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2015年3月29日 (日)

「群」の重要性

最近、家で飼育している熱帯魚水槽を見ていて気が付いたことがある。それは、水槽内にいる魚は「群れない」と言うことだ。

飼育している魚は、アマゾンの淡水に生息している小型魚で、自然の状態では常に群れた状態でいる。それが水槽の中では群れない。
しかし、水槽に人影が近づくと、急に群れて泳ぎだす。
このことから、生物は外敵のいない無圧力空間では「群れない」と言うことが解り、同時に「群れ」は外圧適応の為であることが解った。

この視点に立って、「群」を考察して見ると、2つの面白い点が見えてきた。

1.「群」は速い。
 なぜ外敵がいると群れるのか?数が多くいるから、少々食べられても群全体として問題ないとか、群れることで存在を大きく見せ、外敵に威嚇する等が考えられるが、その論理はどちらも整合性が低い。
群れていない単独の方が、外敵に見つかる恐れが低い場合も多いし、群れても外敵には襲われているので、必ずしも威嚇に繋がらない。(威嚇として成功している事例も多く存在する)

ではなぜ群れるのか?

これも観察の中で気が付いたのだが、「群」は(単体よりも)移動速度が「速い」だから外敵に対して群れるのだ。

恐らく、群体による水流の流れの変化(一匹では水流の流れを全面的に受け止める必要があるが、群では群全体で水流を受け止め、大きい流れを生み出す。)が、移動速度の上昇に繋がっているのだろう。
水流の方が抵抗が強いので、水中動物の方がより高い効果があるのは間違いないが、陸上動物でも同じ構造があると考えられる。
また、この「群による流れの変化」は、F1のスリップストリームと同じように、群の内側にいる生体の体力を温存することにも繋がるので、そういう意味でも外敵適応力が高い。

2.「群」は「免疫力」が上昇する。
 これも観察する中で、おぼろげながら感じたことなのだが、どうも「群」は「免疫力」を上昇させるようだ。
水槽で単体もしくは数匹を飼っているだけだったり、比較的荒い性質の魚と単体~数匹を混泳させている状態では、かなり病気になり易い。
しかし、比較的構成数の多い群を飼育している状態では、めったに病気にならない。この原因としては、2つの要因が考えられる。

一点目は、群れることで、外敵圧力に対するストレスが弱まり、免疫細胞が活性化すること。人間でも同じだが、免疫系はストレス(不安)に極めて過敏に反応する。群れる仲間が存在せず、生存可能性の低い外敵圧力下では、免疫細胞が活性化せず、容易に病気になる構造にあると考えられる。

もう一点は、群れることで、ウィルスや病原菌が群全体に繁殖→その分抗体製作スピードが上がると言うこと。ウィルスの感染などは一気に群全体に広がる。これは適応上不利だと感じるが、早期に多様なウィルスに感染することは、それだけ抗体製作も早くなり、群全体では適応力が上昇する。
これは人間の子供の実験データとしても解明されており、集団遊びを幼少期から積極的に行っている子供程、免疫力が上昇することが判明している。


このように見てくると、生物にとって、外圧適応上「群」が如何に重要であるかが見えてくると同時に、人間の個人主義観念が如何に自然の摂理に反した観念であるかが解る。

西谷文宏

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