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2015年3月20日 (金)

ウィルス=大進化が生み出した生物の断片

>このウィルスは、細胞を持った生物の切れ端だと思う。なぜならば、生きた細胞がないと増殖も出来ないそれが、単体で細胞を持つ生物以前に存在したということは考えにくいからである。(123455

ウィルスは、レトロポゾン又はトランスポゾンによって生じた、生物(遺伝子)の切れ端と考えてほぼ間違いないと思われる。

■「動く遺伝子」レトロポゾン、トランスポゾン
レトロポゾン(レトロトランスポゾン)とトランスポゾン、は「動く遺伝子」「転移因子」とも呼ばれ、文字通り生物のゲノム上で移動・転移することのできる塩基配列で、殆どの生物で普遍的に見られる。

レトロポゾンとトランスポゾンはいずれも動く遺伝子であることに変わりはないが、転移の仕方は大きく異なっている。
トランスポゾンは単にゲノム上での居場所を変えていくだけの単純転移で、謂わば「カット&ペースト」的転移と言える。ゲノム中を単純移動するだけなので、ゲノムサイズは変わらない。
これに対し、レトロポゾンは、自らのコピーを作って、それをゲノム上の別の場所に再挿入する。トランスポゾンが「カット&ペースト」的な転移であるのに対して、レトロポゾンは「コピー&ペースト」的な転移であると言え、レトロポゾンが転移を起こすと、数がどんどん増え、ゲノムサイズが大きくなっていく。

レトロポゾンが、自らのコピーを作り、再挿入するプロセスは、レトロポゾンのDNA配列を一端RNAにコピーし、それを逆転写酵素(RNAを鋳型にDNAを合成する酵素)によってDNA配列へと複写、こうして生じたレトロポゾンのコピーDNAを、ゲノム上の別の位置に挿入することで行われている。
 
 詳しくはこちらを参照:リンク

レトロポゾンの転移が起こると、遺伝子配列が変わるだけでなく、ゲノムサイズも大きくなる為、突然変異が引き起こされる。この為、生物の細胞内にはレトロポゾンを強固に拘束して変異を抑制するシステムが組み込まれている。(このようなシステムをRNA干渉と呼ぶ。)
しかし、生物が劇的に進化する大進化過程においては、このレトロポゾンによるゲノムサイズ拡大と突然変異が積極的に利用されていると考えられる。

生物史35億年の中での劇的な大進化は「真核生物の誕生」「多細胞生物の誕生」「脊椎動物の誕生」の計3回あったことが解っているが、これに加えて「哺乳類の誕生」から「狭鼻猿類~霊長類」にかけて、レトロポゾンが爆発的に増大していることが判明している。

なお、トランスポゾンの転移によっても、ゲノム配列が変わる為、変異は引き起こされるが、レトロポゾンと違い、トランスポゾンによる変異は生物内で部分的に利用されている。
例えば、免疫細胞が抗体を生み出す過程では、このトランスポゾンによる遺伝子転移→変異を利用して、無限とも言われる抗体の組み合わせが行われている。
また、原核生物~真核生物における、性(接合型)決定にも、トランスポゾンが利用されている。

西谷文宏

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