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2016年3月

2016年3月29日 (火)

動的平衡の中に組み込まれた、波動伝達が生命の証

生物は、外圧に対して恒常性を維持するシステムを持っている。これが外圧適応態である生命の根源的なシステムだ。しかし、その具体的な内容はあまりわかっていない。

例えば、外圧を捉えてどこかの細胞に伝えるための神経という伝達システムは、司令塔として重要だが、すべての細胞を協調させるには少なすぎる。ホルモンの分泌による信号伝達は、もう少し広範囲だが、そのスピードは心もとない。

しかし現実に、すべての細胞が協調することで、私たちは生きている。その協調のヒントが動的平衡にある。

まず、水分子の中の水素原子は、瞬時に離れたりくっついたりして、常に入れ替わりながら、その機能を維持している。水の中に浮かぶ、生体分子も同じで、その構成原子を入れ替えながらも、分子としての機能を維持し続ける。

次に、生体分子自体も分解され、また合成される。これは、傷ついたタンパク質や変性したタンパク質が蓄積して機能(≒秩序)が失われていく前に、それらを体外に排出して機能(≒秩序)を維持していく。言い換えると、増加したエントロピーを体外に排出する、というシステムである。

よく話題になる傷ついた生体分子を発見して、修復する修復酵素のピンポイントの働きの前に、このような広大な秩序維持システムがある。このような、システムの機能を維持しながら、その構成要素である生体分子が常に合成され、同時に分解される反応系を動的平衡と呼ぶ。

が、このシステムにはもうひとつ重要な働きがある。それは、生体分子の相補性に関係している。相補性とは、ある生体分子と、それとぴったりかみ合う生体分子の関係のことをいい、片方の分子を鋳型にして、もう片方をつくるDNAの合成反応などがそれにあたる。

これらの反応は、外圧の変化が少ない場合、生体分子の合成により緩やかに濃度が上昇し、分解によりそれが緩やかに下降するという一定のリズムを持った波動を作り出す。

それが、外圧変化により、相補性のある片方の生体分子が消費されていくと、くっついたり離れたりしているもう片方の生体分子は、減った量を認識し、新しい生体分子の合成を促すセンサーとして働く。

つまり、短時間に繰り返される動的平衡反応そのものが、外圧変化を全身に伝える機能を担う。これも、波動として伝わるが、平常時の緩やかな一定のリズムとは異なる。このような、動的平衡が作り出す、外圧に対応した波動変化の伝達により、生命の恒常性は維持されていく。

これこが、生命の証ではないだろうか?




本田真吾 

2016年3月26日 (土)

40億年前の彗星重爆撃の意味を探る【1】

太陽系の中で大気に大量に窒素を含んでいる惑星は地球しかないと言われてきたが、カッシーニ探査によって土星の衛星であるタイタンの大気にも、地球以上の窒素が含まれていることが明らかになった。タイタンの大気形成は彗星重爆撃に着目してリンクに仮説が展開されているが、今日はこれをヒントにして、40億年前の彗星重爆撃の意義をリンクを参考にして考察を行いたい。

まず、初期地球の大きな流れを要約しておく。

46.5億年前:地球誕生
44.0億年前:海洋(=マグマオーシャン)登場→脱ガス化+冷却
41~38億年前:彗星重爆撃→ほぼ同時に生物誕生

            【以下引用】

 1953年にS. L. Millerは当時,推定されていた初期地球の大気組成であるメタン,アンモニア,水蒸気の混合気体(還元的大気)にアーク放電を行い,数種類のアミノ酸を合成することに成功した。

 しかし現在では上述の通りマグマオーシャンからの脱ガスと水素の散逸により,初期地球の大気は二酸化炭素と窒素を主成分とする,弱酸化的な大気であったと考えられている.このような弱酸化的な大気を模擬した混合気体には,放電や衝撃波などのエネルギーを加えても,生成物からはアミノ酸が,汚染物と区別がつかない量しか検出されないことが分かっている。

             (中略)

 後期重爆撃で,実際のところどのようなタイプの隕石が衝突したのかは明らかになっていないが,現在の地球で見つかる隕石は普通コンドライトが圧倒的に多い(86%)。普通コンドライトは金属鉄を含む隕石であり,この隕石が海洋に衝突し,鉄の酸化反応が起これば,水素が発生し,隕石の衝突蒸気雲内に局所還元環境が形成されるであろう。また,衝突蒸気雲内には周囲の大気も取り込まれ,蒸気雲内の物質と相互反応を起こすことが,実験と数値計算の結果により示唆されている。さらに,衝突蒸気雲に取り込まれた窒素が,隕石鉄により還元されれば,アンモニアを生成するということが,隕石の海洋衝突現象を模擬した衝突実験によって示唆されている。

