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2013年9月

2013年9月28日 (土)

神経系が進化し、免疫系が進化する。

神経系も免疫系も細胞間のネットワークにより統合されています。また、共通の伝達物質が使われていることからも、その進化は神経系と不可分であろうと思われます。

免疫系といえるだけのネットワークが、脊椎動物の出現と時を同じくしていることからも、神経系の進化が免疫系の進化を促しているように見えます。

同類に対する認識は海綿にその原型を見ることができますが、ホヤの群体では個体相互が融合して血管の連絡を持ち、他群間ではこれを拒絶します。ホヤの段階では、集団生活のために同類の個体が識別されています。

脊椎動物の直接的な祖先といわれる原索動物のホヤの幼生は、例えばユウレイボヤでは330~40個の細胞を有していますが、その内の運動神経にかかわる細胞は6個しかありません。
(参照リンク生命工学工業技術研究所岡村グループ)
残りのほとんどの細胞は、外部情報を感知するためか、内部情報を把握するため、またはそのネットワークのために存在することになります。

幼生はしばらく泳いだ後に岩などに付着して変態し、脊索が退化してしまいます。この生活環から考えれば、その運動能力と神経系の発達は生殖のため、集団生活の場所探しのために存在すると言えるでしょう。

そのように発達した神経系が、集団生活のための同類の認識を付帯しているか、または外部認識の機能を同類認識に転用していることになります。また、5億年前、脊椎動物において免疫系が構築されていく際にも、それ以前から存在していた神経系の分子が使われただろうと想像されます。

基本的に、神経系がまず進化して、これを転用、応用して免疫系が進化しているように思えます。(結果、免疫系の細胞ネットワーク以上に、神経系の細胞ネットワークは高度です。)また、免疫系の獲得によって、脊椎動物が少ない数の子供で種を維持できるようになったことから考えても、生殖という目的とも密接な関係にありそうです。
石野潤

2013年9月25日 (水)

免疫機能は、自己か非自己かではなく、仲間か仲間でないかを認識する

9月30日読売新聞夕刊に次のような記事がありました。一部引用します。

>がん細胞は、外界からの侵入者でないことを示す「身分証明書」にあたる物質を表面に持つため免疫システムの攻撃をくぐり抜けており、この物質を壊すと、がんがかなりの割合で破壊されることを、京都大学医学研究科の湊長博教授、本庶佑教授らのグループがマウスの実験で確かめ、米国科学アカデミー紀要に報告した。免疫力を強めて抑え込む従来のがん免疫療法と異なり、証明書を無効にして明確な「異物」にする手法で、ほとんどのがんに対処できる新しい治療法につながると期待される。<

>この物質は「PD-L1」というたんぱく質で、動物の種によって構造に差がある。正常細胞のほか、肺がんや乳がんなど、がん細胞の表面にも存在することが今年、確認された。一方、免疫をつかさどるリンパ球の表面には、本庶教授らが1998年に見つけた「PD1」という読み取り機があり、ここに自分の体で作られたPD-L1がくっつくと、リンパ球は「仲間の細胞だ」と認識して攻撃を抑える。<

>がん細胞は、正常細胞からかなり変化し、通常でない細胞が表面に出ているが、免疫による強い攻撃は受けないのが特徴。グループは、リンパ球が一応、がん細胞を不審者として怪しむものの、PD-L1という証明書を持ち、他の生物や他人の細胞ほど著しい違いがないので、攻撃に踏み切れない、と考えた。<

>マウス10匹の皮下にPD-L1を持つがん細胞を移植したところ、そのままだと30日以内にすべて死亡したが、PD-L1にふたをする抗体を腹腔内に注射した場合は、10匹とも40日以上生き延びた。うち6匹はその後死亡したが、4匹は完全に治った。また、読み取り装置のPD1を生まれつきリンパ球に持たないマウスではがん細胞を移植しても100%治った<

