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2013年4月 4日 (木)

嗅覚はやはり特別です

>さて,ヒトではどうだろうか?

>ヒトの皮膚から抽出された物質があり,ボメロフェリン(Vomeropherin)と命名された。いくつかのタイプがあることがわかり,最近になってこれらの物質のひとつについて,構造が明らかにされた。PDDである。いわゆるプレグネノロン(ステロイドホルモンの生合成経路における重要な中間体)に大変よく似ている。PDDは今では合成されて,その機能は鋤鼻器の活動電位を誘起し,自律機能や脳波に影響を与えると報告されている。最近このボメロフェリンが入っているという香水が売り出されている。

>ヒトの鋤鼻系は胎児期には存在するが,大人では退化してしまって,存在したとしても痕跡程度であるとされている。ところが最近になって,ヒトでは鋤鼻器の存在はほぼ確かになってきた。しかし,鋤鼻器からの神経路が明確になっていない。とくに副嗅球が存在しない。したがって,これらの物質が,鋤鼻器で受容されたとしても,脳の神経路を経由して反応が引き起こされるのかいまだ不明確である。アンドロステノンやPDDなど,ステロイド系の物質が鼻腔などから直接血中に入り,その効果が表れる可能性も否定されていない。

>一方,ヒトでフェロモンが関与していることを示している生理学的証拠は「寮効果」である。女子学生が寮で共同生活をしていると月経期間が同期してくる現象で,これには彼女らが放出するフェロモンがかかわっているといわれている。さらに,月経周期を延長するフェロモンと短縮するフェロモンが腋嗅の中に存在することが明らかにされた。

>鋤鼻系神経路は高次機能を司る大脳皮質への情報の出力はなく,フェロモン情報のほとんどは,いわゆる本能行動をつかさどる視床下部へ送られる。したがって,仮に鋤鼻系が機能しているとしてもヒトはその感覚を匂いとしては知覚できず,“気づかないうちに”生理機能や行動が支配されることになる。

>社会生活のなかで,フェロモンによりヒトが無意識のうちに行動を操られているかもしれないと想像することは,何か恐ろしいような気もする。(中略)一方,最近,多くの消臭剤や脱臭剤を見かける。自分の体臭や口臭を気にしてのこと,また他人に迷惑を掛けないようにとの気配りからとも思われる。学問上はまだ不明であるが,もしヒトがフェロモンをケミカル・コミュニケーションとして利用しているならば,消臭剤等の使用はゆゆしき問題となる。男女間のみならず,母子間あるいは同性間のコミュニケーション,つまりは社会行動がうまくゆかなくなる可能性がある。(参照終り)

長くなりましたが,人工的なフェロモンシャワーの恐ろしさはヒトの根源的な共認機能を破壊してしまう可能性があるということです。人工的なフェロモン物質に頼らなくても,本来はヒトに備わった誘因物質があるはずです。その機能を阻害してしまっているのは,人間の観念ではないでしょうか。

仙元清嗣

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