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2015年1月31日 (土)

雌雄分化は遺伝子の協働の賜物

性決定遺伝子の働きのみによって、オスメス分化が成されているかのような誤解が一部に存在する向きがあるが、雌雄分化が促進された哺乳類や鳥類では、躯体のオスメス分化(差別化)は少なくとも三段階存在する。
①共通の性腺から、精巣・卵巣各々を作る指令を行なう遺伝子が発動する段階。
②雄性、雌性のホルモン分泌によって体細胞の機能が変化し、雌雄の体細胞が差別化される段階。
③脳の神経細胞の差別化が促進される段階。

例えば①を司る遺伝子群が発動する事で②を司る遺伝子群が発動し(封印が解除され)②の遺伝子群が発動する事で③を司る遺伝子群が発動される、という風にそれぞれの遺伝子群は連鎖して発動されている。
逆に、鳥類の(ニワトリ)事例に見られるように①で一旦精巣づくりが指令されたとしても②の段階で何らかの理由によって、雄性ホルモンの分泌量が多くなると、①の段階にフィードバックされ、卵巣作りの指令が出しなおされるなど、それらは単純なフローではなく、相互連関関係にある。

またそれだけではなく②の細部でも例えば甲状腺刺激ホルモン(蛋白)が分泌されることで、甲状腺ホルモンが分泌され、声変わりを促進するホルモンが分泌されるという風に、それぞれを司る遺伝子群が存在し、それらは連鎖して発動される。この連鎖は通常数十の蛋白質の連鎖、すなわちそれらを作り出す遺伝子群の連鎖によって行われている。

ちなみに進化の過程ごとに新たな遺伝子群を塗り重ねる事で、オスメス決定の仕組みを高度化させてきたと考えられることから、①の段階も同様に、いくつかの遺伝子群が連鎖的に発動される事で、必要な蛋白質群が作られていると思われる。つまり決して単一の遺伝子の働きで性が決定されているわけではない。勿論③段階目も同様であろう。

要するに遺伝子群が多様に相互連関する事で、雌雄の差別化は生み出されている。まさに遺伝子の協働体がオスメスを作り上げているのだ。
(参照「遺伝子の共同体」59、「蛋白質は多様に連鎖反応する」2747

北村浩司

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