生物学者の多くは、免疫の仕組みについて自己と非自己の概念を使っています。免疫細胞が自己と認識したものは攻撃せず、非自己と認識したものを攻撃するというわけです。ところが、上記の記事によると、ある部分に共通因子があれば仲間と認識して攻撃せず、共通因子がなければ攻撃するということです。つまり、免疫細胞は自己か非自己かを認識しているのではなく、仲間か仲間でないかを認識しているというのが事実なのです。

「可能な限り多様な変異体=同類他者が存在していること自体が淘汰や進化の源泉であり、従って、可能な限り多様な同類他者を作り出すことこそが淘汰や進化を生み出すのである。」ということが、免疫機能についても言えるのではないでしょうか。

冨田彰男

2013年9月22日 (日)

「免疫寛容」を通しての免疫の更なる意味

精神破壊と免疫不全と食性の変化ですか、村田さん。

>この50年ほどで、食性が大変化してしまいました。危機は、精神破壊と共に食性破壊ともなっていると思います。<

ところで、「自己免疫」は自らが引き起こす「同類圧力場」という意味合いが強いのではないかと述べましたが、免疫の不思議のもう一つの現象に「免疫寛容」があります。【免疫寛容】特異抗原に対して免疫反応を起こさなくなる現象。

「免疫寛容」と密接な関係があると思われる「経口トレランス」という療法があります。自己免疫疾患やアレルギー性疾患に対する最近の一つの治療法です。抗原を飲食すると、過剰な免疫反応を防げるという一種の逆療法です。

例えば、マウスに、ニワトリの卵白からとったアルブミンを千分の一mgを注射すると、アレルギー反応を起こす。ところが、数ミリグラムの卵白アルブミンを前もって飲ませておくだけで、同じアルブミンに対して体は免疫反応を起こさなくなる。マウスはアルブミンを異物と認めなくなるわけです。免疫寛容となる。どうやら「消化管」が何か特殊な働きをするらしい…食性問題とも繋がるところかと思います。

考えてみれば、雑食動物である人間。すごい雑多な種類の食物をとっているにも拘らず、人間の血液中には食物中の抗原に対する抗体はほとんど流れていません。現在食べ物に対するアレルギー問題が起こっていますが、それでも多くの人はアレルギーを起こしません。しかし、それは血液中に抗原が入ってこないのではなく、抗体が作られなくなっているのです。極めて寛容です。直接的には、消化管付属のリンパ管において、免疫を抑制するサプレッサーT細胞を刺激して増加させているようです。

ところで、抗体には五つの種類があるのは、この会議室でも何回か紹介されたとおりなのですが、抗体の総重量を比べた場合に一番多いのは、血液中のIgGや村田さんも紹介された魚類などの初期の抗体と言われるIgMではなく、圧倒的にIgAが多い(IgGの100倍)です。(ただし、IgAは血液中にはほとんどない)。IgAは今の消化管粘膜や生殖器の分泌液・涙・唾液・乳汁など、外界と接する管の粘膜に張り巡らされた抗体です。
その働きは、大量に存在する有害な抗原を中和し細菌が過剰に増えるのを押さえることにあるようです。

人間も含めて多細胞生物は消化管を中心軸に進化していった生物です。この消化管は一種の外界です。外の世界と直接に繋がります。様々な微生物や異物が集まってきます。種間闘争圧力が高くなっている場といってもいいと思います。それゆえに免疫系も神経系も、この消化管を中心軸に高度化して適応機能を高めていったと思われます。

免疫寛容、そして粘膜のIgAの存在と働き。それは、排除し拒絶するには圧倒的な多種多様な敵の多さであったから、生物はやむなく中和(協定)という妥協戦略をとらざるを得なかった、という見方も成立するかもしれません。しかし、無菌飼育動物では免疫系の発達が遅れ、抗体濃度も低いというだけでなく、消化管そのものの発達が阻害されるそうです。消化系の構造を作り出すには、現存する生物にとってはこれらの微生物は必須であったと言わざるを得ないのです。つまり、進化において、生命を脅かす異物は速やかに排除するが、しかしよりその他多くの微生物を共存させて協同者とする柔軟な戦略をとった者が生き残り、適応進化してきたと言えるのではないでしょうか。

