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2013年10月25日 (金)

ウィルス進化について(進化過程)

ウィルス進化として考えられる単純なストーリーは以下のようでしょうか。

まず、ウィルス特有の遺伝子(体を作るためのリボソームやエネルギー源であるATPなどの代謝機能に関連する遺伝子を除く遺伝子)が、宿主染色体の遺伝子管理システムから外れて「動く遺伝子」となる。それを生命体の遺伝子管理システムとして組み込んだ生物はさらに外圧適応できたので、現在のトランスポゾンとして残しているのでしょう。

宿主染色体から逃れた動く遺伝子は、ほとんどは非協同的であるために、壊されるか、そもそも増殖複製できない。しかし、細胞内の適応環境の中で、そのうち宿主細胞の中で宿主染色体とは独立に増殖できる「動く遺伝子」が生まれる。これがプラスミド。これもまた、生物の多様性戦略の中でそのいくつかは協同者として細胞内に共存するようになったので現在でも見ることができる。しかし、彼らは細胞を超え、種を超えて移動することはできない。なぜなら、細胞膜という障壁があるから。

その次の段階として、細胞膜を飛び出すための機能を獲得したプラスミドが登場する。ウィルスの持つたんぱく質外被や脂質二重層のエンベロープさえ持つものがいることを考えれば、この新しいプラスミドの多くはもともとは宿主細胞の膜を獲得できたものと考えられます。そして、このような適応機能を獲得して細胞を超え、種を超えて動くようになったのがウィルス。…この「膜融合」に焦点を当てて、免疫系との関係を問題にしているのが、北村さんや村田さんの意見です。このウィルスの吸着から融合(ある意味では出芽)については、また改めて私も検討したいと思います。

上記のウィルス進化は、現在存在する「動く遺伝子」(トランスポゾン・プラスミド)からの進化として捉えたのですが、遺伝子断片が一気にそのような能力を獲得してウィルスになったという仮説も当然ありうると思います。それは、ウィルスの持つ染色体は一本鎖・二本鎖のDNAもRNAもあり、さらに環状のものもあるからです。その意味では、始原細胞のありとあらゆる段階において発生点は考えられます。(ウィルス進化系統樹ができると思いますが、おそらくそれは、現生物の系統樹に沿う系統樹になるのではないでしょうか)。

ただ、多量のウィルスが発生したのは、原核細胞から真核細胞が誕生し始めた頃ではないかと思います。原核生物は不要な遺伝子をどんどん捨てて身を軽くすることで統合力を強め、可変性能力を高める戦略をとりました。一方真核生物はどんどん遺伝子を溜め込み、多様性と可能性を高めるべく多くの協働者を募る戦略をとり、そのための統合システムを発展させてきました。その「あわさ」の部分は、不完全な生物(ウィルス)が生み出されやすい環境であったと思われますから。

吉国幹雄

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