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2013年8月14日 (水)

生物の「柔軟性」ということ

「(役割)分化」によって「柔軟性」が失われる…「社会性昆虫」の行動、現在の人類社会に見られる専門分化の結果。…規制が強くなり自由度が下がり、膠着する…。なるほどと思いながら、でも何か少し妙な引っ掛かりを覚えました。

>役割分化という点からいくと、多細胞生物に比べ未分化ゆえの柔軟性のせいではないかと考えます。 複雑な機構を持つ(役割分化)ってことは、未分化ゆえの柔軟性との引き換えのような気がします。 <(39090、長谷川さん)

私は、「柔軟である」とは、外圧適応態として外部環境の変動要因に対して、「適応力が高い」ということが一番重要だと思います。

確かに、バクテリアの中には高温や高塩水で生存できるものがいます。しかし、彼らは環境が変われば生存できません。分化が進んだ鳥類や哺乳類は恒温性という体温維持システム構築することで、温度変化に対して他の変温動物や微生物よりも柔軟に対応できます。これは、日光についても同じで、ミドリムシは光情報の変化に対して反応しますが、(恒常的な)光に対して常時向いているわけではありません。ところが、多細胞生物となると日光に向かっていきます。植物の成長はまさにそうです。

つまり、いずれも「分化」によって獲得した高度な「統合機能」をもって、適応力を高めています。これは無限定とも思える環境変化に対して、柔軟に対応していると言えると思います。結局、生物は柔軟に適応するように進化していっているのではないでしょうか。

さらに、機能という観点から見れば、

分化前と分化後では獲得機能(適応)が異なるので、まず単純に個体の自由度(形態的変異可能性とか行動の許容度)が高いほうがよいとは言えないでしょうね。また、役割分化した細胞から捉えると、それぞれの細胞が担った特定の課題や部分的機能ではあっても、「生命現象においては、個の合算が必ずしも全体にならぬ」ように、統合されて生まれた機能が、分化される前の合算値以上の付加された機能を帯びている可能性は十分にあるわけです。分化統合されることで全体として機能的にも柔軟性が上昇する場合が多いのではないでしょうか。

上記の全体という視点に再度注目すれば、

私は進化の主体は集団(種)として捉えていますが、柔軟性は個体としてどうかという視点よりも、集団(種)としてどうかという視点も重要だと思います。冒頭の社会性昆虫の例えばハチやアリ。それぞれの個体は生まれた時から役割が決まって生涯固定でも、彼らを集団として見た場合は、環境変化に対する適応性は極めて高く、優れた柔軟性を持った社会だと思います。

生物進化をさらに大きな視点で捉えれば、

多細胞生物は最初の役割分化として生殖分化を行いました。さらに個体を越えて(個体差として)オス・メス分化を実現しました。オス・メス分化からさらに哺乳類においては、性闘争(個間闘争)という圧力場(活力場)を種(集団)内部に生み出しました。オスとメスの役割分化を進める方向で進化は進み、そのことが種(集団)としての統合力と適応柔軟性を一段と増していった。性分化を巡る、そんな進化の方向性が見えてきます。


吉国

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