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2012年12月11日 (火)

死の戦略

>古細菌は「自己と非自己の認識がうまくできなかった」からミトコンドリアという侵入者を免疫機能を働かせて退治しなかったのではなく、自然免疫で非自己(侵入者)と認識しながらも受け入れたという考え方の方がしっくりくるのではないでしょうか。<

私も、そうであったそれが(つまり受け入れていく)というのは基本的な戦略であったと思います。しかし、この意味を再度捉えなおすと違う意味が見えてくるのではないでしょうか。違う種である「ミトコンドリア(の祖先)」を細胞内に受け入れるということは、細胞内の秩序維持はとても大変だったというレベルではすまないでしょうね。マーギュリスの言う食い合いかどうかは別にしても、たとえば自らの遺伝子が変異すればその酵素が変わってくるそれを制御する遺伝子も変えないといけない、ところが他種の酵素が生み出されてくる…。これはとてもじゃないけど、普通は維持できませんね。だから、私はほとんどが「共生死」したのだと思います。「死」をかけてでも、受け入れ戦略をとったというのが正しい表現だと思います。それが、その古細菌にとっての最大の可能性収束だったのでしょうから。「死」が「生」の裏側にあります。

>ガン細胞の問題は複雑ですね。ガン細胞はもともと自己の健康な細胞が変化したものなのに、もともと仲間だった自己の細胞たちを死に至らしめるのですからね。< 

ガン細胞はどんどん増殖するから困るわけです。つまり、死なない細胞だから。免疫系のところで少し触れましたが、免疫とは確かに最終的には受け入れられない(協同作業できない)バクテリアやウィルスを殺す(排除する)ことですが、例えばこれらの病原菌が細胞内に入った場合は、その切れ端を細胞表面に掲げて免疫系に知らせるわけですが、それは何を意味するといえば、細胞ごと免疫系により殺されるわけです。つまり、細胞は個体を守るために死を選択していることになります(実際は選択ではなく、死のスイッチが入るというほうが的確かもしれませんが)。死ぬことによって生を全うしているといえますし、「死の戦略」を持っているがゆえに、適応しているともいえるでしょう。これは、DNAの修復機構でも見られることです。ここでは具体的な酵素名などはは省略しますが、修復不可能な場合は、細胞はDNAを切断されて死ぬことになります。修復の最大が「死」ということでしょうか。つまり、細胞「死」によって、個体を生へ導く最終の修復機構ということでしょう。がん細胞はその死の修復機能が働くなっている状態ということですね。一般にはこれらはアポトーシスの「生体防御」にあたるのですが、「死の戦略」は適応戦略において極めて重要な機構(機能)ではないかと思います。

吉国幹雄

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