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2014年5月27日 (火)

ウィルスや微生物との闘いという逆境~免疫機能の差異が生存と絶滅を分けた

>新しい人類が抱えていた病原菌が古い人種を滅ぼしていったのではないだろうか・・・ 

 原人段階はまだ生存自体が奇跡に等しい状況なので微妙な部分が残りますが、旧人・新人段階に関してはこの阪本さんの仮説を私も支持します。

 もともと哺乳類は胎生を獲得する代償として、胎児が母胎内にいる間は、免疫寛容のシステム(=母体~胎児の間で各々の免疫が完全には発現しないシステム)をつくっています。したがって、母体の獲得免疫の継承や自然免疫発現の準備も、その多くを出産後の母乳授受を通して行っています。

 母乳によって免疫機能の世代間伝達を行うシステムである以上、哺乳類の場合、獲得免疫の多様性が世代を経るにしたがって飛躍的に上昇し、この自然免疫の 発現レベルや獲得免疫による防備対象が、さらにどの地域に住み着いたかによって、予想以上に大きな差となって現れることを意味しています。

 つまり、人類史500万年の進化と拡散の背後にあった逆境とは、ひとつは極限的な飢えですが、これに対しては主に共認機能観念機能の 進化で適応する一方で、ウィルスや微生物との闘いもそれに匹敵する逆境であったと言えます。その逆境に打ち勝つための‘体内の軍事体制’とも言える免疫機 能(とりわけ獲得免疫)は、生存自体が奇跡とも言える極小集団であった人類にとって、文字通りの死活問題だった訳です。

 以上の前提条件を踏まえたうえで、拡散と絶滅を繰り返しては、ほぼ一貫してアフリカ出の人種が生き残り、先住民たちが絶滅していった(=現存人類はホ モ・サピエンス一種のみ)という事実を振り返ると、新たにやって来たアフリカ発の集団が、同時に新種のウィルスや微生物を持ち込み、そのウィルスなどに対 する抗体の有無によって、その後の人類の歴史は塗り替えられていったという考え方は論理整合性が高いと思います。

 ちなみに、現在でも脅威となっているHIVに対しても、アフリカ原住民の一部には、免疫細胞のレセプターの形状が変異してエイズに罹らない人たちがいる部落の存在が報告されています。

土山惣一郎

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