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2013年6月 3日 (月)

カンブリア紀の意味①生殖過程への適応圧力

カンブリア紀の生命進化(爆発的種の拡張)は、性・生殖にも大きな構造転換をもたらしているのではないか。

生命進化の適応圧力が、自然圧力から種間圧力へと転化していくが、カンブリア紀は、この種間圧力段階の仕上げ時代であろう。

簡単にすると、捕食・被捕食の種間関係圧力が、自然圧力よりも完全に上位にくる段階です。

独立栄養の植物は、動物に食われる。小さな動物はより大きな動物に食われると言う関係が、生物の基底構造となった時代です。

今、話題となっている多様性の議論も、自然外圧という階層の上に、生物種間圧力というもう一つの階層が重なるのであるから、多種多様な可能性が生まれ、カンブリア紀の大爆発と言われる膨大な種の多様性が現出するのは、構造的必然といっても良いだろう。

この種間圧力は、共生という共存関係、共進化(例えば毒素をもつ植物とその毒素を無力化する酵素をもつ昆虫―この昆虫により受精を行う)、捕食行動(その為の運動機能の強化)と逃げる為の運動機能の強化が相互進行する等等、一端、共進化の段階に入れば、10の新しい種が生まれれば、その10の種間で、10×10の関係が、可能性として開かれる訳で、100の種を生み出していく。

自然外圧の要素(無機的な要素は、物質濃度、温度変化、PHなどなど)も少ない訳ではありませんが、しかし、無数、無限ではありません。
それに対して、生物種間の関係は、上記しましたように、一端そのサイクルに入ると、指数関数的に可能性(目標とする関係収束先)が広がります。

カンブリア紀に最終的に現出したものが、この生命の種間関係の可能性の「場」(自然圧力の上に積み重なる種間圧力という新たな階層の「場」)だと思います。

そして、この種間関係を性、生殖の過程として注目してみると違った側面が見えて来ます。

つまり、生殖過程での「卵」に対しても、全く違う適応圧力が加わってくると思います。

何かと言いますと、「より大きな幼体で生まれる方が有利になる」ということです。
捕食、被捕食の関係は、単純化すれば、大きな動物が小さな動物を食べるという関係ですから、新しく生まれる幼体が大きければ大きい程、生存できる可能性が高まります。
この大きく生まれるためには、大きな卵で栄養素を沢山保持し、各器官を大きく作り上げて、卵から発生してくる必要があります。

確かに、より沢山の卵を産むという「多産多死」という方法もありますが、「幼体巨大化」という方法が成立します。

この、幼体巨大化は、成体(主に雌)の生殖負担を重くします。
単に、性による遺伝子の組替えだけでは済まなく、安全で大きな幼体が生まれることが可能な「生殖構造」が必要になります。

雌の生殖負担を重くする「大きな卵」への転換です。そして、卵から孵化した幼体を安全域でより大きくする「子育て」、養育が登場します。
(現生の魚類にも、巣の中で卵を孵化させる「子育て」といえる行動様式が存在します。)

カンブリア紀の大爆発は、単に種の多様性をもたらしたのではなく、成体の生殖構造(雌の生殖負担増大)、そして幼体を庇護する「子育て構造」をも可能性(収束先)として成立させたといえます。

DNAに代表される遺伝子の段階から、成体の細胞群に組み込まれた「行動」本能が、決定的な意味をもつ段階(階層)に転換したのではないでしょうか。

村田貞雄

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