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2014年11月

2014年11月29日 (土)

魚類の性転換(雌性先熟、雄性先熟)の目的について

表題に関する事例が、千葉県立中央博物館分館海の博物館が発行している『海の生き物観察ノート』に記述されていました。リンク

>メスは自分が産む卵の数によって子供の数が決まるので、体が大きくなるのに比例して子供の数が増えていきます。これに対して、オスは自分の作る精子の数ではなく、獲得できるメスの数によって自分の子供の数が決まります。例えば、ベラ類では大型のオスがメスとのペア産卵を独占するため、体が小さいうちはあまり子供を残すことができません。このような場合には、小さいうちはメスとして繁殖し、体が大きくなってからオスに性転換することによって、自分の子供をより多く残すことが可能になります(これを雌性先熟と呼ぶ)。

気になる表現(自分の子供を残すではなく、種の保存が正解)がありますが、現象としては参考になります。例で出されているベラ類は、沿岸の藻場や岩礁で生育するため、縄張り争いが激しい(=自然外圧↑)。体の小さいうちは戦力にならない為、雌として繁殖するケースが多い。成長するとオスに性転換し、縄張り争いと放卵を担うことになる。


>一方、クマノミ類のようにイソギンチャクの周辺の限られた空間の中で同じ雌雄が繁殖を繰り返す場合には、メスの産卵数によって雌雄の子供の数が決まるので、オスは体が大きくても小さくても自分が残せる子供の数はほとんど変わりません。このような環境では、体が大きくなってからメスに性転換した方が、より多くの子どもを残すことが可能になります(これを雄性先熟と呼ぶ)。

イソギンチャクに守られたクマノミは、外敵から襲われる心配が少ない(自然外圧↓)。繁殖期に成長した雌として存在している方がより産卵できるため、種を保存できる可能性が増す。繁殖期から外れた時期に生まれると、雄になるケースが多い。


これらの事象から、自然外圧に応じて性別を決定していることが窺える。つまり【生物の性転換】は、自然外圧への適応戦略の1つであることが理解できる。

匿名希望

2014年11月26日 (水)

相同染色体のはたらき

■相同染色体とは?
ヒトのゲノムサイズは約30億塩基対で、染色体数は23組(22組+性染色体)である。これは、合計で約30億対の塩基配列を持つDNAが2組、それぞれ23本(計46本)に分割され、細胞核に格納されていることを意味する。これらが細胞分裂時に折りたたまれ、23組46本の染色体の構造をつくる。この1組2本の染色体同志を「相同染色体」という。有性生殖生物では通常、相同染色体の1本は父親由来、1本は母親由来である。

■相同染色体の塩基配列の違い
相同染色体の塩基配列は、大半が同じだが全く同じではない。ヒトゲノムの個人差は約0.1%、即ち約30億の塩基対のうち約300万箇所の異なる塩基配列を持つ(2人の人間を比べた場合。個体数が増えれば相違箇所は増える)と言われており、異なる2個人から受け継がれる相同染色体の差異も概ねこれに準ずると考えられる。ただし、正確には生殖の過程で2度、減数分裂時と受精時に起こる染色体の交叉を考慮する必要がある。

■相同染色体の“仕事”=タンパク質合成
体細胞では、相同染色体上の同じ場所に同じ遺伝子(あるタンパク質の合成を指令する一連の塩基配列のまとまり)がある場合、その両方がそのタンパク質合成に関わっており、その合成量もほぼ同等である。例えば、染色体異常で一部の相同染色体が3本になるダウン症は、当該染色体上のDNAからのタンパク質合成量が通常の1.5倍になることが原因で発症する。また、相同染色体上の同じ場所に異なった遺伝子がある場合は、メンデルの法則に従って優性、劣性の遺伝子発現が起こる。

■減数分裂時の相同染色体の組み換え頻度
相同染色体の片方は父親由来、片方は母親由来だが、それぞれ両親と全く同じDNAが子どもに伝わるのではない。精子・卵子をつくる減数分裂の際に、相同染色体同志の交叉・組み換えが起こるからだ。ヒトの場合、交叉が起こる確率は性別で異なっており、1つの精子がつくられる際に平均26.5回、1つの卵子がつくられる際に平均39回とされている。交叉は以前はランダムに起こると考えられていたが、現在では“ホットスポット”と呼ばれる、頻繁に組み換えが起こる場所の存在が知られている。

