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2013年1月

2013年1月31日 (木)

統合されるべき

>「進化論」会議室より、認識論も絡むし、人間の脳の話にまでつながれば、脳の構造を理解した上での人間関係論・社会構造論にまでつながっていく可能性もあるので、より包括的なテーマ「科学論」の方でやるのはどうでしょうか?

「進化論」で、適応戦略としての認識機能の発達、という切り口でやってもよいのかもしれませんが、オスメス分化の話や、個体群としての適応戦略の問題も掘り下げてみなさんと議論してみたいな、とも思うので、脳の話は「科学論」の方に分離した方が分かりやすいのではないかと… <(15740

吉国さんから、「進化論のテーマを免疫系から神経系統に」という提案があってから、どのような切口が進化論に相応しいのかと考えていたのですが、なるほど確かに人間の脳に繋げれば、扱う分野もより広汎になっていって、全体像を扱うのには科学論的広さが要求されます。また、脳の問題は、それ故に現在の科学のあり方(問題)を論ずるのにこれほど適したテーマは無いとも言えるでしょう。

しかし脳には、極めて精密な分子機械という側面もあれば、現在のノイマン型コンピューターの限界を突破するニューロンコンピューターのモデル(情報処理システム)という位置付けもある。(もちろん、厄介な心(意識)の問題もあります。)

意識の問題については蘆原さんが言われるように、科学論が相応しいのかもしれません。けれども、もう一方で(生物学的な)神経回路の形成過程や神経細胞の進化過程(つまり脳の構造)という、脳を扱うのに切っても切り離せない事柄があります。もちろん単なる分子機械や、情報処理システムに還元するつもりは無いけれど、進化論ならではの議論というものも十分可能だし、むしろそうすることで、より統合された脳の実態に一歩でも近づけるのではないか、と思うのです。

したがって私は、人間の脳を扱うにしても、やはり科学論、進化論双方で取り上げるべきだろう、と考えているのですが。

進化論ではやはり神経細胞の始原あたりから始めざるを得ないのかもしれませんが、究極的にはそれらの論点も科学論で扱う人間の認識回路(脳)の問題として統合されるべきだろう、と思います。

2013年1月28日 (月)

有髄神経と無髄神経について>吉国さん

セロトニンの一連のシリーズは大変面白かったですね。
セロトニン分泌神経群が、内分泌細胞の性格を強く保持していて、脳の基底部で、生体の安定化、秩序化を担っているとの仮説に賛成です。但し、このセロトニン回路の発現と非発現をでは何が制御しているのか、外部からの刺激なのか、他の基底的なホルモン(例えば性ホルモン-また性を持ち出しましたが)なのか、この辺りが気になります。

本題は、有髄神経と無髄神経の位置付けについてです。
こちらも、有髄神経は『デジタル』的、無髄神経は『アナログ』的で、分かり易いと思います。

形態的にも、有髄神経は被覆されていて、軸索の側面からは余分な情報が関与せず、高速で末端のシナプスまで、誤りなく信号を送れるのですね。
運動神経の長いものは1メートルにも達するものがあり、途中で信号が途絶えたり、変わってしまったら大変ですね。有髄神経の利点は確かにスピードもありますが、どちらかと言うと、正確な信号を伝えるのが得意という方に注目いたしました。

一方、無髄神経は、軸索・神経線維が裸の状態ですので、他の神経細胞と混線するのですね。
それを、こう考えることもできます。混線するのを意識的に使っている。つまり、となりの神経線維との関係性を保持しているとの見方です。
>無髄神経(アナログ・色付き)
の段階として、神経細胞の協働作用で価値判断をしているとの見方です。