 普通コンドライトには,グラファイトやダイヤモンドなどの無機炭素が 1wt% 程度含まれている。これらのことから,無機炭素が局所還元的な衝突蒸気雲で反応すると有機物が生成する可能性が,中沢により「有機分子ビックバン説」として提案された。しかし,海洋衝突を模擬した無機物からの有機物生成はそれまで報告されていなかった。

            【引用以上】

鉄を含む隕石が、窒素に富む大気を持つ初期地球の海洋に衝突する現象を模擬するため,一段式火薬銃を用いて衝突回収実験を行ったのが、今日紹介したサイトだが、ここまでで重要なポイントは以下の点である。

【1】大気が還元的性質を有していないと生体高分子は生まれない
【2】彗星重爆撃は海洋面に衝突したのがメインである
【3】金属鉄を含む隕石が海洋に衝突すると鉄が酸化され水素が発生する
【4】鉄の酸化に対応して蒸気大気内には還元的環境が形成される
【5】普通コンドライトにはダイアモンドなどの触媒が含まれている

以上を前提にして、次回は実験の内容と結論を紹介する。

匿名希望

2016年3月23日 (水)

ミトコンドリアの起源に新説!根本から崩れる?~日経サイエンスより

日経サイエンス2015年4月号の内容です。
( リンク )を転載します。
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〇リケッチアが祖先である可能性が浮上

ミトコンドリアは「細胞のエネルギー生産装置」として中学生でも知っている小器官で,その起源は約20億年前にさかのぼる。このエネルギー生産装置が発見されたのは19世紀だが,どのように細胞の装備品となったのかについてはまだ議論が続いている。

ミトコンドリアの祖先は,単細胞生物が体内に取り込んだ自由生活細菌だ。ほとんどの生物学者は,この細菌が宿主の役に立ったと考えている。ある仮説は,エネルギーを生産するための水素をこのミトコンドリア前駆体が供給したとみる。

また別の説では,大気中の酸素濃度が急上昇した時代に,嫌気性の細胞が自分にとって有毒な酸素を取り除くためにこの細菌を必要としたという。ともあれ両者はうまく共存し,ついには相互に依存して長期にわたる関係を築くこととなった。

〇ゲノムから祖先を探る
これに対し,バージニア大学にいたウー(Martin Wu)とワン(Zhang Wang)が進化上の関係を新たに解析し,ミトコンドリア前駆体が実は寄生体だった可能性が浮上した。

この説はウーとワンが最近構築したミトコンドリアの進化系統樹をもとにしている。この小器官とそれに最も近い現生の細菌について,それらのゲノムに基づいて祖先の関係性を割り出したものだ。

ウーはこのDNAデータから,ミトコンドリアは「リケッチア目(もく)」という寄生性・病原性の細菌グループに属し,エネルギーを盗むタンパク質を作る祖先から進化したと推測している。

この寄生性の前駆体はある時点で,その“泥棒遺伝子”を失い,現在のミトコンドリアが行っているように,宿主へのエネルギー供給を可能にする別の遺伝子を獲得した。この発見は2014年10月にPLOS ONE誌に掲載された。

〇残る不確実性
しかし,この論文の結論に異議を唱える研究者もいる。ミトコンドリアの起源を研究しているマサチューセッツ大学アマースト校のサーシー(Dennis Searcy)は,ミトコンドリアがリケッチア目の子孫であるとするウーらの判断は進化系統樹の解釈を誤ったことによるという。

だとすればウーらの解析は根本から崩れるだろう。

2016年3月20日 (日)

細菌を殺せば健康でいられると思う“大きな錯覚”

現代の巷に出回る抗菌商品群、細菌を殺せば健康でいられると思うのは“大きな錯覚”だと気づかなければなりません。かえって逆効果になるようです。

以下、(リンク)より転載。
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■アレルギーの人は抗菌マスクの使用は厳禁

今年もまた嫌な花粉症の季節がやって来ました。マスクは花粉の90~95%が取れるだけあって、花粉症の人には必需品です。中でも「抗菌マスク」は、最近爆発的に売れていますが、思わぬ“落し穴”があります。それは普段より過敏なアレルギー体質の人の症状を、さらに悪化させてしまいます。

抗菌マスクには、酸化亜鉛の抗菌剤が用いられているものがあります。皮膚に金属イオンが接して、人によっては数時間で“マスクの形”通りに顔が赤く腫れ上げることがあるのです。こうした抗菌剤が練り込まれたマスクは、アレルギーの人は絶対使ってはいけません。逆に、この事実を知らないアレルギーの人ほど、藁をもつかむ思いで使ってしまう傾向にあります。

