セロトニンの一連のシリーズは大変面白かったですね。 セロトニン分泌神経群が、内分泌細胞の性格を強く保持していて、脳の基底部で、生体の安定化、秩序化を担っているとの仮説に賛成です。但し、このセロトニン回路の発現と非発現をでは何が制御しているのか、外部からの刺激なのか、他の基底的なホルモン(例えば性ホルモン-また性を持ち出しましたが)なのか、この辺りが気になります。
本題は、有髄神経と無髄神経の位置付けについてです。 こちらも、有髄神経は『デジタル』的、無髄神経は『アナログ』的で、分かり易いと思います。
形態的にも、有髄神経は被覆されていて、軸索の側面からは余分な情報が関与せず、高速で末端のシナプスまで、誤りなく信号を送れるのですね。 運動神経の長いものは1メートルにも達するものがあり、途中で信号が途絶えたり、変わってしまったら大変ですね。有髄神経の利点は確かにスピードもありますが、どちらかと言うと、正確な信号を伝えるのが得意という方に注目いたしました。
一方、無髄神経は、軸索・神経線維が裸の状態ですので、他の神経細胞と混線するのですね。 それを、こう考えることもできます。混線するのを意識的に使っている。つまり、となりの神経線維との関係性を保持しているとの見方です。 >無髄神経(アナログ・色付き) の段階として、神経細胞の協働作用で価値判断をしているとの見方です。
無髄神経は、神経細胞進化の位置からは、確か有髄神経より古い形態でしたね。だから、脳の基底部の神経群の中に、この無髄神経の一群があるのではないでしょうか。 「ガヤのホームページ」の池谷さんの『海馬』苔状繊維は、無髄神経のようです。池谷さんの見解はこうです。 >そして、この線維(海馬の苔状繊維)だけが生後に形成される理由は、より高次の可塑性を与えるためなのであろう。一般に形成された直後の線維は高い生理学的可塑性を示すし、なによりも、生後に次々と形成させることで神経回路の様態を大胆に変化させ構造学的可塑性を表現することが可能となる。しかも、苔状線維は興奮性神経であるにも関わらず例外的に無髄軸索である。ミエリン鞘は可塑性や再生の妨碍となることを考慮すれば、無髄軸索であるという点は高度な可塑性を発現するために極めて有利に作用すると言える。
ミジンコの例は、運動神経としての有髄神経があり、無髄神経が無いのでしょうか。それても、無髄神経の代わりに、分化以前の内分泌細胞が、その役目を担っているのでしょうか。
どうも、脊索動物以降について、中枢神経(脳)の基底部にどのような無髄神経群があるかを確認しないと、 >おそらく、徹底的に弱者である哺乳類は、有髄神経をさらに発達させて反射スピードを上げるという戦略ではなく、無髄神経(アナログ・色付き)を活用することによって、創発性(変異可能性)を高めるという戦略をとった、という見方ができるのではないかと思います。
とはなかなか言い難いかと思います。 或いは、内分泌細胞(特に性ホルモン系統)と無髄神経との組み合わせも気になります。いずれにしても、無髄神経の位置はおっしゃる通り重要だと思います。
無髄神経は、内分泌細胞(ホルモン分泌細胞)に、有髄神経に比して近いですから、私も精力的に調べて見たいと思います。 |
村田貞雄 |
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