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2015年12月 9日 (水)

生物発光は、酸素適応できなかった嫌気性細菌が酸素を無毒化する為に用いられた反応

281641では、代表的な発光生物について整理しました。 それによると生物によって様々な発光目的がある事が分かりました。 続いては生物発光の仕組みから、生物発光の本来の意味を追求します。 大半の発光生物は太陽光や電気回路の代わりに、ルシフェリンという発光物質とルシフェラーゼという酵素を使って発光しています。 驚くべき事に発光生物のエネルギー効率は極めて高く、現在の照明技術の効率を大きく上回っています。 以下は生物発光の仕組みです。 ①ルシフェリンがルシフェラーゼ+マグネシウムによりATPと結合 ②ルシフェラーゼの助けを借りて酸素と結合 ③AMP、二酸化炭素を放出する事でオキシルシフェリンとなる ④オキシルシフェリンは不安定物質なので余分なエネルギーを放出する ⑤この時放出されるエネルギーが光として認識される。 ここで注目すべきは ・酸素を取り入れて二酸化炭素を放出している点。 ・ATP=エネルギーを使用している点 です。 酸素を取り入れて二酸化炭素を放出する等、生物発光は一見すると呼吸と似ていますが、決定的に異なるのが 【呼吸ではATP(エネルギー)が生産される】のに対して、 【発光反応ではATP(エネルギー)を逆に消費している】という点です。 また、もう一点注目すべき点は 発光細菌の多くは【グラム陰性桿菌】である事です。グラム陰性桿菌は嫌気性細菌といい、その名の通り【酸素】を嫌う生物です。 我々は、呼吸といえば当たり前の様に酸素呼吸を思い浮かべますが、酸素は反応性が高く(=エネルギーが大きく)生物にとって扱う事が難しい物質なのです。 原始生物にとっては酸素は毒でしかなく、窒素等それ以外の物質を使用して呼吸を行っていました。 実現論にも ----------------------------------------------------------------- 生物史上の大進化はいくつもあるが、中でも生命の誕生に次ぐ様な最も劇的な進化(=極めて稀な可能性の実現)は、光合成(それによって生物界は、窒素生物から酸素生物に劇的に交代した)であり、実現論1_2_01 ----------------------------------------------------------------- とある通り、進化上も嫌気性生物→好気性生物への進化は生物史上最も劇的な変化として位置付けられています。 以上を踏まえると ・生物発光の大部分が嫌気性細菌であること ・わざわざエネルギーを使って酸素を吸収し二酸化炭素を放出している事 の2点がポイントとなります。 これらを合わせて考えると、発光反応の本来の目的は、威嚇でもカモフラージュでもなく、酸素濃度が増え始めた原始地球において、一部の嫌気性細菌が有害な酸素を除去するために用いられた一種の適応反応であったと考える事が出来ます。 つまり、生物発光とは、 酸素呼吸という適応を実現出来なかった一部の嫌気性細菌が、害となる酸素を無毒化する為に行う反応の過程で生成される、エネルギーの余剰分 (=酸素無毒化過程の副産物)なのです。

小林有吾

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