« 海に還った哺乳類(1) | トップページ | メソニクス類は肉食としては中途半端な歯の生き物だった »

2014年4月 9日 (水)

クジラもやはり逆境で進化している

鯨は大きく3つの分類に分かれます。ムカシクジラ、ヒゲクジラ、ハクジラの3種類です。現存するのはヒゲクジラ、ハクジラの2種で、ムカシクジラは3500万年前に絶滅しています。

ではそもそもなぜ陸上の哺乳類であったクジラが再び海に還ったのか?

 クジラの祖先の登場は始新世(5000万年前)です。その頃の気候は非常に温暖で、海洋面積が増加しました。よって陸上哺乳類の生息環境が狭まり生存闘争の敗者であったクジラの祖先は、テチス海の汽水域から、海へと適応していったのではないかと考えられます。

 その後漸新世(3500万年前)に入ってから大幅な気候変動(寒冷化)と海流の変化、またアルプス・ヒマラヤ造山活動の影響からテチス海をはじめとする浅海の面積が減少しました。

 この頃ムカシクジラが絶滅しています。ムカシクジラは既に体長20mに達する種も存在することから、クジラ類の中では制覇種であったと考えられます。

 それに対してハクジラは比較的小型な種が主流でした。小型であったがために、浅瀬での索餌が不可能で(浅瀬にはムカシクジラがいた)深海に潜り餌を探していたものと考えられます。そこでエコロケーションという暗闇でも聴覚を利用し餌や天敵の場所を察知する機能を得たのであろうと考えられます。その機能を大いに進化させてハクジラ類はこの逆境を乗り切ったと考えられます。

 一方ヒゲクジラはそれまで他の生物が餌としていなかったオキアミやプランクトンを、独特の構造(ヒゲ板)に進化させた歯で濾過し摂取するという方法でこの逆境を乗り切りました。

 こうやって見てみると、やはりクジラも追いやられた種が逆境にさらされ、それまでに獲得した機能に可能性収束し進化していることが分かります。

末廣大地

« 海に還った哺乳類(1) | トップページ | メソニクス類は肉食としては中途半端な歯の生き物だった »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: クジラもやはり逆境で進化している:

« 海に還った哺乳類(1) | トップページ | メソニクス類は肉食としては中途半端な歯の生き物だった »

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ お勧めサイトランキングへ
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カウンター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