無髄神経は、神経細胞進化の位置からは、確か有髄神経より古い形態でしたね。だから、脳の基底部の神経群の中に、この無髄神経の一群があるのではないでしょうか。
「ガヤのホームページ」の池谷さんの『海馬』苔状繊維は、無髄神経のようです。池谷さんの見解はこうです。
>そして、この線維(海馬の苔状繊維)だけが生後に形成される理由は、より高次の可塑性を与えるためなのであろう。一般に形成された直後の線維は高い生理学的可塑性を示すし、なによりも、生後に次々と形成させることで神経回路の様態を大胆に変化させ構造学的可塑性を表現することが可能となる。しかも、苔状線維は興奮性神経であるにも関わらず例外的に無髄軸索である。ミエリン鞘は可塑性や再生の妨碍となることを考慮すれば、無髄軸索であるという点は高度な可塑性を発現するために極めて有利に作用すると言える。

ミジンコの例は、運動神経としての有髄神経があり、無髄神経が無いのでしょうか。それても、無髄神経の代わりに、分化以前の内分泌細胞が、その役目を担っているのでしょうか。

どうも、脊索動物以降について、中枢神経(脳)の基底部にどのような無髄神経群があるかを確認しないと、
>おそらく、徹底的に弱者である哺乳類は、有髄神経をさらに発達させて反射スピードを上げるという戦略ではなく、無髄神経(アナログ・色付き)を活用することによって、創発性(変異可能性)を高めるという戦略をとった、という見方ができるのではないかと思います。

とはなかなか言い難いかと思います。
或いは、内分泌細胞(特に性ホルモン系統)と無髄神経との組み合わせも気になります。いずれにしても、無髄神経の位置はおっしゃる通り重要だと思います。

無髄神経は、内分泌細胞(ホルモン分泌細胞)に、有髄神経に比して近いですから、私も精力的に調べて見たいと思います。

村田貞雄

2013年1月25日 (金)

有髄神経なのですが

このところ、仕事の忙しさと比例してこの進化論の会議室のテーマが面白くて、さすがに精力的な私も四苦八苦です。それはさておき、有髄神経について。

>髄鞘のある神経、つまり有髄神経は脊椎動物にしかありません。したがって、長谷川さんの質問にお答えしようとするなら、最古の脊椎動物とは何かという問題になります。<(17471、鈴木さん)

有髄神経、いわゆるグリア細胞がミエリンとなって、軸索を包み込んで絶縁した神経ということになるのですが、私も大脳の発達(基本的には下部は無髄神経で上部は有髄神経)から考えて、脊椎動物からかなと思っていましたが、以下のような記事がありました。『日経サイエンス』の記事です。以下の報告が最近あったと報じています。

「デービスらは、軸索がミエリンで包んである動物群を新たに発見した。甲殻類のカイアシ類で、ケンミジンコなどのグループだ。カイアシ類は世界中の海で最も大量にいる動物だ。彼らが繁殖した秘密の一つは、おそらく天敵からすばやく逃れられるからで、それはミエリンのある軸索のおかけで、神経伝達速度が速いからだろう」

有髄神経は、ミエリン(絶縁)が1mm間隔の隙間による「跳躍伝導」によって、確かに無髄神経より100倍ほど早くなるのですが、この点だけに注目すると「なぜ?」という答えは難しいかもしれません。(もちろん、軸索内の伝導スピードは普通の導線による伝導と同じで、その太さと長さによって変わりますので、同じ条件での無髄と有髄での比較である点も押さえておく必要がありますが…)

有髄神経に関して後二点を押さえておく必要があります。有髄神経になると、なぜかは省略しますが、「エネルギー効率がよくなる」という点と、「絶縁するので、他の軸索との混線が起こりにくくなる」という2点を押さえておく必要があります。

簡単にはデジタル化と同じと思えばよいでしょう。だから、有髄神経のコリン作動系にしても、ギャバ作動系にしても、いわゆるアミンのような快感物質のような「色付き」の伝達物質が不要で、スイッチon/offの機能が生命で、情報を変えずに速やかに伝達すること思えばいいわけです。

このように押さえておけば、「系統発生を無視して、塗り重ねではない?」とか、「無髄神経→有髄神経なのに、なぜ有髄神経が先にできているのだろう?」という問題そのもののの立て方を、逆転させる必要があるように思います。つまり、「なぜ、哺乳類は有髄神経を棄ててまで、あるいは利用せずに、無髄神経を利用したのか?」