抗菌マスクのひどい被害例は、アレルギーを引き起こして、ぜんそくや呼吸困難に陥ります。医療メーカーは、当然、このことを知っているはずです。しかし売上を考え、黙っているのでしょう。医療メーカーとは、大なり小なりそういうものなのです。

■人間本来の常在菌を殺し、却って抵抗力が弱まる

アレルギー体質でない人が抗菌マスクを付けると、皮膚に生息している常在菌(じょうざいきん)が死んで少なくなり、結果的に「かぶれ」を起こしてしまいます。常在菌は、元々、人間に住み着いている菌で、外部からの病原菌の侵入を防ぐ役割をしています。

抗菌マスクに限らず、最近は「抗菌」「殺菌」ブームで、何でも細菌を殺せば健康でいられると思う“大きな錯覚”があります。しかしこうしたものに頼ると、人間本来の抵抗力が弱まって、余計、菌に弱くなり病気を起こす確率が高まることになるでしょう。抗菌の美名の下に何でも受け入れるのでなく、花粉症に抗菌は必要かを考えればいいのです。

花粉症の本人は、花粉症が悪化したのか、マスクの抗菌剤でアレルギーがさらに悪化したのか分からないことが大きな問題なのです。残念ながら抗菌の名さえ付ければ、何の製品でも高い価格、かつ多く売れる現状を改めなければなりません。大抵は、アレルギーの人ほど辛くて追い込まれた心境から、アレルギー製品を使用して却って悪化させてしまう傾向にあります。

若林勇夫

2016年3月17日 (木)

生命の動的平衡状態と酸化還元反応から見たガン

生命は動的な平衡状態にあり、成長が止まった大人の細胞も、その構成要素である分子は常に入れ替わっている。それは、今まで、単なるエネルギーの蓄積物でしかないと思われていた脂肪も同じである。その平衡状態を保つためにはエネルギーが必要になる。

だから、成長が止まった大人の食事とは、この平衡状態を保つためのエネルギーを得るための材料摂取であるともいえる。また、運動や思考によりエネルギーを消費することも、この動的平衡反応に還元できる。つまり、動的平衡反応とは、生命が行う化学反応すべてについて共通する原理なのである。

ここで、酸化還元反応という、よく知られた化学反応について考える。例えば、光沢のある銅を空気中(≒酸素中)におくと、黒っぽい酸化銅という皮膜が出来て、それ以上酸素と反応しなくなる。つまり、地球上では自然に酸化反応がおき、酸化してしまうと反応がとまる。

これを、水素の入った試験管の中で加熱すると、酸化された銅はまた綺麗な銅にもどる。これを還元反応と呼ぶが、銅自体がまた酸素と反応できる状態に復元されることである。その際に発生するのは体内の構成要素の大部分を占める水で、これは酸化されてできる。

ここで重要なのは、

第一は、地球上で酸化は自然に起こるが、還元はエネルギーを加えないと起きないという事実である。これは、酸化はエントロピーが増大する反応(無秩序化)で、還元はエントリピーが減少する反応(秩序化=生命の原理)であることである。

第二は、酸化反応はエネルギーを放出(これを生命が利用する)して安定(≒反応しない)した状態になり、還元反応は、エネルギーを吸収して不安定(反応しやすい)な状態に戻ることである。

これらの反応が、双方向に関連しながら進行して、秩序化されているのが生命である。これらの反応が、完成した細胞のパーツの入れ替えを通して行われることで、ほっておくと酸化方向=無秩序化=エントロピー増大の方向にしか進行しない化学反応が、エネルギーをもらいながら秩序化される還元反応とセットになり、体内の酸化=無反応化が防げるのである。

この状態が、酸化に偏り、無秩序化された状態が、ガンを引き起こす体内状況なのである。



本田真吾

2016年3月14日 (月)

サル・人類の脳の拡大を支える、哺乳類の脳のしくみ

サル・人類の脳は、共認機能の獲得→観念機能の獲得へと進むにつれ、どんどん進化し大きくなっている。その仕組みはどうなっているのか?
サル・人類のそのもととなっている哺乳類の脳。哺乳類の段階で他種よりすでに脳は大きい。
哺乳類の脳には、すでに大きくできる何らかの仕組みがあったはず。