■相同組み換えメカニズムとDNA修復
上記の相同染色体の組み換えを補助するタンパク質は、体細胞において片方のDNA2本鎖が(2本とも)破損した際の修復にも関与しているらしく、このタンパク質をつくる遺伝子を持たない異常体はDNA修復もできないことが、大腸菌の事例から発見されている。

(参考)
理研ニュースリンク
京大ヒトゲノムマップリンク
THE HUMAN GENOMEリンク

田中素

2014年11月23日 (日)

免疫機能に見る雄雌の役割分化

>オスは基本的に脆弱です。「脆弱?オスは大きいし強いやんか!」と思われるでしょうが、乳児死亡率が高い、病気に弱い、栄養をとらないとすぐ死ぬ、とどれをとってもメスより不利です。(3295

病原体に対抗する免疫系に不可欠な13個の遺伝子は、X染色体上にある。
免疫系の抗体を作る「B細胞」が正常に成熟する為には、X染色体にあるBtk遺伝子と呼ばれる遺伝子の働きが必要であり、また「B細胞」に指令を与える「T細胞」が正常に成熟する為には、X染色体にあるIL-2受容体共通ガンマ鎖遺伝子と呼ばれる遺伝子の働きが必要不可欠である。

X染色体を一本しかもたないオスは、X染色体の遺伝子に異常が生じると、即座にその影響を受け、免疫機能に障害を生じる。
医学的な統計データとしても、(特に幼児期は)男は女よりも感染に弱く、熱を出す回数が多いことが解っているし、風邪からエイズに至るまで、感染症全般において、男性の方が感染しやすいことが解っている。

このことから考えると、オスはメスよりも肉体的に脆弱で、”不適応態”のように思われる。なぜオスは、生命活動上不可欠である免疫機能に「脆弱性」を有しているのか?

>従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。その突破口を開いたのが組替え系や修復系の酵素(蛋白質)群であり、それを基礎としてより大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。つまり、雌雄分化とは、原理的にはより安定度の高い性(雌)と、より変異度の高い性(雄)への分化(=差異の促進)に他ならない。従って、雌雄に分化した系統の生物は、適応可能性に導かれて進化すればするほど、安定と変異という軸上での性の差別化をより推進してゆくことになる。(実現論1_2_02

オスの免疫機能の脆弱性も、「安定度の高い雌と変異度の高い雄」と言う役割分化の上にあると考えられる。
我々自身が身をもって知っているように、病原体・ウィルスは、常に変異していく。その為、肉体の免疫システムで対応しきれない状況は頻繁に発生する。これは「固定的な免疫システム」では、適応して行けないことを意味し、病原菌・ウィルスの変異に適応して、免疫機能も塗り替えていく必要があると言うことである。

これは仮説だが、雄の免疫機能の脆弱性は、この変化していく病原菌・ウィルスに適応していく為のものではないだろうか。
すなわち、オスは免疫機能の脆弱性と言うリスクを抱える一方で、病原菌・ウィルスに「感染すること」で、免疫機能を塗り替えていく。その為に、雄は安定的なX染色体の免疫機能の半分を失ったのではないか。

遺伝子的に見れば、安定的なX染色体の免疫機能に対し、変異(活性)的なY染色体に変異を起こすことで、外圧(病原体・ウィルス)に適応する新しい免疫機能を獲得していくのではないかと考えられる。
このことは、チンパンジーと人類を比較した場合、人類のY染色体にチンパンジーのY染色体には存在しない、免疫系に関与する活性遺伝子「CD24L4」をもっていることからも仮説立証できる。(参考:リンク

こうしてオスのY染色体が獲得した免疫機能は、減数分裂による相同染色体の組み換えによって、X染色体の免疫機能へとフィードバックされ、種全体として免疫機能が塗り替えられていくと考えられる。

参考:Newton 2006年2月号

西谷文宏

2014年11月20日 (木)

両生類の進化 ―感覚器官の発達に着目してー

両生類は水中から空気中へと生息域を変化させるいという劇的な変化を遂げた。その中でも外敵や仲間の動きをキャッチする情報収集方法は外敵にいかに適応したかをみる中で重要である。感覚器官の進化に着目して確認していきたい。