おそらく、徹底的に弱者である哺乳類は、有髄神経をさらに発達させて反射スピードを上げるという戦略ではなく、無髄神経(アナログ・色付き)を活用することによって、創発性(変異可能性)を高めるという戦略をとった、という見方ができるのではないかと思います。
 

吉国幹雄

2013年1月22日 (火)

生物の一種としての人間

私も、現在の性規範がどうあるべきか、ということを考える前に、人類の多くがユダヤ・キリスト教の規範の影響を受ける以前の性規範についてや、本能として持っている人間の性の本質をもっとしりたいと思います。

いくら規範をつくっても、生物としての人間の本質とかけ離れたものだったら、充足できないし、結局受け入れられない、単なるお題目になってしまうでしょうから。

こういうことを言うと、「現代人は原始人とは違ってもっと高等だ」「知性も理性もあるので動物とは根本的に違う。だから動物のことは参考にならない」、「生物学的還元主義者だ!」と揶揄されることが多いのですが、私は、次のような根拠で、実現論で行われているように、始原人類、さらに遡ってサルの性のあり方を参考にしてみるのは、大いに意味のあることだと思っています。

最大の根拠は、ほ乳類の脳構造の共通性です。基本的に脳の構造は人類もサルも犬も猫もほぼ共通性です。

リンク

脳幹、小脳、中脳、視床、大脳辺縁系、このへんまでは脊椎動物でまして哺乳類であれば、大きさは違へどほとんど構造と働きは共通です。人間といえども、その古い(?)脳に、大脳新皮質という新しい脳がぬり重ねられてできているわけです(発生段階においてもそういう形成のされ方をします)。

大脳、特に前頭葉の発達が人間に顕著である、という点が特殊なだけです。

肉体の制御と生命の維持(自律神経)や、本能レベルの性欲、怒りやおびえなどの感情など、生命としての基本的な働き、私たちの欠乏や行動を陰で律しているのは、実はこの古い脳です。また、大脳新皮質で組み立てられた情報も、ほとんど全てが、この大脳辺縁系以下の古い脳にフィードバックされます。

「人間には知性がある、理性がある、社会性がある。だから動物とは全く違う」という言説をよく耳にしますが、知性も理性も脳のほんの表層での事であって、たいていは、原始の脳の欲求を後付で説明(言い訳?)しているに過ぎません。

古い脳から発せられる欠乏や情動の整序を行うのがもっぱら前頭葉の働きです。ゆえに、古い脳の影響を受けない純粋な理性など存在しないわけです。

未開部族と呼ばれている人々の多くは、たいてい、「自然に生かしてもらっている」という自然観・人間観を持っているのですが、どうもユダヤ・キリスト教以降、人間は他の生物から一線を画する特別な生き物だ(神に似せて創造された特別な存在)という人間観が無意識に前提とされているような気がしてなりません。それが、過剰に人間の理性を特別視する価値観に繋がっているのではないでしょうか。

ちょっと話がそれましたが、ユダヤ・キリスト教では、「セックスは罪」とされています。徹底的に性を抑圧対象とするこの価値観は、高樋さんがこの掲示板で指摘されている<廃用萎縮>を進めていったのではないかと容易に推定されます。<廃用萎縮>はすでに2000年以上前から起こっているのではないか?この仮説にたつとすると、ユダヤ・キリスト教の影響を受ける前の性に対する捉え方を見直してみることが、非常に重要な意味を持ってくると思うのです。みなさんはどうお考えになりますか?

蘆原健吾

2013年1月19日 (土)

セロトニンの不思議

日経サイエンス別冊の「進化する脳」で紹介されている記事です。

「ローリらは、セロトニンが霊長類の世界で、社会的地位と密接な関係があることを示した。群れ(社会集団)の中の雄のベルベットモンキーを研究したところ、5-HIAAというセロトニン代謝産物が低レベルのサルは地位が低いことが分かった。驚くべきことに、シナプス間のセロトニン濃度を高めるような薬をサルに与えたところ、そのサルの社会的地位にも影響を及ぼした。」

