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2013年4月13日 (土)

『差異化統合』と『共認統合』と『概念化』

サルの『共認統合』は、吉国さんの言われる『同一化統合』や『差異化統合』をフル稼働させた果てに、その限界を超えて根源的適応欠乏が生起したのは『実現論』にあるとおりですが、原猿の共認の母胎である同一視が、それまでの最先端機能である『差異化統合』のさらに延長線上に開花したというのは、ちょっとおもしろい感じがします。

 おそらくサル・人類は、同一であることを認識するためにも、まずはとことん対象の差異を探索したうえで、初めて同一であると認定するようにできていると思われます。つまり、もともと本能にセットされたカテゴリー区分どおりに同一視するのではなく、同一と見なす最適のカテゴリー区分を発見することができるようになったということです。これらの探索過程で対象化された情報は一般哺乳類の比ではないほど多様で膨大でしょうが、これらが記憶回路に蓄積され、次に感覚器が捉えた新しい情報とつき合わせることで、『共認統合』の生命線とも言える共認内容の組替え(≒私たちが一般に呼ぶ『概念化』作業=新しいカテゴリー区分の措定)を可能にしているのではないでしょうか。

 真猿の『プラス統合』も皮膚感覚のプラス快感に連動したドーパミン系神経群の助けを借りながら、やはり探索機能の高度化の産物としての闘争系の課題(=同類圧力)を対象化するところから始まっており、種間闘争や序列闘争などの新しい集団様式をプラス(≒充足対象)として認識できるようになったことが『実現論』で提起されています。確かに、原猿ではあまり大きくなっていない大脳が真猿で飛躍的に巨大化していったのも、闘争系の課題を次々に見い出してはプラスの色を塗り込んでいくための記憶容量の大幅なアップが、絶対の条件になることも容易に想像がつきます。

 ところで、チンパンジーの大脳とネズミイルカの大脳を比べると、体重比ではネズミイルカの方がチンパンジーを上回っているのですが、大脳新皮質の構成要素である出力細胞・内在細胞・求心線維のユニット(コラムと呼ばれる)とその階層構造は、チンパンジーが膨大な数のコラムを明瞭に構成しているのに対して、ネズミイルカは未分化なままであるという報告があります。

 霊長類に至る大脳進化のポイントは、このコラム数とコラムの集合したフレームの階層構造の豊かさであり、一部の海生哺乳類を除けば大脳の大きさにも概ね比例しているようです。チンパンジーの大脳の特徴は、このコラム数の飛躍的増加以上に、階層間のシグナルのやりとりの活性化(≒『概念化』)が、それ以前の哺乳類の大脳容量との差の内実だそうです。


土山惣一郎 

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