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2015年10月25日 (日)

生物史から見る、外部環境の認識機能・危機察知の起源とは~棘皮動物編

原始生物の脳の獲得・進化過程と、外敵から身を守るうえでの危機察知機能について、棘皮動物の生態から紹介します。

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進化-究極の動物とは?
制作:シースタジオ・ファンデーション ナショナル・ジオグラフィックTV(アメリカ・2001年) より以下抜粋。
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2.海底にすむ棘皮動物
(前略)
 海底にへばりついているように見えるヒトデも棘皮動物の仲間です。ヒトデには頭がありません。その身体は5本の腕が放射状に伸びた不思議な形をしています。そして下側の中央に口があります。すべての棘皮動物の体は、この形のバリエーションなのです。ヒトデの腕を丸めて一つにまとめると、同じ棘皮動物の仲間であるウニとよく似た形になります。五つの部分からなる球体、体の下にはヒトデと同じように口があります。今度はウニを横にして引き延ばしてみます。するとナマコの形になります。五つの部分からなる球体が、五つの部分で出来た筒の形になるのです。
 棘皮動物は、体の中の構造も独特です。その骨格は他の動物とは似ても似つかないものです。皮膚の下には何千もの小さな骨が網目状に並んでいます。その骨のすき間には細かな筋肉が沢山織り込まれています。これでヒトデはどの方向にも自由に腕を曲げることが出来るのです。また筋肉に含まれている特殊なタンパク質のお陰で、何時間でもどこでも同じ形に固定しておくことができます。
 脳を持たない代わりに、棘皮動物にはリング状の中枢神経が (ヒトデでは、星型の中心部分に) あり、そこから腕の部分に神経が通っています。腕の動きはこの中枢神経がコントロールしています。このような一見単純な構造の生き物がなぜ太古から生き残り、繁栄を続けることが出来たのでしょうか。5億年もの間、生き残りをかけて、その姿を変えてきました。今ある体は進化の賜物なのです。 棘皮動物は下等動物だから人間より劣っている。普通の人はそう考えます。でも彼らの生態を観察してみると、人間と同じように、実に上手く欲求を満たしていることが分かります。人間とはやり方が違うだけです。
(中略)
2.4 ヒトデの生態
 カリフォルニアの海岸で棘皮動物の生態を調査している生物学者がいます。ジョン・ピアス(カリフォルニア大学)は、40年以上棘皮動物の研究を続けてきました。この生き物の、太古に遡る起源、そして奇妙さに魅せられたのだと彼は言います。しかし長い間彼は棘皮動物は社会性を持たない単純な動物だと思っていました。
 ピアス「それが長い間の通説だったのです。アリストテレスの時代から人々はこれが動物であることすら分かっていませんでした。脳を持たない動物がどうやって社会性を持つと言うのでしょう。脳がなければトマトと同じで、社会性ある行動などとれる道理がありません」。
 ところが今から数十年前、ピアスは友人のオーバーが撮影したある映像を見て、棘皮動物の隠れた生態を知ることになったのです。ピアスにとっては衝撃的な映像でした。
 ピアス「初めて見たときは、唖然としました。自分の目が信じられなかったですよ。それまでの概念が一度に覆されました。互いの動きに反応し合うヒトデが写っていたんですから。追いかけっこもしていました。複雑な行動を取ることが判明したんです。映像を分析した結果、ヒトデがライオンやハイエナのように、相手より優位に立つために戦うことも発見しました。しかもまるでレスリングのように激しい戦い方をするのです」。
 戦いは相手の体の大きさを測ることから始まります。2匹が接近すると腕を上げて、お互いを観察するような行動をします。どちらが大きいか、どちらが優勢か判断しようとしているようです。相手より有利な体勢を取ろうと、ヒトデは腕を高く持ち上げます。そして最後には相手を抑えつけようとします。オーバーによると相手を抑え込んだ方が次の戦いまでの間、優位に立てるのだそうです。食べ物をかけた戦いでは普通は最初にたどり着いたものが勝者となるようです。
(中略)
5本の腕の先には感覚器官の役目をする特別な管足が沢山あります。水を味わったり、危険を察知にしたりするのに使われます。腕の先端には光を感じるポイントがあります。赤い点がそれです。私たちの目のように映像を結ぶことはできませんが、光の強弱を感知することが出来ます。棘皮動物の感覚器官は人間のそれに比べると非常に単純です。しかしヒトデが獰猛なハンターであることに変わりはありません。

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以上から、
・5億年前の脳が発達していない棘皮動物は、対象を認識し危機を察知していた。(この頃の扇形動物プラナリアが原始脳を持ったとされている)
・単細胞生物には無い、視覚に頼らない危機察知機能がある。
・捕食する、移動する等の単純な機能を実現するためのシンプルな体で構成されている。
と言えそうです。
 これとは別に、さらに古い6億年前の先カンブリア期(原生代)、刺胞動物のクラゲも外敵に棘(毒針)を向けて外的から身を守るように、危機反応が本能的(自動的)に行なわれています。
 この後の魚類への進化過程では、さらに脳が発達し、記憶、逃避行動や対象に向かう等の判断機能を獲得し、感覚機能が進化していったのだと思います。

山田徹

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