だから、免疫とは非自己(異物)を排除するという意味だけでなく、他者を積極的に受け入れ協働者にするという重要な意味があるのではないでしょうか。そして、村田さんが言われる「食性が大きく変わった」とは、抗原が多様化したのではなく、適応(共存も排除も)不能の異質の人口抗原が増えてきたということと、無菌化の流れの中でむしろ抗原減少により、免疫の意味が失われてきたということではないでしょうか。

そしてそれは、結果的に消化系・免疫系・神経系の発達を遅らせるという悪循環におちいってしまっていると思われます。
吉国幹雄

2013年9月19日 (木)

免疫の進化は5段階、それは分化と統合(柔軟性)の歴史

免疫系の進化に関連して、過去にも少し触れています。ただし、免疫進化を俯瞰した記述はほとんど見たことが無いので、直観的な部分もありますが以下にまとめてみました。

大きくは以下のようになるのではないでしょうか。

1.多細胞化と共生化の進化段階
2.神経細胞(ホルモン細胞)が機能分化していく段階
3.脊椎動物の段階
4.恒温動物の段階
5.人類の段階

1のイメージは、自然免疫(第一の免疫系)の代表であるマクロファージ(おそらくは原始真正細菌)。微生物を食べるというこの細胞を取り込んで微生物や異物から防衛する(マクロファージにとっては、えさが手に入る)共生戦略の成立があったと思います。この免疫系はその意味では、極めて単純な応答関係の免疫反応(難しく言えば、非特異性免疫)であったと言えます。

2の段階で、いわゆるT細胞などのリンパ球の獲得免疫が登場します。ミミズ(環形動物)とヒトデ(棘皮動物)では皮膚移植で拒絶反応が起こりますので、この無脊椎動物あたりから、おそらく第二の免疫系が発達したのではないかと思います。いずれもホルモン系の機能分化が進み、神経系が発達し始めた生物です。

免疫系の著しい発達は、脊椎動物以降に顕著になったと言われます。この第3段階において、獲得免疫系の2種類の免疫反応システム(B細胞による体液中の液性免疫と、T細胞による主に細胞内の免疫反応である細胞性免疫)の基本システムが出来上がったと思います。(村田さん紹介の魚類の免疫サイトも参考になります)T

1から3の段階というのは、当然のことながら生物進化と免疫進化がパラレルに進んでいることを示します。様々な免疫物質(専門分化)を生み出し、と同時に免疫応答の仕組みを高度化(統合化)していく流れにあります。もちろん、長谷川さんが以前問題にされた「生物の柔軟性」と同様に、私は結論的には「免疫系」は排除能力を高めていったのではなく、柔軟能力を高めていったのではないかと思います。(それは、「科学論」で展開している自己免疫や免疫寛容の問題からの推論ですが)。いずれにしろ、それは免疫の分化と統合を強めた進化であるといっても良いでしょう。

しかし、明らかな異物は排除し、共生できるものは協働者として迎えるという免疫基本システムですが、体内の恒温システムが実現されると、微生物にとっては極めて居心地の良い環境が出来上がることになります。一気に寄生者や侵入者が増大したことでしょう。本来は常駐しない微生物が細胞内や核内に隠れ住むようになる。これを認識するための免疫物質の種類も更に増え、多様性が一段と要求されることになります(認識力の向上が求められる)。実際に魚類と哺乳類とでは、抗体多様性の仕組みは遺伝子組み換えの方法が異なるようです。はるかに多くの遺伝子組み換えを哺乳類は実現しています。

