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2015年3月 5日 (木)

原始マクロファージからリンパ球細胞への道程2

●えら呼吸の始まりと共にT細胞やB細胞のご先祖さまが出現

>(C)腸管が発達し、形態変化するようになると、腸の上部での呼吸、下部での消化吸収というように機能が分担されるようになった。えらと肝臓ができてくる。今から5億年前、えら呼吸の始まりが脊椎動物の出現に並行する(魚の先祖のホヤの幼生)。皮膚、えら、腸、肝臓といった外界と近接している部分に、そろそろT細胞やB細胞のご先祖さまが出現する。リンパ球の発生は、微小な異物に対処するための必然的な出来事だった。古いタイプのT細胞(NK細胞と胸腺外分化T細胞)と古いタイプのB細胞が生まれた(リンパ球進化の第2段階)。

>(D)えら穴から酸素を取り込むときに、穴のまわりの皮膚が次第に近寄って、皮下のリンパ球を包み込み、原始胸腺が形成される。臓器の多様化と分業が進む。腸は消化吸収に専念し、造血機能は肝臓にまかされた。えらは酸素の取り込みを本業とし、胸腺にリンパ球の製造をまかせるようになった(リンパ球進化の第3段階)。

●両生類進化=上陸により造血組織が腎臓から骨髄に移行

>(E)今から3億6千年前、生物は淡水魚から両生類に進化して上陸に成功する。えらから肺への呼吸器の転換とともに、造血組織が腎臓(前腎)から骨髄になる。魚類の排泄器官である腎臓に異物や細菌が集まることから、ここで顆粒球をつくるようになる。魚類の腎臓は脊椎の腹側にあったが、上陸に際して「これを守るために、人間の胎児と同じように、腎臓を分節状にして、発達する骨によってまわりをくるりとひと包みすることによって、骨髄がつくられたのである。」(232頁)

●ご先祖様であるマクロファージをいつも忘れずに免疫を考えること

>多細胞生物の「分泌作用」は単細胞生物の「排泄作用」と同じである。などという発想はふつうの顕微鏡人間にはなかなか思いつくものではない。著者はリンパ球の進化を明らかにし、「抗原-抗体反応」を担っていない古いタイプのリンパ球がなおわれわれのからだを守っていることを突き止めた。
>「未来免疫学」のエッセンスは「顆粒球、リンパ球の2本立てに、そのご先祖様であるマクロファージをいつも忘れずに免疫を考えること」である。

山澤貴志

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