以下、哺乳類の脳は、同じ遺伝子が脳と骨の形成の双方に深く関わっているという仮設を紹介する。生命誌ジャーナル「標本から発生、そして進化を知る」リンク より転載。
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1.多様な形を生むしくみとは?
哺乳類の仲間は約6000種、地球上の陸・海・空・地中とさまざまな場所で暮らし、それぞれの生活に適した多様な姿をしている。この形態の多様化には、進化の過程で、胎子の成長の仕方が変化したことが関わっていると考えられている。なかでも、発生の各段階が起きるタイミングや、発生速度の変化が形態の違いを生む大きな要因になるはずだと予測されてきた。

(中略)

3. 哺乳類の頭蓋骨形成の共通点
化石の研究から哺乳類は約2億年前に誕生し、夜行性であっために鋭い嗅覚、聴覚を備え、それまでの脊椎動物に比べて大きな脳を獲得したと考えられている。例えば、哺乳類の最も古い化石種の一つとされるモルガヌコドンでは脳内の嗅球、旧皮質、新皮質、小脳の拡大が見られる。
今回、102種の哺乳類と哺乳類以外の32種の脊椎動物(は虫類、鳥類)で頭蓋骨の形成過程を比較したところ、脳を覆う5つの骨片(前頭骨、頭頂骨、底後頭骨、外後頭骨、上後頭骨)が形成される相対的なタイミングが哺乳類で著しく早いことがわかった。この5つの骨はモルガヌコドンで拡大した脳の領域の多くを覆っているものでもある。

4. 大きな脳をもつ種はどこが違うのか
 次に哺乳類の中での比較を行ったところ、脳を覆う5つの骨片の中でも特に上後頭骨の形成タイミングが、脳の大きさと強く関わりあっていることがわかった。哺乳類のなかでも脳の相対サイズが大きいサル類、クジラやイルカ類、モグラ類、トビネズミ類などのグループでは、上後頭骨の相対的な形成タイミングが特に早いのだ。さらに、サル類の中で最も脳の相対サイズが大きい、私たちヒトの上後頭骨の形成タイミングは、サル類の中で最も早いことも示された。哺乳類以外の脊椎動物では、上後頭骨は相対的にかなり後期に形成される。哺乳類の共通祖先でその形成タイミングが前倒しされ、さらに大脳化した一部の哺乳類でより一層早くなったと考えられる。

5. 偶然と必然が重なりあって起こる形の進化
なぜ上後頭骨の形成タイミングが脳のサイズと連動しているのだろう。考えられる仮説に機能論的シナリオと多面発現シナリオの2つがある。 機能論的シナリオとは「脳が早いスピードで大きくなったのでそれを早く覆い守るため、骨の形成も早くなった」という仮説だ。直感的に受け入れやすく魅力的な仮説だが、骨形成の開始が早くなることが骨の最終的なサイズの拡大進化につながるかどうかは未検証のため、この仮説を裏づける確かな証拠は今のところない。
一方、近年の遺伝学的研究によって上後頭骨の発生と脳の発生は強く関連していることがわかっている。Lmx1bとDlx5という2つの遺伝子が胎子期のマウスの中脳と後脳の発生や軸索形成にきわめて重要な役割を果たすこともわかってきた。ヒトにおいては、これらの遺伝子の機能不全はダウン症と関わっていることが知られている。また、この2つの遺伝子が機能不全の場合、頭部の骨のうち上後頭骨の欠損や、形成の遅れが見られる。同じ遺伝子が脳と骨の形成の双方に深く関わっているのだ。このように、ある遺伝子が複数の形質の形成に影響することを「多面発現」とよぶ。脳が大きくなるという哺乳類の進化の副産物として、脳と同じ遺伝子に制御されている上後頭骨の形成タイミングも早くなったのかもしれない。

もちろんLmx1bとDlx5が哺乳類で脳と骨の双方の発生に関わるようになった背景には、機能論的シナリオがあるかもしれない。機能論的シナリオと多面発現シナリオは必ずしも二律背反の仮説ではない。ただ、現時点では少なくとも後者は脳と頭蓋骨の進化と発生を考えるうえで無視できないシナリオだろう。

(後略)
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哺乳類はもともと、脳と同じ遺伝子に制御されている上後頭骨が一緒に大きくなる仕組みを獲得していた。
サル・人類の共認・観念機能が、更にこの遺伝子による脳拡大の仕組みと連動して、進化してきたのではないか。

村上祥典

2016年3月11日 (金)

