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2013年8月11日 (日)

多細胞における役割分化は、まずは生殖分化から

>単細胞が多細胞になって、更に各細胞が役割分化していった、しくみと理由がよくわかりません(DNA的に)。<(39028、中野さん)

超基本的で、かつ難しい質問です。単細胞から多細胞へについては、この会議室の(525952635395)などを参考にされたらよいと思います。単細胞生物→細胞集合(群体)・細胞融合→多細胞生物という大雑把な多細胞化の流れを頭に入れた上で、問題の細胞の役割分化について(DNAについては後述)。

【生殖細胞の分化】
群体から多細胞生物へ進化するときに、最初に生殖部が機能分化しています。つまり栄養部と生殖部の分化(生殖細胞と体細胞への分化)です。カイウミヒドラや粘菌(52935921参照)などはその代表ですが、群体のボルボックスにも生殖専用の細胞が分化しているのが見られます。多細胞化したとは、生物学的構造的には生殖構造が分化した、と言ってもいいと思います。

*細胞進化と多細胞化とはイコールではありません。ゾウリムシ(5825)は、単細胞生物であるにも関わらず、細胞内器官(細胞内機能分化)を最大に発達させています。もちろん、DNA量も多細胞並に多くなっているのですが、適応上必要な器官を一気に発現させるための限界点(組織論で言えば規模限界=統合限界に近いもの)、であるとも言えます。細胞自体を役割分化することによって、統合限界を突破したのが多細胞化の理由の一つになっているのでしょう。

なぜ、生殖分化したのかについては、「死の戦略」としてこの会議室でも議論してきたことですが、簡単には「遺伝」つまり、「種の保存=生の連続性」の実現ということが一番大きいと思います。栄養部(外圧先端の適応態)は死んでも、生殖部(近未来の適応態)を残すという生殖システムを作り上げたわけです。

【内外適応分化】
単細胞の時は、当然細胞は自然外圧を直接受けますが、多細胞化するということは直接外圧を受けない(最外側細胞によって守られる)細胞が出てきます。つまり、外部環境と内部環境とが分離されます。内部環境が安定する(圧力変動が少なくなる、あるいは安定した環境を維持できる=安定した化学反応の系が成立する)ことによって、重要な生殖部分を保持したり、代謝系の効率を上げたりすることが出来ます。内外適応分化によって、種々の内部機能を発達(分化・分業)させることが可能になったわけです。

また、多細胞化する=体が大きくなると、一般には種間闘争上は闘争態として有利になります。しかし、その大きな体を動かす活性化エネルギーは増大するわけですから、先ほどの内部機能の発達を促すことになります。また体が大きくなると(多細胞化が進むと)、各細胞間を結び統合するための情報伝達系・物質移送系の発達(分化・分業)も必要となるわけです。

また外圧に注目すると、体が大きくなるということは、重力に逆らったり、一気に水分を補給したり、適応するための必要な形態的要求も強くなりますので、(例えば植物で言えば、根・茎・葉の発達・分業化)、結果的には多細胞化によって形態の発達(形態進化)が進むことになります。

吉国

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