。「非自己」は「自己」の中に入り込み、「自己」を「非自己」化するらしい。<

T細胞の認識は同類(マクロファージ)が違うものに変わったこと(抗原提示)を認識して初めて排除の指令をだすわけですが、>その意味では、同類(仲間)認識が第一であるというのはまさに根源的な認識として免疫系においても塗り重ねられていると思います。<

しかし、考えてみればなんと悠長(冗長)な認識ではないでしょうか。私は再度三つの点を押さえておきたいと思います。
第一に、根源的な認識は、同類(仲間)を受け入れるための認識であるということ。正確には、それは集団(内部環境・場)への受け入れである点。

第二に、免疫の認識系においても塗り重ねられている点。自然免疫から獲得免疫への塗り重ねは、脳における脳幹(延髄・橋・視床下部・視床)から大脳(基低核・辺縁系・新皮質)への塗り重ねや、C系(アドレナリン作動系)・B系(セロトニン作動系)・A系(ノルアドレナリン作動系、ドーパミン作動系)という神経系の塗り重ねにも通じる点であると思います。だから、実現論で言うところの、本能・共認・観念機能における認識機能も塗り重なっていると考えるべきでしょう。さらに、それは免疫系でも神経系でも、アナログ的な認識からデジタル的な認識への移行と見ることもできます。

第三に、例えば各要素(細胞)における大風呂敷的で、まるで冗長的な認識と、上位階層である集団の高度な認識との相違点。要素における認識と集団における認識と置き換えてもよいかと思いますが…。

例えば、異物が集団(内部環境・場)に受け入れられる。直接的にはマクロファージであったり、T細胞であったり…。敵と認識しての攻撃とはほど遠いものです。場合によっては、異物によってその細胞は死を迎える危険性(ひいては集団が死滅する危険性すらある)があるにも関わらずです。そして、要素の小さな動きとしてそれを排除するシグナルを出すと、そのシグナルは加速されて集団全体(集団としての認識)として排除に動きだします。抗体を作り特異的な動きが現れます。私は、これは次のように考えられるのではないかと思います。

なぜ、下部の要素において初めから特異的に排除しないのか。それは、集団(場)の生命体としての適応戦略の一つではないのかと思います。下部の階層において、さまざまなゆれ(ゆらぎ)を受け入れる(許容する)のは、集団が多様な変異可能性(活性)を孕むためではないでしょうか。もちろん、集団が破壊されるような揺れは制限されるでしょう。つまり、上の階層(場)の情報によって、それぞれの要素のゆらぎ(自由度、あるいは不安定性と捉えてもいいですが)は規定される(場の秩序つまり安定。場の絶対性)。しかし、逆にそのゆらぎゆえに上の階層の変わるうる可能性を持つ。つまり各要素に活性(不安定からくる揺動力)を持たせている。何らかの要因でそれが大きくなれば、場は一気に変わりうる可能性を持つ。ある意味ではこれが上の階層の持つゆらぎです。つまり免疫系のゆらぎです。生命体はそのようにして内部環境を絶えず変えていっている(つまり進化している)と思います。

吉国幹雄

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