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2013年3月17日 (日)

ドーパミンとプラス収束

久しぶりに「進化論カテ」に参加させていただきます。

 以下は、詳しい実験環境が不明ですが、斎藤さんの仮説を検証するうえで参考になるかと思い、掲載しました。

>生理学者が行動中の動物の脳に電極を刺してどんなときにドーパミンニューロンが活動しているかを調べてみたところ、ドーパミンニューロンは行動の動機付けに関連して活動を増すことがわかってきました。私たちのまわりで起こるさまざまな出来事がいいことであれ、いやで危険なことであれ、とにかく自分にとって意味があって、何らかの行動を引き起こすような場合には必ずドーパミンニューロンが活動しています。つまり、私たちは周囲の環境に適応し、学習しながら、生活するすべを会得していきます。言ってみれば人生は学習の連続です。ドーパミンはそのような学習の強化因子として働いているのです。<(青崎敏彦;(財)東京都老人総合研究所・自律神経部門長:専門は大脳基底核関連疾患の病態)

 「動物」というのが霊長類なのか一般の哺乳類なのかも不明だし、動物実験から人間の学習に話が飛躍するのもちょっと「?」なのですが、行動生理学という視点からドーパミンニューロンの活性を調べると、日常行動の直前の動機因子がドーパミンだという解釈です。

 ここで斎藤さんの言う>プラスを察知したときに行動の原動力になるような働きをドーパミン神経回路はしているのではないでしょうか。<(Msg:20307)ですが、まず『行動の原動力』という部分は上記の青崎博士の記述と一致するので、まず間違いないと思われます。

 次に『プラスを察知したとき』という部分ですが、霊長類以前の哺乳類はドーパミン依存度が低く、危機対応行動の動機因子としてはアドレナリンやノルアドレナリンが働いていると推測できるのですが、斎藤さんのMsg:20306のマウスにコンデンスミルクを与える実験では、捕食行動の前にはドーパミンニューロンの活性が高くなっている訳で、ここからは「マイナス」ではなく「プラス」に向かって行動を起こすときは、霊長類以前でもドーパミンが活躍していることが窺えます。

 霊長類は他の哺乳類に比べてドーパミン神経が格段に多くなっていますが、ここからはサル・人類の行動様式や生態の観察事実から推論するしかありません。一般哺乳類と霊長類の最もティピカルな違いは、性情動の高さと片時もじっとしておらずグルーミングやオシャベリなどの「快」を求めた行動を常時行っているという点だと思います。

 あらやめて上記の青崎博士の後段の「学習の強化因子」というのも、パーキンソン病の行動パターンと照らし合わせると、ドーパミンというのは「意欲」に直結したホルモンだと捉え直すこともできそうです。また青崎博士の言う>いいことであれ、いやで危険なことであれ、とにかく自分にとって意味があって、何らかの行動を引き起こすような場合<の中の『自分にとって意味がある』という部分が、「プラス」(=「可能性」)を感じさせることで行動意欲を高めるという生理機能を指し示していると理解できます。

 したがって、斎藤さんの仮説は、もう少し突っ込んで考えると、ドーパミンはプラスを発掘し行動意欲を高める活力増強ホルモンと言い換えることができると思います。そしてサル・人類は一般哺乳類とは比べものにならないほど「プラス」を感知する生理機能に強く依存し、その可能性収束力が個体の能力差(≒ボスへの一極集中)と種の進化(自然界での君臨度)を規定しているとも言えそうです。

土山惣一郎 

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