両生類は情報収集方法の特徴として、振動情報の察知を特化⇒聴覚の発達があげられる。なぜこのような進化を遂げたかを見ていく。

・なぜ振動情報を察知したのか?
陸に上がる以前は当然水中にいた生物であるが、水に取り囲まれていたため、例えば味覚や嗅覚などの物理量による判断よりも、(水の)振動による判断の方が情報量をより多く得ることができた。そのため、陸に上がっても身体全体からの振動情報は得られなくなったが、振動情報そのものは必要不可欠であったはずである。つまり、水中での情報収集方法をそのまま踏襲することが外部環境への適応に最も有効であったと考えられる。

・なぜ聴覚・発声機能が発達したのか?
水中では身体全体で振動情報をキャッチすることが出来たが、空気中では難しい。そこで、振動情報を最も得られる聴覚を発達させた。また、情報量をより正確で詳細でなければならなかった理由として、「同類とのコミュニケーション」が考えられる。異種の生物であれば少ない情報でも判断できるが、同類となると微妙な差異まで捉える必要があるからである。

このように外部環境からの情報収集、同類とのコミュニケーションのおいて振動情報を詳細に察知するため、聴覚を発達させたことが分かる。

橋本宏

2014年11月19日 (水)

性決定の要

人間にとって性別の分化は絶対的なものであるが、生物界を見ると必ずしも性別の分化は明確なものでは無い。高等動物においては、精子をつくるのがオスで卵子をつくるのがメスだが、原始的な生物では一つの個体で精子も卵子も作っている。

例えば、腔腸動物であるホヤは雌雄同体で、一つの個体が精子も卵子も作っている。もう少し進化して軟体動物になると、雌雄異体の者が登場してくる。

さらに進化した魚類になると、雌雄同体はごく少数となるが、成長に応じて性転換する種類も多く、相変わらず雌雄の分化はあいまいである。しかし、魚類では遺伝子レベルで性別が決まる種も多く、メダカでは性決定遺伝子DMYも同定されている。

しかし、魚類でほかに性が遺伝子で決定されている魚類の遺伝子を調べてもDMY遺伝子は見つかっておらず、魚類の中でも性決定の遺伝子は異なっているようである。

さらに進化した、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類では自然環境で性転換するものは見当たらず、概ね遺伝子により性別が決定されているが、両生類、爬虫類、鳥類ではホルモン投与などにより、比較的容易に後天的に性転換させることが可能である。

また、爬虫類では遺伝子で性決定されるものもいるが、性遺伝子の型がオス型であっても、孵卵期の温度でメスになったりオスになったり変化するものが多い。

哺乳類では性決定遺伝子であるSRY遺伝子が同定されているが、単孔類はY染色体が無くSRY遺伝子は発見されていない。

鳥類や爬虫類も性決定遺伝子は未発見である。さらに鳥類や爬虫類はメスの性染色体がヘテロタイプであるZW型、オスの性染色体がホモタイプであるZZ型であり、性染色体そのものが哺乳類とは大きく異なっている。これらの遺伝子は哺乳類のXY遺伝子とは相同性が無く、全く違う遺伝子で性決定が行われていると推測されている。

性決定の方法は様々であるが、これらの動物では、共通して、精巣の形成・維持にDMRT1遺伝子が重要な働きをしていることが示唆されているし、また、卵巣の形成・維持にはエストロゲン/エストロゲン受容体系が不可欠であることが実験的にもはっきりと示されている。

従って、精巣分化のカスケードと卵巣分化のカスケードの少なくても一部はこれらの動物間で共通であると考えるのが一般的である。そうすると、性決定遺伝子の主たる役割はこれらのカスケードを最上位でオン、オフすることにより生殖腺の性分化を制御している可能性が考えられる。

また、もっと原始的な段階から考えると、まずは生殖細胞と体細胞の分化が第一段階の分化であり、生殖細胞が卵子と精子に分化するのが第2段階の分化、卵子だけを作る個体と精子だけを作る個体に分化したのが第3段階の分化といえる。

雌雄同体の軟体動物では、もとは同じ細胞から精子と卵子をつくることが可能であり、性転換を行う魚類では卵巣と違う場所に精巣がつくられることから、体細胞が生殖細胞に変化していると考えられる。

