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2013年3月23日 (土)

聴覚、視覚の発達①

霊長類や人類についての結論は納得なのですが、ちょっと前に戻って慎重に検証してみましょう。

「サル時代」の会議室で、北村さんが詳しく説明してくれていますが、もう一度。

約2億年前に哺乳類の祖先が爬虫類から分かれた頃、地球は恐竜の全盛期でした。

恐竜は昼間に行動し、視覚に依存した生活をしていたと推定されます。一方、哺乳類の祖先である哺乳類様爬虫類は、体も小さく大きな爬虫類に太刀打ちできるような力を持っていなかったので、恐竜達が行動しない夜間に行動することによってかろうじて生き延びていたでしょう。

夜間行動でより重要になった感覚機能は、聴覚と嗅覚であったでしょう。実際、哺乳類の聴覚器官は爬虫類にはない構造を獲得しています。

*爬虫類では鐙(あぶみ)骨1つであった耳小骨が,哺乳類では,砧(きぬた)骨と槌(つち)骨を加え3つになっています。さらに鼓膜は外耳道の奥に移動し,微妙な音を聴くことが可能になりました。

夜行生活への適応と聴覚情報処理の発達が初期の哺乳類の大脳皮質の拡大の要因となったと推定されます。

 人や猿の祖先であるネズミの仲間達も夜行性で聴覚と嗅覚の発達した動物だったと考えられます。

しかし、人や猿は視覚が優位です。それまでの発達には、次のようなことが考えられます。

原猿には夜行性のもの多いですが、真猿より進化したサルの殆どは昼行性です。霊長類に繋がる系統は、樹上という天敵のいない環境で、昼行性に移行したものと思われます。ゆえに視覚が重要性を増します。

また、樹上での生活は、生活空間が高さ方向にも広がり、3次元となります。木の枝から枝へと移動するためには正確な空間的位置の判断を要求されます。

サルの両目は、肉食獣と同じく前向きについていますが、遠近感を正確に認識するには必修の条件です。

また木の枝は、風で揺れ動き、あるいは動物の重みで揺れ動きますが、目で見た動きの正確な判断、将来の枝の位置の予測が必要です。

まずは、このような条件が、視覚優位の認識形態を生みだしたのだと考えられます。

おそらく、これらの情報処理力や認識機能を「相手・仲間を注視する」という方向に転用して共認が発達し、それが視覚機能をさらに少し発展させた、といったところなのではないでしょうか。

言葉を用いるようになった人類は、共認のために聴覚刺激に対する認識力が大幅に上昇したと考えてしまいますが、実際はそれほどでもなく、聴覚に関連した大脳皮質の領域は側頭葉の上部に限られています。脳の大きな領域が視覚情報処理に充てられてると考えられます(アカゲザルでは55%。人間のデータは不明ですがかなり大きな領域と考えられます)。

蘆原健吾

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