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2014年12月

2014年12月29日 (月)

有袋類と真獣類の違い(卵胎生からの可能性収束)

哺乳類は、卵胎生から恒温性を発達させて、生殖方法で大きく2つに分岐する進化を遂げました。それがいわゆるコアラやカンガルーに代表される有袋類と、ネズミ、チンパンジー、や私達人類にも当てはまる真獣類という分類です。

簡単に言ってしまえば、

 ①育児嚢で子供を育てる、有袋類            
 ②胎盤を利用して子宮内で子供を育てる、真獣類   

という2つの生殖方法が卵胎生から次の進化の可能性として確立されたということです。

ここで、これらの生殖方法の違いにおける利点や不利な点を比較すると

①は、妊娠約1ヶ月あまりで出産し、その後ほぼ1年間袋の中で育てるという仕組みを採ります。そのため、母体に直接与える影響が少ないという利点がある一方で、胎児の抵抗力が低い時期に外気に触れる機会が多くなるため、ウィルスや環境変化による影響を受けやすいという傾向があります。(付け加えると、袋の中は湿気を多く含んでいるため、細菌等が繁殖しやすい環境となっています)

それに対して
②は、妊娠後すぐに出産するわけではなく、しばらくは胎盤内で育てる期間があります。これは抵抗力の弱い胎児を体内で育てることでウィルスや環境変化に少しでも対応させる意味合いが強いです。これは、データとしても生存確率が有袋類より高いという事実からも確かです。しかし、これは同時に、母体に直接与える影響を長期に延ばすというリスクを背負っているということにもつながり、外敵からいかに身を守るかが重要な鍵になります。

汚れなき男

2014年12月26日 (金)

母系集団の形成過程

胎生になり保育期間が長くなった哺乳類はメスの生殖負担が増大する。
すると保育期間中は集団へ依存しなくてはならず、集団への依存を強める。

一方オスはメスの生殖負担が増えたため、闘争性を高めなくてはならなくなる。すると性闘争がより激化し集団内での性闘争も激しさを増す事となる。集団内でのオス同士の闘争を回避するため、ボスであるオスは集団内の(ボスに戦いを挑んで負けた)オスを集団外へ放逐することとなる。

集団への依存度を増したメスは集団へ残留し、戦って負けたオスは集団外へ放逐されることが母系集団の形成過程と言える。

この母系集団とは利に適った集団形態と言える。

集団を分散化させ交配することで多種多様な種を誕生させることができる。
そのため生物には移籍する事が本能レベルでインプットされていることとなるのだが、この移籍させる際にメスのように闘争能力の低い生物が移籍をすると、個体で移動する際に外敵に襲われその後の繁殖が途絶えてしまう可能性がある。
しかし、闘争存在であり、闘争性が高まったオスでは個体での移動の際でも外敵との闘争を可能にし生存率が上がる。
種の存続のためには母系集団である事が最も望ましい形態と言える。

現に父系集団の形態をとっているのは哺乳類では一部のサルと人類のみであり、その他の哺乳類は概ね母系集団を保っている。

竹田翔

2014年12月23日 (火)

四肢で立ち上がる為には

現在の爬虫類は地面を這う形で行動する。爬虫類だけではない。昆虫も含めて殆どの動物は地に這う形で行動している。その意味では地上から立ち上がった動物は、哺乳類(と鳥類等恐竜の子孫)のみである。

四肢で立ち上がるためには、かなり困難ないくつかの条件が必要になってくる。一つは体高が高くなると、そこに血を送る事が(地面に這う=体高が低い状態に比べて)はるかに困難になる。つまり心臓が生み出す血圧が相当高くないと実現しない。同時にその血圧に耐えられる、丈夫な血管と皮膚が必要になる。

第二に地に這う=腹や尻尾も体を支えている状態に比べて、四肢で立つということは肢にかかる重力が遥かに増大する。
それに対して立ち上がることのメリットは、体高が高くなる事で、敵を察知しやすくなる。肢が長くなる事で移動スピードが上がる事である。

