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2013年8月 2日 (金)

本能・共認・観念が整合する地平

発達した脊椎動物においては、多数の細胞同士のネットワークを総合的に統合する役割を持つのが「脳」です。脳の発達が生物の適応可能性を格段に広げたといえるでしょう(DNAに違いがなくとも、外圧を知覚してホルモン状態→DNAの発現状態や、様々な生理機能の働く程度や、行動様式などを変えることで適応できる可能性が大きく開かれたという意味において)。

以前も何度か触れたことがありますが(17452など)、脳・精神と肉体の生理現象との深いかかわりについて、あらためて考えてみます。

脳全体は、脊髄から延髄・橋・中脳・間脳という軸をつくっています。さらに、間脳を取り巻くようにして、大脳皮質が存在するのですが、その内訳が前の投稿で触れた、「旧い脳(皮質)」と「新しい脳(皮質)」に分類されています。
(参考:人間の脳 リンク


魚や蛙などでは、旧い皮質がほとんどで、新しい皮質はヘビあたりからはっきり観察できるようになります。ちなみに人間では、新しい皮質が約90%を占めています。(「個体発生は系統発生を繰り返す」という生物学者ヘッケルの有名な言葉がありますが、脳の発生過程はまさにその通りという感じがします。リンク

旧い皮質は、大きくは食欲・性欲・群れる欲求などの本能的欲求、そしてその欲求が満たされた時の快感、満たされないときの不快感、そして恐怖や怒りなど、さらに記憶(「海馬」16225 長谷川さん)など、生命維持のための行動に欠かせない基本的な情動を司っています。これに伴う生理反応は、さらに奥にある間脳の視床下部と連動して創り出されます。

間脳の視床下部は、内蔵の機能をコントロールする自律神経やホルモンなど全身の生理機能を統合しています(38128)。

さらにそれより奥にある脳幹では、呼吸器や心臓、唾液などの分泌、筋肉の制御に関わっています。

間脳より下位にある中脳から延髄にかけて、脳幹網様態賦活系という組織が横たわっており、内臓やその他の感覚器官からの情報を、視床を通じて新しい皮質へ、視床下部を通じて旧い皮質へと経由しています。

意識・無意識に関わらず、強い欠乏や情動のほとんどは、これら全身・脊髄・脳幹~間脳(せいぜい大脳辺縁系、旧い脳)より湧き上がってきます。

哺乳類以降に著しい発達をみせるのが、新しい皮質。中でもサル・人類に著しく発達しているのが前頭葉ですが、ここが人間的な知性、思考、判断、意志、情操、創造などを主に司っているとされています(共認機能は、「旧い皮質」から「新しい皮質」にまたがって形成された機能と考えられます)。

実際に全身・脊髄・脳幹~間脳・大脳(旧い皮質・新しい皮質)は、互いに互いの情報をフィードバックし影響を及ぼし合っています。したがって人間の場合、本能から完全に自由な観念などありませんし、観念内容から完全に無縁な情動や生理状態もありえません。

「実現論」でも強調されていますが(実現論1_1_02)、人類の適応には、旧い適応形態の時代から貫徹されている本能と、共認や観念 が矛盾なく整合した状態が不可欠です。本能(サル・人類においては、加えて「共認機能」)の存在という事実を無視した、頭の先だけの観念(例えばキリスト教などの宗教や、現在の支配観念)が現在、人類の適応にとって大きな弊害になっている状況を見るにつけ、これら根源的な本能・共認レベルの事実を解明してそれを元にした上で構築された新しい認識(観念)がぜひとも必要だという思いがあらたになります。

蘆原健吾

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