遺伝子レベルでは、オスメスに関係なく全ての細胞の遺伝子に、生殖細胞、卵子、精子、卵巣、精巣をつくる情報が保存されており、それを制御する機構を徐々に発達させながら、雌雄分化を進めていったのであろう。



性染色体リンク

メダカの性決定遺伝子リンク

雄と雌が決まる仕組み 魚から鳥、哺乳類までリンク

性染色体の進化と性決定 -爬虫類、鳥類、哺乳類を中心としてリンク

特集 動物の性はどのように決まるか?――性決定機構の共通性と多様性リンク

アフリカツメガエルの雌ゲノム特異的遺伝子 xDM-W の解析リンク

フトアゴヒゲトカゲの性決定様式リンク

奇形カエルリンク

2014年11月17日 (月)

性決定の要因

人間にとって性別の分化は絶対的なものであるが、生物界を見ると必ずしも性別の分化は明確なものでは無い。高等動物においては、精子をつくるのがオスで卵子をつくるのがメスだが、原始的な生物では一つの個体で精子も卵子も作っている。

例えば、腔腸動物であるホヤは雌雄同体で、一つの個体が精子も卵子も作っている。もう少し進化して軟体動物になると、雌雄異体の者が登場してくる。

さらに進化した魚類になると、雌雄同体はごく少数となるが、成長に応じて性転換する種類も多く、相変わらず雌雄の分化はあいまいである。しかし、魚類では遺伝子レベルで性別が決まる種も多く、メダカでは性決定遺伝子DMYも同定されている。

しかし、魚類でほかに性が遺伝子で決定されている魚類の遺伝子を調べてもDMY遺伝子は見つかっておらず、魚類の中でも性決定の遺伝子は異なっているようである。

さらに進化した、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類では自然環境で性転換するものは見当たらず、概ね遺伝子により性別が決定されているが、両生類、爬虫類、鳥類ではホルモン投与などにより、比較的容易に後天的に性転換させることが可能である。

また、爬虫類では遺伝子で性決定されるものもいるが、性遺伝子の型がオス型であっても、孵卵期の温度でメスになったりオスになったり変化するものが多い。

哺乳類では性決定遺伝子であるSRY遺伝子が同定されているが、単孔類はY染色体が無くSRY遺伝子は発見されていない。

鳥類や爬虫類も性決定遺伝子は未発見である。さらに鳥類や爬虫類はメスの性染色体がヘテロタイプであるZW型、オスの性染色体がホモタイプであるZZ型であり、性染色体そのものが哺乳類とは大きく異なっている。これらの遺伝子は哺乳類のXY遺伝子とは相同性が無く、全く違う遺伝子で性決定が行われていると推測されている。

性決定の方法は様々であるが、これらの動物では、共通して、精巣の形成・維持にDMRT1遺伝子が重要な働きをしていることが示唆されているし、また、卵巣の形成・維持にはエストロゲン/エストロゲン受容体系が不可欠であることが実験的にもはっきりと示されている。

従って、精巣分化のカスケードと卵巣分化のカスケードの少なくても一部はこれらの動物間で共通であると考えるのが一般的である。そうすると、性決定遺伝子の主たる役割はこれらのカスケードを最上位でオン、オフすることにより生殖腺の性分化を制御している可能性が考えられる。

また、もっと原始的な段階から考えると、まずは生殖細胞と体細胞の分化が第一段階の分化であり、生殖細胞が卵子と精子に分化するのが第2段階の分化、卵子だけを作る個体と精子だけを作る個体に分化したのが第3段階の分化といえる。

雌雄同体の軟体動物では、もとは同じ細胞から精子と卵子をつくることが可能であり、性転換を行う魚類では卵巣と違う場所に精巣がつくられることから、体細胞が生殖細胞に変化していると考えられる。

遺伝子レベルでは、オスメスに関係なく全ての細胞の遺伝子に、生殖細胞、卵子、精子、卵巣、精巣をつくる情報が保存されており、それを制御する機構を徐々に発達させながら、雌雄分化を進めていったのであろう。

生物の進化とは、新たな機能を獲得し遺伝情報が増えていくと同時に、増えた遺伝情報の中から細胞によっては使わない機能を発現させないように制御する機能も獲得していくことであったのだろう。このようにして、生殖機能が高度化しオスメスの差異が大きくなるに従い、性の可変性が小さくなるように進化してきたのであろう。