ところが、哺乳類でも人類(おそらくサルが途中段階にあると思いますが)において、大脳という中枢神経が特化していきます。免疫系も神経系も極論すれば同じホルモン様物質を伝達物質・刺激物質として使っています。免疫系統と神経系統の統合が行われなければ、体内の本能系の統合が出来なくなったのでしょう。免疫システムは統合機能を大脳へと委譲していく段階を迎えます。逆に言えば、共認機能観念機能によって免疫系が強化されるようになる、それが第5段階ではないでしょうか。ところが、それが狂ってしまってきた。現在の肉体破壊・精神破壊が、それです。

吉国幹雄

2013年9月16日 (月)

免疫は、集団の認識(脳)があって、初めて完結する

免疫系が、自然免疫と獲得免疫によって、高度に異物に対して防御機構を確立している ととらえてしまうと、何故、胸腺が40歳代で縮小しても、その後十年数年も、感染に対して防御できるのか、不思議ですね。
(確かに、老化により免疫力は低下し、感染症に罹りやすくなりますし、リウマチ等の自己免疫疾患が増加してきますね。)

吉国さんのいわれる、「免疫系は脳・認識系にその統合が委譲されるのではないか」は鋭い視点だと思います。

実は、免疫機構はそれほど万全ではなく、群れ(集団)の認識を加える事によって、初めて強い防御機構として働いてきたのではないかと思います。
人類の歴史を見ても、ウイルスや細菌によって大量な死者を出してきました。つい最近までは、結核感染で万人の死者が出ていました。決して、ヒトの免疫機構は、身体機構として万全ではない訳です。

では、身体の免疫機構と協働して働く群れの認識とは何かといいますと、サル、人類にとっての薬草類、薬石等に対する認識です。(広く言えば、食物全般です。)

チンパンジーやゴリラが定期的に、特殊な草や木の実を食することが観察されています。その草や木の実は、苦味が有ったり、渋みが有ったりで、決して食物としてみると、おいしい物ではないようです。しかし、必ず、薬草を噛む。(サルにも薬草があるとの発見ですね。)

当然ながら、その群れには群れなりの食性があり、群れの食性認識として固定し、継承されて行くのだと思います。
この薬草成分は、免疫機構を補強するものであり、補完するものだと思います。

サル、ヒトが他の哺乳類に比して、長寿であるのは、哺乳類の免疫機構に加えて、群れとしての認識(脳・神経系)を重ねることで、感染症に対する防御を高めた為ではないでしょうか。

ヒトは、サル以上に薬草、薬石への認識を高めて行ったと思います。

そういえば、加齢に伴い、苦味や渋味のある食物を、抵抗なく食べれるようになりますね。

例えば、沖縄の長寿の秘訣であるゴーヤは、別名「にが瓜」で、子供は大嫌いですが、我々の世代になりますと、逆に「おいしい」となります。

この50年ほどで、食性が大変化してしまいました。危機は、精神破壊と共に食性破壊もともなっていると思います。

村田貞雄 

2013年9月13日 (金)

精神破壊の重さ

アレルギー問題の第二の要因は精神破壊(観念破壊)である、と述べましたが、、免疫系などの本能系システムの不整合をもたらしているのは、やはり斎藤さんも言われている統合不全が一番大きいと思います。

これは、アレルギー問題が豊かさの実現と共に急上昇してきたことを考えれば、私権統合であれ自我統合であれ、観念が統合充足しておれば本能系のシステムは、それなりにまともに機能していたということでしょうか。

*それなりにとは、私権時代の共認非充足状態で自我充足や代償充足しても、それはあくまでも代償回路でしかなく、バイパスを通しての危ういシステム作動ということです。また、倒錯性の強い観念では、現実の一部しか対象化しないので、限定的な条件下で効率の悪いシステム稼働率になっているということです。