生命活動とは『利用価値の高いエネルギー』を『利用価値の低いエネルギー』に変換する行為

今回も前稿に続いて、リンクよりエネルギーに関する記事を紹介する。

            【以下引用】

 地球上の生き物の営みは、物質という視点からみると気の遠くなるほど煩雑極まりない変化をしていますが、エネルギーという側面からみると、全体としては、「利用価値の高いエネルギー」を手に入れて、それを「利用価値の低いエネルギー」にしているにすぎません。
 言い換えれば、生命活動は「不安定なエネルギー」が「安定なエネルギー」に変化していく現象の一つだと考えることができます。

 例えば、人間は食物として摂取した栄養分(炭水化物や脂肪やたんぱく質)を肺から取り入れた空気中の酸素と反応させることで得られる化学エネルギーを、一部は仕事(心臓の働きなども含め)などに、残りは熱に変換しながら生活を続けています。
 この仕事なども回りまわって最終的には熱に変換され、「利用価値の低いエネルギー」になってしまいます。

 その食物の殆どは、地球上では極めて安定で利用できる化学エネルギーを持っていない炭酸ガスや水などに太陽光という利用価値の高いエネルギーを注入して作られています。さらに、動物たちに肉に変換してもらうこともあります。

 この例のように、どこからか利用価値の高いエネルギーを入手しないと生き物は営みを続けることができません。
 当然のことですが、この「利用価値の高いエネルギー」のほとんどが太陽光です。

             (中略)

 地球上にある物質は全て「原子」が寄り集まってできています。また、原子は原子核と電子でできています。この原子核を略して「核」と言っている場合が多いようです。
 利用価値の高いエネルギーの発生源は「核融合反応」や「核分裂反応」などの『核反応』です。

 われわれは太陽の中で起こっている水素の核融合反応で発生した太陽光というエネルギーを得て生活しています。
 この太陽光という利用価値の高いエネルギーを気の遠くなるような長期間にわたって、保存しやすい(他の種類のエネルギーに変換されにくい)化学エネルギーというかたちで貯め込んできたのが化石燃料です。

 地球上では核融合反応は水素爆弾で瞬時に大量のエネルギーを発生させることはできても、生活に有効利用できるように徐々にかつ継続的に核融合反応を進行させる技術は開発できていません。

 一方、核分裂反応は原子力発電所で利用されていますが、燃料ウランの鉱石埋蔵量は潤沢とはいえないようです。
 コスト高を覚悟して海水中のウランを特殊なキレート樹脂というものに選択的に付着させて集めれば資源的には問題はないのかもしれませんが、最も気になるのは放射性廃棄物の処理でしょう。

 管理することは絶対に不可能な長期間にわたって放射線を発生し続ける放射性廃棄物を後世に残しておくことにならざるを得ませんが、それでも構わないのですか、という難しい判断を求められています。
 現に、原子力発電の関係者は放射性廃棄物をどこの地域でどのように(地中深くなど)保管したらいいのか悩んでいるところです。

             (中略)

 他の種類のエネルギーから変換するのではなく、核反応で利用価値の高いエネルギーが発生するのであれば、エネルギーというものは種類が変わることがあっても消滅はしないはずなので、エネルギー総量は明らかに増加し、従来から一般的に採用されてきた“エネルギー保存の法則”には反するはずです。
 私たちが中学校か高等学校で学んだエネルギー保存の法則は核反応が含まれない状況で成り立つ法則です。

 そのかわりに、水素の核融合反応では0.7%の「質量」が減り、ウランの核分裂反応では0.09%の「質量」が減ります。これは物理学者のアインシュタインの提案した【エネルギー】=【質量】×【光の速度】^2という式に対応しています。

 どうして「質量」が「エネルギー」に変換されるのか理解するためには、高度な知識が必要なようですが、現実に原子力発電所では、原子炉内の物質は、漏れたり飛散した訳ではないのに、質量は減少しています。

            【引用以上】

生命の営みも、元をたどればすべて太陽光に行き着くというのは、言われてみれば非常に納得できる認識だ。しかも、個々の複雑な物質生成や化学反応も、一言で言えば『利用価値の高いエネルギー』を『利用価値の低いエネルギー』にしていく一種のエネルギー変換行為であるらしい。このシンプルな構造を知ると、現代の科学があまりにも細部にこだわりすぎていることを、あらためて実感する。

近代科学の最大の欠陥は、多くのドグマに振り回され、最も重要な大局的視点を見失ってきたのではないだろうか。

匿名希望

2016年3月 8日 (火)

痛みは脳内で作られる。その強さを左右するものは感情であり、コントロールすることができる。

(以下引用)

例えば、誤って自分の指をハンマーで叩いてしまったとしよう。「激痛が走る」。とはまさにこんな状況の時をさす言葉だが、まるで痛みが体の中を駆け巡っているように感じたことはないだろうか?だが、この痛みは、本当は全て脳内での出来事なのである。

