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2015年10月10日 (土)

性染色体の不思議1~Y染色体遺伝子の退化による性染色体の進化~

彗星【日経サイエンス2004年01月号】より『Y染色体遺伝子の退化による性染色体の進化』の記事よりご紹介します。  性染色体は不思議な構造をもっています。Y染色体は、変異が蓄積されやすい構造を持っている為に、組み換えをしない分、退化が生じます。しかも変異は、生命にとって有害でありながら、淘汰されない範囲=個体の命に係らないように蓄積されてゆく構造を持っています。これは絶妙です。  また、退化が生じても組み替えが起こらないので、一方のX染色体に正常な遺伝子がれば、淘汰されず、Y遺伝子に変異が蓄積してゆくことになります。  さらに、Y染色体には性決定遺伝子がありますが、これらは組み換えしないので退化すると思われていますが、実際は、特定領域に重複するように相補的に塩基配列がある(回文調「たけやぶやけた」のようなものになっているとのこと。 wiki(リンク))ために擬似的な組み換えが起こっているようです。  他方のX染色体は、組み換えするため、退化すれば、すぐ、淘汰されるという構造を持ち、生命の維持に優位な構造を持ち、いかに安定した子孫を残すことができるか?という構造をもっているようです。  このX染色体とY染色体の役割は、雌(XX)【安定と淘汰】と雄(XY)【変異と蓄積】を端的に示すものであり、しかし、その構造はかなり複雑なものであり、何万年もの間に生物が培ってきたものと思われます。同類他者を生み出す構造とは、X染色体は同類=安定と淘汰を作る構造に特化し、Y染色体は他者=変異と蓄積を作り出す構造に特化することで両者が融合して種の保存が形成されているのだと感じました。 -----------------------転載  哺乳類ではX染色体を2本もつ個体は雌、XとYを1本ずつもつ個体は雄となる。XとYの性染色体はもともとは普通の染色体(常染色体)だったが、対になる染色体(相同染色体)の一方に雄を決定する遺伝子が生じたことがきっかけとなって、性染色体への分化が始まった。  一対の相同染色体は、互いのDNAを部分的に交換する「相同組み換え」を起こすが、雄を決める遺伝子が複数ある場合、それらを含む領域内では淘汰によって組み換えが抑制される。  雄決定遺伝子群が対になる2本の染色体に分散したのでは、性の決定がうまくいかなくなるからだ。  一方で、精子ができる減数分裂の過程では、性染色体も常染色体と同じようにペアを形成(対合)して、分裂する2コの細胞に1本ずつ入るようにする必要がある。このペア形成には相同性の高いDNA領域が必要で、ここでは組み換えが頻繁に起きる。この領域を「偽常染色体領域1(PAR1:pseudo-autosomaIregion1)」という。性染色体は相同組み換えが不可避な領域PAR1と、相同組み換えが不可能な領域からなる。  性染色体のPAR1は、哺乳類の進化とともに段階的に縮小してきた。今日のヒトでは、PAR1は性染色体の末端に位置するに過ぎない。PAR1が段階的に短くなったことは、XとY染色体間の相同領域でのDNA配列を比較するとよくわかる。  DNA配列の違いの程度(p値)は、それらが組み換えを起こさなくなり、独立に進化した期間の長さに比例する。PAR1内でのpの値は、他の常染色体の集団内変異量(遺伝子レベルでの個体差、ヒトでは1塩基座位あたり0.1%)と一致する。  しかし、この値はPAR1の境界を越えると突然10%に上昇し、それがX染色体の短腕の1/4近くにわたって観察される。  さらに、この10%領域の端に位置するアメロジェ二ン遺伝子のある場所までくると、p値は20%に上がる(図を参照.アメロジェ二ンは歯のエナメル質形成にかかわるタンパク質)。  つまり、X染色体を端から見ていくと、p値は段階的に0.1%→10%→20%と上昇する。これは、PAR1の境界が不連続的に移動したためだ。PAR1が現在の位置になったのは、組み換えの抑制によってp=10%の領域ができ始めた時だ。  霊長類では、まったく同じ塩基配列だった2つのDNAが、組み換えが起きなくなったために独自に進化して、p値が1%になるのに片道500万年かかる。したがってP=10%は5000万年前の出来事に対応する。これは真猿類の共通祖先の段階だ。 それ以前のPAR1はp=20%の領域までも包含していた。その起源は有胎盤哺乳類の共通祖先の段階(約1億年前)にさかのぼることになる。 -----------------------2に続く

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