« 哺乳類の起源とあゆみ【図版】 | トップページ | 逆境、どうする? »

2015年8月11日 (火)

神経系の構築に応じて、リンパ球系が形成されたと思われる点

神経系の進化とリンパ球系免疫細胞の進化は密接に連関していると思われる点が幾つかある。

リンパ球系のT細胞は、成熟した免疫細胞となれるのはごくわずかで、未熟細胞の段階で胸腺にて9割以上が淘汰される。(約5%が合格)
胸腺にて淘汰されるT細胞は、MHCを認識できずに自己細胞を攻撃する細胞や、反応が高すぎる細胞で、そのようなT細胞はアポトーシスを促されマクロファージに貪食される。胸腺はいわば正常なT細胞を作り出す教育機関といわれているが、この胸腺と似た性質を示しているのがグリア細胞の一種である星細胞である。

◆類似点1~正常な成熟細胞を創る教育機関~
胸腺と星細胞の類似点の一つは、未熟細胞から成熟細胞に至るまでの過程に存在する細胞で、正常に機能する細胞を創り出す役割を担っている点。胸腺が正常なT細胞を創り出すのに対し、星細胞は神経細胞の正常な機能や栄養を与える細胞である。

◆類似点2~神経堤から分化した細胞~
胸腺と星細胞は、ともに外肺葉(神経提)由来の細胞。神経堤は、脊椎動物の胚に過渡的に存在し、神経管が形成される時期に神経管と表皮の間に位置する組織で、胸腺や星細胞のほか、神経細胞や骨細胞などに分化する細胞でもある。このことからも、免疫と神経系、脊椎等の骨格系は密接な関連をもって進化してきたように思える。

◆類似点3~大量の細胞を作って淘汰する仕組み~
T細胞と神経細胞の類似点は、大量の細胞をまず作り、正常に機能しない殆どの細胞はアポトーシスで淘汰するという過程を経ている点。T細胞はウィルスの多様な変異性に対応するため、遺伝子再構成を経て多様な膜タンパクをもつT細胞を創り出すが、その殆どが失敗作でごく一部の細胞のみが機能する。神経細胞もそれに似た形で大量の神経細胞を作り出し、うまく神経細胞同士が手を結べなかったものは淘汰されていく点。

◆類似点4~接着因子も免疫グロブリンも同じ認識分子群の膜タンパク~
神経細胞が他の体細胞との伝達経路を作っていくためには、体細胞に応じた接着因子の膜タンパク質が必要。この接着因子の膜タンパク質は遺伝子重複から創られるが、この遺伝子重複から遺伝子再構成へと組み替えを発展させて創ったのがMHCやT細胞受容体、抗体など。つまり神経系の膜タンパク質を作る仕組みを発展させたのが、リンパ球系の膜タンパク質と思われる。

以上の点から、神経系の構築によって登場した課題に応じてリンパ球系が構築されたと思われる。リンパ球系の免疫細胞はウィルスへの対抗を主要な役割としているが、神経系の構築によってウィルスの問題が顕在化したということが考えられる。

◆参考サイト、文献
免疫と胸腺の共通性
リンク

免疫学第4版/メディカル・サイエンス・インターナショナル

« 哺乳類の起源とあゆみ【図版】 | トップページ | 逆境、どうする? »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 神経系の構築に応じて、リンパ球系が形成されたと思われる点:

« 哺乳類の起源とあゆみ【図版】 | トップページ | 逆境、どうする? »

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ お勧めサイトランキングへ
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カウンター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