性染色体リンク

メダカの性決定遺伝子リンク

雄と雌が決まる仕組み 魚から鳥、哺乳類までリンク

性染色体の進化と性決定 -爬虫類、鳥類、哺乳類を中心としてリンク

特集 動物の性はどのように決まるか?――性決定機構の共通性と多様性リンク

アフリカツメガエルの雌ゲノム特異的遺伝子 xDM-W の解析リンク

フトアゴヒゲトカゲの性決定様式リンク

奇形カエルリンク

野田雄二

2014年11月14日 (金)

メスが原型で、オスが後天型という点について

>また、生物学的には元々生物は全てメスであり、後天的にオスが作られたという学説が最近、発表されています。

確かに、哺乳類を見ると、二倍体である染色体群の中で、性決定に係わる性染色体の組み合わせは、メスがXX(性染色体はXが二つ)、オスがXY(X染色体とY染色体)です。

哺乳類は、胚発生の過程で、最初、生殖器官の原型(原メス型)が作られ、その後に、Y染色体が働き(Y染色体にあるオス決定遺伝子が発現し)、生殖器官をオス型に作り変えます。

胚発生過程で、生殖器官の原型が、将来のメス型に近いので、「元々生物は全てメスであり」というような表現がされます。

しかし、鳥類と爬虫類(の一部)では、性染色体の組み合わせが逆になります。

性決定染色体の組み合わせは、メスがZW(Z染色体とW染色体)、オスがZZ(Z染色体が二つ)です。

哺乳類からの類推では、W染色体にメスを決定する性決定遺伝子があり、オスが原型でメスが後天型という事になります。

しかし、事は簡単ではなく、Z染色体上にオスかメスを決定する性決定遺伝子が存在する。(或は、W染色体にZ染色体のオス発現遺伝子を抑制する遺伝子が存在する。)

また、爬虫類のワニでは、性染色体としての明確な区別がなく、外圧条件でオスメス決定が行なわれます。受精卵から胚が発生する温度帯により、生まれるワニはオスになったり、メスになったりします。

つまり、胚の発生過程で、最初はメスであり、その後オスへ分化するとは、一概には言えないと思います。

オスメス分化は、種が変異体を作り出すシステムとして生み出したものです。その意味で、「オスとメスをどう作るかのシステムが、いく通りもある」という理解が必要なのではないでしょうか。

(確かに、安定性、次世代を生む生殖負担の重いメスの方に、進化過程の継続性が強く残っていると言う意味では、メスが原型という表現は可能ですか。)

村田貞雄 

2014年11月11日 (火)

真核単細胞の接合にも、”性システム”の原型が

原核単細胞生物→真核単細胞生物(1倍体)→真核単細胞生物(2倍体)→真核多細胞生物(2倍体)への進化に伴って、次世代を残す方法も変化してきた。(単純分裂→同形配偶子接合→異形配偶子接合→受精)

真核単細胞生物では、(同じ単細胞が)単純分裂と同形配偶子接合との両方を行う。
代表的なものは、1倍体であるクラミドモナスと、2倍体であるゾウリムシの接合である。

クラミドモナスは、周囲の栄養源が豊富な状態であれば単純分裂を繰り返すが、栄養源(特に窒素)が不足すると、二つの固体が合体する(接合)。核も同時にミックスした2倍体の状態で休眠状態に入る。再び周囲の栄養源が豊富な状態に戻ると、減数分裂を行い、4個の細胞(1倍体)となり動き始め、単純分裂を繰り返す。

ゾウリムシは普段は2倍体の真核単細胞生物として行動し単純分裂で増殖していくが、分裂回数の限界が近づくと、二つの固体が合体(接合)する。接合に際して、それぞれの核は減数分裂を行い4つの核(1n)を作り、核を交換して接合を完了する。接合完了後は、二つの2倍体真核単細胞生物として行動し、単純分裂を繰り返す。

ここで、注目すべきは、”同形配偶子接合”と言えど、”型”が存在するということである。クラミドモナスもゾウリムシでも、大きく二つの型があり、同じ型とは接合しない事が確認されている。(大きさにほとんど差がないため、異なる性を便宜的にプラスまたはマイナスなどと呼んでいる。)

