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2015年3月11日 (水)

マクロファージの“同類”食機能 の起源

マクロファージは体内に侵入した異物だけでなく、自分の体の老化細胞やアポトーシス細胞をも貪食する。このように不要細胞とはいえ「同類を食う」という性質を、生物は単細胞時代から持っていたのだろうか。

細胞内のレベルでは、真核細胞の「自食作用」が知られている。酵母菌は飢餓状態になると自細胞内の組織周囲に食胞を形成し、自前の栄養源とする。自食作用は哺乳類の体細胞にも残っており、出産後、一時的に飢餓状態になる新生児の体細胞で確認されている。

また、繊毛類のラッパムシなど、同種の真核単細胞同志が飢餓時に「共食い」する事例も見られる。原生生物が飢餓状態下で共食いを行う場合、稀に細胞同士が融合してしまい、しばらく2核の状態となり、やがて元通りに分離することがあるらしい(マーギュリスは、この細胞同志の「共食い」が有性生殖の起源と仮説した)。

単細胞生物と多細胞生物の中間的存在ともいえる細胞性粘菌では、やはり飢餓状態でバラバラだった粘菌アメーバ細胞が融合し、胞子と柄に分化し無性生殖を行うが、柄細胞は胞子に栄養を明け渡して死んでしまう。同じく有性生殖を行う場合には、融合を果たした細胞が、周囲の未融合細胞を食べてしまう。

このように、生物は単細胞時代から同類を栄養源とすることを行っている。無論、周囲に餌が豊富な時にこのようなことは起こらず、飢餓時や有性生殖時など、より生存可能性の高い同類に栄養を譲ることで種を保存する仕組みだと考えられる。

多細胞生物に進化し、個体の部分的な死滅という事態が生じた以上、死滅細胞は残った細胞にとって明らかに貴重な栄養源だ。そう考えると、多細胞生物がその初期段階からマクロファージのような体内清掃兼栄養摂取のための効率的な細胞を生み出したのは自然に思える。

(参考)
哺乳類の新生児は自分の細胞食べて飢餓しのぐリンク
細胞性粘菌という不思議な生き物リンク

田中素

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