« 群れの秩序維持・序列の共認 | トップページ | 群れは外圧によって規定される 1:淘汰適応 »

2013年2月15日 (金)

なぜ進入してきたウィルスは「意識」されないのか

対敵闘争は生物が適応していくためには最大の外圧であり、その敵情報は何よりも優先する外部情報であるように思います。現在の人類にとって最大の外敵はウィルスではないでしょうか。しかし、私たちはウィルスの進入はもちろんのこと、その存在を意識することができません。
もちろん、私たちは消化管などで起こる内部情報は自律神経で制御しているとはいえ、意識することはできません。しかし、大脳という中枢神経において敵の状況を意識できないというのは、不思議な気がします。

以前私は16632

>外圧適応態という視点で捕らえると、免疫系は外部環境からの防衛に大きな役割を持ち、神経系は外部環境への適応(働きかけ)に大きな役割があるように思います。<

と述べましたが、ウィルスという困難な外敵に対して免疫系が働いているのは事実であるし、いったいなぜ意識できないのでしょうか?

この間進化論の会議室で、脳内の神経伝達物質のいくつかを取り出して検討してきました。ここで、改めて免疫系と脳の関係について再考察。オキシトシンの神経分泌で触れたように、実は神経系は免疫系へ影響(拘束)を与えています。そしてこれは、おそらく大脳皮質発で視床下部を介して作用を発現しているものと考えられます。

また、重要なこととして、免疫細胞がそれ自身で脳のホルモンと同じペプチドを分泌するし、免疫細胞の表面には脳のホルモンと結合する受容体があること、免疫細胞で分泌された特殊物質、たとえばインターロイキンが脳に作用すること(脳内には16644で触れたようにサイトカインネットワークという免疫系が存在しています)、加えて、免疫系の中心器官である胸腺がホルモンと分泌し、これが脳に働くこともわかってきました…。
確かに、風邪を引いて発熱したり、筋肉が痛いなどの症状は、免疫細胞の分泌が脳に働いておきるものですね。このような免疫系と神経系の密接なやり取り関係。まとめてみると、次のようなことになるのではないでしょうか。

ウィルス情報は外部からの進入情報なのですが、たとえば体内にあって一番外部と接触しているのが消化管(消化管内部は外部環境)であり、これを自律神経が内部情報として認知して刺激に対して反応していることからも、内部情報として考えた方がよいと思われます。意識は外部情報として取り出すあるいは内部情報と外部情報とをつき合わせて初めて働くものではないかと思われます。これが、神経系は外部適応のための働きかけ(=外部情報の集約と反応)にその大きな役割(機能)を持ち、免疫系(とホルモン系)は外部からの防衛のため(=内部情報伝達と反応)にその役割を持つのでしょう。そして、<免疫系→神経系→免疫系>の処理は、免疫系に中枢がないのではなく、戦うための司令塔としてやはり大脳皮質に依存していると思われます。人類の脳が、体とこころの一致、内部と外部の情報集約統合という側面を改めて感じさせます。

しかし、そう考えるとなぜ内部情報はそのままでは意識されないのか、という問題が登場します。が、この問題についてはまた後日いつか考えて投稿させていただきます。本能・共認回路はなぜ意識(ここでは顕在意識)されないのか、と同義の問題だと思いますので。
 

吉国幹雄

« 群れの秩序維持・序列の共認 | トップページ | 群れは外圧によって規定される 1:淘汰適応 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: なぜ進入してきたウィルスは「意識」されないのか:

« 群れの秩序維持・序列の共認 | トップページ | 群れは外圧によって規定される 1:淘汰適応 »

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ お勧めサイトランキングへ
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カウンター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