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2014年2月20日 (木)

デボン紀の過酷な環境変動が、肺と鰾(うきぶくろ)をつくりあげた

一般には、魚類から両生類の進化を見るときに、「魚類にある鰾(うきぶくろ)を進化させ肺を作り上げ、陸に上がっていった」と語られるが、どうもその逆の様である。

巨大な頭足類(10メートルのオオム貝・巨大なイカやタコ)に追われて、浅い海(汽水域)に追いやられていた魚類の一部は、デボン紀の過酷な気候変動に直面した。

>デボン紀の原始的な条鰭類であるパレオニスクス類などは、既に肺のような構造を持っていたと考えられている もちろん、空気を満たした肺は、鰾と同じように魚体の比重を減少させる。

>この肺の出現には、デボン紀の気候条件が深く関係していたらしい。魚類の時代とも呼ばれるデボン紀は気候の変動が激しく、現在の熱帯域の一部のように、 雨期と乾期の交代があった。乾期が始まると川や池の水は停滞し、鰓呼吸に必要な水中の酸素が不足する。この時に、毛細血管が密に分布している上皮を持つ肺 のようなものが発達していれば、大気中の酸素を利用することができたであろう。肺は硬骨魚類が当時の乾期を生き抜くための適応の産物であったと考えられ る。

>4足動物の呼吸器官である肺と魚類の鰾は、消化管の一部が膨れて生じた相同器官と考えられている。魚類から4足動物へという脊椎動物の進化からみると、鰾が肺に変化したと推測されがちであるが、実際にはこの逆のようである。

デボン紀の過酷な環境変動に直面したからこそ、原始的な肺を獲得した。そこから、改めて水中、海中に戻って行ったのが、現生の魚類であり、より過酷な地上に追いやられたのが、両生類である。

>デボン紀の初期には、魚類化石の記録は主として淡水産のものであったが、時代が進むにつれて、海産種の割合が増加している。これは魚類の淡水域から海洋へと移住する傾向が強まったことを示している 。

>中生代(約2億4800万~6500万年前)になると、条鰭類の多くのものは海への移住を完了した 。今日最も繁栄している真骨類は、デボン紀の不安定な環境と異なり、海洋は安定しており、空気呼吸(補助的あるいは緊急用の呼吸器官としての機能)の必要 がなくなり、肺は完全に浮力調節器官としての鰾に変化した。

肺という形態を獲得したので、その後、えら呼吸が安定化する海洋で、その肺という形態を変化させて、様々な必要機能に流用して行った。

>鰾の最も一般的な機能は魚体の浮力調節であるが、この他呼吸、聴覚補助、水圧受容器や発音器官としても作用することが知られている。

デボン紀の乾期という過酷な環境が無かったら、原始的な肺の機能(形態)は出現できていない。

(上記、引用は「鰾――硬骨魚類の進化の舞台と鰾」(東京大学コレクションⅡより)
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村田貞雄

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