子殺し:チンパンジーをはじめ、ライオン、複数のサル類やジリス、イルカなどでも確認されている?
子殺し(2069)の事例は霊長類にある特殊事例だと思っていましたが、アフリカのライオン、複数のサル類やジリス、イルカなどでも同様の行動が確認されている様です。
目的についてはそれぞれの個体で確認が必要だと思います。
進化論から進化学へ(アマチュア進化学者への道)
AmateurDsさんのブログ引用です。
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(以下引用)
インド北部に生息するハヌマン・ラングールはハーレムを形成し、ボスが雌のグループに対する性的接触を独占しますが、もっと強い雄が現れてハーレムを力ずくで乗っ取り、ボスの交代が起こると、新しい雄は離乳前の子どもを殺そうとします。子ザルを殺された母親はまもなく授乳が止まり、発情を再開します。雌はわが子を殺した相手の求愛を受け入れ、その雄は雌の次の子どもの父親となります。雄の繁殖にとって潜在的な資源である母ザルは、子ザルの死によって実質的な資源に変わるのです。従って、子殺しは雄にとっては適応的なのです。反対に、雌にとっては仔を殺されるのは明らかに適応的ではありません。雌たちはしばしば姉妹や近親どうしであるので、狙われている子ザルが生き延びることに関して、遺伝的利益を共有しています。そのため、群れの雌同士が協力して子を隠したり守ったりすることがあります。しかし残念ながら雄は雌よりも大きく、腕力でもはるかに勝っているため、たいていは子殺しに成功してしまいます。
この行動は発見された当初はその行動のあまりの突飛さ、残虐さにより、そして当時考えられていた「種の利益」にそぐわず、ほとんど認められませんでした。しかし、その後アフリカのライオンにおいても同様の行動が発見されました。タンザニアのライオンも、単独の雄が複数の雌を抱えて繁殖し、雄が入れ替わった際に新しい雄は群れの中の乳児を殺すことがあります。この発見によって、ハヌマンラングールの例も広く認められるようになったのです。その後さらに、複数のサル類やジリス、イルカなどでも同様の行動が確認されています。
なお、ハヌマンラングールはインドから東の地域にも分布しますが、その地域では雄は単独でハーレムを維持するのではなく、雌の群れに複数の雄がいます。その地域では上記のような子殺しの行動は見られないそうです。このような子殺しの行動は、単独の雄と複数の雌でハーレムを形成するタイプの動物特有のものと考えられています。
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