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2015年2月27日 (金)

マクロファージの系統進化

●原生動物

アメーバやゾウリムシ(繊毛虫)、ユーグレナ(鞭毛虫)などの原生動物は、ひとつの細胞で1個の動物として生活している。原生動物はそれ自身が貪食細胞であり、細胞食作用は自身の防御作用であり、また栄養摂取作用でもある。

しかし、サルモネラ菌の貪食能は、抗血清の存在下で高くなることや、哺乳類の赤血球を化学修飾すると細胞食作用が変化することなどや,哺乳類の多形核白血球の細胞貪食作用と類似していることが明らかになるにつれ、餌として取り込むこととは無関係に見える特別の機構を有しているようである。

あるアメーバでは,その細胞膜上にIgGに特異的に結合するFc受容体様分子が存在しているというし、ゾウリムシなどの繊毛虫が有性生殖の原型ともいえる「接合」時に、接合できる相手を認識する機能をもっているが、それは、脊椎動物におけるマクロファージの異物認識に深く関連する事象であることを想起させるとみなされているようである。

●二胚葉性動物

1)海綿動物

海綿動物は、外胚葉と内胚葉で構成される単純な動物であり、内・外胚葉の間には中膠と呼ばれるゲル状物質がある。この中には、偽足を出して移動したり、餌を補食したり、生殖細胞に変化したりする原生細胞が存在している、という。

水中に含まれる食物は襟細胞に取り込まれて消化されるが、消化し残した物や自己の死んだ細胞などは、間充ゲル中の原生細胞によって取り込まれて消化される。この現象はまさにマクロファージの機能と考えることができる。多細胞化すると同時に、お掃除機能と再生利用機能が登場したということだろうか?

海綿動物の間充ゲルに、ヒト赤血球やカーポンミン粒子などを注入すると、原生細胞が捕食し、その細胞が出水孔から排出されることから、この細胞は白己・非自己認識という生体防御上の重要な役割を演じている、ともみられている。

2)腔腸動物

ヒドラ、クラゲ、イソギンチャクなどの腔腸動物は、系統発生的には海綿動物の次に位置する二胚葉性の原始的な無脊椎動物である。

ヒドラの体は二層の上皮紬胞からできており、その間に間充ゲルが存在する。ヒドラには神経系や感覚器があり、外胚葉性の筋肉系をもっているので、海綿動物に比べると個体の統一性があり、体制が高度であると思われる。

ヒドラには10万ほどの細胞があるが、その種類は上皮筋細胞(外胚葉性上皮細胞)、消化細胞(内胚葉性上皮細胞)、間細胞、神経細胞、刺胞細胞、腺細胞の6種に分類されるにすぎないという。

これらの細胞の中で、白由に動き回ることのできる細胞は間細胞であり、いわゆる「血球」と呼ばれてもよい細胞であるが、ヒドラでは貪食細胞としての機能はもっていないようである。自己・非自己を認識して貪食する細胞は「上皮細胞」で、この細胞は通常非遊走細胞であるが、内胚葉性上皮細胞は間細胞より遊走性が高いという。

サンゴやイソギンチャクでは、間充ゲル中にアメーボサイトと呼ばれる遊走細胞が存在している。この細胞は通常は弱い貪食能しかもっていないが、再生実験を行うと顕著な貪食作用を示すようになり、自己の死細胞や異物を貪食するという。

ヒドラの仲間では、遊走細胞(間細胞)は貪食能をもっていないが、海綿動物の間細胞(原生細胞)のように多分化能をもった幹細胞として機能している。

移植実験では、ヒドラを含む腔腸動物は異種間移植では明らかに拒絶反応を示すが、その際に関与する細胞はサンゴではアメーボサイトであるが、ヒドラでは上皮細胞の貪食作用であることがわかっているらしい。

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出典:「生命を支えるマクロファージ」文光堂 より

小圷敏文

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