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2013年4月22日 (月)

雌雄分化の根源性

>またさらに複雑化したカタツムリも雌雄両方の機能を備えています。そして、私が一番気になったのは、わずかに触れられているだけでしたが、魚のことに関してです。確かに魚類は、後に両生類、爬虫類、哺乳類へと進化する前段階ですが、実に面白い種が多数存在しているカテゴリーでもあります。(25284本田さん)

生物において、栄養物の獲得と繁殖が適応を考える際に重要な要素であろうと思います。ゾウリムシなどの単細胞生物の有性生殖は、殆どは栄養条件に起因しています。栄養条件が良ければそのまま適応できるのに対して、適応不足が生じると有性生殖に可能性収束することになります。

また、サーモプラズマは栄養条件が悪くなると融合を始めます。粘菌性細胞は、栄養条件が悪くなると多細胞の移動体を形成します。そして、形成された多細胞で特徴的に分化しているものが生殖細胞です。これは、ボルボックスの群体における細胞の役割分化においても同様です。

単細胞生物の次代への可能性が有性生殖に委ねられ、原始的な多細胞生物の役割分化が生殖細胞であることが、最も深い位置での役割分化を示しています。単細胞の同類他者との協働も、細胞集団内での役割分化も生殖のために行われています。

>「魚のメスは卵を産み落とすだけで子育てなどしない」とありましたが、これは半分間違っています。魚でも子育てをする種はあります。ただしその場合はオスが多いです。また、魚は雌雄転換する種もいくつかあります。この性転換に関しても、メスからオスになるもの、オスからメスになるもの、あるいは両方など、種により異なります。メスがハーレムを作るものもあります。

魚類の例外的な事例でも、雌雄転換よりも卵胎生の魚類を探す方が簡単です。例えば、マンボウが2億8000万もの卵を産むのに対して、ニシンは10万で海草に付着させます。アイナメは6000の卵のかたまりを親魚が守り、ウミタナゴは30の卵をお腹の中でかえして大きくなってから産みます。

また、産卵数との関係は、当然のことながら生存確率の増大→親の生殖負担の増大傾向と一致しています。そして、これらの生殖負担は一般には雌が負っているといっても良いのではないでしょうか。

鮫はその字のごとく、交尾することで体内受精し受精卵を産卵するか、またはふ化させてから出産します。後者の方は、子宮内における共食いが知られており、母親の胎内で淘汰されます。(哺乳類とは異なる淘汰様式です。)

生物では一般的な形態や機能に対して例外は多々存在します。しかし、魚類から両生類、爬虫類と進化してゆく過程での意味を考える際には、特殊な条件下における多様な存在よりも、一般的な共通項と塗り重ねられた機能の方が、まずは重要ではないでしょうか。哺乳類以降の雌に、生殖負担が極端に大きくなっているという指摘はその通りかと思いますが。


石野潤

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