しかし、現在顕著になっている統合不全による精神破壊とは、各システムの連関がうまくいかないということであり、それぞれのシステムが暴走するということです。具体的には、興奮と抑制のバランスが取れなくなるなど、ホメオスタシスが働かなくなっている現象がそれです。免疫系のアレルギー問題や、交感神経と副交感神経の協同作業が壊れた自律神経失調症、さらに多重人格障害・躁鬱病・分裂病といった神経症や精神病も、その多くはこの精神破壊(観念破壊)の範疇に入るのではないかと思います。

このように見ていくと、私権統合が崩壊し、本源統合へとパラダイム転換する過渡期ゆえの問題である、と言うにはあまりにも恐ろしい現実です。我々は全力をあげて新しい統合律・観念統合を早期に確立しなければならないでしょう。

ただ、それにしても免疫力の低下や、精子半減、大脳の重さの低下などと聞くと、人類進化という長いスパンで捉え直せば、私権時代以降は人類は本能系のみならず、観念系も進化というよりはむしろ退化し始めているのではないかという危惧さえ抱きます。科学(技術)が発達し、さまざまな発見・発明が相次ぎ、現代人は古代人よりも頭がよくなった…、しかし、そういう事実は肉体破壊や精神破壊の現実を前にすると、実は何にも進化の根拠となってないのではないでしょうか。

『実現論』に、私権時代の人類について次のような記述があります。

>元々、モグラの性闘争とサルの同類闘争は、性闘争=縄張り闘争の本能上でつながっていたが、性闘争の禁を破った人類も、本源集団を破壊し本源共認を解体してしまったことによって、いったんモグラ→サルと同じ本能レベルに後退し、性闘争を皮切りに同類闘争=掠奪闘争を繰り広げた事になる。<(実現論2_1_04

…適応進化を遂げた人類。しかし、モグラ→サルと同じレベルまで本能系のシステムを後退させ、先端機能の観念は後退縮小過程に入ったのではないでしょうか。多くの大脳生理学者は、「大脳新皮質には多くの未知の使われない領域がある」と語ります。しかし、それは使われなくなってしまった残滓の危険性は本当にないのでしょうか。 もしそうであれば、「統合不全」という問題以前に、何が観念機能を後退させてきたのかをもう少し明らかにしなければならないでしょう。

何が、真っ当に観念を使わなくさせてきたのか、もう少し明らかにする必要があると思います。

吉国幹雄

2013年9月10日 (火)

本当に免疫系(本能系)はまっとうに働いているのか

アレルギー問題が遺伝的要因よりも、直接的には環境要因だろうという意見が多く出されています。その中で、以下についてはなかなか微妙な問題をはらむと思われますので、少し私なりに検討したいと思います。

>その免疫機能が引き起こすアレルギーが、私たちとって適応的でないものならば、問題は免疫系の認識機能にあるのではなく環境の方です。そして、その環境とは「豊かさ欠乏」に導かれ私たち自身が実現したものに他なりません。<
> 本能機能は一貫して現実を認識し続けています、観念機能でいくら現実を捨象しようともそれは変わりません。その本能機能は排除すべき異物として、現在の環境を認識しているのかも知れません。<

おそらく、言われんとすることは、人類を取り巻く環境(人類が実現した環境)において、本能機能である免疫系はその環境に適応して(正しく)現実を認識し続けている。だから、アレルギー問題は免疫システムがおかしくなったのではなく、人類の豊かさ欠乏が実現した環境が狂ってきたからだ、ということだと思います。

私も、免疫系の一部が活性化してアレルギーを起こしている事実から、環境要因が直接の第一の要因である、というのは過去msgで述べたとおりです。ただ、「免疫系」は正しく認識している(まっとうに働いている)と突きつけられると、少し違うのではないかと思います。本能・共認・観念が整合せずに、観念(特に価値観念)が狂った環境を作り出したのは間違いないですが、果たして本能は観念の影響を受けないのでしょうか。(言葉を変えると、免疫系は確かに無意識の機能ではあるが、本能機能として切り離せるものなのでしょうか)。

