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2013年12月24日 (火)

魚類の進化史のなかにも、神経系進化と免疫系進化が並行して起こっていることが確認できる

>注目点は、多細胞初期の単純な共生関係ともいえる状況から、何のために特異性免疫を獲得したか? これを、神経系の発達段階ごとの免疫機能と、獲得機能や外圧関係を調べながら、明らかにしていくことにした。

 ① 神経の無い生物  無脊椎動物 
 ② 神経の有る生物  無脊椎動物 
※③            脊椎動物 海水魚類       
※④            脊椎動物 淡水魚類
 ⑤                 両性類   変温動物 
 ⑥                 陸上生物  変温動物


(116615)

以上の方針に従い、③④の部分について調べてみた。

結論から言うと、海水魚類と淡水魚類の間で、免疫システムの鮮明な差異は発見できなかった。

そのかわり、無顎類(メクラウナギやヤツメウナギなど)と顎口類(顎のある魚以降の魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)の間では、かなり鮮明な差異があることが分かった。

具体的には、無顎類には獲得免疫(特異性免疫)に関する機構が無いが、顎口類にはそれが備わっている。とりわけ、顎口類の中でも原始的な部類に属する魚類には、獲得免疫(特異性免疫)機構の原型ともいえるものが保存されている。さらに細分化して捉えると、魚類の中でも原始的なタイプである軟骨魚類と、それ以降の硬骨魚類の間で、獲得免疫システムの“性能”が違う、ということがいえるようだ。

以上の内容について少しだけ具体的な中身に踏み込むと、以下のようなことが言えるようだ。

①獲得免疫システムの主要な要素となるB細胞やT細胞の多様性(≒守備範囲の広さ)を生み出すのは、それらが前駆細胞から発達する際に起こる遺伝子組み替えの仕組みによる。その際、より効率的にできるだけ多様なタイプを生み出すため、高等生物では遺伝子組み替えの起こらない「定常領域」と積極的に組換えを起こす「変異領域」の2領域構成を準備している。そして、このあたりのシステムの完成度は「軟骨魚類」→「硬骨魚類」→「両生類」→「鳥類」→「哺乳類」という段階毎に高まっていく。

②以上のような段階的進化に平行して、個体識別の標識となるMHCたんぱく質の発達も起こっていく。

③リンパ球の発達に深く関わる2次リンパ器官の存在様式は、有尾両生類と無尾両生類との間、及び爬虫類と鳥類・哺乳類の間でかなり異なる。


そのうえで、海水環境から淡水環境への生存環境変化に伴う進化の流れと免疫システムの変化を合わせてストーリーを考えてみると、以下のようになる。


まず、原始的な魚類は顎の無い無顎類であり、なおかつ満足なヒレもない種族であった。つまり、活発に動き回って獲物を追いまわすというよりも、不器用に海水中を漂いながら、海底の餌を探し回るような生活をしていた。当時彼らのライバルは、魚類よりもはるかに高い遊泳能力を持つオウムガイなどの頭足類であり、制海権は頭足類の手にあった。

原始魚類は頭足類に追い立てられるように淡水領域に侵入する。ここで課題になったのは、①浸透圧への対応と②塩分濃度の低下による浮力減への対応であった。

原始魚類は、①に対して腎臓機能の強化によって浸透圧調整機能を獲得することで対応し、②に対しても腎臓のリン酸カルシウム調整機能を活用することで骨格を強化図ることで適応を果たす。
他にも、浮き袋の獲得、ヒレの獲得、そして顎の獲得などを果たしていく。

頭足類のいない淡水領域で様々な新機能を獲得した魚類の生活様式は、以前の「食われる側」から「食う側」に変化していく。強力な骨格とヒレの獲得で高い運動性能を手に入れ、硬い殻も食い破れるだけの顎も手に入れた。そして、獲物を追い捉えるという生活様式のなかで、運動性能を統括する神経系も発達していく。

そして、この段階に至った魚類は、免疫システムの上でもより高度化された『高速増殖免疫(117335)』機構を手に入れている。


>免疫機能は、進化の段階ごとに、外圧適応していった各種先端機能の外圧特化ゆえの弱点を、体内から支援する関係がありそうだ(11379

魚類の進化史の中においても、上の仮説は成り立つといえそうだ。つまり、海水から淡水に追い立てられ、そこで新たな機能を獲得していったのだが、その際にもっとも重要となる統合系の神経システム進化と、免疫システムの進化が、やはり並行して起こっている。

三宅秀和

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