クラミドモナスの型リンク
クラミドモナスの型を決める遺伝子リンク
ゾウリムシの型リンク

※自分と同じ型かどうかの識別は細胞膜で行っていると考えられる。(おそらく、膜タンパクの糖鎖)

単細胞の同形配偶子接合と言えど、無秩序に接合を繰り返す訳ではない。この段階から「秩序と変異」を両立する”性システム”を確立していることになる。

2014年11月 8日 (土)

生殖細胞と体細胞の分化(保存と仕事の分化)

多細胞生物の物の生殖細胞は、どんな体細胞にでもなれる「万能性」と生命を次世代に繋いでいく「継続性」を担い、体細胞は特定の機能だけを発現させる「特異性」と一世代で所定の分裂を経て消滅していく「有限性」を担う細胞である。多細胞生物は、この2つの細胞の役割の協働によって、生殖と進化のサイクルを繰り返していると言える。生物はどのようにしてこのような役割分化を獲得したのか。

原核生物の段階ではこの2つは一体であり細胞は無限分裂を続ける。真核単細胞生物のゾウリムシ段階では、この2つの役割が、一つの細胞の中の小核と大核という形で実現されている。

ゾウリムシの小核は、通常の代謝や単純な細胞分裂の際には殆んど働いていない(157918)。これは、有性生殖≒継続性を担うため、タンパク質合成への関与を減らしていることを意味する。例えばヒトの体細胞でも一つの細胞につき1日に5万回~50万回もの損傷が起きている(それらは修復酵素により即時に修復される)158352。分裂や代謝は、想像以上に細胞の破損に繋がる危険な行為だったのだろう。

多数の原核生物を取り込み、機能が高度化した真核生物では、修復酵素の能力限界を超える損傷リスクが高まり、それを回避するため、保存・継承を担う細胞を分化したのだと考えられる。それがゾウリムシの小核であり、多細胞生物の生殖細胞である(例えばヒトの卵母細胞も、胎児の時代に必要な分裂を済ましたあとは卵子になるまでは分裂しなくなる)。

一方、この損傷リスクを避けられない代謝や分裂の過程では、分裂回数を制限する機構を組み込んだ。その一つが、多細胞生物の体細胞に見られるテロメアである(但し、ゾウリムシにはテロメアの無い種もあるので、これだけが分裂制限機構の本質ではないと思われる)。

分裂回数の制約を受けた体細胞は、一世代での消滅を余儀なくされる代わりに、生命の継続性を生殖細胞に託すことで、様々な遺伝子の機能発現を試すことが可能になったのだと思われる。そのようにして獲得されたのが、“ゲノムマーク”157872の制御と解除によって多様な組織をつくりだす多細胞生物の体細胞の仕組みではないだろうか。

さらに、これに生殖細胞の減数分裂システムが加わって、生殖細胞は保存(継承及び小変異の蓄積)、体細胞=仕事(代謝及び小変異の発現)を分化することで、多細胞生物は現在のように多様な進化を遂げたのだろう。

田中素

2014年11月 5日 (水)

役割特化のための異形配偶子

同形配偶子:相反する性質を持った配偶子で大きさや形が同じである。
異形配偶子:相反する性質を持った配偶子で大きさや形が異なり、大型の配偶子を雌性配偶子、小型を雄性配偶子と言います。
では、なぜ大きさや形が異なったのでしょうか?

異形配偶子の殆どは多細胞生物以降に登場しますが、新たな生命体の為には、より多くの栄養を蓄える必要があります。
この栄養を蓄える機能を担い、大型化したのが雌性配偶子であり、異形配偶子の起源であるようです。

同形配偶子の場合には、両配偶子とも運動能力があり、異形配偶子となった当初の段階でも両配偶子とも運動能力はありましたが、雄性配偶子の更なる大型が進むと、運動能力を失って「待ち受ける性」となります。これを卵細胞、卵と言います。

一方、雄性配偶子は、雄性配偶子が「待ち受ける性」となった以上、運動能力を高める必要があります。つまり、益々小型化し必要最小限の遺伝子情報しか持たない「追い求める性」となります。これを精細胞、精子と言います。