では哺乳類はいかにしてそのような能力を獲得するに至ったのだろうか?
恐らく心臓の機能の上昇は土中時代に始まる。土中は通常地上に比べて酸素不足の環境である。この少量の酸素を有効に利用する為に、心肺機能を発達させたのであろう。かつ恒温性の獲得の為には体中に酸素と栄養分を常時大量に送る必要があり、そのことも心肺機能を高める方向で進化させた要因となっている。
また哺乳類の骨格上の特色は、骨が固くかつ肋骨が胸部にしか存在しないない事である。それに対して両生類の骨は軟骨に近く、重い身体を充分に支えられる硬度にかける。また爬虫類は、肋骨が首から尻尾の部分にまで存在し、体を守るためには丈夫であるが、体の大きさに比べて骨の量が多く、従って身体が重い。哺乳類が立ち上がる事が出来たのはこの四肢に掛かる荷重の低さにその要因がある。

しかしこれは逆に言えば、最も重要な心臓と脳を除いて骨格による体躯の防衛を犠牲にしたということでもある。
これは、恐らく弱者であった哺乳類が、防衛を犠牲にしてでも、素早く逃げる事に可能性収束した結果ではないだろうか?

(因みに鳥類や恐竜も一定の心肺機能を有しており、かつ身体を軽くする為に、骨の中を空洞にしていた様である。その結果防衛機能はやや弱く、かつ哺乳類ほどには心肺機能を発達させていない為、動きは哺乳類に対してやや鈍い。その中途半端さが空を飛ぶ鳥を除いて、立ち上がるは虫類が生き残れなかった、もう一つの理由ではないだろうか?)

北村浩司

2014年12月20日 (土)

接合型から異型配偶子へ進化した?

多細胞化した生物の有性生殖は、そのかなり初期の段階から既に精子、卵子に分化している。アオミドロや海苔の類など僅かな種だけが同型配偶子接合を行うのみだ。従って、配偶子の分化の原基は既に単細胞の段階から存在していたと考えられる。

その一つに、単細胞が接合を行う際に、無条件に相手を選ぶのではなく、特定のタイプの個体同志の組み合わせとなる「接合型」がある。

<出芽酵母>
>一倍体にはa細胞とα細胞という2種類の性(接合型と呼ぶ)が存在する。a細胞どうし、α細胞どうしは接合しない。a細胞とα細胞はそれぞれaファクターとαファクターという特有の性ホルモン(フェロモン)を分泌しており、お互いが十分に近接して相手のフェロモン細胞膜上の受容体で感知すると、通常の増殖を停止し接合をはじめる。互いの方向に向かい細胞が伸長し、互いの細胞膜、続いて核が融合し、二倍体の細胞となる。
リンク

<ゾウリムシ>
大きくE型とO型と呼ばれるタイプに二分され、その中に各々4つのサブタイプがある(ex.E1型、O2型など)。その掛け合わせで計4×416の接合型グループがある(例えば、E1型はO1型としか接合しない)。そもそもゾウリムシの“種”そのものが異なるという議論があったが、近年、雑種が生まれるケースも確認されている。

比較的原始的な多細胞生物(カイメン・サンゴ・ニハイチュウなど)では、通常は無性生殖を行い、生息域の個体数が増えるなどニッチの拡大・移動が必要な場合に精子と卵子を形成し有性生殖を行う場合が多い。単細胞生物の有性生殖の契機もこれに類似している。

このような同一の単細胞生物の種の中での大きな類型(接合型)の違う細胞が、多細胞生物になった段階で躯体内部(雌雄同体の生物では同一躯体内)に取り込まれ、精子・卵子に分化し、次第に雌雄の躯体の分化に進化していった可能性が考えられるのではないだろうか。

田中素

2014年12月17日 (水)

動物は生殖能を限定する方向で進化してきた

植物は、有性生殖をはじめ胞子生殖、栄養生殖など、多様な生殖様式を持っている。また、進化史上の高等植物は雌雄同体が一般的である。

昆虫の生殖様式も多様であり、驚くべきことに、ハチ、アリなどのように単為生殖を行いn半数体の個体をつくる種さえある。
(ハチ、アリのn半数体オスとは何なのか? →生殖巣と精子をつくるため“だけ”の個体。昆虫の性は動物と異なり、全身の細胞レベルで個別に決定されるため、このようなn半数体による個体形成も可能なのかも知れない?)