まず、理論的に本能・共認は先端の観念に可能性収束したということは、本能を含む全ての機能が観念機能に統合されているはずですから、本能機能といえども観念機能の影響を必ず受けています。その一番典型が性機能でしょうか。だから、各適応機能と<本能・共認・観念>との関係は、むしろそれぞれのシステムの発現に<本能・共認・観念>の3段階が塗り重なっていると考えた方がよいと私は思います。

本来の観念は、まさに本能では実現できない現実をさらに直視するために生まれたものです。ところが、現在は観念が統合できないという統合不全の問題であり、また現実の一部だけを捉えたり、ありもしない幻想を捉えるという旧観念の問題です。

観念が狂えば、本能も当然のことながら悪い影響を受けることが予想されます。無菌状態の環境とは、無圧力空間におかれた観念機能を意味します。つまり、圧力を忌避して逃避しているのは、観念そのものであり、それが豊かさが実現して以降顕著になったのではないでしょうか。

恐ろしい現象として、現在の犬の脳は狼の2/3の大きさしかないそうです。また、この現象は他の家畜も同様で、家畜となった動物は近縁の野生種と比べて脳が小さく、ニューロンの数も少ないそうです。さらに、初期のホモ・サピエンスの脳が平均1450gなのに対し、現代人の脳の平均は1300gに減少しているというデータがあります。(日経サイエンス『進化する脳』より)
脳の重さと観念機能や本能機能の働きが比例するとは思いませんが、快適のよい空間は脳や免疫系の働きを低下させていると見て間違いないと思います。

これは一種の精神破壊(観念破壊)です。これが、アレルギーの環境要因につぐ、第二の要因だと思います。

吉国幹雄

2013年9月 7日 (土)

遺伝子進化と脳進化

> 現在、人類は、脳を中心とする認識機能の進化により、生存圧力をほぼ克服し、次の進化の段階に入ったのではないでしょうか

「脳が進化する」とはどういうことかを考えていて、脳と遺伝子にはある類似性があるのではないかと思い当たりました。

犬は人間より遥かに嗅覚が優れていますが、嗅覚受容体の遺伝子の数はほぼ同じで、人間はその6割程しか機能していないため、このような差が出るのだそうです。遺伝子はその時点でフル稼働してるわけではなく、未発現の部分がかなり存在しています(中立説ではこのような領域に「環境に無関係な突然変異が蓄積し、進化の準備がなされる」と説明されており、この点はやや疑問ですが)。

また、最近一部の痴呆性患者にサヴァン症候群に似た特殊能力が出現する例が見つかり、一般の人間もサヴァンのような能力を潜在的に持っている可能性が出てきたそうです。だとすると、このような例は、通常の人間では機能していない脳の部位が何らかの契機で発現するようになったと考えられ人間の脳神経回路も全てが機能しているわけではないということになります。

つまり、遺伝子も脳も、ある機能の原基を予め潜在ストックとして持っていて、それを環境の変化に応じて発現させる(→進化する)ことができる、という側面を持っているように思われます。柔軟性という点では遥かに脳が上ですが、やはり脳は遺伝子システムの上に塗り重ねられた新たな進化機構だということが言えそうです。

どうして、どのような機能で遺伝子進化から脳進化へのシフトが為されたのか。それを探ることで、共認機能観念機能の進化的な「意味」も明らかになるかも知れません。

田中素

2013年9月 4日 (水)

アレルギー発症の根本原因の追求(環境要因、その1)

