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2013年5月 7日 (火)

性分化のパラドックス、その5(脳の性の2)

まず、もともと神経はホルモン分泌細胞から進化してきたわけだから、ホルモン系と密接な関係がある=協同的でなければならないという意味で、ホルモンの言葉を受けて基礎構造ができていくというのは当然のように思います。脳ですら、免疫系の中に組み込まれていることからも、進化的にはホルモン系(あるいは免疫系)の上に塗り重ねられているのでしょうから。

そうすると、むしろメスの脳というのはホルモンが働いていないのか、というところが単純な疑問として登場します。…実際には、胎児は母親の羊水の中で、免疫系も含めて胎盤を通してさまざまなホルモンの影響を受けています。

…そのうちでもきわめて重要なものが、視床下部を中心に男でも女でも広く脳内で見られ、脳下垂体前葉から分泌されるホルモン、親子親和物質(もともとは根源的な集団物質であると考えられる)オキシトシン([1824317274]参照してください)ではないかと思います。このことは、母親(あるいは仲間や集団)との親和が不十分であると、脳の発達が遅れるという事実とも符合します。だから、脳の性分化については、次のような表現が適切なのではないかと思います。

【脳の形成のためには、必ずホルモン(オキシトシンなど)の作用が必要であり、雄性化のためにはさらに性ホルモンの作用が必要である】

つまり、男の脳となるためには、「Yの淘汰」「身体的性分化の淘汰」さらにまた高い関門「脳の性分化の淘汰」というさまざまな内部の淘汰圧力が用意されている、ということでしょう。これが、男は出産の前からストレスを受けているという高田さんの[25257]につながるのでしょう。本当に、すごい仕組みです! 

だから、もし途中の仕組みがうまく働かなかったらという特殊事例を想定して、人間はもともと女になるように作られているのだ、という後ろ向きの発想ではなく、進化適応態として男の性が、なぜにかくもこのような関所をくぐり抜けるべく期待されているのか、何に可能性収束させるべく男の性があるのか、そのような視点でこのパラドックスは捉えるべきではないでしょうか。


吉国幹雄 

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