動物系統の生殖様式も多様であるが、進化の歴史上は、生殖方法を限定する方向へ(無性生殖を放棄して有性生殖オンリーへ)、オスメスの固定度を高める方向へ(雌雄同体から雌雄異体へ、性決定機構の固定化へ)、多様な生殖能を放棄する=限定・特化路線をあゆんできた。

つまり、種の保存に係る生殖過程を(多様な同類他者=小変異体を生み出せる)有性生殖=生殖細胞の合体→減数分裂システムに限定させてきた。そうして、最も負担の大きい生殖過程を分離することによってはじめて、体細胞系列を高度に機能分化させていくことが可能になったとも言える。

高度に進化しても多様な生殖能を持つ植物や昆虫と、動物との違いは、大きくは、外圧構造の違いにありそうだ。植物は、光合成により自立的に栄養分をつくり出せるし、生存のために摂取する物質は、水や二酸化炭素等々、自然界に潤沢に存在する(植物等に寄生する昆虫もそれに準ずるだろう)。それに対して、動物は動いてエサをとるしかない。食い合いやエサの取り合いから、摂取機能を進化させる圧力が強く働き、その進化がさらに種間圧力を強化し、身体機能の高度化(=体細胞系列の高度な機能分化)を促進するという外圧(循環)構造にあったと考えられる。

岩井裕介

2014年12月14日 (日)

オス・メス固定度の分類

大雑把な仮の分類であるが、有性生殖を行うようになってからのオス・メス分化の固定度は、以下のように整理されるだろう。
(1)雌雄同体
 ①単為生殖と有性生殖の並存【海綿動物】【扁形動物】
 ②雌雄同体で有性生殖のみ【性転換する魚類】
(2)雌雄同体と雌雄異体の並存
 ①単為生殖が基本だが有性生殖もする【刺胞動物】【輪形動物】
 ②有性生殖が基本だが単為生殖も残存  
  【線形動物】【環形動物】【棘皮動物】【脊索動物】
(3)雌雄異体
 ほぼ有性生殖のみ【節足動物】【軟体動物】【両生類以降の脊椎動物】

進化系統樹としては、以下のように整理される。
(1)無胚葉、二胚葉性動物
【海綿動物】【刺胞動物】【線形動物】
(2)旧口動物
【扁形動物】【輪形動物】【節足動物】【環形動物】【軟体動物】
(3)新口動物
【棘皮動物】【脊索動物(脊椎動物を含む)】
※(1)無胚葉、二胚葉性動物から(2)旧口動物と(3)新口動物が枝分かれしてゆく。

基本的には、進化するにつれて雌雄同体から雌雄異体へとオス・メス分化の固定度が高くなってゆく。しかし、その中間には雌雄同体と雌雄異体が並存する動物がいる。

雌雄同体の段階では、単為生殖と有性生殖が並存する動物が多い。しかし、有性生殖が基本になる魚類の段階でも、一部に性転換をする雌雄同体のものが残っている。

旧口動物では【節足動物】【軟体動物】、新口動物では【両生類以降の脊椎動物】の段階になると、ほぼ雌雄異体の有性生殖のみとなる。但し、【節足動物】でもいろいろあって、昆虫の中には、ハチやアリのように有性生殖と単為生殖を並存させているものもいる。また、【軟体動物】でも、カタツムリのように雌雄同体のものも残っている。

分類は一筋縄ではいかないが、このように並べてみると、生物界全体では、有性生殖のみを行っている動物の方が少ない。かなり進化した高等生物のみと言ってもよい。むしろ、有性生殖を行うようになってからも単為生殖を残しているものが多い。

単為生殖と有性生殖の両方を行う動物の場合は、外圧が高く生存条件が厳しくなった時に有性生殖に転じる例が多い。生物にとっては、単為生殖の方が基本で、有性生殖の方がむしろ特殊なのではないだろうか?

雪竹恭一

2014年12月11日 (木)

哺乳類の恒温性獲得に伴う呼吸器官の発達

哺乳類になった生物は寒冷化に適応するために、恒温性を獲得した。
体内でどのように熱を発生させて、それに伴い何を発達させることで恒温性を獲得したのかを見ていきたい。

熱の発生の原理は、エネルギーを蓄える白色脂肪細胞、エネルギーを燃やす褐色脂肪細胞によるものであった。例えると、この二つの物質は「薪と暖炉」のような役割を果たし、熱源となった。褐色脂肪細胞の熱産生に関与しているタンパク質が発熱原因タンパク質と呼ばれるもので、これはミトコンドリアの中に確認できる。
以上のことから、ミトコンドリアは細胞内に酸素を吸収して、体内のエネルギーを作り出す役割を担っているが、「恒温性」を獲得するために、酸素を発熱に使用したことが分かる。
(リンク
(リンク
(キーワード:遺伝子資源利用学特論 第3回 動物の発熱関連遺伝子)

