« サル・人類の脳の拡大を支える、哺乳類の脳のしくみ | トップページ | 細菌を殺せば健康でいられると思う“大きな錯覚” »

2016年3月17日 (木)

生命の動的平衡状態と酸化還元反応から見たガン

生命は動的な平衡状態にあり、成長が止まった大人の細胞も、その構成要素である分子は常に入れ替わっている。それは、今まで、単なるエネルギーの蓄積物でしかないと思われていた脂肪も同じである。その平衡状態を保つためにはエネルギーが必要になる。

だから、成長が止まった大人の食事とは、この平衡状態を保つためのエネルギーを得るための材料摂取であるともいえる。また、運動や思考によりエネルギーを消費することも、この動的平衡反応に還元できる。つまり、動的平衡反応とは、生命が行う化学反応すべてについて共通する原理なのである。

ここで、酸化還元反応という、よく知られた化学反応について考える。例えば、光沢のある銅を空気中(≒酸素中)におくと、黒っぽい酸化銅という皮膜が出来て、それ以上酸素と反応しなくなる。つまり、地球上では自然に酸化反応がおき、酸化してしまうと反応がとまる。

これを、水素の入った試験管の中で加熱すると、酸化された銅はまた綺麗な銅にもどる。これを還元反応と呼ぶが、銅自体がまた酸素と反応できる状態に復元されることである。その際に発生するのは体内の構成要素の大部分を占める水で、これは酸化されてできる。

ここで重要なのは、

第一は、地球上で酸化は自然に起こるが、還元はエネルギーを加えないと起きないという事実である。これは、酸化はエントロピーが増大する反応(無秩序化)で、還元はエントリピーが減少する反応(秩序化=生命の原理)であることである。

第二は、酸化反応はエネルギーを放出(これを生命が利用する)して安定(≒反応しない)した状態になり、還元反応は、エネルギーを吸収して不安定(反応しやすい)な状態に戻ることである。

これらの反応が、双方向に関連しながら進行して、秩序化されているのが生命である。これらの反応が、完成した細胞のパーツの入れ替えを通して行われることで、ほっておくと酸化方向=無秩序化=エントロピー増大の方向にしか進行しない化学反応が、エネルギーをもらいながら秩序化される還元反応とセットになり、体内の酸化=無反応化が防げるのである。

この状態が、酸化に偏り、無秩序化された状態が、ガンを引き起こす体内状況なのである。



本田真吾

« サル・人類の脳の拡大を支える、哺乳類の脳のしくみ | トップページ | 細菌を殺せば健康でいられると思う“大きな錯覚” »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生命の動的平衡状態と酸化還元反応から見たガン:

« サル・人類の脳の拡大を支える、哺乳類の脳のしくみ | トップページ | 細菌を殺せば健康でいられると思う“大きな錯覚” »

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ お勧めサイトランキングへ
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カウンター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