ちなみに大きさの違いは、人類場合には精子5μmに対して、卵子100μmと20倍になっています。

つまり、有性生殖の為だけに特殊化した配偶子を作らなければならない多細胞生物にとって、配偶子を鞭毛を持ち運動能力の優れた精子と、運動能力はないが発生に必要な多くの栄養分を持つ卵子に分化させた方が、受精と発生の効率を高めるのに有利であった言えます。

参考;生命と進化 第4章 地球の進化と生命(リンク
   生殖と減数分裂(リンク

村田頼哉

2014年11月 2日 (日)

動物の性分化と生殖機能の発現機構

オスとメスが交尾して子供が産まれるのが当たり前と考えてしまいがちですが、動物にも様々な生殖方法があります。オスメスが分化していない雌雄同体や、オスメスが交尾しない単為生殖です。

雌雄同体は、同時的雌雄同体と機能的雌雄同体に分かれます。同時的雌雄同体は、一つの個体が同時に精巣と卵巣を持っている動物で、機能的雌雄同体は一つの個体が成長や環境の変化に伴って性転換する動物です。

同時的雌雄同体の動物は、ミミズ(環形動物)、ナメクジ・カタツムリ・ウミウシ・貝類の一部(軟体動物)、フジツボ・カメノテ(甲殻類)、ホヤ(原索動物)などです。

同時的雌雄同体の動物はさらに、交配するものと自己受精するものに分かれます。ミミズ、ナメクジ、フジツボなどは交尾を行いそれぞれが卵を産みます。貝類の一部は交尾をせず精子を海水中に放出するだけで自己受精するものもあります。ホヤも精子を海水中に放出しますが、卵膜が自己認識機能を持ち自己受精を防いでいるようです。

機能的雌雄同体の動物は魚類に見られます。一番多いのが雌性先熟(しせいせんじゅく)、雌として生まれて成長すると雄になるというタイプで、身近な魚では、ベラ科・ブダイ科等があります。逆の雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)のタイプは身近な魚では、ウツボ科・コチ科・タイ科・アカメ科・クマノミ科があります。

魚には雌雄同時成熟=同時的雌雄同体のものもいます。地中海などにすむペインテッドコムバーは雄と雌の役割を交換しながら産卵・放精を繰り返すそうです。このほかにも、ヒメ・ハタ・メダカ類の中には、雄と雌の器官が同時に成熟するものが知られています。カダヤシ亜目のマングローブキリーフィッシュ(Rivulus marumoratus)という魚は、卵巣と精巣をもち、さらに自家受精をします。

両生類や爬虫類、鳥類、哺乳類となるとさすがに雌雄同体はいませんが、両生類はホルモン投与で性転換することが比較的容易に可能なようです。

爬虫類は卵が受精した段階では性が決まっておらず、卵が成長する環境の温度でオスになるかメスになるかが決まっています。ミシシッピーワニは32℃以上だとオスになり、32℃以下だとメスになるそうです。

鳥類と哺乳類は遺伝子レベルで性が決定されていて、環境に左右されることはありませんが、鳥類では雌性ホルモンを抑制することで人為的に性転換することは可能らしいです。

動物は遺伝子の中に雄性、雌性の両方を持っており、性遺伝子の発現を発動抑制する機構がホルモンであったり、温度であったり、違いがあることで性の固定度が変わってきます。

原始的な生き物ほど、どちらの遺伝子も比較的簡単に発現し、生殖組織(精巣や卵巣)を形成し生殖することが可能ですが、進化するにしたがってオスメスの固定度が高くなります。

動物の生殖には、以上の有性生殖のほかに単為生殖があります。単為生殖は卵が受精することなく分裂し生態に成長することです。ハチやアリの単為生殖は有名ですが、魚や爬虫類、鳥類でも自然単為生殖は行われているようです。

最もオスメス分化を進めた形で進化した哺乳類は最も性の固定度が高く、現代の技術をもってしても人工的な性転換さえ不可能です。単為生殖はクローンに近いような複雑な過程を経て、やっとネズミで成功したところです。

参考
オスメス分化の番外編(雌雄同体)リンク
性の分化と性の決定リンク (朝日大学リンク生命教育の窓リンク )
性分化とホルモンリンク
コモドオオトカゲも単為生殖リンク
父親なしで生まれたマウスリンク
生殖遺伝学研究室リンク

野田雄二

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