「数週間続いた一連の実験の間、雄の地位が変わる前には、決まって雌ザルとの付き合い方に変化が見られた。セロトニンを増やす薬を与えられた雄ザルは、雌ザルとのグルーミングによる交流がより頻繁になり、それに続いて、雌からの支持を得て、地位が高くなった。逆にセロトニンを減らす薬を与えられた雄ザルは、…(上記の反対で、引用者による省略)。地位の低い従属的なサルは興奮しやすく、他のサルに殴りかかることも多かった。」

要は、セロトニンが多いサルは社会(もちろんまず雌)に受け入れられて上位に立つが、そうでないサルは反社会的行動をおこしやすいということなのですが…。この手の報告には絶えず注意が必要で、サルがどのような環境(外部・内部)にあるのか、他の種のサルではどうであったのかなどなどの問題と、観察者の価値観(固定観念)の投影の問題がありますから。

ただ、この実験を一応現象的に認めるとして、また前回のセロトニンの基本的な働き「安定化(秩序化)ホルモン」であると考えた場合に、セロトニンの不足が活性状態(興奮状態)を作り出すことは予想されることです。セロトニンによる調節力が弱まれば、刺激が強くなり、危険と好機の両方に対する感受性がたかまる。

そして、感受性が強まると、不安やストレスなどを引き起こし、現代病といわれる、抑うつなどの気分傷害に繋がるのでしょう。おそらく、うつ状態とそう状態はセロトニン分泌の減少の程度によると私は思います。これは、一種のホメオスタシスではないかと思います。抑制物質が極端に少ないとそれを増やそうと興奮(活性)物質一気に増える。そんな関係ではないかと思います。

見方を変えれば、危機状況に対してはアドレナリン系の活性物質が働くと思いますが、それを誘導するのがセロトニンの減少ではないでしょうか。おそらく、これほどに古くから存在し現存する動物でも中枢で作動する根源的なホルモンであるセロトニン。
いまだ働いているということからも、進化と直結する働き、安定と活性に深く関わってきたのでしょう。そうすると、集団や社会の危機状況にあっては、集団としても個体としても、総体としてセロトニンが減少してくるというのは容易に予測されます。

そう考えれば、現代病は個体としては幼児期の親和欠損など子育ての問題によるところに原因を求められるかもしれませんが、種として見た時に、これほど、現代人が「うつ気質」になっていることは、まさに危機状況に瀕しているからと捉えられるのではないでしょうか。
だから、この現代病の現象からは、あとは危機逃避の回路が開くのを待つばかりということなのですが…。種々の問題はあるでしょうが、私はパラダイムシフトの期は熟してきたように思えます。

吉国幹雄

2013年1月16日 (水)

意識的な腹式呼吸

私も小さい時は小児喘息で、母親は今でも喘息で苦しみ、そして我が娘も医者から喘息の薬をもらって毎日飲んでいます。

毎日多量の薬を飲んでいる娘を見て、これでいいのかと思いながら、かかりつけの医者に「まだ、飲まないといけないのか」と尋ねると、「腹式呼吸が意識してできるまでは」とのこと。
小さい子は、喘息体操や呼吸法などを教えられても、なかなか自分でできるようにならないが、腹式呼吸がしっかりできる年齢になり、それができる体力がつけば薬がなくても、小児喘息は卒業できるということらしい。子供のアレルギー性疾患に対しては有名な先生みたいですから、この「腹式呼吸」は、学会でも広く認められ、勧められているようです。もっとも、山名さんも言われているように、年とってからは、そう簡単にはいかないようですね。この病気の原因解明は、とても重要だと思うのですが、腹式呼吸に関連して少し…。

>宝彩有菜さんの説によると、喘息とは呼吸にとって重要な役割を担っている横隔膜が萎えてきたために、身体がその危機を察知して、自ら横隔膜を鍛えるために起こしたものらしいのです。そして、横隔膜を使った呼吸、つまり腹式呼吸を意識的に行うことで喘息は克服できるそうです。<(16628

