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2013年7月 6日 (土)

昼行性への移行に伴って

原モグラから原猿、真猿、人類へと進化する中で、夜行性から昼行性へと移行するに伴って、食性(肉食・草食・雑食)の変化と、さらに色覚(五原色・色盲・三原色)の変化があげられます。私は昼光性については色覚の変化の方が大きいのではないかと思うので、こちらについて少し。

いわゆる網膜には二つの視細胞があります。錐細胞と棒細胞。錐細胞は色の感覚、即ち光の周波数の違いに関係があり、棒細胞は明るさ、即ち光の強さの違いを感じると言われます。色の感覚(色覚)は錐細胞が重要な働きをしているわけです。吸収する光受容体タンパク質が構造を変えて違う色の認識にあたっているわけです。それでも私達人類が感じる光は、太陽光線のごくわずかの部分で、波長が大体770nmから380nmまでの(三原色の)範囲です。

この色覚はミツバチや多くの魚類・爬虫類・鳥類で認められるのですが、赤外線・紫外線の領域までの(五原色)を備えているものもあります。ところが、哺乳類は色盲であり、唯一サル人類などの霊長類だけが三原色(赤・青・緑)をもとに色覚が発達していると言われています。そして、どうやら遺伝子を比較してみると哺乳類はもともとあった光受容体が退化してしまったらしい。

使わなければ退化するというのは、「用・不用説」を持ち出すまでもなく、筋肉組織などを見れば明らかです。ずっと洞窟の中にいると目が退化するように、恐竜を避けて昼間の行動を洞窟などの日のあたらない場所で生き延びざるを得なかった始原哺乳類たちは、「色を識別する」能力を徐々に失っていったのでしょう。そして化学物質を交信物質として臭覚を発達させていったものと思われます。(哺乳類は臭覚動物といわれます)。

すると、なぜサル・人類は先祖がえりのごとく「色覚」を(一部)回復させたのかということが問題になります。夜行性から昼行性というのなら、他の哺乳類も色覚を回復してもよさそうなものですから。

やはり、他の哺乳類にはなく、サル・人類だけが持つ機能=「共認機能」と密接な関係があるのではないでしょうか。サル・人類の大脳における視覚野の占める割合の高さを見ても、相手の表情を見る上で、「色覚」は「視覚」に光の強さだけでなく色をも付加することで、豊かな共認情報を付与することになったのではないかと思います。共認機能に可能性収束したのであれば、新たに獲得された色覚を兼ね備えた視覚機能もこの先端機能に収束していったでしょう。つまり、それを実現できた集団や種が適応存在として生き残っていったことでしょう。

私は、この「先祖かえり」は、共認原回路によって作られたエンドルフィンやあるいはオキシトシンなどと同じ系列で発達した酵素が「色覚」に関するスイッチ遺伝子を解除した可能性が高いと思いますが、仮に何らかの突然の変異という偶然でスイッチ遺伝子が回復したとしても、色覚機能の獲得によって共認機能がさらに発展し、適応進化させたということは間違いないでしょう。

そうすると、原猿の初期段階に留まって共認原回路が未発達のものは夜行性のままであり、共認原回路を発達させた原猿後期のものが昼行性に移行したという論理が成立します。私は(34143)で述べたように、他の哺乳類がほとんど昼行性に移行(しかし色盲)した事実から、サル・人類が昼行性に移行した主原因を共認機能に求めるのは無理があると思います。

しかし、逆にいえば原猿に見られるように、敵のいない豊かな樹上は夜行性でも適応可能であったわけです。にも関わらず、それを転換させたのは、同類圧力激化の中で共認原回路を生み出し、共認機能を発達させるなかで色覚を回復させ、そのことが昼光性へと移行させた一つの要因(きっかけ)であったといえるのではないでしょうか。結果的に集団性を回復した真猿段階において、他の多くの哺乳類と同様に(遅れて)昼光性に完全移行したと考えられるのではないでしょうか。

そうすると、なぜ他の哺乳類は直ちに昼光性に移行したのか、の押さえが次に必要ですね。

吉国幹雄

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