 「痛みの認識は、年中無休で感覚神経からもたらされる情報を選別している”脳内回路”によって形作られたものである」。そう説明するのは、米ジョンズ・ホプキンス大学の脳科学者であるデビッド・リンデン教授だ。

 同教授によれば、「こりゃあ面白い。今入ってきたこの痛み情報のボリュームを上げよう」、あるいは「おっと、ボリュームを下げて、あまり注意が向かないようにしよう」…と痛みを調節することが可能となるらしい。

確かに人によって痛みの感じ方は違う。同じような怪我をしても、すごく痛いと感じる人もいれば、蚊に刺された程度と感じる人もいる。つまりは痛みはコントロール可能であるということだ。

 脳に備わった痛みをコントロールする能力は、イラク従軍中での武勇を讃え銀星章を贈られたドウェイン・ターナーをはじめとする人々の経験を説明してくれる。

 2003年、ターナーの部隊が補給物資を積み降ろす最中、敵から襲撃を受けた。このとき彼はグレネードによって負傷してしまう。爆発した金属片が足に突き刺さるほどの大怪我だったが、なんと彼はそれに気付きもせず、仲間に応急処置を施し、安全な場所まで連れて行った。また、この作業中2回も撃たれ、1発は腕の骨を打ち砕いていた。それでも、この時痛みはほとんど感じなかったと、後にターナーは述懐している。

リンデン教授によれば、無我夢中の兵士は痛みを感じないそうだ。しかし、窮地を脱した後で、例えば注射などのちょっとしたことで、大きな痛みを感じる場合があるという。

 また、脳は痛みの体験に伴う感情も決めている。これは脳が2つの異なる系を用いて、神経末端からもたらされる痛覚情報を処理しているから可能になることだ。

1つは、痛みの位置、強さ、そして性質(刺された痛み、火傷の痛みなど)である。そして、これは「ああ、やばいぞ!」といった痛みの感情的な側面とは全く別の系であるらしい。

 落ち着きや安心感、他人との繋がりといった前向きな感情は、痛みを最小化し得る。反対に否定的な感情なら逆の効果がある。拷問は大昔からまさにこの側面を利用してきた。苦痛をさらに味あわせるなら、屈辱を与えたり、痛みを加えるタイミングを予測できないようにして、痛みの感情的な側面を強化すればいいのだ。2001年のアメリカ同時多発テロの際、CIAの尋問官もこのテクニックを使ったとされている。

脳が痛みの認識を調整する正確な仕組みは、まだ完全には理解されていない。しかし、米ブラウン大学の研究チームはその手がかりを手に入れた。同チームは手の感覚に対応する低周脳波を研究していたが、これによって脳が手から送られてくる感覚情報を遮断すると、そのリズムが増すことが判明したのだ。

 彼らは、その答えは気をそらすものを無視させている前頭野にあるとにらんだ。そこで脳波をモニターした被験者に手または足だけに意識を集中するよう指示し、その間指やつま先を軽く叩いてみることにした。

 被験者が足に意識を向けているとき、脳の手の感覚に対応する領域において低周波リズムが増加した。これは被験者が自分の脳に手からの感覚入力を無視するよう命令していたからである。つまり、予測通り、情報を遮断していたのはこの低周波リズムだったのだ。

 しかし、同時に別の領域、すなわち気をそらすものを無視する部分でも低周波リズムが増加することが判明した。この2つの領域は同期し、脳の実行管理領域である前頭野と環境からの情報を選別する脳の感覚部位との間で協調しあっている。

この事実は、少なくとも一部の人間は瞑想などを行ない、慢性的な痛みを取り除く方法を脳に伝えることが可能であると示唆している。2011年に発表された研究もこの見解を支持しており、8週間に渡る瞑想の訓練を受けることで、痛みを阻害する脳のリズムを大幅にコントロールできるようになることを証明した。

引用元:リンク

中 竜馬

2016年3月 5日 (土)

『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論』の必要性(1)~人工甘味料は「糖尿病予備軍」の原因

『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・自然の摂理に則した生き方を創造するために』リンク
> 腸内細菌にエサを与えて育てることで、人間が生きるために必要な栄養の一部を彼らに生産させたり、腸内の人体に有用な細菌バランスを整えたりという、細菌との共生関係が新しい栄養学の幹として姿を現してきたのです。

私たちの健康、栄養に関して、「腸内細菌」が非常に大きいな役割を担っている、「腸内細菌」を抜きに考えられないことを示す事例を紹介します。
『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論』の必要性(逆に言えば、腸内細菌を十分に考慮していない現代栄養学の危険性)を端的に示す事例です。