宝彩有菜さんのページを見ていると、マイナス思考に陥りがちの時に、プラス的な見かたを与えてくれる元気の出るサイトですね。中国(東洋)の両面主義(陰陽説)にも通じるかな、と思いながら見ていたのですが…。ただ、「腹式呼吸」が喘息を押さえるのか、「腹式呼吸」を意識することが喘息を押さえるのか、微妙かなと思いました。(おそらく実際は、相互効果だと思います)。

このプラス思考は、「不全というマイナス」があったとしても、人間の内部からプラス側に捉えていく(観念操作してマイナスをプラスに置き換える)ことで、自己治癒力を高め、病気を突破していくということでしょうね。見方を変えると、大脳(神経系)から免疫系への働きかけが本能行動(腹式呼吸)を意識的に行うことで、可能ということでしょうかね。

吉国幹雄

2013年1月13日 (日)

動く理由は沢山あるが、絶対的な必要性は生殖に有る(本文)

神経細胞はよりシャープに動く為としましたが、では、シャープな行動とは、どんな行動かが、次に問題になりますね。

捕食動物を考えて見ます。捕食の相手が、動かない藻類よりは、動く大腸菌の方がよりシャープな行動を要求するでしょう。前回、紹介しました線虫は大腸菌を餌としています。一旦捕食動物が、神経細胞を分化させると、被捕食動物の方も、神経細胞を分化しないと逃げれませんから、こちらも神経細胞の段階に入っていく。
捕食本能と危機回避本能と呼べるものが、神経回路の上に成立する。

一方、神経細胞を分化させた『八目うなぎ』です。この八目うなぎの行動に注目すると、大変面白いパターンがあります。幼生から成体になるまでは、頭だけを海水中に出し、胴体は砂の中で、じっと動かずに、ひたすら海水を飲み込み、海水中のプランクトンを集めて、成長していきます。これは、『食の相』です。この捕食様式は、神経細胞をもたない動物にも共通します。
そして、成体にまで成長した八目うなぎが、砂からでて動き出します。この動く方法は、口を使って岩に吸い付き吸い付き、移動して行きます。移動して何をするかというと、オス、メスが産卵に適した岩の窪みを見つけ、卵子、精子を放出して、生殖が行われます。『性の相』と云えます。この、海底を動く段階では、口は移動器官ですので、餌はもう食べません。胃腸も既にずたずたになって、生殖器が最大化します。

つまり、八目うなぎの行動(その為の神経細胞)は、生殖のためにこそ用意される。当然、同類のメス(オス)を知覚する機能もその一部ではないかと思いますが。
生殖本能と呼べるものが、神経回路の上に成立する。

神経細胞、細胞ネットワークを高度化したのは、生殖行動の高度化、生殖本能の固定化がその理由ではないかと仮説を立てて見たいと思います。

なお、生まれた川に回帰してくる、サケを見ても、稚魚の段階は、川の流れに沿って、海流の流れに沿って、回遊し成長していくが、生殖段階を迎えると、延々と故郷の川を目指して(海流に逆らい、川の流れをさかのぼって)、回帰してきます。この行動を保証できるのが、神経ネットワーク・サケの脳ではないかという視点です。

村田貞雄 

2013年1月10日 (木)

免疫系と神経系の関係

脳の話で盛り上がってきましたね。神経系の進化という適応戦略(機能)の本質を明らかにするのは、とても面白いですが大変ですね。脳のことがまだまだ分かってない部分が多いですから…。でも、ほんのちょっとこの会議室から離れていた間に、本当に参考になるデータや疑問点の発掘など、かなり挙げられてきましたね。

ロムさせていただきながら、まず妙に引っかかったのが免疫系と神経系の関係。石野さんが紹介された利根川進も最近では脳の方の研究にシフトしているようですが、この免疫系と神経系はいったいどんな関係があるのか。どのような戦略上(機能上)の共通点と相違点を持っているのか、そんな疑問です。対比することで、脳の本質が鮮明になってくるのではないかと思います。この問題意識を持って、考えていこうと思っています。先ずは、思いつくままに。

>人間の手の組織(水掻きがアポトーシスでなくなっていく)や、骨髄で大量につくられた免疫細胞が、胸腺で選別されごく一部だけが血中に出ていく、といったような事例を思い出しました。<(16613)