この熱の発生であるミトコンドリアと、呼吸器官に着目してみると一つの視点が見えてくる。
それは、酸素がより必要となったミトコンドリア(エネルギーの循環だけではなくて、発熱にも必要となった)に充分な酸素を送るためには、より効率的な酸素供給が必要となる。つまり、肺呼吸を発達させる必要があったはずである。また、寒冷下から逃れるためにはその酸素を体中に循環させて、発熱させ、さらに暖められた血液を体中に循環させる必要があったことから考えると、血管などの循環器系統も発達したであろう。

つまり、ここでの仮説は、
「恒温性を獲得し、その機能を活かすためには、酸素を効率的に循環させるための呼吸器官の発達と、血管などの循環器系統の発達が不可欠であったのではないか」ということである。

哺乳類への進化として挙げられる「恒温化、胎生、授乳」に加え、呼吸、循環器系統の発達の観点からも考察してみる必要があろう。
また、「寒冷化」という逃れられない外圧状況を軸に考えるのであれば、「寒冷化⇒恒温化→胎生、授乳、呼吸器官」の発達という因果関係も見えてくる。この点についてもさらなる追求が求められる。

参考投稿
両生類~爬虫類・哺乳類の進化系統樹(128270)
哺乳類が恐竜絶滅の時代を生き延びたわけ(126134)
変温動物から恒温動物への進化について補足(126138)
哺乳類の進化(恒温→授乳→胎生)(126024)

橋本宏

2014年12月 8日 (月)

爬虫類はなぜ卵に殻を作ったのか?

爬虫類に進化して、なぜ卵の殻は固くなったのか?
両生類から爬虫類への外圧の変化と、殻という最も外側を覆うものとしての機能面から、形成の理由を検討する。

□両生類からの外圧変化
・水中から地上へ
爬虫類に進化して最も変化したのが、「水中→陸上」である。陸上に上ったことで、当然産卵場所も変化し、「水中→土の中」へ変化した。
ここで、外圧として考えられるのが、特に「乾燥化・衝撃(重力)」である。これらから派生する問題も含め、4つの視点から卵に求められる機能を見てみる。


□卵の殻の機能面からの検討
・耐衝撃性
「衝撃」の外圧は、外敵から「身を守ること」、自重から「卵の形状を維持すること」である。構造的に合理的な形態、強度が求められる。

・乾燥から守る
水分がない状態であるので、「乾燥化」から守る必要がある。卵内の水分が蒸発しな
いよう、密実であることが求められる。

・ふ化期間の延長
原因か結果かは未明だが、両生類と爬虫類のふ化期間の違いに着目してみる。例えば、ニホンアマガエル(両生類)のふ化期間は2~3週間、ウミガメ(爬虫類)は2ヶ月でふ化する。爬虫類の方が両生類よりもふ化期間が長い→卵である期間が長い。
つまり、卵に「経年劣化に耐えうる強度」が求められる。

・腐敗から守る
ふ化期間の延長に加え、気温の変動が激しい地上は腐敗しやすい環境にあるといえる。そのため、卵を「腐敗から守るコーティング」が必要であると考えられる。


よって、これから考えられる「卵に求められる機能」は「強度(衝撃・経年劣化)・密実であること・耐腐敗性」である。


□卵の構造と殻の形成
・卵の構造
殻に覆われた卵は、内側から、胚盤・卵黄・卵黄膜・卵白・卵殻膜に覆われ、その表面に卵殻が形成されている。

卵殻以外は両性類までの卵の構造とほぼ同様であると考えられる。
胚盤・卵黄が人間で言う卵子であり、胚盤がやがて幼体となる。それを覆う卵白は胚に水分を補給したり、保護する役割を持つ。さらにそれらを卵殻膜が卵全体を包括している。
(リンク
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両生類までの段階で、卵は膜に覆われ、「保護」の機能はある程度備えていると考えられる。しかしながら、地上へと上った爬虫類には各外圧状況が非常に高まった。
特に「強度」という側面から考えると、両生類のままの卵では明らかに不十分であり、それが最も大きな要因となり「殻」を形成し保護する必要があったのであろう。

