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2014年11月26日 (水)

相同染色体のはたらき

■相同染色体とは?
ヒトのゲノムサイズは約30億塩基対で、染色体数は23組(22組+性染色体)である。これは、合計で約30億対の塩基配列を持つDNAが2組、それぞれ23本(計46本)に分割され、細胞核に格納されていることを意味する。これらが細胞分裂時に折りたたまれ、23組46本の染色体の構造をつくる。この1組2本の染色体同志を「相同染色体」という。有性生殖生物では通常、相同染色体の1本は父親由来、1本は母親由来である。

■相同染色体の塩基配列の違い
相同染色体の塩基配列は、大半が同じだが全く同じではない。ヒトゲノムの個人差は約0.1%、即ち約30億の塩基対のうち約300万箇所の異なる塩基配列を持つ(2人の人間を比べた場合。個体数が増えれば相違箇所は増える)と言われており、異なる2個人から受け継がれる相同染色体の差異も概ねこれに準ずると考えられる。ただし、正確には生殖の過程で2度、減数分裂時と受精時に起こる染色体の交叉を考慮する必要がある。

■相同染色体の“仕事”=タンパク質合成
体細胞では、相同染色体上の同じ場所に同じ遺伝子(あるタンパク質の合成を指令する一連の塩基配列のまとまり)がある場合、その両方がそのタンパク質合成に関わっており、その合成量もほぼ同等である。例えば、染色体異常で一部の相同染色体が3本になるダウン症は、当該染色体上のDNAからのタンパク質合成量が通常の1.5倍になることが原因で発症する。また、相同染色体上の同じ場所に異なった遺伝子がある場合は、メンデルの法則に従って優性、劣性の遺伝子発現が起こる。

■減数分裂時の相同染色体の組み換え頻度
相同染色体の片方は父親由来、片方は母親由来だが、それぞれ両親と全く同じDNAが子どもに伝わるのではない。精子・卵子をつくる減数分裂の際に、相同染色体同志の交叉・組み換えが起こるからだ。ヒトの場合、交叉が起こる確率は性別で異なっており、1つの精子がつくられる際に平均26.5回、1つの卵子がつくられる際に平均39回とされている。交叉は以前はランダムに起こると考えられていたが、現在では“ホットスポット”と呼ばれる、頻繁に組み換えが起こる場所の存在が知られている。

■相同組み換えメカニズムとDNA修復
上記の相同染色体の組み換えを補助するタンパク質は、体細胞において片方のDNA2本鎖が(2本とも)破損した際の修復にも関与しているらしく、このタンパク質をつくる遺伝子を持たない異常体はDNA修復もできないことが、大腸菌の事例から発見されている。

(参考)
理研ニュースリンク
京大ヒトゲノムマップリンク
THE HUMAN GENOMEリンク

田中素

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