先ず、免疫系も神経系も、情報伝達系としては、サイトカインや神経伝達物質などのホルモン様物質を使っていて極めて近似しています。ただし、神経系はニューロン内は電気的信号を使っています。また、非常に似た構造(鍵と鍵穴)をミクロな部分(神経系ならシナプス)で持っています。さらに、免疫系も神経系も遺伝子によって全てが決定されているわけではありません。つまり、個体レベルで遺伝しない部分を多く持ち、個体発生から成長するにつれ、免疫系も神経系も発達していきますし、それゆえに個体変異は大きくなっていきます。

それに対して大きな違いとして、免疫系には脳のような中枢部分がないという点が先ず上げられるのではないかと思います。 胸腺は蘆原さんのおっしゃるように教育機関だと思いますし、免疫系の維持に重要な働きをもっていることは事実でしょう。が、免疫の記憶や統合を行っているわけではありません。(もっとも、胸腺の重要性は最近見直されてきて、またこれも研究途上ということらしいですが)。

中枢部分というと神経系では脳ということでしょうから、神経系は統合機能を獲得したが、免疫系は統合機能を持たないということでしょうか。

また、働きはどうでしょうか。外圧適応態という視点で捕らえると、免疫系は外部環境からの防衛に大きな役割を持ち、神経系は外部環境への適応(働きかけ)に大きな役割があるように思います。(神経系の内部の統合は、おそらくそのためにあるのではないでしょうか)

吉国幹雄

2013年1月 7日 (月)

医療の問題に関する諸相

>以上のことから判断する限り、予防接種はホメオパシー療法のような自然治癒力を前提とした療法とはちょっと違うように思います。健康な体にわざわざ予防のためといって病原体を注入するのですから。本来、人間がその病原体に対して自然に対抗するはずの機会を摘み取っているのですから、かえって自然治癒力を弱めているように思われます。(16407)

近代医療に対して自然治癒というような対比での議論が進んでいるようですが、いくつかの微妙な問題を孕んでいるように思います。

例えば、ホメオパシーがレメディーにより刺激をうけた自然治癒力によるという意味ではワクチンと同じだと思われます。基本的に免疫機能を生かした治療なのか、病原菌を殺傷する治療なのかという問題です。これを象徴化して言えば、抗生物質かワクチンかというような対比における問題群です。

また、ホメオパシーの治療例では砒素、硝酸銀など結構あぶなそうなものも使っています。例えばアトピー性皮膚炎の治療例では、必須脂肪酸、ビタミンA、亜鉛、ビタミンC、ハーブなどが上がっていました。つい最近の人工ビタミンCの摂取が果たして有効なのか?という議論が思い出されるところです。これはワクチンの合成にも関わるところです。第二点目を象徴化すると、漢方薬(生薬)か合成薬品かというような領域の問題です。

さらに、ワクチンの合成が必要なのは大量の対象に投与可能な必要から生じているともいえます。予防接種とはその最も大きい需要を構成しています。以前紹介した、野口晴哉が「大病する体は風邪をまめにひかない。」というように、風邪を引くことで、少しづつ免疫機能が育っていきます。インフルエンザに予防接種が必要なのか?でも、ポリオには必要なのかもしれない、という価値判断にかかわる問題です。

進化の過程で積み重ねられた免疫機能は、それこそ天文学的な試行錯誤の上に蓄積されています。近代医学や薬品の開発などその足元にも及ばないだろうという点は事実でしょう。癌やエイズもそのような免疫機能によってしか、またはそれを生かす治療や薬剤によってしか果たせないのかもしれません。丸山ワクチンもそのような予感を支持します。

しかし、問題をインフルエンザの予防接種に絞るならば、3点目の価値判断の問題が最も大きいように思われます。現代の家庭は、不快なるものを徹底的に排除してきました。抗菌や除菌ブームが象徴かもしれません。そして、母親自身の病気の苦しみの排除、病気にかかった子供の看病の排除といったものが、公的には実施されなくなったインフルエンザの予防接種を存続させているのではないでしょうか。