 糖質制限を目的に、砂糖を控え代わりに人工甘味料を使うと、かえって糖尿病になる危険が増加する可能性があるようです。

これは人工甘味料の直接的な効果ではなく、人工甘味料を摂取することで腸内細菌叢が変化し、血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の分泌が抑えられるか、インスリンの効果が出にくくなったことが原因と考えられています。

以下、「人工甘味料は「糖尿病予備軍」の原因に、血糖値が下がりにくくなる」リンクより転載します。
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血糖値への反応が弱る

 タイトルは「人工甘味料は腸内細菌叢を変化させ耐糖能異常を引き起こす(Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota)」だ。

 研究の内容は全くタイトルの通りだ。私たちが砂糖を制限する目的で使っている、サッカリンをはじめ、スクラロース、アスパルテームを摂取すると、グルコース負荷に対する反応性が落ち、糖尿病予備軍状態になるという結果だ。

 この原因は、私たちの糖代謝システムへの人工甘味料の直接的な効果ではない。腸内細菌叢(そう)を変化させたことによる間接効果であると示している。

 実験の詳細は省くが、この研究の鍵になる実験系とは、全く細菌を持たないマウスの腸の中にさまざまなタイプの腸内細菌叢を移植し、細菌叢自体の特徴によって血糖値への反応が高まるか低下するかを調べたところだ。

 この結果、人工甘味料を取っているマウスやヒトから取った便を移植すると、血糖値への反応性の異常も同時に移植できると示すことに成功した。

 これは、腸内細菌から糖が大量に作られ、知らないうちに糖尿病になるというメカニズムではない。細菌叢が腸内にあると血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の分泌が抑えられるか、あるいはインスリンの効果が出にくくなって血糖値が下がらなくなったことを意味している。専門的には、このことを「耐糖能異常」が起きたと呼んでいる。

 さらに決め手になっているのが、試験管内で腸内細菌を培養するときに人工甘味料を入れた上で、そうして増えた腸内細菌を細菌のいないマウスの腸に移植するだけで血糖値を下げる反応が出にくくなった点だ。耐糖能異常が起きたのである。人工甘味料が腸内細菌叢に直接作用してこの現象が起こるとはっきりした。

 一方、ヒトを対象とした実験でも、人工甘味料を常用していると血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が軽く上昇していること、さらに1週間という短期の摂取でこの変化が引き起こされる点だ。

 とはいえ、メカニズムについてはほとんど分かっていない。示された結果から、インスリン分泌はそれほど落ちていないようだ。とすると、インスリン抵抗性が起こっているのかもしれない。

 データを詳しく見ると、本当ならもう少し実験を重ねても良かったかなと思う。ただ、ネイチャー誌のエディターもこの論文の発するメッセージの重要性を優先して採択したのだろう。
最終結論にはさらに検討を

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斎藤幸雄

2016年3月 2日 (水)

ダーウィンフィンチのゲノム解読が広げる種の概念

「異種との交配」が進化においてより大きな役割を果たすことを示唆しているおもしろい記事があったので紹介します。
リンク)より引用
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 ガラパゴス諸島に生息する小型の鳥「ダーウィンフィンチ」のくちばしのさまざまな形は、生物の自然選択の研究において重要な意味を持つとみなされて来た。

 幅広いくちばし、細長いくちばし、尖ったくちばし、先の丸いくちばし。辺境のガラパゴス諸島に生息するフィンチに見られるくちばしの多様さは、生物は環境に適応して変化して来たとダーウィンが考えるきっかけとなった。

 そのくちばしの多様性を生み出すある遺伝子を「ガラパゴスフィンチ(学名:Geospiza fortis)」の DNA を分析していた科学者らが発見し、ヒトの顔の形成に関わる遺伝子がさまざまなくちばしの形成にも関与していることを示す研究結果が発表された。

 2月11日、「Nature」誌に掲載された論文は、同時に新種の形成についても新しい知見をもたらした。ガラパゴスフィンチの進化の歴史や、現在の異種間の関係はこれまで考えられていたよりも複雑であることがわかったのだ。

●個体間の違いをもたらす遺伝子を特定

 進化のドラマを観たいなら、ガラパゴスフィンチは理想的な生きものだ。ガラパゴス諸島のフィンチは南米大陸に生息する他の鳥との生存競争を強いられることなく孤立しており、それぞれの島は独自の小さな生態系を持つ。その結果、14種のガラパゴスフィンチのくちばしの形は驚くほど多様になった。それぞれの形は、餌を得るそれぞれの特異な方法に最も適している。

