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2015年4月25日 (土)

実現論前史、前半を学んで

ここ2ヶ月間ほど哺乳類~真猿集団に於ける雌雄分化までを学んだが、そこで新たな知見と共に、幾つもの気づきがあった。その中で特に印象深かった点を3つほど挙げてみたい。

①前史を学ぶ意義
>始原単細胞から人類を結ぶ直線上に塗り重ねられてきた遺伝子群(の内、現在も有効な遺伝子群)は、単細胞時代の遺伝子を含めて全て現在形において、作動している。~中略~(換言すれば、それら無意識の次元で作動する諸機能は、決して人間の意識と無縁ではない。)私たちが、哺乳類や原猿・真猿・類人猿にまで遡ってそれら諸本能や社会構造を解明しようとした理由も、そこに在る。(実現論1_1_04

ここでは、人類の直面する課題に対してどの様な共認闘争を展開していくのか、その為の考える軸として、これまで進化してきた由来を捉えることの有用性を端的に示されている。
塗り重ね構造(=進化積層態)という存在規定は、個々人が歴史的存在であるとの認識を具体的に提示したものであると共に、例えばコンピュータに於けるファームウェア→OS(オペレーティングシステム)→ミドルウェア→アプリケーションなどのソフトウェア構造をも想起させる。否、恐らくは人類の側が進化積層態であるからこそ、自然界の模倣としてこの様なシステムを発想し得たのであろう。
その点からも、人類が諸課題に対して今後新たな可能性を見出すにはDNAに深く刻み込まれた歴史の掘り起こしと事実共認が有効であると予想される。

②外圧適応態としての基本アプローチ
>事実、進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。~中略~より大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。つまり、雌雄分化とは、原理的にはより安定度の高い性(雌)と、より変異度の高い性(雄)への分化(=差異の促進)に他ならない。(実現論1_2_02

進化という言葉自体は小学生の頃から馴染みはあるものの、具体的に安定と変異という2つの側面からなされるというシンプルな考え方は大きな気づきであった。
特にこの2つが相反する要素であるという点では弁証法的史観を再認識させるものでもあり、今後の諸課題への取組みや人生に向き合う上でも1つの視点を与えてくれるものである。

共認機能獲得のドラマ
>不全課題を抱えて依存収束した弱オスたちは、依存し合う中から、「どうする?」⇒「どうにかならないか?」と可能性を相手に求め、互いに相手に期待収束してゆく。こうして、依存収束⇒期待収束し、互いに相手を注視し続ける内に、遂に相手も同じく依存し期待している事を発見し(探り当て)、互いに相手の課題=期待を自己の課題=期待と同一視して理解し合うに至った。(実現論1_4_05)

見渡す限り本能しか持たない動物が殆どというこの自然界で、如何にして人類が登場し得るのか。この大きな問いへの解となるのが、生物史上、本能を初めて超えた共感統合の場面であった。
この変化は凡そ6500万年前に生じたといわれるが、今後、人類が新たな困難に直面した際に、このレベルの画期的進化が訪れるのか、否、きっと訪れるに違いないと予見させるに足る出来事であった。少なくとも、こうした史実を知るにつれ未来に向けて健全な楽観性を見出すことはできそうである。

最後に、全体を通じての印象だが、改めて人類はこれまでの進化の営みを謙虚に受け止め、感謝の念を持って然るべきではないかと思った。「教育には歴史さえしっかり教えればよい」と極論を述べる論客も過去にはいたが、自身が進化積層態であり、前人未到の未来へと乗り越えていこうという実存的存在だと規定した場合、やはりもっと過去に学ぶ必要があると自戒する次第である。

松岡隆

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