石野潤

2013年1月 4日 (金)

快と不快

快感情報や嫌悪情報は大脳皮質や海馬と密接な関わりについて、詳しくみていきます。

記憶装置である海馬の隣に「扁桃体」という小さな球体があります。大脳辺縁系の下部に位置していて、好き・嫌い、快・不快といった感情をつかさどる器官といわれていますが、実はもうひとつ別な働きがあり、それが快感中枢や嫌悪中枢に密接に関係しているのです。

扁桃体は大脳皮質と快感中枢・嫌悪中枢の中継点にあって、快感中枢や嫌悪中枢で感じとった快感情報や嫌悪情報を大脳皮質に送りこむ際に、調整・整理を担っています。

先ほどの漢方薬の例でいくと、「体によい」という大脳皮質からの情報と、快感中枢・嫌悪中枢で感じる「まずい」という感覚が扁桃体でミックスされます。そして、大脳皮質が「これは体によいのだ」と言ったときに、扁桃体では今後この情報が来たら快感中枢が働くのだぞというようにルールを作り、快感中枢・嫌悪中枢に命ずる働きをするのです。

つまり、感覚体験を学習するうえで、結局どういう処理をするのかを決定し、再び同様の体験をしたときに無意識で情報処理ができる役割を持っているのが扁桃体なのです。

海馬や扁桃体は人間以外にもあります。ただ、大脳の質や量の多さは人間特有です。これが、快感中枢や嫌悪中枢の感覚の多様性を人間に与えています。

また、快感感覚と嫌悪感覚には個人差があり、経験学習(神経細胞に刻まれた記憶や体験、生活環境、コンプレックス、時代背景など)と遺伝(性格、気質など)がその個人差を生み出す要因となっています。

参考文献:「自己治癒力を高める」、川村則行著、講談社ブルーバックス(1998)

****************************

大脳皮質と扁桃体(大脳辺縁系)と快感中枢・嫌悪中枢(脳幹)には上下関係があるようですね。そして、その上下関係は古い脳(下)→新しい脳(上)という流れでもあります。新しい高度な機能を獲得していく過程で、古い機能を制御していくようになったのでしょう。

端野芳

2013年1月 1日 (火)

行き詰まったら、事実に戻ってみたらどうでしょう?・・『メスの性機能発達』

それではサルのメスは、縄張り闘争のかわりにどんな役割を担っていたんだろうということになりなす。そこで、注目すべき現象事実としては、他の哺乳類は発情期というものが決まっており、その時期以外は発情しないという現象事実があります。

これは、過酷な外的闘争や縄張り闘争のなかで、メスもそれを担う哺乳類では、生殖負担の軽減の為に当然必要な戦略だったのではないかと思っています。

それに対してサルの場合は(人間も同じですが)年中発情します。また、他の哺乳対にくらべ性器がかなり発達しているという事実もあります。子孫のを残すためだけの性行為ならばこんな長期にわたって発情している必要はありません。

これらの現象事実と、近縁で共通点の多い人類の性をと重ね合わせながら(逆に人類の性や共認機能の原点がここにあるとも言えますが)、メスの役割は過酷な縄張り闘争をになうオスを癒すため、『性・・期待と応望を含めた広い概念』を提供することだったと考えています。

そしてそれは(女性の方は非常に具体的にわかるらしいですが)

>戦えないから、それ以外で果せる役割やオスからの期待=充足の可能性を探ってそこに収束した結果、性的役割を強化したのではないでしょうか。相手の充足が自分の充足でもあるからこそ、充足を求めてその方向へ向かっていったと思います。 (11718 )

という方向でメスにとっても必然性があったのであり、人間にたとえると、『生きるために自らを犠牲にして』というような状態ではなかったと考えています。そして、これらの仮説は自我私権のからむ観念論以外からは、大きく反証が出ていないので、現段階での事実として認めているところです。

余談ですが、最近の女性は上記の内容を直感的に理解し、女性のプラス部分(幸せ)だと考えている人が増えています。一昔前の、なんかおかしい男女同権論を主張していた世代には少なかったように思いますが。

本田真吾

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