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2015年11月 6日 (金)

二つのエネルギー生成系で見る生命の仕組み①:真核生物は、「解糖系」と「ミトコンドリア系」の二つのエネルギー生成系を持つ

●真核生物への進化~原核細胞とミトコンドリアの共生~

私達は一つの生き物のように見えますが、実は20億年程前に、「古細菌」に「ミトコンドリア生命体」が寄生して出来た「真核細胞生命体」を元にしています。二つの生き物が合体したものが出発点で、その名残は今でも残っています。

20億年前の地球には酸素は殆どなかったので、「古細菌」は無酸素で分裂を繰り返して生きていました。これが我々の古い先祖です。
エネルギー生成には無酸素系と有酸素系がありますが、この「古細菌」は無酸素で行える【解糖系】のエネルギー生成を行いました。

さて同じ頃、太陽の光を使って光合成する細菌が生まれ、大気中に酸素を徐々に放出しました。その結果、解糖系で生きていた古い生命体は、酸素による酸化の害で生きづらくなっていました。

このような折、有害な酸素を使って効率よく大量のエネルギーを作る「ミトコンドリア生命体」が進化の過程で生まれてきました。
ミトコンドリアは、我々の古い先祖である「古細菌=解糖系生命体」の残した乳酸を求めて寄生を繰り返しました。しかし、安定した寄生関係はなかなかできませんでした。何故なら我々の先祖の分裂があまりに早くて、ミトコンドリア生命体が寄生しても希釈されてしまったからです。

そこで、約12億年前、ミトコンドリア生命体が「分裂抑制遺伝子」を持ち込み、我々の古い先祖の分裂を遅くしました。それにより、ようやく安定した寄生関係が完成し、「真核細胞生命体」となりました。

我々の古い先祖は、ミトコンドリアという巨大なエネルギー生成工場を獲得したことによって、様々な能力を飛躍的に伸ばし、単細胞生物から多細胞生物へ、すなわち、カビ・キノコ・酵母などの真菌類、植物、動物へと進化を遂げていったのです。

●二つのエネルギー生成過程:解糖系とミトコンドリア系の特徴

したがって、我々は古細菌由来の「解糖系」に加え、「ミトコンドリア系」の2つのエネルギー生成系を作動させています。ミトコンドリアの少ない細胞は、解糖系のエネルギー生成が主となります。

解糖系は、白筋にて無酸素でぶどう糖をピルビン酸か乳酸に分解する過程で、炭素の結合エネルギーを取り出しています。反応が単純で、ミトコンドリア系の100倍の速さでエネルギー生成を行います。生成されたエネルギーは分裂と瞬発力に使われますが、持久力がなく疲れやすいです。

一方、ミトコンドリア系は、赤筋などにて有酸素のエネルギー生成を行い、ぶどう糖1分子から36個の「アデノシン三リン酸」を作ります。
解糖系ではぶどう糖1分子から2個の「アデノシン三リン酸」しかできないので、それと比較すると、18倍のエネルギー効率です。ただしエネルギー生成に時間がかかるため、瞬発力はなく持続力に向いているのです。

●ミトコンドリアの多寡によって細胞の働き方が異なる

細胞は、ミトコンドリアの多寡によって主なエネルギー生成系が異なり、体内での働き方も異なってきます。

ミトコンドリアは分裂抑制遺伝子を持ち込んだため、ミトコンドリアの多い細胞はあまり分裂せず、(ミトコンドリアの)少ない細胞は活発に分裂しています。
ミトコンドリアが圧倒的に多いのは心筋細胞、骨格筋の赤筋、脳神経。これらの箇所では、細胞分裂は約3歳までに終わり、以後殆ど起きません。
一方、ミトコンドリアが一番少ないのは精子です。皮膚細胞、腸上皮も少ないです。これらは活発に細胞分裂を繰り返しています。

また、ミトコンドリアの多寡は、筋肉の場合、瞬発力に強い白筋であるか、持続力に秀でた赤筋であるかをも決定します。
ミトコンドリアは酸素を受け取り貯蔵するために、シトクロム・ミオグロビンなどのたんぱく質を持っています。これらのたんぱく質は赤いため、ミトコンドリアの多い筋肉は赤く見えます。一方、ミトコンドリアの少ない皮膚や精子や白筋は白く見えます。
例えば、鶏皮はミトコンドリアが少なく分裂しているので、白く見えます。ところが砂肝はいつも動いていて休むことがないので真っ赤です。マグロのような回遊魚は、休まず動き回るために赤筋が発達し赤身です。
一方、ヒラメやタイは、普段は波間に漂うか砂に潜っていて餌が近くに来た時に瞬発力を発揮するため、白筋が発達し白身です。

【参考】
『西村一朗の地域居住談義住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」(安保 徹)より』 リンク

萱間直

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