橋本宏

2014年12月 5日 (金)

爬虫類の温度依存性決定メカニズム

爬虫類は熱帯から寒冷帯、沼地から砂漠にわたる様々な環境に生息し、陸上脊椎動物の中で最も繁栄してきた動物群であり、その多くが温度に依存した性決定を行うということは、メカニズムとして非常に興味を惹くところです。

性染色体による性決定が当然だと思っていたので、「温度によって性が決定するなんて、なんていいかげんなんだろう」と考え勝ちですが、これだけ繁栄してきたということは、優れたメカニズムなのかも知れません。

性決定は孵卵期間の中期にエストロゲンを浴びると雌に、アンドロゲンを浴びると雄になるのですが、両者は同じステロイドという科学物質であり、酵素によってアンドロゲンからエストロゲンに変化します。

その酵素がどの温度の時に活性化するかによって性が決定されることになるのですが、孵卵期間の温度は季節だけではなく、産卵した場所が日陰なのか日向なのか、地表に近いのか地中深くなのか等によっても高低があるため、同時期に産卵された卵であっても雄雌両方が生まれることになります。

温度と性決定の関係には種によってかなりの多様性があることを考えると、様々な酵素があると推測されます。その種が生息している環境に一番適した酵素が使われることによって、うまく雄雌を作り出して繁栄してきたのが爬虫類なのです。

つまり、温度依存による性決定が、メカニズムとしての基本形であり環境適応力もあるということです。

むしろ、胎内で孵化させるようになった哺乳類が恒温動物であるがために、温度依存メカニズムが使えなくなり、遺伝子による性決定システムに変更せざるを得なかったという方が実態のようです。

松尾茂実

2014年12月 2日 (火)

遺伝子から見た、オスメス分化=性システムの本質

「遺伝子から見た、オスメス分化=性システムの本質①」160977から、以下の2つの仮説が導き出される。

■1.「オスメス分化の性システムは、性染色体より根源的である」
 Y染色体を失ったトゲネズミが、新しい性決定遺伝子を生み出しているように、性システムは、性染色体を失ったくらいで消滅するような単純なものではない。

>オスメス分化は、種が変異体を作り出すシステムとして生み出したものです。その意味で、「オスとメスをどう作るかのシステムが、いく通りもある」という理解が必要なのではないでしょうか。(159058
>つまり、外圧状況に応じた役割分化によって個体の性別が決定されるメカニズムの方が先行しており、より過酷な生存状況に置かれた哺乳類の段階から生涯固定の(≒染色体の組み合わせに支配された)性別=雌雄役割分担が常態化したと考えられます。(106132

XX/XYと言う性染色体のもとに「オスメス分化」が存在するのではなく、「オスメス分化」を実現する為のシステムとして、性決定遺伝子(Y染色体)が生み出されたと考えられる。

■2.「性決定遺伝子は、相同性の喪失によって生み出される」
 相同染色体は、減数分裂時の遺伝子の交差と修復によって、突然変異・コピーミスが修復される。すなわち、交差と言う変異性を保ちながら、異常変異を起こさない安定した染色体と言える。なお、雌のXX性染色体は、相同染色体であるので、「安定した性染色体」と言える。

この安定した染色体が相同性を失うと、減数分裂の組み換え・修復機能による突然変異の修復が行われず、染色体上に突然変異が蓄積されていく。言葉を変えて言えば、相同性を失うことで、「変異性の高い遺伝子」が生まれると言える。

哺乳類のオス/メスを決定するのは、Y染色体に存在するSRY遺伝子であると言われている。このSRY遺伝子は、X染色体始め、他の染色体上には存在しないことから、Y染色体が形成される過程で生み出された、突然変異遺伝子であることは間違いない。

このことから、安定した性染色体であるXXが、相同性を失い、突然変異を蓄積していく中でSRY遺伝子が生み出され、Y染色体=「オス」(と言う性)を実現したと考えられる。
これは、哺乳類のSRY遺伝子に関わらず、魚類の性決定遺伝子DMY(159333)等でも同じであると考えられる。

このように考えてくると、オスメス分化と言う性システムの本質は、「2倍体=相同染色体と言う安定的システム+相同性の喪失によって生み出される変異性」にありそうである。

参考:「性を決めるカラクリXY染色体」 Newton 2006年2月号

西谷文宏

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