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2013年3月 5日 (火)

聞いて解るということ

>現実には網膜上に落ちた光のエネルギーを微小で膨大な数の神経細胞がそれを刺激として捉えるところからしか始まりません。(中略)見えるということは、その情報が脳によりより高次の処理され、かつ過去記憶との何らかの対比による判断で頭の中で像を結ぶことであり、だれにも共通する絶対的な客観像というのはありえないのだ、と思っています。(18150本田さん)

聴覚についても、同様のことが言えると思います。有毛細胞は固有の周波数に応答し、蝸牛神経の1側には約3万本の繊維が含まれ、高音から低音へと順序良く並んでいます。しかし、視覚同様、その情報が脳により処理され、記憶や内部情報との突合せによって認識されているのだろうと思います。

特に聴覚神経の場合は、毛の運動に一致して細胞底部のシナプスから伝達物質の放出が起こりますが、この部位には脳からの抑制性繊維がきており、両者の総和の影響で脳に向けて情報が送り出されます。入力の初期段階から一定の絞込みが行われていると言えるかもしれません。

少なくとも、自然現象や他の生物を認識する際に、単一の周波数の音などというのは、存在しません。言語の理解に至っては、ヒトによって周波数も波形も違う発声を聞き分けていることになります。

初期哺乳類が視覚以上に聴覚を発達させる必要があったからか、哺乳類の聴覚の可聴範囲は動物の中で最も広くなっています。コウモリは音の反響で障害物を認識し、真っ暗の中でも0.2mmの金属線を避けて飛ぶことができます。これに対して、霊長類の可聴範囲は哺乳類の中では狭くなっています。かつ、ヒトの場合は、中心的に使う1000~2000Hzの繊維が最も多くなっています。

ヒトの聴覚にとって最も重要な働きが言語の理解であるように、霊長類にとっては同類他者の発する音に集中的に働くようになっています。そして、後頭葉にある視覚の一次中枢と側頭葉の聴覚の一次中枢との中間に、両者の情報の波が突き合わされて処理される位置に、感覚性の言語中枢があります。

共認動物たる霊長類にとっては、より広範な外部情報を犠牲にしても同類の情報をより精緻に統合する必要があったのだろうし、内部情報と重ね合わせる必要があったのではないでしょうか。

石野潤

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