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2012年12月 8日 (土)

有性生殖の機構について

>遺伝子組み替えの性としての多様性の獲得を実現しながらもオスかメスかの区分はあまり重要な意味を持ち得ていないように思えるからです<

私は、「性」の持つ適応戦略としての意味として、原核生物から真核生物までの共通性として「遺伝子組み替え」に注目し、直接的(直観的には)にはそれは多様性の獲得ということだろうと考えています。もちろんそれだけでは性分化の問題全ては語れないでしょうね。鈴木さんのおっしゃるように、特に爬虫類以降オスとメスとが完全に固定的に分かれていったのはなぜか、それはどのような戦略か、を押さえないといけないでしょうね。

>しかし、ほ乳類以降の系統の動物は様子が異なるように思います。
体内保育というメスの生殖負担の増大に伴い、オスであることメスであることの意味にはっきりとした違いを見てとれるようになります。オスメス分化と言った場合はこの意味合いの違い(種の中での役割の違い)に着目した戦略を指すように捉えています。<

実現論でも触れられているように、ほ乳類においては生殖負担の増大に伴いオスメスの分化が機能分化さらに役割分化というように、単に「多様性」だけでは片付けられない一面がありますね。しかし、逆に「生殖負担の増」という視点だけでは、現在の男女問題を押さえるためにもそれでは、男女の根源的(規定的)条件としては十分ではないのではないでしょうか。進化積層体としてオスメス分化(性分化)を捉えないと、極論ですが、「生殖負担の減」で男女差が小さくなって当然という主張にもなりかねないでしょうから…。その意味では、「遺伝子組み替えによる多様性の獲得」は原核生物から行われている極めて根源的な戦略ですから、まずこの点は十分に押さえておきたいと思っています。

でも、ご指摘の通りまだまだ一面的・蓋然的な捉え方に過ぎないと思います。まずは「有性生殖」という観点で、もう少しこの戦略の持つ意味、あるいはその影響を掘り下げてみたいと思います。

まず、ご存知の通り有性生殖では減数分裂という特殊な分裂を行います。このとき、前回指摘した遺伝子組み替えが起こるわけです。これは、まずDNAに切断が入り、DNAの組換え(交叉)を行った後で、再統合されます。複製や二倍体そして核分裂のところで修復機能についてよく議論されますが、実はここで働く酵素はDNAの修復酵素と共通するものが多いそうです。DNAの組換えの機構は、DNA修復機構から派生してきたものと考えられます。つまり、もともとは減数分裂の機構とは別なものということです。

そして、細菌にもF因子によるオスメス分化は見られるわけですから、オスメスの性分化とも別に減数分裂の機構は独立して獲得されたものといえるでしょう。実際に減数分裂はミジンコのような単為生殖でも見られますから。だから、現在の一般的な有性生殖の機構成立のためには、遺伝子組み替えと減数分裂とそして、「死の機構」が組み合わされて出来上がったと思われます。減数分裂と絡むところでは二倍体の問題が大きいとは思いますが、やはり「性」の「生」戦略を考える時を、「死」の戦略を考えざるを得ないだろうというのが私の考えです。

「死の機構」「死の戦略」については、また改めて述べたいと思います。

吉国幹雄

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