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2013年1月25日 (金)

有髄神経なのですが

このところ、仕事の忙しさと比例してこの進化論の会議室のテーマが面白くて、さすがに精力的な私も四苦八苦です。それはさておき、有髄神経について。

>髄鞘のある神経、つまり有髄神経は脊椎動物にしかありません。したがって、長谷川さんの質問にお答えしようとするなら、最古の脊椎動物とは何かという問題になります。<(17471、鈴木さん)

有髄神経、いわゆるグリア細胞がミエリンとなって、軸索を包み込んで絶縁した神経ということになるのですが、私も大脳の発達(基本的には下部は無髄神経で上部は有髄神経)から考えて、脊椎動物からかなと思っていましたが、以下のような記事がありました。『日経サイエンス』の記事です。以下の報告が最近あったと報じています。

「デービスらは、軸索がミエリンで包んである動物群を新たに発見した。甲殻類のカイアシ類で、ケンミジンコなどのグループだ。カイアシ類は世界中の海で最も大量にいる動物だ。彼らが繁殖した秘密の一つは、おそらく天敵からすばやく逃れられるからで、それはミエリンのある軸索のおかけで、神経伝達速度が速いからだろう」

有髄神経は、ミエリン(絶縁)が1mm間隔の隙間による「跳躍伝導」によって、確かに無髄神経より100倍ほど早くなるのですが、この点だけに注目すると「なぜ?」という答えは難しいかもしれません。(もちろん、軸索内の伝導スピードは普通の導線による伝導と同じで、その太さと長さによって変わりますので、同じ条件での無髄と有髄での比較である点も押さえておく必要がありますが…)

有髄神経に関して後二点を押さえておく必要があります。有髄神経になると、なぜかは省略しますが、「エネルギー効率がよくなる」という点と、「絶縁するので、他の軸索との混線が起こりにくくなる」という2点を押さえておく必要があります。

簡単にはデジタル化と同じと思えばよいでしょう。だから、有髄神経のコリン作動系にしても、ギャバ作動系にしても、いわゆるアミンのような快感物質のような「色付き」の伝達物質が不要で、スイッチon/offの機能が生命で、情報を変えずに速やかに伝達すること思えばいいわけです。

このように押さえておけば、「系統発生を無視して、塗り重ねではない?」とか、「無髄神経→有髄神経なのに、なぜ有髄神経が先にできているのだろう?」という問題そのもののの立て方を、逆転させる必要があるように思います。つまり、「なぜ、哺乳類は有髄神経を棄ててまで、あるいは利用せずに、無髄神経を利用したのか?」

おそらく、徹底的に弱者である哺乳類は、有髄神経をさらに発達させて反射スピードを上げるという戦略ではなく、無髄神経(アナログ・色付き)を活用することによって、創発性(変異可能性)を高めるという戦略をとった、という見方ができるのではないかと思います。
 

吉国幹雄

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