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2014年12月 2日 (火)

遺伝子から見た、オスメス分化=性システムの本質

「遺伝子から見た、オスメス分化=性システムの本質①」160977から、以下の2つの仮説が導き出される。

■1.「オスメス分化の性システムは、性染色体より根源的である」
 Y染色体を失ったトゲネズミが、新しい性決定遺伝子を生み出しているように、性システムは、性染色体を失ったくらいで消滅するような単純なものではない。

>オスメス分化は、種が変異体を作り出すシステムとして生み出したものです。その意味で、「オスとメスをどう作るかのシステムが、いく通りもある」という理解が必要なのではないでしょうか。(159058
>つまり、外圧状況に応じた役割分化によって個体の性別が決定されるメカニズムの方が先行しており、より過酷な生存状況に置かれた哺乳類の段階から生涯固定の(≒染色体の組み合わせに支配された)性別=雌雄役割分担が常態化したと考えられます。(106132

XX/XYと言う性染色体のもとに「オスメス分化」が存在するのではなく、「オスメス分化」を実現する為のシステムとして、性決定遺伝子(Y染色体)が生み出されたと考えられる。

■2.「性決定遺伝子は、相同性の喪失によって生み出される」
 相同染色体は、減数分裂時の遺伝子の交差と修復によって、突然変異・コピーミスが修復される。すなわち、交差と言う変異性を保ちながら、異常変異を起こさない安定した染色体と言える。なお、雌のXX性染色体は、相同染色体であるので、「安定した性染色体」と言える。

この安定した染色体が相同性を失うと、減数分裂の組み換え・修復機能による突然変異の修復が行われず、染色体上に突然変異が蓄積されていく。言葉を変えて言えば、相同性を失うことで、「変異性の高い遺伝子」が生まれると言える。

哺乳類のオス/メスを決定するのは、Y染色体に存在するSRY遺伝子であると言われている。このSRY遺伝子は、X染色体始め、他の染色体上には存在しないことから、Y染色体が形成される過程で生み出された、突然変異遺伝子であることは間違いない。

このことから、安定した性染色体であるXXが、相同性を失い、突然変異を蓄積していく中でSRY遺伝子が生み出され、Y染色体=「オス」(と言う性)を実現したと考えられる。
これは、哺乳類のSRY遺伝子に関わらず、魚類の性決定遺伝子DMY(159333)等でも同じであると考えられる。

このように考えてくると、オスメス分化と言う性システムの本質は、「2倍体=相同染色体と言う安定的システム+相同性の喪失によって生み出される変異性」にありそうである。

参考:「性を決めるカラクリXY染色体」 Newton 2006年2月号

西谷文宏

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