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2015年11月24日 (火)

「X染色体の未知なる遺伝子と男性機能への役割」

> 雌雄の役割分化は確かに存在し、これによって適応可能性が開かれたと考えられるが、「雄として」「雌として」の役割も雌雄の遺伝子の協働によって初めて実現されるのものであり、「雄は変異」「雌は安定」という二元論を超えた雌雄の協働性に目を向ける必要がある。(181378

染色体のレベルでも、X染色体とY染色体の協働により、「XX(メス)は安定」「XY(オス)は変異」という異なる特性が発現するようです。

 最近の研究での、「X染色体」に関して二つの新しい発見がありました。

1.X染色体は、遺伝子に変異が起きにくく安定してると考えられていたが、、変異が起きにくい遺伝子がある一方で、変異が比較的頻繁に起きている遺伝子もある。

2.X染色体には精子になる組織でのみ活性化する遺伝子が含まれていることが分かり、男性機能に対しても重要な役割がある。

この研究では、この発見によってX染色体遺伝子には、1つは「安定」、もう1つは「不安定で男性的な特徴へと影響を与える」という2つの側面があるのではないか、と考えられています。

 つまり、X染色体とY染色体それぞれが独自の役割を持つのではなく、「XX(メス)/XY(オス)」という組合せにより、「安定/変異(不安定)」という異なる働きがあらわれる、
 ・XX(メス)の場合:X染色体の「安定」の特性が現れる。
 ・XY(オス)の場合:X染色体の「変異」の特性が現れる。
ということではないかと思われます。

X染色体は、ペアにある相手(X染色体又はY染色体)によって、その振る舞いが異なり、それが「安定/変異」という相反する働きを生み出しているようです。これは染色体レベルでの協同性と言えるのではないでしょうか。

以下、科学ニュースの森「X(女性)染色体の未知なる遺伝子と男性機能への役割」リンクより転載します。
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背景:
ヒトは22組の染色体に加えて1組の性染色体を持つ。女性は性染色体としてXを2つ、男性はXとYを1つずつ持つため、Y染色体に男性機能をつかさどるための遺伝子が含まれていると考えられている。ではX染色体は男性への性決定への影響を全く持たないのだろうか。

要約:
出来る男の背後には出来る女がいると言われるが、精子の背後にはX染色体がいるようだ。ヒトはY染色体を持つことで男性へと成長するため、Y染色体が男性への性決定、男性としての成長や繁殖能力などに影響していると考えられていた。

しかしホワイトヘッド生医学研究所のDavid Page博士率いる研究チームによって、女性染色体と呼ばれるX染色体には精子になる組織でのみ活性化する遺伝子が含まれていることが分かり、男性機能に対しても重要な役割があることが明らかとなった。この発見によって、性染色体がどのように性決定へと影響するのかというこれまでの説を考え直さなければならず、またX染色体は予測されていたよりも進化への影響があることが示唆される。

哺乳類は通常2つ1組の性染色体を持っている。メスは2つのX染色体を持ち、オスはX・Y染色体を1つずつ持っている。しかし正常な生体機能にはX染色体は1つしか必要ではないため、メスの細胞内ではX染色体のうち1つが不活性にされる。

約50年前、遺伝学者である大野乾博士によって、この不活性化がX染色体の進化を遅くしていることが示され、X染色体内の遺伝子は殆どの哺乳類でとても似ているという説が提唱された。そこでPage博士らは、約8000万年前に枝分かれしたと考えられているヒトとマウスのX染色体の差を比較し、この説を確かめた。

ヒトやマウスの全ゲノムはもうすでに解読されているが、X染色体上には多くの重複した部分があり当時の技術では正確に解読することはできなかった。そのためX染色体のDNA塩基配列には隙間やミスが存在したため、まずはその隙間を埋めミスを正さなければならなかった。そこで彼らは、特別に開発した技術を使ってX染色体の塩基配列を正確にもとめ、マウスのそれと比較した。

Page博士らの発表によると、ヒトとマウスは約800の遺伝子のうちの多くを共有しているようだ。それらは以前から知られ教科書に載っている類のものであり、雌雄共に活性な安定した遺伝子であった。それらの遺伝子の変異は、血友病やデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどのX染色体連鎖劣性疾患を引き起こすことで知られている。

しかし彼らは同時にヒトとマウスのX染色体上の違いも発見した。ヒトX染色体上には144のマウスX染色体上には197の共通しない遺伝子が含まれていた。それらヒト遺伝子のうち107は重複した部位に複数存在し、早く変異しているようであった。この事実から、これらの共通していない遺伝子はヒ トとマウスが枝分かれしたあとに出現したと考えられる。

ミシガン大学のJianzhi Zhang博士によると、ヒトとマウスのX染色体に、それほど多くの共有していない遺伝子があるというのは驚くべきことだという。このことは、X染色体上の遺伝子も変化し続けていることを示しているという。

このように遺伝子の変化があるということは、X染色体が進化へと影響を及ぼす可能性があることを示している。これまで実際に、マウスのX染色体遺伝子には種分化に影響を与えた可能性のあるものが特定されている。そのためPage博士は、X染色体上で新たに見つかった遺伝子群は、有力な候補なのではないかと考えているようだ。

また彼らは8人の男女の体組織内で、それらの遺伝子がどのような働きを持っているのかを解析した。すると、これまで発見されていた多くのX染色体遺伝子と異なり、新たに発見された遺伝子の多くは女性の組織内で発現することはなかった。その代わり、男性の睾丸内の特に精子となる組織内で発現されてい た。

これらの事実から、Page博士はX染色体遺伝子には2つの側面があるのではないかと考えているようだ。1つは安定してこれまで述べられたような挙動を示し、もう1つは不安定で男性的な特徴へと影響を与えるものだという。

この研究で解析されたX染色体上の重複した部位は、癌などの疾患に深いかかわりがあることが知られている。そのためPage博士は、他の研究者もこれらの遺伝子が生体機能にどれほど重要なのかを研究し、不妊や精巣腫瘍などのメカニズム解明へとつながることを期待しているという。

Zhang博士によると、これらの遺伝子の健康や種分化に対する影響を理解するには、まずはその機能を解明しなければならないという。しかし確実に言えることは、今後様々な研究者がX染色体の進化について注目するようになるだろうという。
 ======================================================以上

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