40177)で少し触れた「環境要因」について考察します。私は、環境要因といっても、三つの(大きくは二つの)異なる位相を孕むと思います。

1.人工物質(人工抗原)の増大
2.環境ホルモンの影響
3.奇妙な内外環境

まず、1.2(まとめると化学物質の影響)について考察します。


1.【人工物質(人工抗原)の増大】

生命体は自然環境に存在する外敵(有機体)に適応するために、生命体の表面及び内部の免疫系を発達させてきました。最初の多細胞レベルから備わっていると思われる自然免疫(例えばマクロファージの食作用)も、進化と共に、特に脊椎動物以降備わった獲得免疫(例えば、抗原抗体反応)も、全て自然の営みの中で生み出されてきた微生物(生命体)を対象化して獲得された適応機能の一つです。自然環境に存在する非生命体(化学物質)に対しては、例えば嫌気性生物が酸素を避けて生存しようとするように、本来はそれぞれに最適なニッチを求めて移動(逃避)したり、すみ分けていったと思われます。つまり、免疫系とはそもそも、生命に影響を与える非生命体に対して、それを取り込んで適応できるような機能としては発達していないのです。

ところが、「近代科学」の発達以降、人類は生命体が創出できない化学物質を身の回りに作り出してしまった。あるいは、大気汚染に代表されるように自然環境そのものを人工環境に変えてしまった。あるいは、ブナ林を伐採し杉林に変え自然の生態系を変えてしまった。人類を取り巻く自然外圧は、今や人類自らが生み出した人工外圧と言ってもいいような環境に変化しつつあり、(外敵もどきの)人工抗原を多量に生み出してしまったのです。

人類の体は、過去の生命体が塗り重ね進化させてきた免疫適応機能をフルに使って、わけのわからない微生物に適応できるように出来ています。しかし、この人工抗原は人類にとって逃げようにも逃げられないわけのわからない非生命体です。人工抗原に免疫適応しようと免疫系は活性化するが、十分に適応できずにいる、それがアレルギー発症の環境要因の一つの位相です。


2.【環境ホルモンの影響】

人工的な化学物質(特に環境ホルモンと呼ばれる性ホルモン様物質)が、免疫系そのものの機能を低下させている疑いが濃厚です。代表的なところで、ダイオキシンや有機塩素系殺虫剤・ビスフェノールAなどがあります。

詳細な仕組みは、私には、(というか環境ホルモンが生命体に悪い影響を与えるということが漸く最近になって科学者も政治家も認めたという状況ですので、そのメカニズムの解明など遅々として進んでいないのでしょうが)、よくわかりません。しかし、これらのホルモン様物質が生命の適応機能を攪乱するというのは容易に誰にでもわかることです。我々の体における認識機構は、免疫系も神経系も消化系も全て、サイトカインなどのホルモン様物質を認識(情報)物質として使っているからです。細胞や組織を興奮させたり抑制したりと、ありとあらゆるところでホルモン様物質が使われているのですから。

特に、性ホルモンと免疫系の発達とはかなり密接な関係があると思われます。論理的にはやや遠いところからの、傍証事例かもしれませんが、「胸腺」の発達と退縮があります。

胸腺は最近になって免疫学では特に脚光を浴びている器官です。詳細は省略しますが、代表的なところでその働きは、T細胞の教育(つまり、生まれてきたT細胞を淘汰して免疫適応できるT細胞を送り出すこと)に関係する器官です。ところが、胸腺は思春期の十代をピークに、どんどん年をとるにつれ退縮して脂肪の固まりとなっていきます。(もちろん、完全になくなることはありませんが…)。老人に新しい胸腺を移植すると、一時的に免疫機能を回復することも知られています。免疫系と切っても切れない関係のある極めて重要な器官なのです。

この胸腺は人間だけでなく、多くの生物において、性成熟とともに退縮していくようです。おそらく性成熟の頃に免疫系の基本システムが完成するのではないかと思います。(「進化論」会議室で問題提起した(39689)の「人間の性成熟年齢の遅延」とも関係あるのではないかと私は思います。つまり、人類の場合は他の動物よりも免疫系の基本システムの完成に時間がかかるというのが、性成熟を遅らせている一つの理由ではないでしょうか。)

このことは、直接的には性ホルモンの分泌によって免疫系の発達が押さえられることを意味します。だから、幼児期や思春期に性ホルモン様物質が体内に吸収されると、システムの誤作動を起し、免疫系が十分に発達しないまま終わってしまうという危険性があるのではないでしょうか。