 実際に進化の現場を観察するため、生物学者ピーターおよびローズマリー・グラント夫妻は、1973年から毎年数カ月間、小さな火山露頭である大ダフネ島でフィンチのくちばしの形と大きさの変化、そして餌の量や気候の変化について詳細な測定を行って来た。グラント夫妻は今回の論文に筆者として名を連ねている。

 この研究で科学者らはフィンチのゲノムの解読に初めて成功した。解読は、知られているすべての種のフィンチから集めた120羽の個体について行われた。

 ゲノムを比較したところ、くちばしの形と関連があるとみられるわずかな違いがいくつか見つかった。なかでも明らかに違っていたのは、顔や頭の骨の形成に不可欠なALX1と呼ばれる遺伝子だった。ヒトにおいては、この遺伝子の異常は口蓋裂(こうがいれつ)など奇形の原因となる。ガラパゴスフィンチでは、LX1遺伝子のわずかな違いによって、先の丸い頑丈なくちばしを使って硬い種子の殻を割る個体と、細長いくちばしで地面から小さな種を拾う個体とに分かれていた。

 大ダフネ島のガラパゴスフィンチは、両方の親鳥から先の丸いくちばしの遺伝子を受け継ぐと最も丸いくちばしとなり、丸いくちばしと尖ったくちばしの遺伝子を1つずつ受け継ぐと中間的なくちばしとなり、両方から尖ったくちばしの遺伝子を受け継ぐと最も尖ったくちばしになる。

「この違いこそ丸いくちばしと尖ったくちばしを生み出した変化だったと私は確信しています」と、スウェーデンのウプサラ大学の遺伝学者で論文著者の1人、レイフ・アンダーソン氏は語った。

 しかし、ニューヨーク州コーネル大学の進化科学史専門家、ウィリアム・プロバイン教授は、フィンチのくちばしの形を決める遺伝子は今回の報告で論じられているほど明白ではないかもしれないと慎重な意見を述べている。今後のゲノム解析でさらに意外な事実が見つかる可能性がある。「くちばしの形を決める要因は他にもあるかもしれません」とプロヴァイン氏は付け加えた。

 アンダーソン氏によると、フィンチの個体間の違いをもたらす遺伝子を突き止めるため、研究チームは引き続きゲノムデータを集めている。
ガラパゴスのマネシツグミは、ガラパゴス諸島の生物種は島ごとに異なっているかもしれないとダーウィンが考えるきっかけとなった。イギリスに戻ったダーウィンはフィンチをより詳細に調べ、その違いの重要性に気づいた。

●“新”種の起源

 研究チームはさらに、フィンチの分類は一般に考えられているほど明確ではないことに気づいた。1つの種と考えられていたあるフィンチは3つの異なる遺伝子グループから成り立っており、また、他の種のゲノムは思ったよりも互いに似通っていた。フィンチはこれまで考えられて来たよりも頻繁に長期にわたって異種交配(交雑)していたのではないかとグラント夫妻は述べている。

「この研究結果で覚えておいてほしいのは、種というものは、交配できないことによってきっちりと線引きできるような固定されたものではないということです。それどころか、数百年という長きにわたり、遺伝子の交換が可能な場合もあるのです」と夫妻は説明した。

 大ダフネ島のガラパゴスフィンチの例は、なぜある種の存続に交雑が重要であるかを示している。この島のガラパゴスフィンチは、尖ったくちばしを持つ傾向のある異なる他の2種と交配して、遺伝子プールにおける尖ったくちばしの遺伝子を増やしていた。1980年代中頃、島が壊滅的な干ばつに襲われたとき、グラント夫妻は同じ種であるガラパゴスフィンチのなかでも、くちばしが残された餌を拾い集めるのにより適した細長い形へと変化することを観察している。

 ダーウィン研究で知られる歴史学者、フランク・サロウェイ氏は、進化の過程において交雑がより大きな役割を持つというこの新しい知見は、科学者らが初めてガラパゴスフィンチに遭遇したときの印象と一致すると言う。1835年にダーウィンが最初にガラパゴス諸島に足を踏み入れたとき、フィンチがあまりに様々な姿をしていたため、同じ鳥だとは気づかなかった。それらがすべてフィンチであることを指摘したのは別の科学者で、ダーウィンが英国に帰国してからのことだった。
「フィンチの途方もない複雑さと多様性にダーウィンは騙されてしまったと言えます。今回の研究結果からわかるのは、進化についてはまだ多くの誤解があるということです」とサロウェイ氏は語った。

匿名希望 

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