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2016年2月10日 (水)

水に溶けない唯一の物質

『水はあらゆる物を溶かす万能溶媒』(リンク)であり、それを可能とするのは、その「電気的特性(双極性)」と、常温でも活発な運動をする「振動体」だからです。
(例えば地球上の岩石なども常温で水に溶けるのですが、かかる時間が極めて長いため「岩が水で溶けている」という実感を持ちにくいのです。)

そして、そもそも我々人類を含めた生物の生体が、このあらゆる物を溶かす水を取り入れつつも存在できているのは、ある物質を生成したからなのです。
・・・それは「油」です。

◆1.水と油で包まれている細胞
この「油」の存在が、生体を構成する上で、とても根源的な役割を果たしています。
生体を構成する最小組織といっていいい「細胞」は、人体に40~60兆個も存在しているといわれていますが、この細胞を包み込むような外殻部分=細胞を形づくる「細胞膜」は、「水」と「油脂」で出来ています。

◆2.細胞膜が出来たのは何で?
全てを溶かす水、そしてその水に唯一溶けない物質である油。
この対極にある物質相互が関連して細胞膜を形成するには、需要な液体の性質が関係しています。「界面活性」作用です。

細胞膜は三層構成になっています。
最外周部がリン脂質が面的に結合して繋がり、膜断面の中央は水分子同士が結合して骨格ともいえる層を成し、そしてその内側にまたリン脂質が層を形成しています。このような構造が生まれたのは、リン脂質に「界面活性」という特性があったからなのです。
最外周と内側の二層を構成するリン脂質は、親水性の性質を持つ頭部と疎水性の尾部で構成されていて、中央の水に向かって頭部が並び結合し、疎水部がおのおの膜の外側に向かって並んでいるというわけです。

(このリン脂質のように、一つの分子の中に親水性と疎水性を合わせ持つことで、本来混じり合わない物質を混ぜる事が出来る媒介物質を界面活性材と呼びます。(ex.現代社会では洗剤・化粧品などで利用。多くが石油由来の合成界面活性剤)

◆3.細胞膜の役割
上記のようにして生物の生体は、水に溶けてはならないという条件を満たし作られました。
しかし、この細胞膜が、細胞外の世界と絶縁されてしまっては意味がありません。これまた不思議ですが、この細胞膜は「選択透過性」といった生物最初の認識機能を持つなど、優れた機能を有しています。大きくは、以下の3つの役割を担っています。

①細胞内外のしきり(ものを通さない)
・細胞膜は中央部に疎水性の層を持つため、親水性の分子やイオンなど、大部分の細胞成分を通過させない。細胞内外のしきりとしての機能を果たす。

②細胞内外の間での物質・情報の輸送・伝達(ものを通す)
・ブドウ糖やアミノ酸など、細胞にとって栄養源となる水溶性の分子はリン脂質二重層に埋め込まれた様々なタンパク質によって細胞内へ運ばれる。
・一部の物質だけを通過させる。(選択透過性)
・細胞膜の内外に物質を運ぶタンパク質は、その多くはエネルギーを使って仕事をする。(エネルギーを消費して行われる物質の移動を総称して『能動輸送』といい、エネルギーを消費しない、濃度の高い方から低い方へ向かって自由に膜細胞を移動『受動輸送』もある。)

③刺激を受け取る(細胞同士の識別や接着、ホルモン等の受容、電位発生)
・細胞は、様々な外部からの刺激を敏感に受容し、それに対して的確に反応することにより生存している。
・細胞が最初に刺激を受け取るところが細胞膜であり、細胞膜には様々な刺激を受容するシステムが備わっている。
  (一部参考:155092)



佐藤有志

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