環境ホルモンによる免系そのものの発達の攪乱、これが第二の環境要因の位相です。

吉国幹雄

2013年9月 1日 (日)

アレルギーの基礎事実(アレルギーの原因)

アレルギーが何故起こるのか。この点について、現在ほぼ正しいとされている事実を挙げておきます。

●アレルギー発症の遺伝的な決定

同じ抗原を注入しても、発症する人と発症しない人がいる。遺伝するということなのですが、遺伝しているのは発症させる遺伝子ではなく、抑制遺伝子(HLA-DQ)で、実はこれが劣勢遺伝だということです。(つまり、父も母も両方が持っていなければ遺伝しない)。この遺伝子がないと(免疫反応を抑制する)サプレッサーT細胞を充分に作れない。これが、アレルギー治療を難しくしている原因の一つになっているわけです。免疫抑制剤を使うと、ますますサプレッサーT細胞の力が抑えられてIgE抗体の生産が上昇してしまう。

*アレルギー反応というのは、免疫系が働いていないのではなく、過剰に局所的に反応(興奮)している状態ということになります。

*最近アトピーの遺伝子が固定されたという話があります。母親経由で子供にアトピー素因を伝えるそうですが、これについてはまた必要があれば、調べたいと思いますが、いずれにしろ、遺伝的な要因があるのは確かです。ただし、『遺伝』だけの理由だと何故最近になって急激にアレルギーが増えたのかの充分な説明になっていないように思えます。
ただそれでも、このことだけからも推論できることは、人口物質という異常な抗原(杉の花粉も森の生態系を壊して、杉を多量に植えたという人工的要因です)が増えて免疫が異常に活性化したことが原因であるということになります。つまり、直接的には外部環境の悪化ということでしょうか。

●自律神経失調

病院に行ってよく分からない病気は、最近はすぐに「自律神経失調症ですね」と言われるようです。免疫系と神経系は「進化論」の会議室でも以前少し議論したところですが、お互いに密接な関係にあります。

9月16日付けの読売新聞に掲載された「生活の中の免疫学」の中で、「免疫の仕組みと自律神経」という新潟大学の安保徹さんの講演記事が載っていました。

「私たちの体は、機能が異なる細胞で作られています。どの機能を働かせるかを瞬時に決めるのが自律神経で、免疫と深いかかわりがあります。自律神経は、交感神経と副交感神経の拮抗関係で成り立っています。(中略)この自律神経に、白血球の二つの成分が支配されていることが八年前、私たちの研究で分かりました。二つの成分とは顆粒球とリンパ球です。交感神経が活発になると、顆粒球が増え、副交感神経が活発ならリンパ球が増えます。(中略)(リンパ球が)増えすぎると、アレルギー症状を起こしやすくなります。リンパ球は日中は少なく、夜は多くなるので、アレルギー症状などは夜間におきやすくなります。(以下略)」

だから、「リラックスするとなおる」ということですが、これでは何にも原因を追究していないことは言うまでもないことなのですが、確かにストレスや精神不安などによって神経系統の秩序(統合)が破壊され(つまり不全状態)となり、それが免疫系の不全を引き起こして秩序化されないために、アレルギーが発症しているということは言えるでしょう。

*そうすると、この問題は精神破壊という次元で捉えなおすことが出来ます。私権時代以降人類が間違った観念機能の使い方をしているからか、観念の閉塞で統合不能になっているのか…。親和回路を中心とする充足回路が生まれてから充分に形成されていないからか…。

*それでも、なぜアレルギーとして発症するのか、精神破壊から肉体破壊への繋ぎの問題解明も次に必要ではないでしょうか。私は神経系も免疫系も認識機能(外識・内識)が一番ベース部分ではないかと思いますので、認識機能がシステムとしておかしくなる、その原因をも明らかにする必要があると思います。
 
吉国

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